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参          舎           舎

    地域B      労働力の価値(実質賃金率)     現在の市場価植体系 産業革命によって上昇した労働生産性

農村の産業予備軍によって抑えられ

実質賃金率との差異を媒介

〔慧騨饗

田2ポスト産業資本   餅11ポスト産業資本

劃ヒが進み、お金   主義の時代には、利         ←の力が弱くなりつつ   潤を生み出すのはお

る。        金ではない。

(図H・2−2)岩井克人氏の資本主義に関する認識

第H章第2節

本項では岩井氏の経済認識のうち、貨幣に関する認識を命題化し、構造化して示

した。

3 岩井克人氏の社会変動に関する認識

  これまで、岩井氏の経済認職のうち、「貨幣に関する認識』、「資本主義に関する認 識」のモデルを示してきた。本項では、「社会変動に関する認識1を命題化し、構造 化して示す。まず、岩井氏の社会変動に関する認識を命題化する。

社会変動とは、「社会システムの構造変動であり、そのような構造変動の生起を説 明するものは機能である34」と定義される。

 これまで述べてきたように、資本主義仕会の機能は「利潤の追求」である。利潤 は、差異から生まれる。では、禾1』潤の源である差異はどこにあるのか。岩井氏は、

差異を生み出す構造によって、資本主義を商業資本主義、産業資本主義、ポスト産 業資本主義に分類している。

 商業資本主義とは、地域的に離れたふたつの共同体のあいだの価値体系の差異を 媒介して利潤を得る、資本主義のシステムである(伊1)。

岩井氏によれば、現在、産業資本主義からポスト産業資本主義への移行が進んで

いる。

産業資本主義の時代には、「資本家が低賃金で人を働かせて、大きな利潤を得るこ と35」ができた。そのためには、2つの条件が必要である。機械による大量生産と、

労働者の賃金をあまり高くあげないような仕組みである。

産業資本主義とは、労働生産性と実質賃金率との差異を媒介して利潤を得る、資 本主義のシステムである(ひ2)。

 産業資本主義の時代には工場で製品を大量に生産した。工場を設置するためには、

大量のお金が必要になる。しかし、工場を建設さえできれば、農村から都会に流れ てきた安い労働力を利用することができた。工場を動かすための賃金が安いから、

利益が得られたのである。つまり、産業資本主義の時代というのは、お金を持った 人が世の中を支配した時代である。36

岩井克人氏の経済認識のモデル化

枯渇し、もはや国内では安い賃金で労働者を調達できなくなって37」、産業資本主 義はその機能を十分には果たすことができなくなった。そこで、ポスト産業資本主 義への移行という経済体制の変動が起こりつつある。それにともなって、グローバ ル化という社会現象が見られるようになった。

先進資本主義国の国内で産業資本主義の原理が有効性を消失し、世界全体を舞台 として産業資本主義の原理を追い求めた結果がグローバル化である(脳)。

 グローバル化とは、「国と国、地域と地域、都市と都市のあいだで、モノやサービ スが自由に動くようになること38」である。もはや、先進資本主義国内では、産業 資本主義の原理は働かない。そこで、安価な労働力を求めて貿易の自由化と資本移 動の自由化を推し進めた結果がグローバル化である。

 同様に、IT革命も金融革命も、ポスト産業資本主義化にともなう社会現象である。

 ポスト産業資本主義とは何か。

ポスト産業資本主義とは、差異性を意識的に創り出すことによって利潤を生み出 していく資本主義の形態である(ひ3)。

差異性を意識的に創り出すというポスト産業資本主義の利潤創出方法を究極にま で推し進めると、差異性そのものである情報の商品化に行き着く。それはさらに、

情報の処理や伝達のための技術を引き起こ洗39

差異性そのものとしての情報の商品化と、情報の処理や伝達のための技術の発展 の結果がIT革命である(ひ5)。

 さらに、金融市場がグローバル化し、IT革命による情報伝達技術や情報処理技術 が急速に発展したことにより、金融革命が引き起こされている。

IT革命による情報伝達技術や情報処理技術の急速な発展と、グローバル化によ って国境で分断されていた金融市場がつながり始めた結果が金融革命である

(㏄)。

 グローバル化、IT革命、金融革命は、現代における大きな社会の変化として語ら れることが多い。しかし、その背景には産業資本主義からポスト産業資本主義へと いう経済体制の変動があることを見逃してはならない。

以上の検討から、岩井民の桂会変動に関する認識として6つの命題が抽出された。

第皿章第2節

これを構造化して示したものが、次の(図H・分3)である。

婁麟ゆ倣翻本蟻 ⇔ひ3ポスト産業資本叢

差異を み出

地域A 騒の

(労艦…樹 未来 体系

地域B

労働力の田直(実質賃金率) 現在の市場価植体系

2つの市 産業革命によって上昇した労働生 差異性を意識的に創り出 場の間の 産性と農村の産業予備軍によって すことによって稗閏を生 価値の差 抑えられた実質賃金率との差異を み出す。

異を媒介 媒介       ,

C−4グローバル化

風隻師IT革

動に伴 先進資本主義国の国内で産業資 差異性そのものとして

う社会 本主義の原理が有効性を消先世界 の情報の商品化と、情報

全体を舞台として産業資本主義の の処理や伝達のための技

を追い求めた結果、 術の発展の結果,

一麹レ

金融革命

IT革命による情報伝達技術や情報処理術の急速な発達と、グローバ ル化によって国境で分断されていた金融市場がつながりはじめた結

(図皿・2・3)岩井克人氏による社会変動

本節では、「お金の流れ」を分析視点として岩井氏の著作を分析し、氏の「貨幣に関 する認識」、「資本主義に関する認識」、「社会変動に関する認識」の3つのモデルを明 示した。

岩井克人氏の経済認識のモデル化

《第 章第2節の註および引用文献》

1岩井克人『ヴェニスの商人の資本論』筑摩書房、1985、p.38 2岩井克人『貨幣論』ちくま学芸文庫、1998、阻63−64 3岩井克人『資本主義を語る』ちくま学芸文庫、1997、p.152 4岩井克人『貨幣論』筑摩書房、1993、p,105

5この貨幣共同体に関する議論は、岩井克人、前掲書、1993、pp。201−202による。

6富永健一『社会学講義人と社会の判(中公新書1242)中央公論社、1995、p・20 7岩井克人、前掲書、1985、pp.11餅120

8岩井克人『二十一世紀の資本主義論』筑摩書房、2000、p。40 9岩井克人、前掲書、1993、pp.204−205

10乃i4、PP.159−160 11乃i4、P.184

12 井克人『不均衡動学の理論丑岩波書店、1987、pp.94−95 13 井克人、前掲書、1993、pp.165−166

14 井克人、『ヴェニスの商人の資本論』ちくま学芸文庫、1992、p.186 15 井克人、前掲書、2000、料61

16 井克人、前掲書、1993、獅210 17 井克人、前掲書、1987、pp.nを115 18 井克人、前掲書、1998、坦78

19乃i4、μ204

20 井克人、前掲書、1993、p.207 21岩井克人、前掲書、1993、pp.151−152

22 井克人・伊藤元重「経済理論の新展開1岩井克人・伊藤元重編『現代の経済理論』東京大学出版会、

1994、 PP.5略

23この資本主義の成立に関する議論は、岩井克人『会社はこれからどうなるの刺平凡杜、2003、pp.85−86 による。

24 井克人『会社はこれからどうなるのか』平凡杜、2003、μ95 25 井克人、前掲書、1985、pp.165一一166

26伽4、P.153

27乃∫4、P。65 28乃f4、μ47 29乃i4、P.105 30乃f4、P.96 31乃14、P臥59−60

32 井克人、前掲書、2003、p。b【

33乃擢、2003、Pμ27杢275 34 永健一、前掲書、1995、p.144

35 井克人r社会の行方」糸井重里『智慧の実を食べよう 学問は驚き蔦』ぴあ株式会社、2004、μ61 36乃i4、PP.60略1

37 井克人、前掲書、2003、p。213

38伽4、P.16 39乃i4、PP.211−212

第3節 教育内容としての岩井克人氏の経済認識のモデルの有効性

 第1章で、「経済を通して社会がわかる」授業で獲得される知識は、より説明力の大 きな、未知の事象にも適用可能で、より前進的な問いを生み出す知識であることを明 らかにした。また、本章第2節で、説明力が大きく、かっ、様々な情報を組みこむこ とのできる理論として、岩井克人氏の経済認識のモデル化を行った。

 本節では、岩井克人氏の経済認識のモデルの、教育内容としての有効性を検証する。

本節の基本仮説と作業仮説は以下の通りである。

基本仮説

岩井克人氏の経済認職のモデルの教育内容としての有効性は、教育内容分析の視 点としての有効性によって示される。

作業仮説

岩井克人氏の経済認識のモデルを用いて、これまでの「経済教育」のカリキュラ ムや教育内容を分析し、その優れた点や改善すべき点を示すことができる。

 具体的な分析対象としては、金融広報中央委員会による金融教育カリキュラム、「鶴」

の授業、久津見宣子氏の実践よりr現代社会一ファシズム」を選択した。

1 金融広報中央委員会による金融教育カリキュラム1の分析

 金融広報中央委員会は、「学校における金融教育」の手引きとして、『金融教育ガ イドブック』を作成している。ここでは、ガイドブックから「金融理解度向上のた めの年齢層別カリキュラム(素案)」(以下、カリキュラム)を岩井克人氏の経済認 識をもとに分析する。

 カリキュラムのスコープは、以下の通りである。

        (表豆一3−1)カリキュラムのスコープ

  r経済のしくみと消費者行動」、r貨幣の価値と機能、金融のしくみ」、

  r金融商品・トビスの内容」、r生活設計」、r消費者としての自立1

     〔襟藷慧蕊灘猛ツク』舳圃.,鞘副

 また、年齢段階は「幼稚園」、「小学校低学年」、「小学校中学年」、「小学校高学年」、

 r中学生」、r高校生」、r成人」に分けられている。