現代において、魅力的な音楽タンゴを世界に広めようとして貢献した音楽家に、オスバルド・プグ
リエーセとオラシオ・サルガンがいたことを忘れてはならない。
プグリエーセとサルガンのオルケスタは、タンゴの黄金期を
飾り、半世紀を通して不断の活躍を続けたマエストロである。
そして、器楽タンゴの活動を通じて極致を極め、最高レベルに
達した。
若い演奏家に伝えたい。タンゴは単に音楽学校で学んだだけ
では中途半端の域を出ず、タンゴに不可欠の真髄を極め、聴衆
を説得するには至らない。タンゴ音楽はギリギリの深いところ
で心の叫びを汲み上げ、その人生を語り、歌うもので、他の音
楽とは別のものだと思うからだ ……。
結びにあたって、器楽タンゴの将来に関し、推測するのは極めて難しい。従って、本当の意味での
タンゴ・オルケスタについての記述は、この辺で終わることにする。
オルケスタ・ティピカの歴史、並びにタンゴの異なる編成による演奏の領域について述べたが、タ
ンゴの音楽的発展の過程を形成する様々な様式と、数えきれない名前の全体を包含するには、まだ充
分とはいえない。しかも沢山ある概念の中で決定的な結論に到達するのは困難なので、単純に記述的
な記録の方法をここではとった。
世の中には音楽家の名前やその評価、または演奏の形式、タンゴの事柄には関心がなく、もっぱら
絵画的な作風、興味本位な逸話を取り上げて述べているケースが多いが、私は、他の作家たちが顧み
ないテーマを取り上げ、それを出発点として真の姿のタンゴ音楽家のことを述べたつもりである。
(完)
〔参考〕 「オルケスタ・ティピカの歴史」 掲載内容 バック№ シリーズ№ 掲 載 内 容
21
1
出発点 タンゴの居場所を獲得する 最初のコンフント サロンのダンス 通りの手回しオルガン 音楽隊とロンダ の一行 ピアノのためのタンゴ・クリオージョ
22
2 ピアノ バイオリン バンドネオン 最初のバンドネオン 奏者たち ピアノ・バイオリン・バンドネオン
23 3 河畔のカフェ オルケスタとカフェ ラ・プラタ流域の典 型的なオルケスタ レコード・ブーム
24 4 運命の転換 パリのタンゴ キャバレー 最終的なオルケ スタ コントラバホ スタイルの芽生え
25 5 歌のタンゴ バンドネオンの虎 典型的な六重奏 カーニ バルの踊り マックス・グルックスマン社のコンクール 名人芸の先駆者たち
26 6 オスバルド・フレセド、一つのスタイルを確立する フア ン・カルロス・コビアンの新しい構想 フリオ・デ・カロ の学校 偉大なスタイリスト、ペドロ・マフィア 一つの スタイルの創造者、カジェタノ・プグリッシ 記憶に残る 他の六重奏団
27 7 映画館における楽団 伝統派の流れ トーキー映画に伴う 危機 エルビノ・バルダロの六重奏団 セステート、その 課程を守る 大編成楽団への試行
28 8 編曲者たち タンゴの音楽家たち 大流行のダリエンソ・
スタイル 永久の名前、アニバル・トロイロ 違ったタイ プのタンゴ、カルロス・ディ・サルリ オルケスタの概念 の極致、オスバルド・プグリエーセ ロマンティックなビ オリン、アルフレド・ゴビ、ダゴスティーノ、デ・アン ジェリス、サッソーネ、タントゥリ 40年代
29 9 ミゲル・カローと彼のスター立ちのコンフント ルシオ・
デマーレとアントニオ・ロディオ オラシオ・サルガン、
その創造の才能 指揮者と演奏家たち 大楽団への新たな 経験 大胆な更新者、アストル・ピアソラ 見え始めた大 きな暗闇
30 10 歌手たちと楽団 小編成楽団 室内四重奏団と七重奏団
その他の革新派と伝統派 日本のタンゴ 最後の10年
結びにあたって <以上>
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