佐藤 高校を卒業してすぐに秋田中南米音楽研 究会に入りました。この会は昭和28年の発 足で、喫茶店(ポルテニア)などを経営して いた今も元気な長田俊一氏が代表で、当時か ら定例コンサートやタンゴの自主公演なども 開催し、活発な活動を行っていました。やが て1977年に先輩達から会を引継ぎ秋田中南米 音楽同好会と名称を変えて今に至ってます。
以来今日まで月例会は欠かさず開催して来ま した。
音楽ジャンルもタンゴを主体にキューバ音 楽からフォルクローレなど、多様なラテン音 楽を聴けるコンサートの雰囲気を心がけてや
<第48回 合宿コンサート>
〜秋田:田沢湖高原 ロッジアイリス
ってます。来年は発会60年の節目の年に当た りますので、記念のイベントを企画したいと 思ってますが・・・
西川 多彩な歴史をお持ちなんだ・・・ どん なフェスティバルになるのか楽しみですね。
秋田の同好会は昔からラテンやフォルクロー レに造詣の深い会員が健在ですから、そりゃ
~バライエティに富んだ企画になるでしょう ね・・・ ところで秋田の皆さんは他県の愛 好家達との交流も盛んで、以前から連帯活動 をしていますね。
佐藤 えぇ、青森の3団体(津軽ラテンの会、
弘前タンゴ・アミーゴス、青森ラテンの会)
とは兄弟のような仲良しグループです。年3 回持ち回りの宿泊、合宿コンサートを開催し てもう40年以上経ちました。当会は毎年春に 開催を重ねて今年もつい10日ほど前に第48回 目を開催したばかりです。近年は関東、関西 からもはるばる駆けつけてくれる愛好家もお りますし、今年は福島県白河市、東京のベテ ランも新規に加わり22名が集い賑やかな合宿 でした。西川さんも以前何度か来会してくれ ましたし、音楽情報の交換と親睦が主な目的 ですが、美味しいお酒と音楽をいつも用意し 遊んでいます。
西川 そうそう、男鹿半島での開催年には家内・
子供連れで参加しましたよ。あの時の化け物 みたいな大杯での鯛の骨酒回し呑みは痛快だ ったなぁ。真面目な話に戻りまして、あなた は古いものからピアソラまで幅広く聴いてい ますが、お好きな傾向、演奏家というと、ど んなところになりますか。
〈好みはやはり“伝統派”ということに〉
佐藤 タンゴに関しては欲張りで古典から現代 物まで幅広く何でもという感じですが、所謂
古き佳き時代のグァルディア・ビエハが中心 になりますか、泣かせるタンゴには弱いです ね。これは先輩たちの影響のお陰でしょう。
楽団ですとO・T・ビクトル、R・フィルポ のオルケスタ、J・マグリオ(パチョ)楽団、
またC・ディ・サルリ楽団、O・プグリエー セ楽団、A・アンジェリス楽団、歌手ではC・
ガルデル、I・コルシーニ、近年の歌手ではR・
ゴジェネチエ、J・ソーサ、女性歌手ではA・
ファルコン、A・バレーラといったところで しょうか。またA・ピアソラの来日公演には 三度上京して生のステージ演奏を観て納得し ました。楽屋では写真も撮り、サインももら えて感激でしたよ。
西川 女性歌手でA・バレーラを挙げるなんて、
佐藤さんは鉄火肌に波長が合うのかしら、T・
メレージョも好きだし・・・(笑い)。
でもお訊きしてみると好き嫌いとか、えり 好みとかの先入観なしに全方位にアンテナを 巡らしているなぁ。加えてあなたは大変な量 のコレクションをお持ちですが、お宝という か、お気に入りは・・・
佐藤 お宝というほどのものは持ってません が、強いていえば、先ほどの楽団の復刻盤が LPからCDと次々に日本でも頒布がありまし た。大変な量になりましたが総て我が棚にあ ります。
西川 それは凄い! 具体的には・・・
佐藤 A.M.P.ポルテニア音楽同好会のタンゴ・
コレクション(故大岩祥浩さん)やアルゼン チン・タンゴ愛好会(馬場明人さん)の膨大 なSPからの秘蔵盤、復刻音源はまさに未知 との遭遇の連続で、有難く感謝をしながら愛 聴しています。これこそ私の生涯のお宝でし ょう。特に欧州盤などの戦前盤には聴く度に タンゴの歴史と奥深さを常に感じています。
西川 確かに現在、大手レコード会社はタンゴ に対して冷淡で、これは商売にならないから ですが、それだけに愛好家による私家盤は大 切な情報源ですね。
ここでお訊きしたいんですが、その膨大な コレクションの整理はどのようにされていま すか。
佐藤 整理整頓は正直苦手なんで特別のことは やっておりません。購入時の登録だけです。
西川 特定の曲、たとえばラ・クンパル…の演 奏者の資料とか、好きな時、好きな演奏家で 聴きたいという時にヒョイと抜き出せる保管 の方法とか・・・、
佐藤 これが出来たら有難い話ですが、特定の 楽団や歌手だけのデータのみパソコン入力し ておりますが他は整理してません。ですから オムニバスに入っていると探すのに大変な時 間を労することになるけれど、これも楽しい ひとときですよ。
西川 だけど大事なものは全部頭の中のコンピ ュータに入っているんだ(笑い)。そのコン ピュータ、クラッシュしないようにしっかり メインテナンスしてください。ところで佐藤 さんはこれまで何度も訪亜されていますが、
昨年11月のブエノス訪問の主たる目的はなん でしたか?
〈タンゴはリオ・プラテンセ音楽との視点で〉
佐藤 旅行気分ですので大きな目的はありませ んが、今回はウルグアイのモンテビデオを初 めて訪れました。旧市街を散策し、マトス・
ロドリゲスの生家(Casa de Becho)が以前 NHK「名曲アルバム」で紹介されたので、
ネットで住所を確認しタクシーを飛ばしまし た。旧市街の普通の住まいでしたが、玄関口 にはラ・クンパルシータのお馴染みの楽譜が
カラーのタイルで飾られ、また壁面には数々 のレリーフが貼られて、大作曲家を偲び存在 の大きさを感じました。残念ながら内部には 入ることが出来ませんでしたが・・・
西川 それは公開されていないと云うことです か。
佐藤 隣りの住宅の方に聞いても、詳しいこと は判らないという返事でしたね。
また、本誌で故石川浩司さんによる作詞家 のオメロ・マンシのMUSEOの訪問記が掲載 されておりましたので、この機会に訪ねて内 部を見学しました。館長も気さくなうえ好意 的な方で、お話を伺う事が出来ました。博物 館といっても、ロドリゲスの生家同様民家の 内部を改造したもので、故人の偉大な遺産を 展示紹介するには少しお粗末な住宅でした よ。
またこの地域はブエノスの郊外にあります が、タクシーの運転手によると夜は行かない そうです。まして旅行者には危険地帯だそう で、注意が必要とのことを聞かされ驚きまし た。
西川 グループ行動でなければいけない、とい うことでしょうか。この前に資料として纏め られた今回の訪問印象記録をもらいました が、A・ポデスタとの再会や、ネリー・オマ
<Casa de Becho>
ール100歳記念コンサートの直前TVインタ ビュー映像のチェックなど、実り多い旅行で したね。
ここでアルゼンチンの事情は措きまして、
国内の演奏家についてなにか感じるところ がありましたら? 当会員でもある小松夫妻、
門奈さんらベテランの活躍に加えて若手演奏 家も育っておりますが・・・