II. 二輪車の一本橋走行におけるライダー挙動測定方法の検討
II.7. 第Ⅱ章の結論
二輪車の極低速バランス走行におけるライダーの動作を確認するために初級 者と熟練者による一本橋走行実験をおこなった.
実験結果から,車体およびライダーの背部,頭部のロール角速度成分に熟練 度の違いによるものと思われる差異が確認できた.特に頭部ロールの角速度は ピーク値比で4.4 倍と顕著な差異が発生していた.
このことから熟練者は,車体とライダーを合わせた重心位置から離れており,
慣性モーメントの影響も大きいライダー頭部の急激な動きを少なくすることで,
車体とライダーを含めた全体のロール方向の急激な動きを小さくさせ,極低速 走行状態でもバランスを取ることが可能となっていると考えられる.
第II章の参考文献
2-1) 森島 圭祐 他:自動二輪車ライダーの操縦技量定量化に関する基礎研究,
YAMAHA MOTOR TECHNICAL REVIEW,第50号,pp71-80,2014
2-2) 本田技研工業株式会社:CB750取扱説明書,2007
2-3) 株式会社ATR-Promotions:製品・サービス,小型無線多機能センサTSND
121,http://www.atr-p.com/products/TSND 121.html
2-4) 株式会社ATR-Promotions:小型無線多機能センサTSND 121 ユーザー
ズマニュアル,2013
2-5) 本田技研工業株式会社:安全運転協議に関する「競技規則」「競技実施要
領」「審査基準」,本田技研工業株式会社 安全運転普及本部,2015
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III. 位相差比較によるライダーの動作特性比較方法の検討
III.1. 車体ロール角速度とライダー頭部角速度の関係
図3-1.および 図3-2.は初級者と熟練者における車体ロール角速度とライ ダー頭部角速度の10秒間の波形を抜粋したものである.
この車体ロール角速度とライダー頭部角速度の測定波形に着目したところ,
初級者において熟練者には見られない位相遅れの関係性の傾向を示しているこ とが推測できた.本章では,この現象の確認のための手法を検討し,解析をお こなった.
図3- 1.初級者の車体ロール角速度とライダー頭部ロール角速度波形
図3- 2.熟練者の車体ロール角速度とライダー頭部ロール角速度波形
-100 -50 0 50 100
-20 -10 0 10 20
頭部ロール角速度(deg/s)
⾞体ロール角速度(deg/s)
⾞体ロール角速度:初級者 頭部ロール角速度:初級者
-20 -10 0 10 20
-20 -10 0 10 20
頭部ロール角速度(deg/s)
⾞体ロール角速度(deg/s)
⾞体ロール角速度:熟練者 頭部ロール角速度:熟練者
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III.2. 分析方法:相互相関係数
Ⅲ.1. で仮説した位相遅れの傾向を確認するために,相互相関係数を用いた.
この相互相関係数を用いることにより,車体ロール角速度の波形と頭部ロール 角速度の波形が,位相の変化により同じ傾向を示しているかを確認することが できる.図3-3.に位相の変化と相関係数の上昇についてのイメージ図を示す.
また,図3-3.波形に対する相関散布図の変化を図3-4.に示す.
本章では,第Ⅱ章で測定をおこなったデータに対して,位相ずれなしの状態 を基準として,サンプリング周波数から0.02秒ごとに頭部角速度の波形をずら し,それぞれの相関係数を算出することとした.
図3- 3.相互相関イメージグラフ(左:測定データ,右:位相変化後)
図3- 4.図3-3グラフの相関散布図
( 相関係数 左図:r = 0,右図:r = 0.84 )
-4 -2 0 2 4
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 t(s) GRAPH A GRAPH B
-4 -2 0 2 4
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 GRAPH A GRAPH B
t(s)
-3 -2 -1 0 1 2 3
-2 -1 0 1 2
-3 -2 -1 0 1 2 3
-2 -1 0 1 2
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