80
効 力 感 得
75
点
59cm前
段差
70 59cm後 一→一 状態不安
特性不安
一←一自己効力感 図10 段差59cmを跳び越し前後の特性不安,状態不安,自己効力感の得点の関係
段差59cmでは,自己効力感と状態不安の関係は成り立っていたが自己効力感得点が 低下するにつれて状態不安得点が高くなっていて,段差66cm,71cmとは逆の結果であ
った.
これらの結果をまとめると,段差66cmと71cmのように自己効力感が高まるにつれ
て,状態不安が低下した部分も見られた.しかし,他の段差である52cm,59cm,67cm,69cmでは,自己効力感が高まらず,状態不安は低下しなかった.つまり,段差71cm
への挑戦に近づくにつれて自己効力感が高まらず,状態不安は低下しなかった.そして,特性不安も低下しなかった.
2.0さんの特性不安の解消結果
(1)0さんの指導の内容と運動結果
表14に0さんの指導の内容と運動結果を示した.
表14指導の内容と運動結果
指導内容 指導者の働きかけ 0さんの運動結果
1.二つ並んだ跳び箱の上で体重 ・肘を伸ばすようにさせた ・徐々に移動距離が長くなった
移動をさせた. ・体を前に思い切って倒すようにさせた
・最後の部分は尻をぶつけないで下りる ・尻をぶつけないように努力していた
ように意識させた がぶつかってしまった
・最後の部分は尻をぶつけないで下りる ・やはり尻が残った ように意識させた
2.跳び箱を一つにしてその上に ・勢いをつけるために上半身を振るよう ・両脚同時に踏み切ることが困難なよ
両脚で跳びのって,跳ぴ下り動 にさせた うであった
作をさせた ・体を前に倒すことへの恐怖心をなくす ・初めは怖がっていたが徐々に慣れて ためマットに倒れる運動を加えて行わ 自ら勢いよく倒すことができるよう
せた になった
・体を倒していく力で跳び越すようにさ ・踏み切りが弱くて跳び箱の上にまた
せた がってしまった
3。段差38cmに挑戦させた ・両脚同時に踏み切りようにさせた ・まだ体を前に倒すことが不十分であ った
・一 も跳び越せなかった
4.段差38cmのまま跳び箱を横に ・踏み切りを強く,両脚同時に行わせた ・はじめは尻を打ちながらもなんとか
して挑戦させた 跳び越した
・しっかり脚を開くようにさせた ・まだ揃わないがだいぶ両脚同時に踏 み切れるようになってきた
・跳び越した
・もっと両脚が同時に踏み切れ,脚を開 ・思い切って言われたとおりにできた けるように跳ぴ箱の上からジャンプを
して空中で脚を開いて閉じて下りる運
動を行わせた ・跳び越した
5.再び段差38cmに挑戦させた ・運動を連動させ,助走の勢いを利用で ・しかしまだ踏み切りが弱かった きるために腕を一歩前から上げるよう
にさせた
6.段差45cmで跳び箱を横にして ・膝を曲げて強く踏み切るようにさせた ・徐々に腕の動きはスムーズな動きに
挑戦させた なってきた
・跳び越した
7.段差52cmで跳び箱を横にして ・踏み切りを強くするように意識させた ・徐々に両脚同時に踏み切れるように
挑戦させた なり,脚を開いて跳び越せるようにな
った
8。段差59cmで跳び箱を横にして ・跳び越した
挑戦させた
9.段差66cmで跳び箱を横にして ・跳び越した
挑戦させた
10.段差73cmで跳び箱を横にして ・初め,跳ぴ越す感覚を味わわせるため ・跳び越した
挑戦させた に補助をした
・遠くに跳ぶことを意識させた ・踏み切りがだいぶ強くなってきた 11.段差45cmに挑戦させた ・踏み切り時に止まらないようにさせた ・ほとんど補助の力を借りずに跳ぴ越
した
・歩いてきたスピードを利用して跳び越 ・補助なしで跳び越した
させた ・より遠くに跳び越すことができた
・踏み切りを強く,アクセントをつけさ せた
12.段差52cmに挑戦させた ・踏み切りの強さを意識するようにさせ ・両脚踏み切りができて跳び越した
た ・体を前に倒すこともできていた
・踏み切りにアクセントをつけるように させた
・ロイター板にのる時間を短くするよう に伝えた
13.段差59cmに挑戦させた ・両脚踏み切りができて跳び越した
14.段差66cmに挑戦させた ・強く踏み切らせた ・両脚踏み切りができて跳び越した
15.段差73cmに挑戦させた ・両脚踏み切りができて跳び越した
16,ロイター板のみで挑戦させた ・初めは尻をぶつけた
両脚踏み切りができて跳び越した
(2)0さんの指導における動作の未改善と改善点
改善点:0さんは,両腕で体を支えること,空中に浮くことに対して不安を感じてい た。そのため,跳び箱に手を着くことができず,馬跳びすらできない状態で あった.さらに,踏み切り時に両脚同時に踏み切れない,踏み切りが弱いと いう状態でもあった.そこで,まず両腕で体を支えることに対する不安を解 消するために跳び箱の上に座り,両腕で体を支えて体重移動を行う運動をさ せた.また,跳び箱を横にして挑戦させた.このような指導を繰り返すこと で,両腕で体を支えることや空中に浮くことを安定してできるようになり,
踏み切り動作も徐々に安定してできるようになっていった.そして,初めは 横にした跳び箱しか跳び越せなかったが,指導の後半には,縦に戻した跳び 箱を跳び越すことができた.最終的に段差なし,ロイター板のみの状態で跳 び越すことができるようになった.
未改善点:指導では常に両脚同時に,強く踏み切ること,体を前に倒すことを意識さ せ指導した.しかし,まだ両脚同時での強い踏み切りや体を前に倒しての スムーズな体重移動が安定してできるまでに至らず,不十分であった.
(3)Oさんの各段差における自己効力感,状態不安,特性不安の関係
図11に各段差の跳び越し前後のSTAI調査,自己効力感調査の結果を示した.グラフ 中に段差73cmの跳び越し後とロイター板のみでの跳び越し前の調査結果がないのは,
調査をはさみ時間をおくことによって0さんのその時の良い状態を壊さないようにと 考え,行わなかったからである.
80 70 60 不50 安得40 点30 20 10 0