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本研究では、破壊的イノベーションを製品の高度化とシンプル化の二つ要素で三種類を分類し た。すなわち、三種類の破壊的イノベーションはローエンド型破壊的イノベーション、新市場型 破壊的イノベーションと新価値創造型破壊的イノベーションである。そして、三種類の破壊的イ ノベーションの特徴に基づき、大企業の実行可能な破壊的イノベーションを検討して、促進する 時直面しなければならない問題を提起した。先行研究をレビュー結果から見れば、大企業はデュ アルイノベーションの促進が必要である。しかし、先行研究の殆どは、企業の肥大な組織の改革 によりデュアルイノベーションの促進を求めている。しかし、先行研究では、デュアルイノベー ションを促進するための戦略的なマネジメントの重要性が認識されているが、具体的なマネジメ ント方法を提出されていない。

本研究は大量の製品事例を取り上げて、顧客の行動を観察することにより、潜在化されている ニーズを発見する可能性が高いと主張している。そして、潜在化されているニーズの把握の程度 により新市場型破壊的イノベーションか新価値創造型破壊的イノベーションの促進が可能にな る。以上の分析に基づき、本研究の仮説を導いた。すなわち、①顧客の行動観察を重視している 大企業は、持続的イノベーション志向性が高ければ高いほど、新市場型破壊的イノベーション志 向性が高い。②顧客の行動観察を重視している大企業は、持続的イノベーション志向性が高けれ ば高いほど、新価値創造型破壊的イノベーション志向性が高い。仮説を実証するために、本研究 は上場している企業且つ三年間研究開発費を計上している 2121 社企業を対象として、アンケー ト調査を行った。回収したデータを共分散構造分析方法で分析した。

実証結果から見れば、仮説①顧客の行動観察を重視している大企業は、持続的イノベーション 志向性が高ければ高いほど、新市場型破壊的イノベーション志向性が高いと、仮説②顧客の行動 観察を重視している大企業は、持続的イノベーション志向性が高ければ高いほど、新価値創造型 破壊的イノベーション志向性が高いという二つの仮説を実証した。さらに、実証結果から新しい ことを発見した。すなわち、顧客の行動観察を重視している大企業は、持続的イノベーション志 向性から新市場型破壊的イノベーション志向性への係数は、持続的イノベーション志向性から新 価値創造型破壊的イノベーション志向性への係数より高くなったのである。本研究の考察1とし

ては、持続的イノベーション志向性と新市場型破壊的イノベーション志向性の係数は、持続的イ ノベーション志向性と新価値創造型破壊的イノベーション志向性の係数より高い原因を明らかに したい。

考察1新価値創造型破壊的イノベーションに転換するプロセス

上の述べた仮説①と仮説②により持続的イノベーション志向性から新市場型破壊的イノベーシ ョン志向性に転換させる条件が顧客の行動観察を重視することである。また、顧客の行動観察を 重視すれば、持続的イノベーション志向性から新価値創造型破壊的イノベーション志向性に転換 させる可能性があると述べた。つまり、持続的イノベーション志向性から新市場型破壊的イノベ ーション志向性と新価値創造型破壊的イノベーション志向性に転換させる条件が同じであり、顧 客の行動観察を重視することである。しかし、ここでは強調しなければならないポイントは、行 動を観察される対象と程度である。既存の主流顧客の行動観察を重視すれば、持続的イノベーシ ョンを促進しやすい。市場の非主流新顧客の行動観察を重視する場合、新市場型破壊的イノベー ションか新価値創造型破壊的イノベーションを促進しやすい。違う点は、新市場型破壊的イノベ ーションの非主流新顧客のニーズはある程度予測できる。新価値創造型破壊的イノベーションの 非主流顧客のニーズが潜在化されている。新市場型破壊的イノベーションの場合では、何らかの 原因で顧客の消費行動を阻害している。例えば、使用時間のないため製品を購買しないとか、製 品の操作スキルがなければ、製品を購入しても使えないとか、あるいは製品の価格に敏感で、既 存製品が高くて購買できないなどの状況があって、顧客の消費行動を阻害している。このような 阻害要因を解消できれば新市場型破壊的イノベーションの発生が可能になる。しかし、新価値創 造型破壊的イノベーションの場合では、ターゲットが不明確であるため、顧客の行動観察を重視 しても、観察対象の確定が難しい。且つ、潜在化されているニーズを簡単に把握することが難し くて、実際に開発する時、企業はなかなか迅速的に対応するため、新価値創造型破壊的イノベー ションの促進が難しい。従って、新市場型破壊的イノベーションと比べて、企業は新価値創造型 破壊的イノベーション志向性が高くても、持続的イノベーションから新価値創造型破壊的イノベ ーションに移転するのが難しい。以上の分析に基づき、企業は新市場型破壊的イノベーションを 過渡期として、先に新市場型破壊的イノベーションに進出して、新市場型破壊的イノベーション で獲得した非主流の新規顧客の行動を観察すれば新市場型破壊的イノベーションから新価値創造

型破壊的イノベーションに移転することが可能になると推測している。つまり、持続的イノベー ションを促進している大企業は、デュアルイノベーションを促進するため、最初の一歩として、

新市場型破壊的イノベーションへ志向性を高めるべきである。

新市場型破壊的イノベーションを過渡期する原因について、岸本(2010,pp.23-24)は、ヒットし た製品の使い方や消費者のニーズは、製品を市場に投入してみると、当初想定していたことと違 っていたというギャップが多く見受けられる。実際の製品開発段階における消費者ニーズは曖昧 であり明確なものではない可能性があると指摘している。石井(1993)は、消費者ニーズが曖昧で あることについて「消費者ニーズの言語表現のそもそもの難しさから生じる不確定性、あるいは 製品使用の目的自体がその製品使用経験に制約される結果として、事前に対するニーズを顕示さ せることの難しさから生じる不確定がある」と述べた。競合品がないことは市場では有利である と考えることもできるが、逆にまったく新しいことを消費者に伝えることが難しい。すなわち、

いきなりに潜在化されているニーズを発見しても、企業の行動も顧客の受け入れから見れば、新 価値創造型破壊的イノベーションを起こすことが難しい。しかし、新価値創造型破壊的イノベー ションより先の一歩を邁進して、顧客の行動を観察して、顧客にとって適切な価格あるいは便利 さを武器として、新市場型破壊的イノベーションの必要を喚起されている。新市場を開拓してか ら、新市場型破壊的イノベーションで蓄積した知識を活用しながら、新しい顧客の行動観察を重 視して、更なる顧客の行動を観察することを通じて、新市場型破壊的イノベーションから破壊程 度の高い新価値創造型破壊的イノベーションに転換することが可能であろうか。

さらに、企業のマネジメントから考察すれば、多くの経営幹部は予測不能な環境に対応するの に必要な適応力を高めることが重要であると承知しているが、その能力が十分にあると感じてい るのは、五人に一人にも満たなかった。それだけではなく、約70%の人が、自社を取り巻く環境 が急速に変わり予測不能であると十分に認識している場合でも、実践では意思決定のスピードよ りも、正確さを重視していると答えた。その結果、より迅速かつ反復的に、より実践的なアプロ ーチをとった方が有効な局面でも、反論に対して擁護できない予測を立てることに多くの時間を かけて無駄にしている。(Martin,2013,p.65)従って、企業は最大の持続的な収益を獲得するため、

意思決定の正しさの確認より先に行動をとる必要がある。すなわち、新価値創造型破壊的イノベ ーションに向いていても、必ず他社より先に新市場の開拓の行動を行わなければならない。

新価値創造型破壊的イノベーションの難しさを解決するため、新市場型破壊的イノベーション を過渡期する必要性を論じたが、よく理解するために、持続イノベーション志向性の高いアップ ル社の事例を挙げて、新市場型破壊的イノベーションを過渡期として、新価値創造型破壊的イノ ベーションに転換させるプロセスを説明する。

アップルは、かつてはパソコン市場で有力企業であったが、90年代に入って、パソコンの市場

シェアが20%から3%に急落した。その後、スティーブ・ジョブスの復帰で、デジタルハブ戦略を

主張し始めた。ハブという言葉は、パソコンの世界ではLANを組んだり、沢山のUSB機器を接 続するときに使う集線装置を指す。デジタルハブとは、デジタル製品の中心にあって、それらを 接続したり、データを交換したりする機器といった意味である。パソコンをデジタルハブにする ために、様々なソフトや機器がアップル社から提供できることを求めている。すなわち、ハード ウェア特にパソコンを開発製造しているアップルは、ハブ戦略を推進して、中心のパソコン事業 と周辺の製品をつなげるため、ソフトウェアiTunesの開発に着手し始まった。iTunesを経由し て、音楽のダウンロード単価が圧倒的に安くなった。iTunesにおいて1曲99セントという価格 を設定するにあたり、音楽レーベルに65セント、クレジットカード決済の経費に25セント、ア ップルの取り分は 10 セントというコスト構造にして、音楽レーベルに楽曲売上の大半を渡すよ うな仕組みを作った。(田村,p.47)アップル社は、顧客の行動観察とフィードバックの結果分析を して、顧客は大量保存できるプレイヤーが欲しいという潜在化されているニーズを自然に予測で きた。大量保存できるプレイヤーが欲しいという潜在化されているニーズに基づき、半年後、新 製品iPod を市場に投入した。iPod はハードディスク技術を採用して音楽を大量に保存できると いう新機能の追加により大成功を収めたわけではなく、これまでのデジタル製品と一線を画した シンプルなデザインをした。実は、iPodを開発する前に、大量保存できるプレイヤーもすでに存 在していたが、あまり普及されなかった。iPodの一番大きな成功ポイントは、iPodとiTunesを 一緒に使うと、顧客にとって新しい価値を創造した。ユーザーは自分で「プレイリスト」を編集 し、それを継続的に組み替えながら自分にあったスタイルで音楽を楽しむことができた。又は、

今まで音楽の購入方法を変えた。以前では、CDやカセットテープなどを買ってプレイヤーで流 すか、プレイヤーに保存するかという方法であった。iPod とiTunes の出現により、ネットで音 楽を視聴して、好きな曲をクリックすれば、簡単かつ安価で購入できることを実現した。つまり、

以前のウォークマンと同じように、iPod とiTunesは音楽の楽しむ方式を変えたのであり、革新

ドキュメント内 大企業におけるイノベーション戦略 (ページ 161-176)

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