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認÷4(由)

第3節 .文章題から方程式を立式することの指導

表16.教科書で扱われている括弧の付いた1次方程式の例題

単 元 名 問      題 方   程   式 兄は2900円,弟は1800円持っていたが

方程式の利用 同じボールを兄は2箱,弟は1箱買った

ので,兄の残金は弟の残金より100円少 2900−2x=(1800−x)一100

(導入間題) なくなった。ボール1箱の代金はいくら

か。

ある遊園地の子ども1人の入園料は大人 方程式の利用

1人の入園料より900円安く,大人2人

と子ども3人で9800円である。大人1人, 2x+3(x.900)=9800

(例題1) 子ども1人の入園料をそれぞれ求めてみ

よう。

姉が500m離れた駅に向かって家を出て から6分後に,弟が同じ道を自転車で追

方程式の利用 いかけた。姉の歩く速さを分速50m,弟 50(6+x)一200x

(例題3) の自転車の速さを分速200mとすると,

弟は家を出てから何分後に姉に追いつく

かQ

現在,私は13歳で,父は46歳である。

方程式の利用 父の年齢が私の年齢の4倍になるのはい 46+x=4(B+x)

(例題5) っか。

(教育出版,中学数学1,p.88〜p.98)

 表16のように,教科書の中でも括弧が付いた方程式を立式することを数多く取り扱っ ている。このことから,「プロセプト的見方」が必要な問題は教科書にもあることが分か

る。

 表16の文章題はどれも,中学1年生にとって難しいとされるものである。方程式のか たちを見ても分かるように,未知数xとある数値を組み合わせた数量(括弧の部分)を,

ひとまとまりとして扱うことで,方程式が立式される問題構造になっている。すなわち,

これらの文章題では,「プロセプト的見方」ができなければ,表16のような方程式の立式 が困難となるのである。

 確かに,「プロセプト的見方」を要求する文章題が教科書で扱われているのであるが,

に,生徒が学習してきた方程式は,未知数xだけを計算対象とすればよい(「プロセプト 的見方」を必要としない)ものばかりで,その数量関係も,ごく単純なものであった。と ころが,単元末の「方程式の利用」において,表16のような立式過程に「プロセプト的 見方」を要求し,かつ,その数量関係もそれまでの学習内容に比べて格段に複雑となって いる文章題に,いきなり生徒は取り組むことになる。

 「プロセプト的見方」と数量関係の複雑さという二重の難しさが,生徒に課せられてい る点が,ここでの学習指導上の問題点である。まず,それまでに生徒が学習してきた単純 な数量関係での方程式を扱う中で,「プロセプト的見方」を要求する立式過程に習熟させ,

その後で,表16のような複雑な問題へと発展させていくような,きめの細かい指導が必 要と思われる。

そこで,次のような学習内容を提案する。

《文字式を計算対象として方程式を立式する文章題》

指導内容

① 計算対象がxだけの方程式を立てる。

お菓子が入った袋がいくつかある。

今,袋3つの重さと袋1っと100gのおもり1つをあわせた重さが つり合っている。

お菓子の袋1つ分の重さを求めなさい。

3x−x+100

② 上の問題を参考にして,計算対象が文字式である方程式を立てる。

お菓子が入った袋がいくつかある。

今 お 子屋さんのおばさんが 1袋に付き5のお 子をおまけ で入れてくれた

そしたら,袋3っの重さと袋1つと100gのおもり1っをあわせた 重さがっり合った。

・②の問題は,①の問題に下線部分が加わっただけの問題である。

したがって,②の問題での1袋の重さは,はじめの袋の重さをx gと すると,(x+5)gになる。

だから,①の問題の方程式のxの部分を,(x+5)に置き換えればよい。

 ②の問題は,同じ文脈と構造を持っ①の文章題と対比させることによって,簡単に立式 できると考えられる。②のような構造の易しい問題を,①の問題と表16のような問題の

「中問的な問題」として扱うことが,現在教科書で扱っている表16のような問題をいき なり解かせるより,生徒にとって理解しやすいのではないかと考えられる。

おわりに

 中学生の文字式の計算過程や文章題の解答を見たときに,次のような間違いをよく目に

する。

      3x+4y+2x=3x+2x+4y       ;5x+4y       =9xy

何故,生徒はこのような間違いをするのだろうか。どうして,5x+4yを9xyのような演算 記号のない形まで無理矢理計算してしまうのだろうか。このような問いから,本研究が始

まった。

 まず,中学校数学の文字式の概念形成に関して,生徒の文字式領域に見られる困難点を 挙げながら,先行研究などを基に考察した。その際,Gray,E&TallDの「プロセプト」と いう考え方を参考にした。「プロセプト」とは,プロセスと概念のいずれかあるいはそれ

ら両方を喚起する記号のことである。そして,5x+4yのような演算記号の入った文字式を r計算過程(プロセス)」とr計算対象(概念)」の両方でとらえる見方を,本研究では rプロセプト的見方」と呼んだ。

 次に,中学生が,中学校数学の文字式領域の学習内容において,この「プロセプト的見 方」がどの程度可能のかを調査した。その結果,「プロセプト的見方」ができない生徒が,

約1割いることが分かった。

 さらに,「プロセプト的見方」が,計算問題や文章題とどのような関連があるかを分析 した。その結果,「プロセプト的見方」ができる生徒は,「プロセプト的見方」ができな い生徒よりも,計算問題や文章題の正答率がよく,計算問題の計算過程において,式の一 部分をひとまとまりとしてみたり,問題解決場面で与えられた文字式を,次の問題解決に 利用したりする割合が高いことが分かった。

 これらの調査結果と分析をもとに,文字式の「プロセプト的見方」を伸ばすための指導 を,どのように行ったらよいかを考察し,3つの指導内容を提案した。

【文字式のrプロセプト的見方」を伸ばすための指導内容】

①文字式が答えを表すことの指導

②式の一部分をひとまとまりとして見ることの指導

    「(x+1)+(y+2)+(x+1)+(y+2)+(x+1)=3(x+1)+2(y+1)」

③文章題から方程式を立式することの指導

    「生徒がそれまでに学習してきた単純な数量関係での方程式     を扱い,その中で,「プロセプト的見方」を要求する立式過程     に習熟させる」

 この3つの指導内容を,現在行われている文字式の学習内容に加えることで,現在中学 校で見られるような生徒の文字式に対する間違いを,少しでも減らせることができるので

はないかと考えられる。

 今後の課題は,学校現場において,この指導内容をどのように実践し,このような学習 内容が,文字式の「プロセプト的見方」に対する有効な内容なのかを確かめていくことで

ある。

 最後になりましたが,本論文を作成するにあたり,懇切丁寧なご指導をいただきました,

國岡高宏先生,ならびに細部に渡って適切な指導をご示唆下さいました崎谷眞也先生に心 から感謝の意を表し,厚く御礼申し上げます。また,研究を進めるにあたり,貴重なご助 言をいただきました加藤久恵先生をはじめ,数学教室の先生方に御礼を申し上げます。

 そして,兵庫教育大学大学院における貴重な研究の機会を与えてくださいました鹿児島 県教育委員会,鹿児島市教育委員会,ならびに鹿児島市立桜丘中学校の校長先生をはじめ,

教職員の方々に深く感謝申し上げます。

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