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第4章のまとめ

ドキュメント内 現代日本語の使役文に関する一研究 (ページ 68-71)

第 4 章 条件の形で用いられる「V-サセル」

4.4 第4章のまとめ

4.2節と4.3節にかけて、使役主体が特定のヒトである条件形の「V-サセル」がどのよう

67 な使役の意味を表すのか、その特徴を述べた。

4.2.3の「V-サセタラ」の一部に《放任》として解釈できるものがみられたものの、各形

式において、ほとんどの場合、使役主体が使役対象にはたらきかけてそれを受けた使役対 象が何らかの動作を行うものであり、使役の意味として《引き起こし》を表している。し かしながら、いずれの形も共通して《引き起こし》を表すものがほとんどであると言って も、各形式において現れる主節の事態に特徴がみられ、それを簡単にまとめると次のよう になる。

「V-サセルト」―主節の事態は具体的な動作を表し、従属節とは継起関係で結ばれてい る。

【山本太郎は、新幹線の席におやじとおふくろを並んで坐らせると、自分は数列前の席へ行っ た。(太郎物語・大学編)

「V-サセレバ」―主節の事態は、結果の状態を表し、その結果は使役主体が望む結果が 現れるのがほとんどである。

【わざわざ自分たちがカードを切らなくても、全銀協の会見などで、どこかの記者にそうし た質問をさせればこと足りるのです。(あなたの預金が危ない!)

「V-サセタラ」―「V-サセレバ」と同様、主節の事態は結果の状態を表すが、その結果 は使役主体にとって望ましい結果である場合もあれば、そうでない 結果の場合もある。

【万里と凛は漫才をする(「まりでーす」「りんでーす」「二人合わせてまりりんでーす」と やったわけだ。しかし、あまり面白くなかった。どうせなら、一平と広介にやらせたら面 白かったのだが、】(想い出にならない)

【ところが、拘置所で一緒だったゾクに彼女への鳩(伝言)をやらせたら、官にチンコロ(密 告)しやがんの。(囚人狂時代)】

このように、条件の形としてまとめて考察した「V-サセルト」、「V-サセレバ」、「V-サセタ ラ」は、現れる主節の事態が異なるという違いがみられた。このような違いが、動詞が「V-サセル」であるためにみられるものなのか、それとも条件表現「ト/バ/タラ」の違いからく るものなのか、今のところはっきりしないが、使役の意味にもいくらかかかわっているよ うに思われる。とくに、使役の意味を観点Ⅱから考えるときに、条件の形の「V-サセル」が

《つかいだての使役》を表す場合は、主節の事態が使役主体の動作・変化の結果の状態、

もしくは第三者の動作である場合が多いが、《みちびきの使役》を表す場合は主節に使役対

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象の動作・変化の結果の状態が現れやすい。そして、本稿で対象とした条件の形の「V-サセ ル」の全体から考えると、判断が難しい例があるものの、《つかいだての使役》よりも《み ちびきの使役》を表すものが多かった。このような分布は、第 3 章でみた連用の形の「V-サセル」とは異なる特徴である。しかしながら、本章で対象とした用例の数が少なく、さ らに用例を増やして考察する必要がある。

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