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第2章   「ふしづくり一本道」成立までの経緯

第1節  萌芽期

すが、中途より使用する場合はどうしても前との闘連が必要となります から、蒔間的に短縮して、一年生の頁から基本的に指導すべきである。」

(P.2)とあり、本小論において取り上げる「ふしづくり一本道」の基 となったものであることを、強く感じさせるものとなっている。

 先述したように、このr基底カリキュラム』は「基礎に最も力をいれ たもの」ということであった。しかし目次の項目を見てみると、発声指 導・楽器の指導・墨譜指導・合唱(和音)指導・その他となっており、

目次からは、このカリキュラムのさす 基礎 とは何かということはみ えてこない。以下では、 『基底カリキュラム』の内容を説明しながら、

当書のいう 基礎 に関する記述を探る。

 『基底カリキュラム』は、2種類の表で成り立っている。目次におい て、これらの表に関する記載がないだけでなく、名称も定かではない。

 1つは、ポイントを一覧表に書き込んだ、いわば ポイソトー覧表 とでもいうべき表(以下、ポイソトー覧表と呼ぶ)であり、もう1つは、

各学年ごとの年間計画を一覧表にした表(以下、年間計画表と呼ぶ)で

ある。

  ポイソトー覧表 は、B4用紙3枚分ほどの表である(資料3参照)。

資料3は、縦軸に学年を、横軸に拍子・リズム・視唱・音程・記号・和 音・歌唱(発声・音色)・器楽・鑑賞の9つの項を設けた表の一部分で

ある。

 指導のポイントは、学年別で9つの項それぞれに、2〜6項目が書き 込まれている。そのポイントの内容は、 「どならなので楽しぐ歌うこと ができる」 (歌唱:1年)とか、 「音楽について、理論的並びに歴史的

ヌ〃識を持たせる。」 (鑑賞 5年)等、わかりやすく記されている。し かし、なかには「曲そのもののなかに没頭して穂ける」 (鑑賞:1年)

とか「音楽に対する判断力がっく」 (鑑賞 5年)等、抽象的な表現も

ある。また、 「一息で長く声を延ばすことが出来る」 (歌唱:2年)、

「声の量より質が大切である事を知る』」 (歌唱:4年)のように、同じ.

歌唱の指導に内容的な矛盾を感じるものもある。しかし、学年が違うた め、このような一見矛盾と感じる指導が必要になることもあるのかもし れない。全体的に指導ポイントの内容は概念的な表現を用 いることなく、

また誰もが理解できるように詳細に書かれてある。

[資料3]

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  年間計画表 は、それぞれの学年の目標を掲げ、縦軸に月・単元の 2項を、横軸に導入と展開・指導すべきこと・鑑賞と補助教材の3項を 設けた一覧表である(資料4参照)。資料4は、3頁に掲載されている

1年生の年間指導計画のはじめの部分である。1年から6年までの 年 間計画表 は、同一の形式で作成されている。3頁から128頁にわた って、当書のほとんどがこの 年間計画表 で占められている。

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 先述の「このカリキュラムを使用される謡え」のなかに、 「抽象的な 言葉丈では尚更使用しにくいので、出来る丈具体的例をスれ、仕事が多

ぐて、教材の研究が出来ない場合にも役に立つ様に、指導法や教材も加 えました。又一定の教科書ψから教材を選定せず、指導プランに必要な 曲や今迄に児童に好かれている幽を多方面からスれました。」 (p.1)

と書かれている。実際に、二二年ごとの 年間指導計画表 は、. ポイ ソトー覧表 にそって、各項に関して細かく書かれてある。

[資料4]

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 以下に、  年間指導計画表 に掲げてある各学年の目標を一覧表に表

わす。

学年

1年

2年

3年

4年

5年

6年

目標

・楽しく歌う

・リズム遊ぎ、リズム合奏に力を入れ、リズム感を重視した

・音楽をきくことを楽しませる

・一N生の学習に精神的発達に伴いその程度を漸次高める

・リズムに於ては、特に力を入れ旋律を一体的にとらえさせることに注意する     まま

・読符の指要第一段階に入る

・リズム指導より旋律指導に入る

・器楽はシロフォンを中心とする      まま

・読符は少しく理論的な説明や考えを交えて指導する

・歌唱ではやわらかい発声が出来、正しい口形で発声出来るようにしたい

・読符ではリズムと音程が簡単ならすらすらと読めるようにしたい

・器楽では組の七、八割迄がシロフォンでハ長調やb、#のいらない他調子の曲がひ けるようにしたい

  まま○カテンツ(終止形合唱)に力を入れ、合唱の美しさと面白さがわかる様にしたい

      まな      な ま

○特殊楽器(絃・管・楽器やピアノ・オルガン・アコージョン等)を生かした合奏が  出来る様にしたい。

○作曲の簡単なものが出来るようにしたい。

〇五学年の目標が次第に高まって来るので、小学校としては或程度まとまった姿の音  楽指導が作られる。即ち合唱らしい合唱、合奏らしい合奏が出来るようになる。

○個性が相当はっきりして来るから音楽に摘する個性の児童を十分延ばしてやりた  い。特に変声期に入った子供には歌より器楽に力を入れさせたい。

○音楽の知識的な事項を多く教材に取り入れて行きたい。

 1年の目標から、音楽科教育への導入が楽しくあることを目指してい る様がうかがえる。また、低学年におけるリズムの重視をも読み取るこ とができる。学年全体からは、歌唱に対する細かな配慮、各学年間の積 み上げ等を見て取ることができる。これらは、「ふしづくり一本道」に つながる項目といえるのではないか。

  「ふしづくり一本道」の基本理念と相反する項目として、2年から目 標に見受けられる読譜指導が挙げられる。この読譜指導は、後に作成さ れる『音楽のおけいこ』へと続くものである。

一32一

 以上より、 『基底カリキュラム』における 基礎 は、ポイソトー覧 表における横軸に書かれている9項目、つまり、拍子・リズム・視唱・

音程・記号・和音・歌唱(発声・音色)・器楽・鑑賞と捉えることがで きると考える。広範囲にわたる諸事項を、浅く教授することにより、そ れぞれの基礎的な部分を、学年をおって指導する方法を用いていると考 えるのである。

 この当時から「ふしづくり一本道」が後に作成されることを予測して いたわけではないであろう。しかし、試行錯誤のはじまりといっても過 言ではないのではないか。

  (2) r音楽のおけいこ 指導書』

 『音楽のおけいこ 指導書』は、1955年9月に、高山市六三音楽 研究会により作成された。1954年初版の副教本『音楽のおけいこ』

の指導書にあたるものである。対象となる学年および学校種別に関する 記述は本書のなかにはない。内容から、小学校1年生から3年生までの 音楽の指導に使用する副教本であることがわかる。

 1954年に出版されたr音楽のおけいこ』に関しては、手元に資料 がないため、詳しくはわからない。しかし、同r指導書』の目次の前に 次のような記述があり、『音楽のおけいこ』および『音楽のおけいこ 指導書』が、どのような趣旨のもとで作成され、出版されているのかを 窺い知ることができる。以下は、『音楽のおけいこ 指導書』の表紙の 裏側にある記載事項を、そのまま書き写したものである。

F ぐ音楽担任の先生にお願ひ♪

 始めに この指導書を研究される先生方にお願ひします。

高山六三音楽研究会にて発行致しています漕楽のおけいこssは 音楽の教科書以タ匹に余分に揖導する教材ではありません。

 子供達が音楽を楽しんで㍉唱ひ、穂き、演奏するカを延ばすため には、どうしても系統のある基礎指導をしなければなりません。

 ところが音楽の教科書は国語や算数と異って一の教材集なのです。

教科書を一頁残らず丁寧に指導する事はとても不可能です。

 そこで最低これだけは是非指導してほしい基礎教材を系統的に編 纂したのがこのワークブックなのです。

 1.2年の低学年に於では侍に基礎指導が大切なのです。教科書 の曲を教えているだけでは決しで実力がつきません。

 先生方がまず㍉自信をもつτこのワL一一一一クブックを教科書と同じ に重視されて、揖導されたならば高山市の音楽が全面的に向.たす る事は臼に見るより明らかです。

 簡単な指導書でありますが充分御研究下さる様御願いいたします。

高山六三音楽研究会

以上の文章から、 r音楽のおけいこ』は、教科書以外の副本であること、

そして、それには何も強制力がないこと、さらには系統的な基礎指導を めざし作成されたものであること等を知ることができる。

 この頁には、目次もあわせて掲載されている。次に挙げる4項目が、

その目次である。

「・音楽のおけいこに含まれている基礎指導の分類と指導期聞の一覧表  ・音楽のおけいこをつらぬいて流れる三つの基礎要項

 ・教賦物フラッシュ.カードについて

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