• 検索結果がありません。

結   果

ドキュメント内 問題と目的 (ページ 39-43)

エピソードの内容

全観察事例を通算した対象児1人あたりの平均エピ ソード数は14.1(レンジ4〜24,SD=4.03),平均持続 時間は70.4秒(レンジ30.5〜278.5,SD=35.2)であっ た5)。エピソード総数は3578で,その内訳はTable 1 に 示すとおりである。性別×エピソード内容の2検定が 有意で(2(11)=310.00,p<.0001),残差分析によれば,

ごっこ遊び,制作遊び,その他の遊び,保育者との交渉 は女児に多い一方(z=7.22,3.43,2.80,2.31),玩具 遊びと感覚遊びは男児に多く見られた(z=6.11,5.49)。

各エピソード内容の年齢による差異は,分析毎に若干 の相違があるが,複数の分析を通じて年齢×エピソード 内容の2検定で有意差(p<.0001)があり,残差分析で 一定の傾向が認められたのは以下である。4歳児では保 育者との交渉が多い(横断分析1:2(22)=109.62,z

=3.54,縦断分析1:2(22)=115.46,z=4.52)。5 児ではごっこ遊びが多く(横断分析1:z=2.31,横断 分析2:2(11)=52.67,z=2.03,縦断分析1:z=2.89,

縦断分析3:2(11)=70.04,z=2.03),制作遊び(横 断分析1:z=–2.41,縦断分析1:z=–2.59,縦断分析 3:z=–2.41)とゲーム遊びが少ない(横断分析2:z= –2.80,縦断分析1:z=–1.96,縦断分析3:z=–2.59)。

6歳児では制作遊びが多い(横断分析2:z=2.03,縦断 分析3:z=2.41)。

これらを男女別に検討すると,4歳児で保育者との交 渉が多い,および,5歳児でごっこ遊びが多いという結 果は,前者は縦断分析1(2(22)=113.14,p<.0001,

z3.78), 後 者 は 横 断 分 析1(2(22)=124.99,

p<.0001,z=3.98),縦断分析1(z4.2),縦断分析3(2

(11)=71.29,p<.0001,z=2.72)では女児のみで有意 であった。また,5歳児でゲーム遊びが少ない,および,

6歳児で制作遊びが多い傾向は,前者は横断分析2(2

(11)=61.43,p<.0001,z=–3.21)と縦断分析1(z= –1.96),後者は横断分析2(2(11)=61.43,p<.0001,

z=3.03)では男児のみで有意であった。

社会的比較行動

3578のエピソード中,いずれかの社会的比較行動が 観察されたのは1738(48.6%)であり,1つのエピソー ド中に異なった種類の複数の比較行動を含む場合もある ため,個々の比較行動に対応したエピソードののべ数は

2663,比較行動の総数は4517であった6)

各社会的比較行動の数は,他児への関心1629(全体 の36.1%),認知明瞭化211(4.7%),直接評価93(2.1%),

他者間接評価493(10.9%),自己間接評価850(18.8%),

類似確認369(8.2%),達成・競争318(7.0%),模倣

Table1 社会的比較行動中の各エピソード内容の割合(%)

エピソード 数(%)

他児への

関心 認知明瞭化 直接評価 他者間接 評価

自己間接

評価 類似確認 達成・競争 模倣 運動遊び 453(12.7)  6.3(46)  9.4(15) 15.7(11) 19.0(59) 17.4(96)  9.7(27) 24.0(50) 16.4(68)

ごっこ遊び 449(12.5)18.5(134)18.9(30) 11.4(8) 19.7(61) 15.6(86) 17.6(49) 14.4(30) 16.2(67)

玩具遊び 200(5.6)  9.8(71)  4.4(7) 15.7(11)  5.8(18)  8.3(46)  4.7(13)  6.3(13)  5.8(24)

ゲーム遊び  77(2.2)  3.0(22)  3.1(5)  4.3(3)  2.9(9)  2.2(12)  4.3(12)  3.8(8)  3.1(13)

制作遊び 238(6.7) 16.4(119)17.0(27) 17.1(12)  5.5(17) 11.1(61) 11.5(32)  2.9(6)  2.9(12)

感覚遊び 271(7.6) 15.2(110)  8.2(13)  5.7(4)  7.4(23)  7.1(39)  5.7(16) 12.0(25)  4.4(18)

その他の遊び  98(2.7)  3.2(23)  2.5(4)  0.0(0)  1.9(6)  2.5(14)  3.2(9)  1.4(3)  3.1(13)

仲間との交渉 778(21.7)14.0(108)25.8(41) 27.1(19) 27.4(85) 24.3(134)33.0(92) 29.3(61) 25.1(104)

保育者との交渉  61(1.7)  0.7(5)  0.0(0)  1.4(1)  0.3(1)  2.0(11)  3.2(9)  0.5(1)  1.9(8)

積極的行動 390(10.9)  5.0(36)  4.4(7)  1.4(1)  6.1(19)  5.6(31)  2.2(6)  3.4(7) 12.6(52)

消極的行動 483(13.5)  4.7(34)  5.0(8)  0.0(0)  2.6(8)  2.7(15)  3.9(11)  1.0(2)  7.7(32)

その他の行動  80(2.2)  2.5(18)  1.3(2)  0.0(0)  1.3(4)  1.3(7)  1.1(3)  1.0(2)  0.7(3)

注.太字と下線は,各比較行動の中で残差分析で有意に多い,あるいは少ないエピソード内容の割合。( )内は実数。

5)年齢変化に関する5つの分析のうち,1つを除いて対象児の年齢

によるエピソード数の差は見られなかった。横断分析1において のみ,5歳児(12.7)と6歳児(11.3)は4歳児(14.9)よりエピ ソード数が有意に少なかった(F (2,82)=5.75, p<.01)。

6)1エピソードに含まれる社会的比較行動数の最大は7,平均1.6,

中央値1.0であった。

554(12.3%)であった。比較対象については,能力975

(21.6%),所有物375(8.3%),地位224(5.0%),態度 559(12.4%),行為2261(50.1%),特性123(2.7%)であっ た。

比較行動×性別の2検定が有意で(2(7)=102.20,

p<.0001),残差分析では社会的比較行動のうち女児は

他児への関心,認知明瞭化,類似確認が多く(z=3.54,

2.07,2.50),男児は自己間接評価,達成・競争が多い(z

=2.80,3.91)。比較対象については対象×性別の2検 定が有意で(2(5)=51.40,p<.0001),態度は女児(z

=2.80),特性は男児(z3.68)に多い。

比較行動と比較対象との関係については,行動×対象 の2検定が有意で(2(35)=3043.47,p<.0001),残 差分析では他者への関心は能力と行為で多いが(z

6.41,8.64),所有物,地位,態度,特性では少ない(z

=–9.01,–9.89,–11.03,–3.54)。認知明瞭化は地位で 多く(z=2.60),行為で少ない(z=–3.32)。直接評価 は能力,所有物,地位で多く(z=7.10,2.31,6.19),

態度と行為で少ない(z=–3.43,–5.72)。他者間接評価 は地位,行為,特性で多く(z=2.72,2.80,2.64),能 力と態度で少ない(z=–2.80,–5.86)。自己間接評価は 所有物,地位,特性で多く(z=9.77,11.10,5.18),行 為で少ない(z=–10.42)。類似確認は態度で多く(z= 34.74),能力と行為で少ない(z=–3.21,–7.47)。達成・

競 争 は 能 力, 所 有 物, 地 位 で 多 く(z=5.03,12.42,

2.07),態度と行為で少ない(z=–3.60,–7.22)。模倣

は行為で多く(z13.89),能力,所有物,地位,態度,

特性では少なかった(z=–10.89,–6.81,–5.23,–3.03,

–3.60)。

社会的比較を含むエピソード

社会的比較は子どもの日常的行為の文脈の中で生じる ため,個々の社会的比較行動の独立した分析ではなく,

社会的比較行動を含むエピソードがどれくらい生起する か,という観点から検討する。社会的比較行動とエピソー ド内容との関係を検討するため,比較行動が見られたエ ピソードのべ2663について,各々の社会的比較行動ご とに各エピソード内容が占める割合を見るとTable 1の とおりであり,すべての行動で各エピソード内容の頻度 は 有 意 に 異 な る(2(11)=47.59〜393.47,p<.0001)。

エピソード内容が観察された頻度に応じて各行動に含ま れるエピソードの頻度も相対的に規定されるが,残差分 析で有意であった以下のエピソード内容は,当該行動で とりわけ多いあるいは少ないと言える。

遊びに関しては,他児への関心はごっご遊び,玩具遊 び,制作遊び,感覚遊びで多く(z=4.52,4.81,10.22,

7.39),運動遊びで少ない(z=–4.81)。認知明瞭化はごっ

ご遊びと制作遊びで多い(z=2.24,5.14)。直接評価は 玩具遊びと制作遊びで多い(z=3.60,3.43)。他者間接

評価は運動遊びとごっご遊びで多い(z=3.21,3.54)。

自己間接評価は運動遊び,ごっご遊び,玩具遊び,制作 遊びで多い(z=3.11,2.07,2.72,3.98)。類似確認はごっ こ遊び,ゲーム遊びと制作遊びで多い(z=2.41,2.41,

3.11)。達成・競争は運動遊び,感覚遊びで多く(z=4.62,

2.30),制作遊びで少ない(z=–2.07)。模倣は運動遊び

とごっこ遊びで多く(z=2.24,2.07),制作遊びと感覚 遊びで少ない(z=–3.03,–2.41)。

遊び以外の行為に関しては,仲間との交渉は他者間接 評価,類似確認,達成・競争で多く(z=2.24,4.13,2.41),

他児への関心では少ない(z–3.91)。保育者との交渉 は類似確認で多く(z=1.96),他児への関心で少ない

(z=–2.07)。他者との交渉を含まない行為については,

積極行為は模倣以外の行動(z=–4.90,–2.50,–2.41,

–2.59,–3.78,–4.40,–3.32),消極行為ではいずれの社 会的比較行動(z=–6.52,–2.89,–3.11,–5.31,–6.94,

–4.40,–4.90,–3.21),その他の行動は模倣で少ない(z

=–2.07)。

発達的変化

エピソード総数中,各社会的比較行動が見られたエピ ソードを含む割合を指標として,4歳から6歳にかけて の変化を示したのがFigure 1である。横断分析1(Figure

1a)では,エピソード総数は4歳児268,5歳児420,6

歳児384であった。全体に他児への関心,自己間接評 価,模倣が多く,直接評価は少ないが,他児への関心

(2(2)=25.11,p<.0001),認知明瞭化(2(2)=7.89,

p<.05),直接評価(2(2)=6.84,p<.05),模倣(2(2)

=10.82,p<.01)では年齢間に有意差があり,残差分 析では,他児への関心は4歳児で少なく(z=–2.41),6 歳児で多い(z=3.68)。認知明瞭化は6歳児に多い(z

=2.07)。直接評価と模倣は4歳児で少ない(z=–2.41,

–2.03)。

縦断分析1(Figure 1b)では,エピソード総数は4歳

時268,5歳時261,6歳時275であり,全体に他児へ

の関心と自己間接評価が多く,直接評価は少ない。他児 への関心(2(2)=25.58,p<.0001),認知明瞭化(2(2)

=8.76,p<.05),直接評価(2(2)=6.65,p<.05),他 者間接評価(2(2)=18.13,p<.001)では年齢間に有 意差があり,残差分析では他児への関心は4歳時に少な く(z=–3.98),6歳時で多い(z=2.59)。認知明瞭化 と他者間接評価は5歳時に多く(z=2.24,3.11),4歳 時に少ない(z=–1.96,–2.50)。直接評価は5歳時に多 い(z=2.07)。

5歳から6歳での変化はFigure 2に示す。横断分析2

(Figure 2a )では,エピソード総数は5歳児1019,6歳 児471であった。社会的比較行動生起の全体的傾向は横 断分析1と概ね同様で,他児への関心(2(1)=13.87,

p<.0001), 他 者 間 接 評 価(2(1)=5.29,p<.05), 類

Figure 1 4歳から6歳にかけての社会的比較行動の変化 (数値はエピソード総数中,各社会的比較行動 を含むものの割合を示す)

似確認(2(1)=4.83,p<.05)で年齢間の有意差があ る。残差分析で他児への関心は5歳児で少なく(z=

–2.72),6歳児に多い(z=1.96)。他者間接評価は6歳

児で少ない(z=–1.96)。類似確認は6歳児で少ない(z

=–2.07)。

縦断分析2(Figure 2b)では,エピソード総数は5歳

時420,6歳時で471あった。他児への関心((1)=2 4.54,

p<.05)と類似確認(2(1)=3.24,p<.08)で年齢間の 有意差あるいは傾向差が見られ,残差分析で他児への関 心は6歳時に多く(z=1.96),類似確認は6歳児に少な い傾向がある(z=–1.65)。縦断分析3(Figure 2c)では,

エピソード数は5歳時758,6歳時741であった。認知 明瞭化(2(1)=3.62,p<.06),直接評価(2(1)=3.10,

p<.08),自己間接評価(2(1)=2.97,p<.09)で有意 傾向が見られ,残差分析でいずれも6歳児に少ない傾向 がある(すべてz=–1.65)7)

性 差

これらの発達的変化を性別に分析したところ,以下に ついてのみ男児と女児とで差が見られた。4歳から6歳

にかけての変化について,横断分析1では認知明瞭化の 差は男児のみ有意で(4歳児:1.6%,5歳児:1.3%,6 歳児:6.7%(z=2.64),2(2)=11.16,p<.01),女児 では有意でない。縦断分析1では,認知明瞭化の差は女 児のみ有意で(4歳時:2.8%,5歳時:9.9%(z=1.96),

6歳時:5.3%,2(2)=6.50,p<.05),男児では有意で ない。また女児でのみ自己間接評価が有意に5歳時に 多く6歳時に少ない(4歳時:15.2%,5歳時:22.1%

(z=2.03),6歳 時:9.1%(z=–1.96),2(2)=8.59,

p<.05)。

5歳から6歳にかけての変化については,横断分析2 で直接評価と模倣以外は性差が認められた。女児での み他児への関心(5歳児:14.7%(z=–3.11),6歳児:

29.1%(z=2.24),2(1)=19.33,p<.0001), 他 者 間 接評価(5歳児:8.9%,6歳児:4.3%,2(1)=5.40,

p<.05),類似確認(5歳児:11.5%,6歳児:5.8%(z

7)個々の行動を分析単位として,その生起頻度に関する比較行動×

年齢の2検定を5つの分析毎に行った場合も,エピソード単位 の分析とほぼ同様の結果が得られた。

=–2.03),2(1)=6.46,p<.05)で有意な差があるが 男児では有意差はない。更に認知明瞭化(5歳児:7.7%,

6歳児:3.9%,2(1)=4.27,p<.05),自己間接評価(5 歳児:18.5%,6歳児:11.6%,2(1)=6.01,p<.05),

達成・競争(5歳児:6.0%,6歳児:2.3%,2(1)=5.21,

p<.05)で女児には有意差がある。

縦断分析2では,認知明瞭化(5歳時:1.3%,6歳時:

5.6%,2(1)=6.47,p<.05)と模倣(5歳時:15.0%,

6歳時:8.9%,2(1)=3.90,p<.05)では男児にのみ 有意な差が見られ,女児では有意差はない。逆に他者 間接評価では女児のみ有意な差があり(5歳時:11.2%

(z=2.07),6歳 時:4.3%,2(1)=7.88,p<.01), 男

Figure 2 5歳から6歳にかけての社会的比較行動の変化(数値はエピソード総数中,各社会

的比較行動を含むものの割合を示す)

ドキュメント内 問題と目的 (ページ 39-43)