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第 五章 『記 者ハ ン ドブッ ク』に 見る 差 別語意 識の変 遷

5.2.9 第 9 版(2001)

2001年 の『 記 者 ハ ン ド ブ ッ ク 』第 9版 に お け る 差 別 語・不 快 語 の 言 い 換 え に 関 す る 説 明 が 改 訂 さ れ た が 、2001年 の 第 9 版 か ら 2012 年 の 12版 ま で は 一 貫 し て い る 。 説 明 の 記 述 は 以 下 の 通 り で あ る 。

性 別 、 職 業 、 身 分 、 地 位 、 境 遇 、 信 条 、 人 種 、 民 族 、 地 域 、 心 身 の 状 態 、 病 気 、 身 体 的 な 特 徴 な ど に つ い て 差 別 の 観 念 を 表 す 言 葉 、 言 い 回 し は 当 事 者 に と っ て 重 大 な 侮 辱 、 精 神 的 な 苦 痛 、 あ る い は 差 別 、 い じ め に つ な が る の で 使 用 し な い 。

例 え ば 「 障 害 を 持 つ(人 ・ 子 ど も)」 と い う 表 現 も 、 障 害 の あ る 人 が 自 分 か ら 障 害 を 持 っ た わ け で は な い の で「 障 害 の(が)あ る(人・子 ど も)」と 表 現 す る 配 慮 が 必 要 だ 。

こ と わ ざ 、成 句 な ど の 引 用 に つ い て も 、そ の 文 言 の 歴 史 的 な 背 景 を 考 え 、 結 果 と し て 差 別 助 長 に な ら な い よ う な 心 遣 い が 必 要 で あ る 。

言 い 換 え の 例 示 を し て い る が 、 単 純 に 言 葉 を 言 い 換 え れ ば い い と い う こ と で は な い 。 原 則 は 「 使 わ れ た 側 の 立 場 に な っ て 考 え る 」 こ と が 肝 要 で あ る 。

基 本 的 人 権 を 守 り 、 あ ら ゆ る 差 別 を な く す た め 努 力 す る こ と は 、 報 道 に 携 わ る 者 の 重 要 な 責 務 だ か ら だ 。

こ れ ら の 前 提 に 立 っ て 特 に 気 を つ け た い 用 語 の 主 な 例 は 次 の 通 り 。 (p.82)

こ の 記 述 は 、 第 8版 と 比 べ る と 、「 使 わ れ た 側 の 立 場 に な っ て 考 え る 」 と い う 点 が 特 に 強 調 さ れ る よ う に な っ た と 言 え る 。

言 い 換 え 語 の ジ ャ ン ル に つ い て は 、 第 9 版 か ら 「 子 ど も 関 係 」 と い う ジ ャ ン ル が 出 現 し 、他 の 差 別 語 に つ い て も 更 な る 細 分 化 と 多 様 化 が 観 察 さ れ る 。ま た 、 こ の 版 で は 、 差 別 語 の 言 い 換 え が さ ら に 修 正 さ れ 、 差 別 語 の 言 い 換 え の 仕 方 な ど に つ い て の 変 更 が 多 い 。

ま ず 、 新 し く 紹 介 さ れ た 差 別 語 と そ の 言 い 換 え は 以 下 の 通 り で あ る 。

廃 疾 ・ 業 病 ・ 不 治 の 病 → 使 用 不 適 切 「 難 病 」 も 厚 生 労 働 省 指 定 難 病 (特 定 疾 患)以 外 は 使 わ な い 。

奇 形 児 → 肢 体 の 不 自 由 な 子 ど も

蒙 古 症 → ダ ウ ン 症 候 群

精 神 薄 弱 ・ 精 薄 → 知 的 障 害 、 精 神 遅 滞

白 痴(は く ち) → 知 的 障 害

芸 人 → 芸 能 人(右 の 〔 注 〕 に 同 じ)

バ ー テ ン → バ ー テ ン ダ ー

サ ラ 金 → 消 費 者 金 融

レ ン ト ゲ ン 技 師 → 診 療 放 射 線 技 師 、 エ ッ ク ス 線 技 師

隠 坊(お ん ぼ う) → 火 葬 場 職 員

同 和 → 単 体 で は 使 用 し な い 。

〔 注 〕「 同 和 教 育 」「 同 和 行 政 」「 同 和 女 性 問 題 」な ど と す る 。ま た 、二 つ の 熟 語 が 並 ぶ 場 合 も 省 略 し な い で「 同 和 教 育 問 題 、同 和 女 性 問 題 」と 書

く 。 見 出 し も 単 体 で 使 用 し な い 。

釣 り 書 き(吊 書) → 使 用 不 適 切 。 「 生 い 立 ち の 記 」 「 自 己 紹 介 書 」 な ど に 。

裸 族 、 首 狩 り 族 、 蛮 族 → 正 式 の 民 族 名 を 表 記 す る 。

酋 長 → 首 長 、 集 落 の 長

黒 ん ぼ 、 ニ グ ロ 、 ニ ガ ー

→ 黒 人

毛 唐 → 外 国 人 、 ○ ○ ○ 人

外 人 墓 地 → 外 国 人 墓 地

朝 鮮 征 伐 → 朝 鮮 出 兵

帰 化 → な る べ く 「 国 籍 取 得 」 に す る

〔 注 〕 国 籍 法 に 基 づ く 「 帰 化(申 請 ・ 手 続 き)」 や 米 移 民 帰 化 局(INS)関 係 な ど で は 「 帰 化 」 を 使 う 。

帰 化 人 → 渡 来 人

〔 注 〕「 帰 化 」は 朝 廷 の 支 配 下 に 入 る こ と を 意 味 す る の で 古 来 、中 国 、朝 鮮 か ら 日 本 に 渡 っ て き た 人 を 教 科 書 も 「 渡 来 人 」 と し て い る 。

支 那 そ ば → 中 華 そ ば

支 那 竹 → メ ン マ

エ ス キ モ ー → イ ヌ イ ッ ト

[注]ア ラ ス カ 先 住 民 に は 「 ユ ピ ッ ク 」 「 ユ ッ ク 」 な ど の 呼 称 が あ る 。 「 エ ス キ モ ー 犬 」 は 別 。

ラ ッ プ 人 → サ ー ミ 人

ブ ッ シ ュ マ ン → サ ン 人 な ど

ピ グ ミ ー 族 → ム ブ テ ィ 人 、 ト ワ 人(- 系 、 - 民 族) ホ ッ テ ン ト ッ ト 族 → コ イ 人 ( - 系 、 - 民 族)

イ ン デ ィ ア ン → 使 用 可

[ 注 ] 「 イ ン デ ィ ア ン う そ つ か な い 」 な ど 比 ゆ 的 な 表 現 は 避 け る 。 ア パ ッ チ 族 、 ス ー 族 → ア パ ッ チ 系 、 ス ー 系(イ ン デ ィ ア ン)

イ ン デ ィ オ → 使 用 可

カ レ ン 族 、 ク メ ー ル 族 → カ レ ン 人(民 族)、 ク メ ー ル(民 族)

ク ル ド 族 → ク ル ド 人

ツ チ 族 、 フ ツ 族 → ツ チ 人(民 族)、 フ ツ 人(民 族)

マ オ リ 族 → マ オ リ 人

マ サ イ 族 → マ サ イ 人

漢 族 → 漢 民 族

チ ベ ッ ト 族 → チ ベ ッ ト 民 族

婦 警 ・ 婦 人 警 官 → 女 性 警 官

未 亡 人 ・ 後 家 → 故 ○ ○ 氏(さ ん)の 妻 、「 ○ ○ 夫 人 」「 ○ ○ さ ん 」 と 具 体 的 に 書 く よ う 心 掛 け る 。

婦 女 子 → 女 性 と 子 供 ・ 子 ど も

入 籍 → 男 女 と も 初 婚 の 場 合 は 、 新 し い 戸 籍 を 作 る の で 「 入 籍 」 と は し な い 。 養 子 縁 組 な ど は 別 。

内 縁 の 妻 ・ 内 妻 → 使 用 を 避 け る 。 「 同 居 の ○ ○ ○ さ ん 」 な ど に 。

連 れ 子 → 使 用 を 避 け る 。 「 ○ ○ ○ ○ さ ん の 長 男 」 な ど に 。

登 校 拒 否 児 → 不 登 校 の 児 童 ・ 生 徒

特 殊 学 級 → 養 護 学 級 、 養 護 ・ 訓 練 学 級

〔 注 〕行 政 用 語 で は 特 殊 教 育 、特 殊 学 級 を 使 用 し て い る が 、一 般 記 事 で は な る べ く 養 護 学 級 な ど に 言 い 換 え る 。

教 護 院 → 児 童 自 立 支 援 施 設

孤 児 園 → 児 童 養 護 施 設

父 兄 会 → 保 護 者 会

片 親 、 欠 損 家 庭 → 使 用 不 適 切 。 公 機 関 で は 「 母 子 家 庭 、 父 子 家 庭 」 を 使 用 。

私 生 子 ・ 私 生 児 → 非 嫡 出 子

〔 注 〕歴 史 的 な 記 述 で も「 私 生 児 」は 使 用 し な い 。「 非 嫡 出 子 」も 法 律 上 の ケ ー ス 以 外 は 「 ・ ・ ・ さ ん の 子 」 な ど と す る 。

混 血 児 ・ 合 い の 子 → 使 用 を 避 け る 。 な る べ く 「 父 が 日 本 人 で 母 が ド イ ツ 人 と い う 国 際 児 童 」 な ど と 具 体 的 に 書 く よ う 心 掛 け る 。

〔 注 〕「 か ぎ っ 子 」「 も ら い っ 子 」「 精 薄 児 」な ど「 ○ ○ っ 子 」「 ○ ○ 児 」 は 子 ど も に レ ッ テ ル を 張 る こ と に な り が ち な の で 安 易 に 使 わ な い 。「 チ ビ っ 子 」 も な る べ く 使 わ な い 。

こ の よ う に 、 第 8 版 と 比 べ 、 第 9 版 で は 多 く の 差 別 語 が 書 き 加 え ら れ た 。 中 で も 、民 族・ 人 種 に 関 す る 表 現 と 性 差 別 、子 ど も 関 係 の 表 現 が 多 い 。他 に 、「 職 業(職 種)な ど 」 の 最 後 に 、「 『 ○ ○ 屋 』 の 呼 び 捨 て は 避 け る 。『 床 屋 さ ん 』『 魚 屋 さ ん 』 な ど 愛 称 的 な 表 現 は 使 用 し て も よ い が 文 脈 に 注 意 す る 」(p.82)と い う 注 が 付 け ら れ て い る 。 ま た 、 「 人 種 ・ 民 族 の 表 記 」 の 最 版 に も 、 説 明 が 付 け ら れ て い る 。

少 数 民 族 の 名 称 に は 、周 囲 の 民 族 が 付 け た「 あ だ 名 」「 蔑 称(べ っ し ょ う)」 や 、 先 進 国 ・ 入 植 者 が 付 け た 俗 称 が あ る 。 そ う し た 俗 称 は 使 用 し な い で 、 そ の 民 族 自 身 が 名 乗 る 呼 称 を 使 う 。 ま た ○ ○ ○ 族 、 ○ ○ ○ 部 族 の 表 記 は 避 け 、 ○ ○ ○ 人 、 ○ ○ ○ 民 族 、 ○ ○ ○ 系 な ど と す る 。 長 め の 記 事 で は 先 住 民 族 で あ る こ と を 書 き 加 え る 配 慮 が 望 ま し い 。(p.84)

な お 、 「 性 差 別 」 に つ い て も 、 最 後 に 注 が 付 け ら れ て い る 。

「 女 傑 、女 丈 夫 、男 勝 り 、女 だ て ら に 、女 の 戦 い 、職 場 の 花 」「 処 女 航 海 、 処 女 作 品 、 処 女 小 説 、 処 女 峰 」 「 才 媛(さ い え ん)、 才 女 、 才 色 兼 備 」 な ど 女 性 を 殊 更 に 強 調 し た り 特 別 扱 い す る 表 現 は 使 わ な い 。男 性 優 位 社 会 の「 夫 唱 婦 随 」「 女 は 愛 き ょ う 、男 は 度 胸 」「 い か ず 後 家 、売 れ 残 り 、男 い ら ず 、 オ ー ル ド ミ ス 、出 戻 り 」「 女 の 浅 知 恵 、女 の く せ に 」や 男 性 に 対 す る「 女 々 し い 、 女 の 腐 っ た よ う な 、 男 の く せ に 」 な ど 差 別 ・ 偏 見 を 生 む 表 現 は 使 わ な い 。 「 美 人 選 手 、 美 人 ア ナ 」 な ど 興 味 本 位 の 表 現 や 、 「 ブ ス 」 「 デ ブ 」 な ど 容 姿 に 言 及 す る 表 現 も 避 け る 。(p.86)

ま た 、 第 8 版 で 言 い 換 え ら れ る よ う に な っ た 語 も 、 第 9 版 で は 新 た な 説 明 が な さ れ た り 、 言 い 換 え の な さ れ 方 が 変 化 し た り す る よ う に な っ た 。 以 下 で は 、 第 8 版 と 比 較 し て 表 で 示 し た い 。

表 5.1 『 記 者 ハ ン ド ブ ッ ク 』 第 9版 に て 改 訂 さ れ た 差 別 語 の 言 い 換 え 言 い 換 え ら れ た 差

別 語 言 い 換 え(第 8 版) 言 い 換 え(第 9 版)

め く ら 盲 人 、 目 の(が)見 え な い 人 、 目 の 不 自 由 な 人

目 の 見 え な い 人 、目 の 不 自 由 な 人 ・ 状 態

お し

口 の き け な い 人 、言 葉 の 不 自 由 な 人

口 の 利 け な い 人 、言 葉 が 不 自 由 な 人 ・ 状 態

つ ん ぼ 耳 の 聞 こ え な い 人 、耳 の 不 自 由 な 人

耳 の 聞 こ え な い 人 、耳 が 不 自 由 な 人 ・ 状 態

び っ こ 、ち ん ば 、い ざ り

足 の 不 自 由 な 人 、足 に 障 害 の あ る 人 、(履 物 の)左 右 が 不 ぞ ろ い

足 が 不 自 由 な 人・状 態 、足 に 障 害 の あ る 人〔 履 物 の 場 合 は「 左 右 が 不 ぞ ろ い 」な ど と す る 〕

ど も り 言 語 に 障 害 の あ る 人 発 音 が 不 自 由 な 人 ・ 状 態 色 盲・色 覚 異 常(第 8

版 で は 「 色 盲 」) 色 覚 異 常 、 色 弱(者) 色 覚 障 害

や ぶ に ら み 斜 視 、 見 当 違 い 斜 視

知 恵 遅 れ ・ 低 能 知 的 障 害 、知 的 発 達 の 遅 れ た 人

知 的 障 害 、知 的 発 達 の 遅 れ た 子(人)

植 物 人 間 植 物 状 態 の 人 ・ 患 者

植 物 状 態(の 患 者) 〔 注 〕

「 植 物 人 間 」は 人 間 の 尊 厳 を 欠 く 表 現 な の で 使 わ な い 。

女 工 女 性 工 員 、 女 性 従 業 員 女 子 従 業 員

人 夫 労 働 者 、 作 業 員 作 業 員 土 方 、 土 工 建 設 労 働 者 、 建 設 作 業 員 建 設 作 業 員 炭 鉱 夫 、 坑 夫(第 8

版 は 「 炭 鉱 夫 」) 炭 鉱 労 働 者 炭 鉱 作 業 員 、 坑 内 員

沖 仲 仕 港 湾 労 働 者 港 湾 作 業 員 ・ 労 働 者

馬 丁 き ゅ う 務 員

き ゅ う 務 員 、 馬 取 扱 人[競 馬]

農 婦 農 家 の 女 性 、 農 村 女 性 農 家 の 女 性 、 農 村 の 女 性

百 姓 、 農 夫

農 家 、 農 民 、 農 業(談 話 な ど で 本 人 が「 百 姓 」と 意 識 的 に 使 う ケ ー ス は そ の 通 り 引 用 し 、な ぜ そ の よ う な 表 現 を す る の か を 文 脈 上 明 ら か に す る 。「 芸 人 」→ 芸 能 人 の 場 合 も 同 様)

農 家 の 人 、農 民 、農 業 従 事 者

床 屋 理 髪 業(店) 理 髪 業 ・ 店 、 理 容 師

女 中 お 手 伝 い 、 家 事 手 伝 い お 手 伝 い さ ん

坊 主 僧 り ょ 、 坊 さ ん 僧 、 僧 り ょ 、 坊 さ ん

バ タ 屋 、く ず 屋(第 8

版 は 「 バ タ 屋 」) 廃 品 回 収 業(者) 廃 品 回 収 業

部 落

被 差 別 部 落 の 意 味 で は 不 適 切 。一 般 語 と し て 村 落 の 意 味 で 使 う 場 合 は な る べ く 集 落 、 地 区 な ど と す る 。文 脈 上 差 別 的 に し よ う し て い な い こ と が 明 ら か な 場 合 は 部 落 と し て も 構 わ な い 。

被 差 別 部 落 の 意 味 で は 不 適 切 。一 般 語 と し て 村 落 の 意 味 で 使 う 場 合 も 「 部 落 」 は 使 用 し な い で「 村 落 、集 落 、 地 区 」 な ど と す る 。

土 人 、 原 住 民(第 8

版 は 「 土 人 」) 現 地 人 、 先 住 民 族 先 住 民(族)、 現 地 人

後 進 国 、未 開 国 、低 開 発 国

発 展 途 上 国(必 要 に 応 じ 途 上 国 、 開 発 途 上 国 と し て も よ い)

発 展 途 上 国

第 三 国 人 、 三 国 人

例 え ば 日 米 交 渉 で 両 国 以 外 の 国 と い う 意 味 で 使 う「 第 三 国 」は よ い が 、戦 争 中 に 使 わ れ た よ う な 朝 鮮 人 、中 国 人 を 意 味 す る「 第 三 国(人)」は 使 わ な い 。

使 用 不 適 切〔 注 〕例 え ば 日 米 交 渉 で 両 国 以 外 の 国 と い う 意 味 で 使 う 「 第 三 国 」 は よ い が 、終 戦 直 後 に 日 本 在 住 の 朝 鮮 人 、中 国 人 に 対 し て 用 い た「 第 三 国 人 」「 三 国 人 」 は 使 わ な い 。

ア イ ヌ 人

ア イ ヌ(民 族)。初 出 は「 ア イ ヌ 民 族 」 と す る 。 「 ア イ ヌ 」 は「 人 間 」の 意 味 。「 ア イ ヌ の 人 」は 使 わ な い 。「 ア イ ヌ 犬 」 は 「 北 海 道 犬 」 と す る 。

ア イ ヌ(民 族)、 初 出 は 「 ア イ ヌ 民 族 」と す る 。「 ア イ ヌ 」は「 人 」の 意 味 。「 ア イ ヌ の 人 」は「 人 」が 重 複 表 現 に な る の で 使 わ な い 。

「 ア イ ヌ 犬 」は「 北 海 道 犬 」 と す る 。

ジ プ シ ー 比 ゆ 的 に は 使 わ な い 。

ロ マ 、 ロ マ 民 族[注]「 流 れ 者 」「 放 浪 者 」の 意 味 で「 ジ プ シ ー 選 手 」な ど と は 使 わ な い 。「 ツ ィ ゴ イ ナ ー 」「 ボ ヘ ミ ア ン 」も 比 ゆ 的 に 使 わ な い 。た だ し「 ジ プ シ ー 音 楽 」や 音 楽 題 名 な ど は 使 用 可 。

女 流 固 有 名 詞 以 外 は 使 わ な い

「 女 流 文 学 賞 」「 女 流 名 人 」 な ど の 固 有 名 詞 以 外 は 使 わ な い

こ の 一 覧 か ら 、『 記 者 ハ ン ド ブ ッ ク 』 第 9 版 で は 、 差 別 語 の 言 い 換 え が 様 々 な 形 で 改 定 さ れ た こ と が 分 か る 。分 析 対 象 と な る『 記 者 ハ ン ド ブ ッ ク 』の 中 で 、 こ の 版 の 言 い 換 え の な さ れ 方 の 変 化 が 最 も 多 い 。第 9版 で 改 訂 さ れ た 差 別 語 の 言 い 換 え を 分 類 し て み る と 、 以 下 の よ う な 改 定 の パ タ ー ン が 挙 げ ら れ る 。

① 主 語 範 囲 の 拡 大

例: 「 め く ら 」「 お し 」「 つ ん ぼ 」 の 言 い 換 え で は 、 最 後 の 主 語 は 「 人 」 か ら 「 人 ・ 状 態 」 に 改 定 さ れ て い る 。

② 主 語 範 囲 の 具 体 化

例: 「 知 恵 遅 れ ・ 知 能 」 の 言 い 換 え で は 「 知 的 発 達 の 遅 れ た 人 」 が 「 知 的 発 達 の 遅 れ た 子(人)」 に 、「 バ タ 屋 、 く ず 屋 」 の 言 い 換 え で は 「 廃 品 回 収 業 (者)」 が 「 廃 品 回 収 業 」 に 改 定 さ れ て い る 。

③ 言 い 換 え 語 の 削 除

例: 「 や ぶ に ら み 」 の 言 い 換 え に あ っ た 「 見 当 違 い 」、「 女 工 」 の 言 い 換 え に あ っ た 「 女 性 工 員 」、「 人 夫 」 の 言 い 換 え に あ っ た 「 労 働 者 」、「 土 方 、 土 工 」 の 言 い 換 え に あ っ た 「 建 設 労 働 者 」 が 削 除 さ れ て い る 。

④ 言 い 換 え 語 の 増 加

例: 「 炭 鉱 夫 、 坑 夫 」 に 「 坑 内 員 」、「 馬 丁 」 に 「 馬 取 扱 人[競 馬]」 、 「 床 屋 」 に 「 理 容 師 」 が 言 い 換 え 語 と し て 新 た に 挙 げ ら れ て い る 。

⑤ 注 の 改 定

例: 「 百 姓 、農 夫 」「 後 進 国 、未 開 国 、低 開 発 国 」の 言 い 換 え に あ っ た 注 が 削 除 さ れ 、 一 方 、「 ジ プ シ ー 」 の 言 い 換 え に 注 が 付 け ら れ る よ う に な っ た 。

言 い 換 え の 目 的 は 、「 差 別 語 」に あ る「 蔑 視・見 下 し の 意 味 を 表 す ネ ガ テ ィ ブ な 語 感 」 と 「 マ イ ナ ス な イ メ ー ジ 」 と い っ た 「 連 想 的 意 味 」 を な く こ と で あ る こ と が 多 い が 、 以 上 の よ う な 変 化 は 、「 差 別 語 」 と さ れ る 言 葉 の 「 概 念 的 意 味 」 を よ り 正 確 に 表 現 す る こ と に あ る と 考 え ら れ る 。す な わ ち 、「 差 別 語 」の「 言 い 換 え 」は 、「 蔑 視・ 見 下 し の 意 味 を 表 す ネ ガ テ ィ ブ な 語 感 」と「 マ イ ナ ス な イ メ ー ジ 」 と い っ た 「 連 想 的 意 味 」 に 注 目 し つ つ も 、 そ の 語 の 「 概 念 的 意 味 」 を 保 つ こ と も 重 視 さ れ る よ う に な っ て き て い る 。

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