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7章 総 括

7 .

総括

本研究の目的は,建築の計画や設計の初期段階から昼光照明環境の予 測を可能とすることである。そのために,日本での適用が可能な,簡易 な室内の昼光照度の計算方法を提案した。本研究では,昼光照明の基本 的な採光用開口として,側窓と天窓を対象とした。 一般に,側窓から望 む高度の低い天空の輝度と,天窓から望む高度の高い天空の輝度は大き く異なる。また,屋外の障害物が,側窓と天窓のそれぞれに及ぼす影響 も異なる。したがって,本研究では,側窓と天窓を個別に取り扱った。

本研究では,室内の昼光照度は,昼光率と全天空照度の積より求め,昼 光率は,直接昼光率と間接昼光率の和より求めた。

昼光照明環境の予測は,標準天空に基づき行われる。標準天空は,実 際に現れる天空輝度分布に即していなければならない。第 2章では,標 準天空を概説し,標準天空に関する既往の研究を簡単に紹介した。これ より,本研究の目的に適う標準天空を決定した。現在までに提案されて いる主な標準天空は,中村らの平均天空,一様天空,

CIE

標準曇天空,

CIE

標準晴天空,中村らの中間天空,

BRE A v e r a g e   Sky

, 

R .   Ki t t l e r

Homogeneous  Sky

,松浦,松津らの連続的標準天空,井川らの

A l l Sky  Model

である。平均天空は,検討地点での一定の期間,および, 一定の 検討時間に出現する天空輝度分布の平均を示すとするものである。検討 地点の緯度と経度,検討期間,検討時間,および,日照率により,世界 各地の平均天空が構成できる。 一様天空は 全天の輝度を一様とするも のである。一様天空は,実際に現れる天空輝度分布を全く考慮していな

Qd 

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7章 総 括

い標準天空である。天空輝度分布に関する研究が未熟で,その知識も乏 しかった時代に,仮に想定し適用したものである。

CIE

標準曇天空は,

相当に暗い曇天空の天空輝度分布と比較的よく 一致し,

CIE

標準晴天空 は,完全に晴れ上がったときの晴天空の天空輝度分布にかなりよく一致 する。これらの出現頻度は高くない。日本で実際に現れる,

CIE

標準 天空,あるいは,

CIE

標準晴天空に近似できる天空の出現頻度は,それ ぞれ

25%

5%

程度である。この

2

つの

CIE

標準天空は実際に現れる天 空状態の両極にあるとされている。これらの間の天空状態の出現頻度は

70%

程度である。したがって,

2

つの

CIE

標準天空のみで,実際に出現 する天空輝度分布を代表させることはできない。昼光照明環境の予測の ためには,

2

つの

CIE

標準天空の聞の天空状態を示す標準天空が重要で ある。これに関して,中村らの中間天空,

P .   J .  L i t t l e f a i r

BREAverage  Sky

,および,

R .   Ki t t l e r

HomogeneousSky

の提案がある。これらの 標準天空は,太陽高度あるいは大気の状態などに関する指標を用いて構 成されている。現在,これらの各指標について,昼光照明環境の予測に 用いるための基準は提案されていない。これらの標準天空を,そのまま 本研究に適用することは困難である。また,すべての天空状態を連続的 に表すことを目的として,松浦,松津の連続的標準天空,および,井川 らの

A l lSky Model

の提案がある。これらの標準天空は,様々な天空状 態の天空輝度分布を表すことができるゆえに,初期段階の建築空間の計 画や設計に用いる標準天空としては複雑であり,昼光照明環境の予測の 手続きが煩雑となる。本研究で用いる標準天空は,

CIE

標準曇天空,

CIE 

‑160

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標準晴天空,および,中村らの中間天空より構成する平均天空が適当で あるとした。

次に,平均天空,および,

CIE

標準曇天空について,既に提案されて いる昼光照度の計算方法を紹介した。 一様天空に基づいて昼光照度を求 める方法も紹介した。

CIE

の公認であり国際的に認められている,

CIE 

標準曇天空による昼光照度の計算方法は,昼光率および全天空照度をグ

ラフから引用する。平均天空を標準天空とする側窓採光による昼光照度 の計算方法は,直接昼光率を求めるための,単位立体角投射率あたりの 直接昼光率を数表から引用する。また,間接昼光率を求めるための,窓、

面の直接昼光率を数表から引用する。平均天空に基づく昼光照度を簡易 に求めるためには,グラフや表からの引用は適当でない。それらを数式 で表す必要があるとした。

3

章では,中村らの提案している平均天空の構成方法を紹介した。

本研究では,この構成方法に準じ,日本の平均天空を再構成した。これ は,中村らが日本の平均天空を構成し,公表した後に,

Rahim

らが平均 天空の構成に必要な晴天空と中間天空の天頂輝度の式を修正したことに よる。次に,再構成した平均天空を,昼光照度の計算に容易に利用する ために天空の位置による関数として数式化した。この数式で示した平均 天空を,本研究の標準天空とした。これ以降,数式で示した平均天空を,

単に平均天空と称する。

第 4章では,平均天空に基づく,側窓採光による昼光率の計算方法を 述べた。側窓、採光による直接昼光率は,単位立体角投射率あたりの直接

‑161‑

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昼光率,および,微細に分割した天空あるいは障害物の立体角投射率の 積より求めるとした。側窓採光による間接昼光率は 作業面切断の式を 準用して求めるとした。このとき,障害物の輝度を,相当する天空の輝 度に低減率を乗じて求め,屋外の障害物の影響を考慮する。また,作業 面切断の式を昼光に適用した式に代入する窓面の直接昼光率は,下向き 直接昼光率,および,上向き直接昼光率に分ける。結果として,単位立 体角投射率あたりの直接昼光率を 天空の位置による関数として数式で 表した。窓面の下向き直接昼光率を,窓面の方位,屋外の障害物の平均 高度,および,低減率の関数として,また,上向き直接昼光率を,窓面 の方位,および,低減率の関数として数式で表した。

5

章では,平均天空に基づく,天窓採光による昼光率の計算方法を 述べた。天窓採光による直接昼光率は,側窓、採光と同様の方法で求める とした。天窓採光による間接昼光率を求める方法は 作業面切断の式を 準用し,新たに提案した。天窓の上向き直接昼光率は存在しない。天窓 の下向き直接昼光率は,屋外の障害物の影響を側窓に対応して考慮する ために,天空および障害物を 4等分し,それぞれによる天窓の下向き直 接昼光率を求め,総和するとした。分割した範囲の天窓の下向き直接昼 光率を,分割した天空および障害物の方位,分割した範囲の障害物の平 均高度,および,屋外の障害物による天空輝度の低減率の関数として数 式化した。

最後に,第 6章では,昼光照度の予測方法について述べた。全天空照 度に関する既往の研究を簡単に紹介し,昼光照度の計算に容易に利用す

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るため,既往の研究に基づいて,全天空照度とその出現頻度の関係を数 式化した。この数式は,全天空照度からその出現頻度を求めるものと,

全天空照度の出現頻度から全天空照度を求めるものを示した。これによ り,平均天空に基づく出現頻度を考慮した昼光照度を計算することがで きる。以上を総括して,本研究で提案する平均天空に基づく昼光照度の 計 算 手 順 を 示 し た 。 ま た 側 窓 天 窓 お よ び 側 窓 と 天 窓 の 併 用 に よ る昼光照度の計算例を示した。

本研究は,実際の天空状態とその出現頻度を考慮した昼光照度の計算 を簡易に行うことを可能とした。すなわち,日本の平均天空を再構成し た。また,側窓採光に加えて新たに天窓採光による昼光率の計算方法を 提案した。このとき,屋外の障害物の輝度についての検討を可能とし,

昼光照明に関する外部環境の影響の考慮を可能とした。ただし,屋外の 障害物の位置や形態に関するモデル化については取り扱っていない。さ らに,平均天空に基づく昼光照度,および,出現頻度を考慮した昼光照 度の計算方法を示した。これらの計算方法を数式で表し 計算の手続を 簡易にした。以上より,建築空間の計画や設計の初期段階から,昼光照 明設計の目的に応じた昼光照度の予測が可能となった。

‑163‑

文 献

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Compte Rendu  C1E  13

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および,

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採光計算法

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JC1E

翻訳出版

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c t i o

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Session

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D303/1

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平均天空,および平均天空による昼光照明設計

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文献‑1

関連したドキュメント