第 5 章
5.2 Cases-B1 と B2, Cases-B1’ と B2’ の比較
シミュレーション結果は, 20個の時系列データを用いた. シナリオ分析では, “c-6” と
“c-7” の境界において, 差異があることが確認された. 一方で. DAM と BAM による二
次元の図示は, “c-6” と “c-7”だけが特徴ある位置に存在していない. なぜなら, DAM に よる分析上の制約から, 市場価格の無くなる部分の比較ができない. そこで, 時系列デー タの抽出の際, 比較するデータの存在を確認した上で, DAMと BAM をおこなっている.
このことから,シナリオ分析のような市場価格の停止する部分の時系列データが含まれて いない. そのため,シナリオ分析の結果と DAM や BAM の分析結果の比較によって, 共 通事項を見つけ出すことは容易でない. また, DAM や BAM による結果が, ばらつきが ある場合, その中から, 特徴があるものを見つけ出すことは難しい. 一方, DAM や BAM の中で, 同じ座標や近似した座標を示した時系列データを類似と解釈することはできる.
以上のことから,計算機モデルの出力を DAM と BAMによって類似が示された場合, そ の出力の時系列データは類似している可能性があり,シミュレーション結果の大きな違い を示さないと考えられる. 現時点では, そこまでの証明は明らかになっておらず, 今後の 事例研究が必要である.
5.3 Cases-C1 と C2, Cases-C1’ と C2’ の比較
シミュレーション結果は, 30個の時系列データを用いた. シナリオ分析では, 削減目標
+8%の0ヶ国と1ヶ国の間で境界条件があることが確認された. 一方で, DAM による結
果は, 削減目標+8%の0ヶ国(“c-15”)と1ヶ国(“c-14”)の間で境界として見ることが出来 ない. BAMによる結果は,削減目標+8%の0ヶ国(“c-15”)と1ヶ国(“c-14”)の間で離れ ていることが確認できる. しかし, シミュレーション結果30個の中から, シナリオ分析の 境界条件を見つけ出すことは難しい. その中で, 少なくとも言えることは, BAMの分析 によって全体的に類似と相違に分けることができる. 図4.8のBAMを例に取れば, “c-1”,
“c-12”, “c-13”, “c-14”, “c-15” が一つの全体的な類似から離れている. このことから, ま
ず30個の時系列データからBAMによる分析をおこなった後, シナリオ分析による境界 条件などの特徴を抽出することが可能であると考える. それは, 分析者の負担軽減に繋が ると考えられる.
5.4 シナリオ分析と距離に基づく分析
対象の出力のない計算機モデルは, 対象と一致を試みることができない. そこで, 少な くとも,複数の計算機モデルの出力から類似または相違を明らかにする必要がある.
シナリオ分析は,上記の第5.1節から第5.3節において, 時系列データの市場停止や上昇 傾向などを読み取ることができた. しかし, 比較するデータ数が多くなると, 市場停止の 境界条件を見つけるため, 全てのデータの視覚化が必要となり,分析者の負担となる.
一方,距離に基づく分析方法の DAMと BAM は,変動する時系列データを距離に基づ いて分類することができた. そこで,大量のデータの中から類似と相違を分け,比較対象を 絞り込み手段として有効であると考える. また,図 5.1 のような指数関数(f(x) = ex+e2−x) を用いて, BAM によって分析した結果を図5.2 に示す. 図 5.1は, xに0.01(t-1, tg-1), 0.02(t-2, tg-2), 0.03(t-3, tg-3), 0.04(t-4, tg-4), 0.05(t-5, tg-5),を入力し, 256個の左右対 称データを作成した. BAMによる結果の図5.2は, “t-1”と“tg-1”のように左右対象の一 致を確認した. このことから, BAMによる分類は左右対称の差が表せない可能性がある。
そこで, 今後さらなる事例研究や単純な関数による現象を比較することで, BAM の性質 や機能について明らかにしていく必要がある.
今後, シナリオ分析やBAMなどの距離による分析は, 互いの特徴を理解した上で使用 すれば, 計算機モデルの出力を様々な視点から理解できる. そして, その際の分析手順を 以下のようにすることで, 分析者の負担が軽減すると考えられる. (1) 距離に基づく分析 方法による類似と相違にわける(2) 類似の中の幾つかと相違となるデータをシナリオ分 析などによって比較する現時点では, 方法論を述べている段階であり, その妥当性を事例 研究などから導く必要がある.
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 50 100 150 200 250
t-1t-2 t-3 t-4t-5 tg-1tg-2 tg-3tg-4 tg-5
図 5.1: Exponential function (f(x) = ex+e2−x)
-1 -0.5 0 0.5 1
-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1
tg-1 tg-2 tg-3 tg-4 tg-5
t-1 t-2 t-3 t-4 t-5
図 5.2: BAM using exponential function