表 3.5: Total amount of emission and emission right of 39 nations in theory
Total amount of Total emission right of all participant nations emission of T arget T arget T arget
all participant nations −5% −6% −7%
1673100 1708512 1606987 1512395
−5%, −6% と −7%における, それぞれの700ヶ月分の排出権の量を求めた. これらの値 は, 700ヶ月分のガス排出量と700ヶ月分の排出権を比較することによって遵守制度の成功 条件の理論的な境界条件を分類する. 700ヶ月分の排出権が700ヶ月分のガス排出量より 大きいとき市場取引が継続し,その反対は市場取取引が終了する. 例えば,削減目標 −5%
の 排出権(1708512)は,ガス排出量(1673100) より大きいので市場取引が継続する. 削減 目標 −7% の 排出権 (1512395) は, ガス排出量 (1673100) より小さいので市場取引が終 了する. 削減目標 −6% の 排出権 (1606987) は, ガス排出量(1673100) の値が近いため, 参加国の取引状況に応じて市場取引が時々終了する.
箱ひげ図分析から,排出量の中央値は−1%から−4%までの削減目標の設定の場合に増 加する. 一方, 排出量の中央値は, Case-B1の“Non-Compliance”で示すように−5%から
−10%までの削減目標の設定の場合に減少する. これは,通常,削減目標が設定されること でガス排出量を減らすことに貢献するが, 若干,削減目標が排出量を増やすかも知れない ことを意味する. その結果に対して, ガス排出量の中央値は, 全ての参加国の同じ削減目
標で“Compliance”の下で減少する. 遵守制度はガス排出量の削減のために重要である.
3.4.3 ガス排出量の削減目標が異る場合 (Cases-C1 と C2)
ガス排出量の削減目標が異る組合わせにおいて, 3.3.3節の結果から, 異る現象を引き起 こした. “Compliance”の下で,参加国が削減目標の+8%とした0ヶ国と1ヶ国の比較する と, 排出権取引は前者のケースで終了し,後者のケースで継続する. 参加国1ヶ国だけの設 定によって市場取引が継続する傾向がある. 開発途上国は先進国が排出権の買うことに応
じることから,成功条件の一つは, +8%のような削減目標を持つ1ヶ国を必要としている.
箱ひげ図分析から次の注目する特徴が明らかになった. (1)ガス排出量は“Compliance”
の下で先進国の数が増えると大きく減少することから, 先進国の十分な数が必要である.
(2) 市場価格の中央値は, Case-C2の“Compliance”の下で,先進国の数26から39まで(途 上国の数13から0まで)を設定するとゆっくりと増加する. 先進国の数によって市場価格 を上げる可能性を意味する.
図 3.7 と 3.8から, 先進国の十分な数とHot Airと呼ばれるいくつかの開発途上国の組 合わせが, 遵守制度にとって必要である.
3.5 まとめ
本研究では,対象の出力ない国際排出権取引市場に焦点を当て,エージェントを用いた 参加国モデルを提案した. そして, 本研究では, 京都議定書に基づく遵守制度の導入と非 導入に分けて比較し, 時系列データ分析, 箱ひげ図分析からシミュレーション結果を調査 した.
本研究による分析は, 以下の計算機モデルの特徴を明らかにしました. (1) 京都議定書 に基づく参加国の異る二酸化炭素の削減目標は, ガス排出量を削減することに貢献する.
しかし,市場取引は終了するので, 削減目標の適切な配分が遵守制度の効果を高めるため に重要である. (2) 全ての参加国の削減目標をガス排出量の削減に設定した場合, 成功条 件の境界は, 参加国の削減目標−6%以下である. 特に, 全ての参加国の排出権が全ての 参加国の発生するガス排出量を上回り, 市場取引は継続する. (3) 発生するガス排出量を 制限されない少数の開発途上国は, 市場取引を維持するために必要である. 開発途上国の 一ヶ国は, 遵守制度の効果を発揮するため, 少なくても市場に参加する必要がある.
なお, 今後の課題としては, (1) 基準年のガス排出量Eyear1990 と1ヶ月のガス排出量 Etの実データを設定することによって,より正確な成功条件の調査, (2) 参加国が京都議 定書以後に基づく削減目標に変えた場合の調査, (3) エージェントベースモデルの改善に よるガス排出量と市場価格の予想, (4) 被験者実験によるシミュレーション結果の検証な
どがあげられる.
第 4 章
距離に基づく時系列データの分類法
本章では,エージェントベースシミュレーションによる排出権取引市場の価格変動のよ うな時系列データを分類するために, ベイズ法を用いた分類手法を提案し離散フーリエ変 換による分類方法と比較する. これらの手法は,複雑な現象として観測される複数の時系 列データを分類する.