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第 5 章のまとめ

ドキュメント内 現代日本語の使役文に関する一研究 (ページ 94-97)

第5章 終止の形で用いられる「V-サセル」

5.5 第 5 章のまとめ

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しかし、動作の実現が誰のためのものかという観点Ⅱからは《つかいだての使役》と《み ちびきの使役》のどちらもみられ、偏った傾向はみられなかった。

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に、従属節と主節の事態がどのようにかかわっているか、そしてそのかかわりによって使 役の意味に違いがみられるのか考察した。「V-サセル」が文の述語として用いられる場合、

その文は単文で現れるよりも、多くが従属節をともなう複文構造で現れ、そのなかでも「V- シテ」「V-シ」のような連用の形の従属節をともなうものがほとんどである。そして、「V-サセル」が連用の形の従属節を伴う場合、連用の形の従属節が表す事態のほとんどは使役 主体による何らかの動作(使役対象にかかわる動作の場合もあればそうでない場合もある)

であり、それがきっかけとなって使役対象が動作を行うという事態が文全体で示されてい る。つまり、連用の従属節をともなう複文構造の「V-サセル」は、ほとんどが動作をおこな うきっかけ(佐藤(1986)がいう「動作の源泉」)が使役主体にある《引き起こし》を表し ており、動作のきっかけが使役対象にある《許可》《放任》を表すものはほとんどみられな い。これは複文の従属節と主節の関係が従属的な関係にあり、それによって従属節と主節 の文の主語を一致させるということ、すなわち、「V-サセル」文の主語にたつのは使役主体 であるということとも関係していると思われ、この章で考察しなかった連用の形の従属節 以外のものについても考察する必要があると思う。

◆第Ⅱ部のまとめ

以上、第Ⅱ部では、「V-サセル」の文中における形・機能に注目して、「V-サセル」が連用 の形で現れる場合、条件の形で現れる場合、そして終止の形で現れる場合をとりあげ、考 察を行った。

まず、「V-サセル」が連用の形である場合、表す使役の意味としてほとんどが《引き起こ し》であり、かつ《つかいだての使役》を表す。このような偏りは、連用の形の従属節で ある「V-サセル」が表す事態が主節のあらわす事態に対して準備的な動作を表すということ とかかわっている。

次に、「V-サセル」が条件の形である場合も条件の形の「V-サセル」全体を通してほとん どが《引き起こし》を表すものが多い。しかし、「V-サセルト」「V-サセレバ」「V-サセタラ」

のそれぞれの形において表す使役の意味にいくらか違いがみられ、「V-サセレバ」の場合、

《引き起こし》以外の使役の意味を表すものはみられず、「V-サセルト」も1例のみが《許 可》を表し、それ以外はすべて《引き起こし》であった。そして、「V-サセタラ」には他の 形式にはみられない《放任》(《非意図的な放任》)を表すものが少しみられた。そして、こ れらの形を《つかいだての使役》か《みちびきの使役》かという観点からみてみると、

「V-94

サセタラ」の場合《みちびきの使役》を表すものが《つかいだての使役》を表すものより 多かったが、全体としては二つの意味における目立った偏りは見られなかった。

最後に、「V-サセル」が終止の形である場合、単文の述語として現れるよりも、複文の主 節述語として現れることが多かった。中でも、連用の形の従属節をともなうものが多く、

従属節に使役主体の動作が現れることがほとんどである。従属節に現れる使役主体の動作 は、使役対象にかかわる使役主体の動作である場合と、使役対象とは関係のない使役主体 自身の何らかの動作が明示される場合があったが、いずれの場合も、主節の「V-サセル」事 態に対して何らかのかかわりを持つものである。このような構文的な特徴は、「V-サセル」

文が表す二つの複合的な事態、すなわち、使役主体の使役対象への何らかの働きかけと使 役主体の働きかけによる使役対象の動作という二つの事態を具体的、かつ明示的にしてく れている。

そして、従属節が表す事態と主節の「V-サセル」事態とのかかわりによって、観点Ⅰ、観 点Ⅱによる使役の意味にいくらか特徴がみられた。観点Ⅰから考えると、ほとんどが《指 令》を表し、《許可》、《放任》を表すものが4例のみであったが、《許可》、《放任》を表す4 例の従属節は主節とのかかわりにおいて従属的な関係ではないという特徴がみられた。一 方で、観点Ⅱからみると、5.3.2.1と5.3.2.2で分けた従属節があらわす事態によって使役の 意味の傾向が少しみられた。

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