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 ここでは、1節および2節のそれぞれの基礎の捉え方に相関関係があ ると仮定し、その事実を探る。

 日本の音楽科教育は、そのほとんどが学習指導要領にそって行われて いるといっても過言ではない。しかし、1節(2)において学習指導要領に おける 基礎 を探ってはみたものの、  基礎 を明確に指す言葉はな い。このことは、基礎に重点をおいた昭和43年改訂の学習指導要領で も、変わらないと言えよう。

 時代の流れの中で、その社会背景に応じた教育が考えられ、学習指導 要領も変化してきた。その学習指導要領を手本として学校教育は実践さ れてきた。1節において記した各学習指導要領における音楽学習の 基 礎 および 基本 をまとめ、一覧表に表わしてみる(資料2参照)。

[資料2]

基礎および基本とされた事項 主な特徴

S.22 ・リズム

E感覚 ・ヨーロッパ音楽主体

S.26 ・読譜中心

S.33

・創造的表現の基盤となる歌唱・器楽技能 E読譜および記譜

E感覚

・低学年における基礎の重要性

S.43 ・リズム、メロディー、ハーモニーおよび楽典 E(知的理解に先立っ)感覚

・基礎を領域として位置付ける E低学年における基礎の重要性

S.52 ・ゆとりある教育

H.元 ・新しい学力観

 昭和22年の学習指導要領は、ヨーロッパ音楽を主体にしており、な かでもリズムは、律動的秩序を感覚的、運動的に捉えさせることを目標

としている。しかし、全体的に感覚を重視した点に特徴がみられる。

 26年は、リズム遊びやリズム運動等、楽しむことで習得させるよう 方向づけている。しかし一方では、多くの文章が 発展する 発達す

る 等の述語で締めくくられており、楽しむことそのものよりも、その 結果を大きく望みすぎているきらいがある。

 33年は、低学年における基礎の重視を特徴として挙げることができ る。しかし、3年生以上の学年では、身体を使った遊びというよりはむ しろ、  〜できるようにする   理解させる 等、学習の色が濃い授業 を連想させる記述に変わっている。

 43年にはリズムのみを浮き立たせるのではなく、領域としての基礎 のなかで総合的に扱ったものとなっている。しかし、学習することの多 さは、かえって感覚を疎外する危険をもはらんでいるようである。

 52年以降は前述したように 基礎 のタL一一一・ムはない。しかし、例え ば、52年の学習指導要領では表現の領域において、 リズムフレーズ

というタームを使用しており、  音楽の流れの中でのリズム を主とし て扱っているように思われる。また、52年には ゆとりある教育 が、

平成元年には 新しい学力観 がそれぞれ先走りをしてしまい、 基礎 がなおざりにされているかのように見られがちである。

 以上が1節をまとめた表からみた、学習指導要領における 基礎 基 本 の取り扱いである。学習指導要領においても、さまざまな試行錯誤 を重ねてはいるものの、拡げたり整理したりの繰り返しが見られるだけ のように感じる。

 「ふしづくり一本道Gにおける基礎は2節㈲に記した通り、音楽の3 要素である「リズム・メロディー・ハーモニー」に諸々の力が相まって、

基礎能力が培われると考えている。前掲した諸々の力は、そのほとんど が感覚に頼ったものであり、「ふしづくり一本道」は、子どもの持って いるそれらの感覚を、最大限に引き出す手助けをするものといえるので

一26一

はないか。

 資料2にみられるように、 「ふしづくり一本道」の全盛期の頃、つま り昭和43年の学習指導要領は、 基礎 と考える事項のほとんどが「ふ しづくり一本道」における 基礎  (p.23,資料1参照)と同じである ことがわかる。仮定したとおり、学習指導要領および「ふしづくり一本 道」における 基礎 には、相関関係があるのである。

 しかし、ここには1っ問題がある。 「ふしづくり一本道」は 基礎 を音楽の3要素である「リズム・メロディー一・ハーモニー」と捉えてい る。これは、前掲の表(特に昭和43年)から、学習指導要領において もいえることである。この「リズム・メロディー・ハーモニー」は、一 般に「音楽の3要素」と言われている。ただし、厳密には「音楽を構成 する3つの要素」であり、音楽学習における 基礎 と言い替えること が果たして可能かどうか、という問題である。

 先にも述べたように、 「ふしづくり一本道」は、昭和41年からの古 川小学校における実践が有名である。しかし、41年からの実践に至る までには、何らかの研鐙の期間を要したことは、このシステムの完成度 からも容易に想像できる。第2章において、 「ふしづくり一本道」発想 の原点に触れてみることとする。

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