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独立行政法人福祉医療機構(以下、福祉医療機構)は、東日本大震災で被 災した民間診療所、民間病院を対象として、災害復旧資金の貸付を行なった。

2011年3月15日

福祉医療機構から「平成 23 年東北地方太平洋沖地震災害に伴う災害復旧 貸付の実施及び被害を受けた医療施設の皆さまへの運転資金に係る特別措 置」として、被災した医療機関における災害復旧貸付の利率の引き下げや、

既往貸付に係る返済猶予の実施が行なわれた。

具体的には、病院・診療所の長期運転資金の通常の貸付利率は1.3%だが、

特別措置として、貸付金額 1,000 万円までの利率は 0.4%とされた。また、

既往貸付については、当面6か月の返済猶予(元利金)の措置などが講じら れた。

2011年3月16日

日本医師会は、細川律夫厚生労働大臣(当時)宛に「平成 23 年東北地方 太平洋沖地震に関わる要望」として、福祉医療機構の災害復旧資金(医療貸 付)の拡充(増改築資金の融資率は100%(実額)とする、貸付期間を最長 30年とする、など)を求めた文書を出した。これらの要望は、2011年5月 2日の第1次補正予算において、部分的(融資率100%等)に反映された。

2011年4月1日

3月15日に実施された「平成23年東北地方太平洋沖地震災害に伴う災害 復旧貸付の実施及び被害を受けた医療施設の皆さまへの運転資金に係る特 別措置」の改定が行なわれ、医療貸付については、これまでは診療所だけで あった機械購入(医療機器・備品などの購入)に対する貸付が病院にも実施 された。

2011年5月2日

第1次補正予算が成立し、福祉医療機構への出資が行なわれた(表 3.1)。

これにより、日本医師会が要望していた、融資率の引き上げ、貸付利子の 軽減、融資限度額の引上げ、償還期間の延長等が行なわれた。

具体的には、融資率が100%(通常70〜80%)に引き上げられたり、機械 購入資金の償還期間が最長8年(通常5年)に延長されたりするなどの措置 が講じられた。

2011年6月9日

日本医師会より、厚生労働大臣、民主党(与党)に対し、「平成23年東日 本大震災における二重債務問題に関わる要望」を提出し、1 次補正で手当て されなかった二重債務問題に絞って、旧債務が全額免除されるよう必要な措 置を講ずることを要望した。

2011年6月29日

日本医師会より厚生労働大臣、民主党(与党)に対し、「東日本大震災にお ける二重債務問題に関わる要望」を提出し、現行の無担保貸付上限額1千万 円を、診療所3千万円、病院1億円に引き上げること、旧債務を福祉医療機 構の災害復旧資金に借り換え可能となる措置を講じることを要望した。

2011年7月25日

第2次補正予算の成立にともない、医療貸付等について、二重債務問題へ の対処のため、償還期間の延長等の優遇措置が実施された。病院の建築資金 の償還期間を最長39年(通常は最長30年)にしたり、機械購入資金の償還 期間を最長15年(通常は5年)にしたりするなどの措置が講じられた。

2011年11月21日

第3次補正予算が成立し、今後の災害への備えを図るべく、国の政策と連 動した災害対策のための補助金が交付される事業に対して優遇融資が実施 された。厚生労働省の医療施設耐震化臨時特例交付金が交付される病院の耐

震化整備事業、医療施設等施設整備費補助金が交付される災害拠点病院等の 自家発電設備整備事業および衛星電話等の災害対策機器の整備事業につい ては、貸付利率を優遇する措置がとられた。

なお、2011年6月より、福祉医療機構では、日本医師会からの要請により、

災害復旧資金を利用する方の利便を図ることを目的として、被災県医師会と 福祉医療機構の共催による被災地での個別融資相談会を開催している。

表 3.1  国の補正予算における福祉医療機構への出資 

2011 年度  国の補正予算における福祉医療機構への出資 

第1次補正予算(2011年5月2日成立)

・融資条件の優遇100億円、貸付事業枠確保1,700億円(財政融資資金)

被災した医療施設、薬局、社会福祉施設等の復旧の支援として、福祉医 療機構が福祉貸付や医療貸付の貸付利率を一定期間無利子とし、融資率を 100%とする等の優遇を行なうために、必要な利子補給等の資金(100億 円)を出資した。

第2次補正予算(2011年7月25日成立)

・二重ローン問題対応  40億円

二重債務問題への対処が行なわれた。被災した医療施設・社会福祉施設 等の再建を支援するため、福祉医療機構が行なう医療・福祉貸付について、

40億円を追加出資し、同機構の財務基盤が強化された。

第3次補正予算(2011年11月21日成立)

・2億円

福祉医療機構の災害拠点病院等に対する貸付利率等の優遇の実施に必 要な利子補給等の資金を追加出資するもの。東日本大震災復旧等に係る経 費という名目であるが、被災地以外の災害拠点病院等も優遇される。

 

表 3.2  第 1 次・第 2 次補正予算による建築資金の貸付条件 

第1次補正予算における措置(2011年5月2日)

建築 耐火 購入 その他

敷金・補助金 権利金 7.2億円まで 7.2億円超

※当初5年間の貸付利率は貸付金額により異なる 第2次補正予算における措置(2011年7月25日)

その他 敷金・補助金 権利金

20年以内償還 15年以内償還

7.2億円まで 無利子 無利子 無利子 無利子

7.2億円超 0.9% 0.6% 0.9% 0.6%

0.9% 0.6% 0.9% 0.6%

1.8% 1.5% 1.8% 1.5%

※当初5年間の貸付利率は貸付金額により異なる

◆二重債務となる方への特別優遇措置 耐火

*出所:福祉医療機構「東日本大震災にかかる災害復旧資金のごあんない」

病院 診療所

所要額の100%

所要額:仮設建物や既設建物の改修費用を含む

補助金額を除く所用額の100%(担保評価額)を上限

15年以内(5年以内)

5年以内(2年6か月)

賃借

貸付限度額

30年以内(据置5年以内)

20年以内(据置5年以内)

20年以内(据置5年以内)

15年以内(据置5年以内)

不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保1,000万円まで)

1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

担 保 保証人

建築

購入 20年以内(据置5年以内)

病院 診療所

貸付限度額

所要額の100%

所要額:仮設建物や既設建物の改修費用、解体撤去費を含む 補助金を除く金額。担保評価額までの貸付

8年目以降

6・7年目

契約から 5年

6・7年目 8年目以降

賃借

耐火

担 保 不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保1,000万円まで)

保証人 1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

30年以内償還 契約から

5年

20年以内償還

20年以内(据置5年以内)

15年以内償還 30年以内(据置5年以内)

15年以内(据置5年以内) 15年以内(据置5年以内)

15年以内(5年以内)

5年以内(2年6か月)

0.7%

0.7%

1.6%

無利子 1.0%

1.0%

1.9%

無利子

病院 診療所

償還(据置)期間 39年以内(5年以内) 30年以内(5年以内)

表 3.3  第 1 次・第 2 次補正予算による機械購入資金の貸付条件 

第1次補正予算における措置(2011年5月2日)

 ① 医療機器・備品(1品30万円以上)

 ② 高額医療機器(1品5千万円以上)

7.2億円まで 7.2億円超

第2次補正予算における措置(2011年7月25日)

 ① 医療機器・備品(1品30万円以上)

 ② 高額医療機器(1品5千万円以上)

7.2億円まで 7.2億円超

◆二重債務となる方への特別優遇措置

*出所:福祉医療機構「東日本大震災にかかる災害復旧資金のごあんない」

償還期間 対象機械

8年以内(据置2年6か月以内)

(据置2年6か月以内)

貸付限度額、担保評価額のうちもっとも低いものが貸付限度額 貸   付

限度額

病院 診療所

補助金を除く所要額の100%

高額医療機器のうち先進医療に

医療機器・備品(1品10万円以上)

5千万円

8年以内(据置2年6か月以内)

 ① 2億円  ② 14.4億円

15年以内(5年以内) 15年以内(5年以内)

償還(据置)期間

無利子 0.3%

0.3%

0.4%

契約から 5年

6・7年目

対象機械

不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保1,000万円まで)

1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

担 保 保証人

0.3%

0.4%

8年目以降

貸   付 限度額

所要額の100%

0.3%

病院 診療所

償還期間 8年以内(据置2年6か月以内) 8年以内(据置2年6か月以内)

無利子

0.3% 0.3%

8年目以降 0.4% 0.4%

担 保 不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保1,000万円まで)

保証人 1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

契約から 5年

無利子 0.3%

6・7年目

担保評価額までの貸付。

所要額の100%

担保評価額までの貸付。

係る機械は償還期間13年以内

補助金を除く金額。 補助金を除く金額。

病院 診療所

無利子

医療機器・備品(1品10万円以上)

表 3.4  第 1 次・第 2 次補正予算による長期運転資金の貸付条件  第1次補正予算における措置(2011年5月2日)

7.2億円まで 7.2億円超

※当初5年間の貸付利率は貸付金額により異なる 第2次補正予算における措置(2011年7月25日)

7.2億円まで 7.2億円超

※当初5年間の貸付利率は貸付金額により異なる

*出所:福祉医療機構「東日本大震災にかかる災害復旧資金のごあんない」

0.3%

0.4%

15年以内償還 無利子

0.7%

0.7%

補助金を除く所要額の100%

貸付限度額、担保評価額のうちもっとも低いものが貸付限度額

不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保3,000万円まで)

1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

①10年超15年以内(据置5年以内)

②10年以内(据置2年6か月以内)

0.8%

10年以内償還 無利子

0.3%

0.3%

0.4%

不動産担保(個人に対する貸付に限り、無担保1,000万円まで)

1名以上(個人に対する貸付に限り、利率に+0.2%で不要)

償還期間

原則として、災害の復旧のために必要なもの

(人件費や光熱費等に必要な資金)

診療報酬の3か月分 補助金を除く所要額の100%

貸付限度額、担保評価額のうちもっとも低いものが貸付限度額 10年以内(据置2年6か月以内)

無利子 0.3%

(人件費や光熱費等に必要な資金)

担 保 保証人

病院・診療所共通

契約から 5年

6・7年目 8年目以降

対象

貸付限度額

原則として、災害の復旧のために必要なもの 診療報酬及び介護報酬の3か月分 8年目以降

担 保 保証人

病院・診療所共通 償還期間

対象

貸付限度額

契約から 5年

6・7年目