F127 thermal
4.6.7 薄膜上での触媒反応
Fig.4.8作製した各MPS薄膜に対するCytochrome Cの吸着量の結果を示す.
180 185 190 195 200 205 210 215 220 225
SiO2 薄膜 P123 VUV 処理膜 P123 熱処理膜
ng/ m m
22) Cytochrome Cの触媒活性
FreeのCytochrome Cの触媒活性は,0.119 Abs/min/mgであった.また,SiO2薄膜に吸 着したCytochrome C,P123VUV処理膜に吸着したCytochrome C及びP123熱処理膜に 吸着したCytochrome Cの触媒活性は,それぞれ0.029 Abs/min/mg,0.021 Abs/min/mg及 び0.032 Abs/min/mgであった.
FreeのCytochrome Cの活性と比較して,薄膜に固定化したCytochrome Cの活性は,
大きく低下した.この触媒活性の顕著な低下は,FreeのCytochrome Cと比較して,薄 膜に固定化されることによる基質とCytochrome Cとの間での反応効率が低下したこと に起因すると考えられる.反応効率は低下したが,薄膜上においてもCytochrome Cの 触媒反応を行うことが可能であることが分かった.以上のことから,酵素を利用したバ イオセンサーへの応用が可能であることが示唆された.
3) Cytochrome Cの繰り返し反応
各薄膜の一回目の比活性を100 %として,6回目までの各比活性を相対活性として算 出した.SiO2薄膜において相対活性は,100 %から約25 %まで大きく低下した.一方,
P123VUV処理膜においては,100 %から約60 %までの活性低下が観察された.また,
P123熱処理膜においては,100 %から約21 %まで大きく低下した.
P123VUV処理膜において,6回目の反応時の活性が最も優れていた.P123VUV処理
膜におけるCytochrome Cの活性の維持は,均一メソ細孔に起因すると考えられる.均 一メソ細孔が形成されていることによって,Cytochrome Cがメソ細孔内に固定化されて いると考えられる.メソ細孔内に固定化されることで,繰り返し反応を行ったとしても,
薄膜表面からCytochrome Cが脱離しにくくなり,高い活性を維持することができたと 考えられる.しかしながら,SiO2薄膜及びP123熱処理膜においては,均一なメソ細孔 が形成されていないために,Cytochrome Cが薄膜に固定化されず,繰り返し反応の際に 脱離しやすくなり顕著に活性が低下したと考えられる.
以上の結果から,均一メソ細孔を有しているP123VUV処理膜は,繰り返し反応にお いて最も高い活性の維持を示したために,酵素を利用したバイオセンサーへの応用が可 能であることが示唆された.一方,P123 熱処理膜においては,均一を有していないた
め,高い吸着能を持っているが,繰り返し反応を行えないため,酵素を利用したバイオ センサーへの応用に適していないと考えられる.
Fig.4.9 MPS薄膜に固定化されたCytochrome Cの比活性の結果を示す.