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事例研究

ドキュメント内 大企業におけるイノベーション戦略 (ページ 176-185)

第6章では、本研究の仮説を共分散構造分析方法で実証した。本章では、仮説の現実性すなわ ち現実的な経営環境で持続的イノベーションから破壊的イノベーションに転換させるために、顧 客の行動観察をどのような役割を立っているかについて確認する。本章では、日本電気株式会社 の液晶ディスプレイ事業から独立したNLTテクノロジー株式会社を事例として、イノベーション のジレンマ、デュアルイノベーションの必要性及びイノベーション戦略転換のプロセスを確認す る。第1節では、NLTテクノロジー株式会社の沿革及び事業概要について述べる。NLTテクノロ ジーは NEC から独立した会社である。国内市場の激しい競争から脱出するために、中国の有力 企業天馬グループと提携して、新市場型破壊的イノベーションを促進しながら、新興国市場に進 出している。第2節では、NLTテクノロジー株式会社は中国に進出する時の液晶市場の特徴を分 析する。そして、NLTテクノロジーは中国に進出する理由を述べる。纏めると、NLTテクノロジ ーは中国の提携会社天馬グループの子会社に技術を提供しながら、国内市場で高機能・多機能の 液晶製品を開発している。すなわち、NLTテクノロジー株式会社は一時的に日本国内市場での激 しい競争に陥って、経営不況になった。第3節では、NLTテクノロジー株式会社の戦略転換プロ セスを述べる。厳しい経営状況を改善するために、NLTテクノロジー株式会社は持続的イノベー ションを促進しながら、新市場型破壊的イノベーションを行った。その後、顧客は3D 画面を見 る時、専用メガネをかけなければならない不便が見つかった。そして、日本国内市場で新価値創 造型破壊的イノベーションが起きて、専用メガネいらない3D ディスプレイ技術を開発して、液 晶業界に大成功を収めながら持続的な収益を獲得している。

NLTテクノロジー株式会社について

NLTテクノロジー株式会社は2003年4月1日に日本電気株式会社から独立して設立された企 業である。NLTテクノロジーの母体である日本電気株式会社の液晶ディスプレイ事業は、70年代 から中央研究所内で開発が進められて日本電気株式会社のパソコンの表示装置として、80年代最 後から大きく発展していた。(牛嶋,2013,p.21)NLTテクノロジー株式会社は1989年3月に日本 電気株式会社カラー液晶推進開発本部から発足した。当時、ラップトップ型PCやノート型PCと いう日本初の製品によって、フラットディスプレイの必要性を世の中に再認識された。特に日本 電気株式会社の「カラーTFT液晶」は高い評価を受けた。1990年には、NLTテクノロジー鹿児 島工場でカラー液晶ディスプレイ(LCD)製造ラインを稼働させた。1992年に日本電気株式会社 カラー液晶事業部になった。1993年にはLCD第二製造ラインも稼働し増産体制を敷き、世界初 の量産型カラー液晶工場となった。さらに、プラズマディスプレイパネル(PDP)の需要増加を 見越して1998年に製造を開始した。しかし、90年代後半中国、韓国などのアジア新興国の発展 があって、日本企業の液晶事業の世界競争力が急に落ちていた。さらに、その時期でITバブル崩 壊があって、液晶の売り上げが急に減少した。2003年日本電気株式会社から独立して、NEC 液 晶テクノロジー株式会社が設立された。当時、液晶パネル事業が十分の利益を出せなく、事業継 続の危機を面していた。

一方、天馬グループ中国光電集団(SVA)は液晶事業への参入を計画していた。中国の国家政

策の一つとしては、高度技術産業の発展を促進することである。特に、液晶事業について、国有 企業に様々な補助政策を出している。目標は、中国の液晶事業の世界市場における市場シェアNO.

1を目指している。NLTテクノロジーと中国光電集団の合弁提携により、NLTテクノロジーは新 興国の新しい市場である中国市場の開拓が始まった。主な提携方法については、日本側から技術 を提携して、中国側のSVAは生産を担当する。2011年7月深圳中航光電子有限公司との合弁化 に伴い「NLTテクノロジー株式会社」に社名を変更した。NLTテクノロジーの事業内容はカラー またはモノクロ液晶ディスプレイなどの映像装置の研究、開発、設計、製造及び販売である。

液晶の構造及び中国液晶市場の状況

中国の液晶市場を分析する前に、液晶の構造を簡単に説明する。1888年にオーストラリアの 植物学者ライニツァーは液晶の存在を発見した。「液晶」とは、固体と液体の中間にある物質の状 態(例えば石鹸水など)である。1963年にRCA社のウィリアムズは、液晶に電気的な刺激を与 えると、光の通し方が変わることを発見した。1968年にRCA社のハイルマイヤーらのグループ が、この性質を応用した表示装置を作った。これが第一世代の液晶ディスプレイ(LCD=Liquid Crystal Display)である。しかし液晶は本来、ディスプレイの材料としては不安定で商用として 問題があると指摘されたが、1973年にシャープより電卓(EL-805)の表示として世界で初めて応用 された。グレイ教授(英国ハル大学)は1976年に安定な液晶材料(ビフェニール系)を発見し、

それは現在のLCD材料の基礎となった1。液晶ディスプレイの構造は図表 7-1に示した通りであ る。

図表 7-1液晶ディスプレイの構造

① 偏光フィルター

出入りする光をコントロールする。

②ガラス基盤

電極部からの電気がほかの部分に漏れないよう にする。

③透明電極

液晶ディスプレイを駆動するための電極。表示 の妨げにならないよう透明度の高い材料を使 う。

④配向膜

液晶の分子を一定方向に並べるための膜。

⑤液晶

⑥スペーサー

液晶物質をはさむ2枚のガラス基板に、均一な スペースを確保する。

⑦カラーフィルター

RGBのそれぞれのフィルターをかけ、色を表 示する。

⑧バックライト

ディスプレイの背後から光を当て、画面を明る くする。

モノクロ表示の液晶ディスプレイでは、これの 代わりに「反射板」を使い、自然光で見えるよ うにしてあるものもある。

(出典:シャープ株式会社ホームページ(2015)により筆者作成)

液晶ディスプレイの製造工程は、3つの工程に分けられる。①ガラス基板にスイッチ素子を形 成するアレイ工程。②ガラス基板を必要なパネルサイズに分割した液晶を封入するセル工程③光 源となるバックライト部品やスイッチ素子を制御する電子部品などを組み合わせて最終パネル部 品に仕上げるモジュール工程である。(牛嶋,2013,p.21)液晶構造及び液晶ディスプレイの製造工 程からみれば、液晶ディスプレイを製造するために、高度の技術が求められる。

NLTテクノロジー株式会社は中国を新市場として選択する理由について述べる。アジアにおけ るTFTのマーケット変化は図表 7-2に占めした通りである。2000年に入ってから、日本企業の 出荷率はずっと減っている。一方、韓国企業と台湾企業のTFTの出荷率は上がっていた。2004年 から中国企業はTFTの生産が始まって、出荷率が毎年増加している。図表 7-2から、日本の液晶 市場が減少していることとアジアの他の新興国の液晶市場が増加していることが推測できる。

2000 年の初め、中国の液晶事業はまだ始まってないことがわかった。2004 年から中国における TFTの市場シェアが速いスピードで拡大している。

図表 7-2 :アジアにおけるTFTの出荷率変化図

(出典:「液晶显示行业研究报告」,2010,p.30)

液晶がディスプレイとして多く使われる製品はテレビ、携帯電話とパソコンである。(「液晶显 示行业研究报告」,2010,p.63)これから、中国における液晶テレビ、携帯電話およびパソコンの普 及から中国の液晶市場を分析する。まずは、中国のテレビについて図表 7-3に示したように、非 常に速いスピードで普及している。2016 年中国では 97%の普及率になると予測される。中国の 人口は14億人であるので、97%の普及率になれば、非常に大きいな市場であると推測できる。図 表 7-4 は中国のテレビ業界では LED の割合が大きくなっていることを示している。つまり、中 国の液晶テレビ市場は魅力があるので、NLTテクノロジーは新しい市場を探せば、中国市場を無 視できない。

図表 7-3 : 中国テレビの普及率

(出典:「液晶显示行业研究报告」,2010,p.42)

図表 7-4 : 各種類のテレビの発展

(出典:「液晶显示行业研究报告」,2010,p.51)

しかし、中国の液晶テレビ市場の規模が大きくなっているが、テレビの価格が安くなっている。

図表 7-5 は液晶テレビ価格の推移図である。図表 7-5 から、LEDTV の価格は安くなって、

CCFLTVの価格との比率の差が縮小していることが分かった。つまり、中国の液晶市場では、も

う一つの特徴としては価格が安くなっている。この点に対して、高コストの日本企業はそのまま で中国市場に進出することが難しいと推測できるであろう。

図表 7-5: 中国市場におけるCCFL TV/LED TV価格比

(出典:「液晶显示行业研究报告」,2010,p.41)

中国の携帯電話市場規模からみれば成長性があると推測できる。図表 7-6は携帯電話の世界市 場予測図表である。将来、フィーチャーフォンの市場シェアが減少しているが、スマートフォン のシェアが拡大している。全体的には携帯電話の需要が増加している。さらに図表 7-7は、中国 のスマートフォン市場はどんどん上がっていて安定していることを示している。

ドキュメント内 大企業におけるイノベーション戦略 (ページ 176-185)

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