V. 熟練度の違いによる動作特性比較実験 〜ハンドル操作成分比較〜
V.4. 考察
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図5-5.ハンドル転舵グラフと上下荷重グラフの関係性
また,第Ⅳ章より得られた熟練者ライダーの頭部ロールが少なくなっている 結果と,本章で得られた熟練者ライダーのハンドル上下方向荷重が有意に大き かったことから,ライダーが上半身,特に頭部のロール方向の動きを抑制する ことが必要と感じ,このロール方向の動作を安定させるためにもハンドルの上 下方向に荷重をかけている事が考えられる.従来,一本橋走行においては,車 体の安定のために膝で車体を挟み込むニーグリップ動作を提唱している[3][4] が,二輪車の乗車姿勢の特性上,ニーグリップ動作のみでは車体を支えるため の支持は膝のみの2点となるために,上半身,特に膝よりも前方に位置してい る頭部のロール動作に対して安定させることができない.従って,熟練者は頭 部よりも前方に配置されているハンドル部分を用い,両膝と両手の4点支持を おこなうことによって,頭部を含むライダー上半身の安定性を確保していると 推測された.その結果,ハンドルの上下方向の荷重が初級者に比べ有意に大き くなっているということが考えられる.
-0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
-1500 -1000 -500 0 500 1000 1500
1 1001 2001 3001 4001
ハンドル上下荷重 転舵角
V.4.2. 一本橋走行におけるライダー挙動のメカニズムについて
ここまで得られた結果から,一本橋走行におけるライダー挙動のメカニズム についての検討をおこなった.二輪車で安定して一本橋走行をおこなうために は,ライダー-車体系について,
1) バランスを失わないこと
2) バランスを失った際に素早く修復できること
が条件となる.この中でも特に1)の「バランスを失わないこと」は安定走行 の前提にあたる部分であり,重要な要素である.本研究においては,「バランス を失わないこと」に関しての検討をおこなった.
本研究で得られたライダーの動作および操作の関係図を図5-6.に示す.ラ イダー-車体系のバランスを確保するためには,速度を下げないことにより慣 性力および運動エネルギーの効果を活用する方法が有効である.この方法は初 級者ライダーが活用している方法であった.ただし,この慣性力や運動エネル ギーを活用することは低速で走ることと相反しており,低速走行に対し限界が 生じることとなる.
一方,熟練者ライダーは慣性力や運動エネルギーの効果を用いることなく安 定した走行をおこなっていた.そのためには車体接地面の鉛直上からライダー
-車体系の重心を極力外さないことが必要となり,そのためのライダーの操作 および動作が本実験から明らかになった.まず,ハンドルを左右に転舵させる ことにより,ライダーの左右方向の車輪接地幅を増加させている.この事で,
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上体の安定性を確保するための支持動作をハンドルへの荷重も活用しながらお こなっていることが明確になった.
図5-6.安定低速走行に関する上体挙動メカニズム