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第3章  中学校数学の文字式領域における「プロセプト的見方』の

第1節  調査の概要

1.調査目的

 第1章と第2章で,中学生の文字式における典型的な間違いの例をいくつか紹介した。

その中で,演算記号の残っている文宇式を,計算過程と計算対象の両方として捉えること,

すなわち,文字式の「プロセプト的見方」が,中学校数学の文字式領域の学習内容におい て,大変重要であることを述べた。

 そこで,中学校数学の文字式領域における「プロセプト的見方」の調査を,以下の2点 について実施した。

(1)中学校数学の「文字式」領域において,「プロセプト的見方jが中学生にとってどの 程度可能なのかを調べる。

(2) 「プロセプト的見方」ができる生徒とできない生徒では,文字式の計算や文章題の解 法にどのような違いがあるのかを調べる。

2.調査問題

調査問題は澗題国一問題回の5題で構成されている。(表3)

表3.調査問題一覧表 大問

国 回

問 題 の 内 容

(1) (a+b)(a−b)

(2)(x+100+2)(x+100−2)

(3)(x+y+3)(x+y−3)

(1) (x+2)(x+3)

(2) (x+1+2)(x+1+3)

(3) (a+b+2)(a+b+3)

6a+b−2aと等しくなるものを選べ。

ア. 4+b       オ. 4X a X b イ. 4+a+b     カ. 4X a+b

ウ. a X4+b    キ. a X a X a X a+b

エ. a+a+a+a+b

月面のA基地にはアルミ資材がa

+2(本),B基地にはa−2(本)あり ます。次の(1),(2)の問に答えてく ださい。

(1)A基地とB基地とのアルミ資材 の合計は何本になりますか。次の①

〜③の中からあなたの考えに当ては まるものの番号をOで囲み,その理 由を書いて下さい。

①何本になるか分かる。

②式は分かるが,何本になるか分か

らない。

③A基地もB基地も何本か分からな いので,合計は分からない。

問 題 の 意 図

・式の展開問題において,式のある部分を ひとまとまりとして扱うことができるか を見る問題である。

・この問題はプロセプトとは直接関係はな いが,文字式の計算規則が理解できてい るかを見る問題である。

・a+2,a−2を計算過程としてでなく,

計算対象として立式し,計算することが できるかを見る問題である。

(2)A基地のアルミ資材はB基地の アルミ資材より何本多いですか。次 の①〜③の中からあなたの考えに当 てはまるものの番号をOで囲み,そ の理由を書いて下さい。

①何本になるか分かる。

②式は分かるが,何本になるか分か

らない。

③A基地もB基地も何本か分からな いので,何本多いかは分からない。

マッチ棒で正方形をn個作ったとき のマッチ棒の本数(3n+1)本を参 考に,マッチ棒で家の形をn個作

ったときのマッチ棒の本数を求めな

さい。

r/−/一『/一/ーノ』一/−/鐸/−/−!置/−1

11コニトー・1二I l

l       l

・ 1  2 一一一一一 n(個) ・

l       l

ヘ      ヘ

』』7/』7/編r/−/』7/窟/−/』r−−/』7/』r/』r』

      謬

  1  2 一一…一n(個)

・与えられた正方形n個に必要なマッチ棒

の本数(3n+1)本を1つのまとまりとし て捉え,家の形n個の問題に活かすこと

ができるか。

問題国と問題回は,それぞれ(1)の公式を利用して(2)(3)を解く問題である。その 際,それぞれの括弧の中の式にある共通な部分をひとまとまりとして見ることができるの か。もしできれば,すぐに(1)の公式を利用して解くことができるだろうし,できなけれ

(x+100+2)(x+100−2)篇(A+2)(A−2)

        =A2.22         =(x+100)2−4         =x2+200x+10000−4         =x2+200x+9996

 x+100をひとまとまりとして見ることができるということは,x+100をxと100を加え るという計算過程としてではなく,x+100を計算対象として見ることができるということ である。すなわち,「プロセプト的見方jができるということになると考える。

問題回は,文字式の基本的な計算規則力弐理解できているかを見る問題である・さら1こ・

複数の文字式の類似性を判断する際,式の形ではなく,演算の仕組みで判断することがで きるかを見る問題でもある。

問題囚は,文章中に与えられたa+2糊を計算過程としてではなく,計算対象とし

て見ることができるかを見る問題である。問題文中にあるA基地やB基地のアルミ資材の 本数a+2やa−2を,まだ演算記号「+」や「一」が残っているので計算過程として見てし まうと,a+2やa−2の計算をしようとしてその結果が分からずに立式できなかったり,a+2 やa−2を2aや一2aと無理矢理閉じた形にしてしまって誤った式を立ててしまったりするこ とに成りかねない。このような生徒は,選択肢の③「A基地もB基地も何本か分からない ので、合計は分からない。(何本多いかは分からない。)」を選ぶと考えられる。

問題国は澗題解決場面で与えられた解答や文字式を・次の問題解決に利用できるか を見る問題である。具体的には,与えられた正方形n個に必要なマッチ棒の本数(3n+1)

本を1つのまとまりとして捉え,家の形n個に必要なマッチ棒の本数を求める解法に活か すことができるかという問題である。

問題国と問題回は式の中にある一部分をひとまとまりとして扱うことができるかを

見る問題で励一方澗題回は問題解決場面において・先に与えられた解答や文宇式

をひとまとまりとして扱うことができるかを見る問題である。

 この問題を,枠内に与えられた正方形n個のマッチ棒の本数(3n+1)本をひとまとまり

作るときのマッチ棒の本数を求めなさい。)の解法に生かせると思われる。その解答の例

を次に挙げる。

r/』ワ/億/−/億/−/ーノ』7/』7/一/−/躍1躍ノ窟/蛋/窟/鐸ノーノ御−−、

ヘ       ヤ

1      亀

i/〉〉\一・/\i奪驚加わ旋

ヤ       ヘ

l      l

、』■7ノ』暉r/』■『−』■r/一/』■rノ』■7−ーノ』■「/』■『ノ』■7ノ」■7ノ』■7ノ』■7ノ』■『ノ』■7ノ』■7ノ』■7ノ』■7ノ』■7卜

r/∬/−/−/−/一『/−/一/−/置/−/』7/iノーノー/−/−/−/躍/一、

ヤ       ペ

ヤ       ペ

1      唾

、』■Fノ』■『/−/』■「/』■『/』■r/−/』■7!』■7/』■7/』■7!」■「/』■r/』■7/』■r/置/』■7/』■7/』■7/』■『、㌧

求めるマッチ棒の本数=与えられた部分+新たに加わった部分

         =(3n+■)+2n          =3n+1+2n          =5n+1

3.調査方法

調査時期は,2003年5月中旬である。調査対象は,鹿児島県公立中学校3年生179名

と,鹿児島県公立高等学校1年生78名である。調査時間は,30分である。

第2節 結果と分析

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