• 検索結果がありません。

6.2. 医療機関の災害復旧への支援について

地域医療再生基金、医療施設等災害復旧費補助金、福祉医療機構の融資条件の 引き下げなど、多方面からの支援がなされたことを評価する。しかし、多方面 からの支援であるがゆえの混乱、問題もあった。

重要課題

最も大きな問題は、民間医療機関への支援が十分でなかったことである。医療 施設等災害復旧費補助金等は基本的に民間医療機関を対象としたものではない。

福祉医療機構の融資の対象は民間医療機関であり、融資条件がかなり緩和され たが、これは返済が必要であるので、その後の医療機関の負担が大きい。

地域医療を担う医療機関は、公的であろうが民間であろうが、まさに地域のラ イフラインであり、そのスピーディーかつ完全な復旧が待たれることは同じで ある。公的、民間医療機関を区別しない支援が必要である。

表 6.1  各種補助金・貸付と対象医療機関の関係 

公的 民間

民間は病院群輪番制病院、在宅当番医 制診療所などに限定

2次救急(病院群輪番制および共同利用 型施設)に参加している民間の医療施設 など

(独)福祉医療機構 東日本大震災で被災した民間病院・診療所

医療貸付 災害復旧資金 の開設者

対象医療機関 名称

地域医療再生基金 医療施設等災害復旧費補助金

備考

×

医療施設近代化整備事業

医療施設等災害復旧費補助金

問題点の第一は、交付までに非常に時間がかかったことである。未曾有の大震 災からの復興であり、スピードは最優先されるべきであったが、やむを得ない 面もあったとはいえ、査定が慎重に行なわれて時間がかかったこと、関係者間 で情報を共有できにくく認識に食い違いがあったことなどが、現場から指摘さ れている。後者についての指摘は、地域医療再生基金の交付業務に対してもあ った。

第二に、使途が建物および建物と一体の設備(CT、MRIなど)に限定されて おり、補助率が公的医療機関の場合でも3 分の 2 であった。建物や CT以外も 損壊し、補助金以外(補助率の残りの部分)の自己資金の調達が困難な医療機 関には厳しい措置であった。

第三に、民間医療機関で政策医療等を担う場合には、医療施設等災害復旧費補 助金が交付されたが、地域医療再生基金との併用は認められていなかった。医 療施設等災害復旧費補助金は民間医療機関の場合、補助率が 2分の 1 で、残り については自己資金を要したほか、基準額が地域医療再生基金よりも低かった。

このため、当該補助金の対象である病院群輪番制病院や在宅当番医制診療所な どのほうが不利になるという事態が起きた。

災害復旧費補助金については、公的、民間の区別のない補助、他の仕組みと整 合性のとれた制度とすべく検討が必要である。また、現場関係者が安心して申 請から交付までの業務をスピードアップできるよう手順の簡略化や厚生労働省 の手助けも必要である。

地域医療再生臨時特例交付金

被災 3 県に対しては上限が確保され、その後、補正予算で上乗せが行われ、

大きな支援となった。しかし、地域医療再生臨時特例交付金については、もと もと地域の医師確保、救急医療の確保などのための財源であったため、被災地 の医療現場から、使途がもともとの目的に近いものに限定されそうだとの懸念 の声があがった。これを受けて日本医師会は、厚生労働省に柔軟な運用を徹底 的に求め、厚生労働省は第3次補正予算で被災3県に同基金を上乗せした際に、

弾力的な運用を行なうようにとの通知を出すにいたった。

行政、被災 3 県の医師会、現場の医療関係者などの尽力のおかげで、地域医 療再生臨時特例交付金は、発災から1年以上を経たとはいえ、2012年3月末ま でにすべての振込みが完了される予定である。

今回は、すでに計画されていた地域医療再生基金を活用できたが、日本医師会 は、災害からの医療再生のための財源をあらかじめしっかりと確保しておくべ きであると考える。日本医師会は、すでに2011年5月11日に基金の創設を提 案しているが、今回再度提案を行ない、実現にむけて働きかけを行なっていき たい。

激甚災害等からの医療再生および防災対策のための基金の創設  日本医師会の提案 

(1)東日本大震災の被災地および今後の災害等の被災地において、地 域医療の確実な復旧、再生を図るため、相当の予算規模を確保し、

かつ中長期的な期間にわたり活用できる基金とすること。

(2)全国の医療機関において、耐震対策、防災対策に活用できる基金 とすること。