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第 4 節 MPS 薄膜の高感度バイオセンサーとしての応用

4.3 タンパク質吸着実験

4.3.1 タンパク質

今回の実験では,以下(a)~(b)に示した2種類のタンパク質を用いた.

(a) Protein A

黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus)の細胞壁成分の 5%を占めるタンパク質であ り,分子量は45,000である.免疫グロブリンG (IgG)のFc部分と特異的に結合する.

この性質を利用して単クーロン抗体の精製や抗体産性細胞の定量または,抗体を結合し た細胞の分離などに用いられる.また,蛍光色素や放射性同位体で標識したのち,抗体 または,抗体と結合した抗原の検出に用いられる.

(b) FITC-IgG

フルオレセインイソチオシアネート (fluorescein isothiocyanate; FITC)は,フルオレセ インの水素原子の一つをイソチオシアネート基で置換した化合物であり,この部位でチ オ尿素結合を形成し,細胞内タンパク質の第一級アミンと結合する.より高い光安定性,

多彩なスペクトル特性・結合特性が要求される化学・生物学用のアプリケーションに利 用されている.

免疫グロブリンG (Immunoglobulin G,IgG)は単量体型の免疫グロブリンで,2つの重 鎖γと2 つの軽鎖からなっている.分子量は,150,000 である.それぞれの複合体は2 つずつの抗原結合部位を持っている.免疫グロブリンの中では最も数の多いものである.

ヒトの血清の免疫グロブリンの75 %を占め,体中の血液,組織液に存在する.

4.3.2 Protein A の吸着測定用検量線の作成

1.5 mLエッペンドルフチューブ中に,10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) を用いてProtein Aを溶解させ,40 g/ 500 L濃度のProtein A溶液を作製した.同様のリン酸緩衝液を 用いて希釈し,様々な濃度のProtein A溶液を調整した.各濃度のProtein A溶液の上清

50 L とタンパク質量測定試薬50 Lを 96 穴プレート上で混合し,2分間振盪させ、

その後室温で30分静置した.その後,蛍光光度計 (

Perkin Elmer 社製, Wallac 1420 ARVO

SX

)

により,励起波長355 nm,蛍光波長615 nmで蛍光量を測定した.尚,タン パク質吸着量測定の試薬には FluoroProfileTM タンパク質定量キット (SIGMA 社製) 各 50 L (各試料50 Lに対して) を使用した.2回測定後,平均値を算出し,各タンパ ク質濃度の検量線を作成した.

4.3.3 Protein A の吸着

24穴プレートに作製した薄膜を静置し,40 g Protein A/10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0)

500 Lを加え,室温で一晩攪拌した.攪拌後,上清50 L とタンパク質量測定試薬 50

Lを 96 穴プレート上で混合し,4.3.2と同様の手順で蛍光量を測定した. 4.3.2 で得 られた検量線と得られた蛍光量から,薄膜に吸着した の量を算出した.

4.3.4 FITC-IgG の吸着測定用検量線の作成

1.5 mL エッペンドルフチューブ中に,10 mM リン酸緩衝液 (pH 7.0) を用いて

FITC-IgGを溶解させ,10 g/ 500 L濃度のFITC-IgG 溶液を作製した.同様のリン酸緩 衝液を用いて希釈し,様々な濃度のFITC-IgG溶液を調整した.各濃度のFITC-IgG溶液 の上清 100 L を 96 穴プレートに加え,その後,蛍光光度計 (

Perkin Elmer 社製,

Wallac 1420 ARVO

SX

)

により,励起波長485 nm,蛍光波長535 nmで蛍光量を測定した.

2回測定後,平均値を算出し,各タンパク質濃度の検量線を作成した.

4.3.5 Protein A-IgG 結合

24穴プレートに作製した薄膜を静置し,40 g Protein A/10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500 Lを加え,室温で一晩攪拌した.攪拌後,10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0)で2回洗 浄した.洗浄後,10 g FITC-IgG /10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500 Lを加え,室温で 一晩攪拌した.攪拌後,上清100 Lを 96 穴プレート上で混合し,4.3.4と同様の手順 で蛍光量を測定した. 4.3.4で得られた検量線と得られた蛍光量から,薄膜に吸着した

FITC-IgGの量を算出した.

4.3.6 DFM による Protein A の吸着の確認

4.3.3と同様の手順で作製した薄膜にProtein Aを吸着させた.吸着後、4 ℃で一晩乾

燥し,その後,凍結乾燥を行った.凍結乾燥後,DFMによって薄膜表面を評価した.

4.3.7 DFM による Protein A-IgG 結合の確認

4.3.4と同様の手順で作製した薄膜上で

Protein A-IgG 結合を行った

.反応後、4 ℃

で一晩乾燥し,その後,凍結乾燥を行った.凍結乾燥後,DFM によって薄膜表面を評 価した.

4.3.8 BET によるタンパク質吸着の確認

4.1 と同様の組成の P123 を含むゾル溶液からメソポーラスシリカ粒子 (SBA)を作製 した.15mL 遠沈管中に作製したメソポーラスシリカ100 mg及び140 g Protein A/ 10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 3 mLを加え,室温で一晩撹拌し,粒子にタンパク質を吸着 させた.撹拌後、遠心分離 (4 ℃、12,000 r.p.m、10分)をし,洗浄後,凍結乾燥した.

また,別容器中に同様の手順でProtein Aを吸着させた後,40g IgG/ 10 mMリン酸緩 衝液 (pH 7.0) 3 mLを加え,室温で一晩撹拌し,粒子にタンパク質を吸着させた.撹拌 後、遠心分離 (4 ℃、12,000 r.p.m、10分)をし,洗浄後,凍結乾燥した.

SBA,Protein A吸着SBA (Protein A-SBA)及びProtein A-IgG吸着SBA (Protein A-IgG

-SBA)は,BET法によって評価した.

4.4 バイオセンサーへの応用としての ELISA 法

4.4.1 MPS 薄膜上での ELISA 法

24穴プレートに作製した薄膜を加え,40 g Protein A/10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500 Lを加え,室温で6時間攪拌した.攪拌後,抗体洗浄液 (0.1 % Tween20 in リン酸 緩衝液)で3回洗浄した.洗浄後,一次抗体を10 g /10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500 L を加え,室温で一晩攪拌した.攪拌後,抗体洗浄液で3回洗浄した.洗浄後,非特異的 吸着を抑制するために,SuperBlock Blocking Bufferを500L加え,室温で3時間攪拌す

ることでBlockingを行った.攪拌後,抗体洗浄液で3回洗浄した.洗浄後,抗原 (Standard

Human Serum)を3.9,7.8,15.6,31.25,62.5,125,250 /10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500

Lを加え,室温で1時間攪拌した.攪拌後,抗体洗浄液で5回洗浄した.洗浄後,二 次抗体としてHRP-IgG 10 g /10 mMリン酸緩衝液 (pH 7.0) 500 Lを加え,室温で1時 間攪拌した.攪拌後,抗体洗浄液で 5 回洗浄した.洗浄後,テトラメチルベンジジン

(TMB) 500 Lを加え,遮光し室温で30分攪拌することで反応させた.反応後,上澄み

80 Lと1 M 硫酸 20 Lを96穴プレート上で混合し,分光光度計 (Perkin Elmer社製, Wallac 1420 ARVOSX)を用いて波長450 nm で,吸光度を測定した.2回測定後,平均値 を算出した.

4.4.2 DFM による薄膜表面でのタンパク質吸着状態の検討

薄膜の違いによる ELISA 感度への影響を検討するために,薄膜表面に吸着した一次 抗体の状態を検討した.タンパク質吸着状態の薄膜は,4.3.6と同様の手順で作製した.

得られた薄膜は,4 ℃で一晩乾燥し,その後,凍結乾燥を行った.凍結乾燥後,DFM によって薄膜表面を評価した.

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