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C 警告状受領者が実用新案権又は意匠権を取得していた場合

もし警告状受領者が実用新案権又は意匠権を取得していた場合、当該実用新案権又は意匠権を 原告に対して行使できないかという点についての調査を徹底的に行うべきである。もし、当該実 用新案権又は意匠権を原告に対して行使できる可能性がありそうだということになれば、上記B と同様、原告と警告状受領者の立場は対等となり、相互に権利行使を取り止める等の内容の和解 が成立する可能性が高くなる。但し、無審査登録である実用新案権及び意匠権は、権利の有効性 が安定しておらず、無効審判を申し立てられて権利が無効とされる可能性があり得ることには留 意を要する。

また、もし警告状受領者が警告対象の技術につき防御的に実用新案権又は意匠権を取得してお り、かつ、警告状を出した原告の特許出願よりも当該実用新案権又は意匠権の出願の方が早かっ た場合、少なくとも当該実用新案権又は意匠権を出願した時点において当該技術は公知・公用で あったとの主張により、和解に向けた交渉ができる可能性がある。無審査登録である実用新案権 及び意匠権は、権利の有効性が安定しておらず、無効審判を申し立てられて権利が無効とされる 可能性はあるが、この場合は防御的に実用新案権又は意匠権を取得していただけなので、当該技 術が公知・公用であることを理由に原告の権利行使を防御できれば、本来の目的は十分達せられ る。

D 警告状受領者が警告対象の技術につき公知・公用の公証をしていた場合

この場合も、もし警告状受領者が警告対象の技術につき防御的に公知・公用の公証をしており、

かつ、警告状を出した原告の特許出願よりも公知・公用の公証の方が早かった場合、少なくとも 当該公証をした時点において当該技術は公知・公用であったとの主張により、和解に向けた交渉 ができる可能性がある。この場合、原告の権利行使を防御するという目的は達せられる。

登録を認めるか否かを決定し、かつ書面で申請者に通知する(8条1項前段)。知的財産権税関保 護の登録は、税関総署が登録を認めた日から効力を生じ、有効期間は10年とされている(10条 1項)。

B 貨物の差押

(ア)申請書等の提出

知的財産権者は、権利侵害の疑いのある貨物が輸出入されようとしているのを発見したときは、

貨物出入国地の税関に、権利侵害の疑いのある貨物の差押を申請することができる(12 条)。ま た、知的財産権者は、税関に権利侵害の疑いのある貨物の差押を求めるときは、申請書及び関連 証明文書を提出し、かつ権利侵害の事実が明らかに存在することを証明するに足る証拠を提供し なければならない(13条1項)。

(イ)担保の提供

知的財産権者は、税関に権利侵害の疑いのある貨物の差押を求めるときは、税関に「貨物の価 額を超えない担保」を提供しなければならない。これは、申請が不適当であったことにより荷受 人又は荷送人にもたらす可能性のある損害の賠償並びに貨物が税関に差し押さえられた後の蔵置、

保管及び処置等の費用の支払にあてるためである(14条前段)

(ウ)差押の申請に係る手続

「知的財産権者が差押を申請した場合」において、適法な申請書等を提出し、かつ担保を提供 したときは、税関は、権利侵害の疑いのある貨物を差し押さえ、書面で知的財産権者に通知し、

かつ税関差押証明書を荷受人又は荷送人に送達する。知的財産権者が、適法な申請書等を提出せ ず、又は担保を提供しないときは、税関は、申請を却下し、かつ書面で知的財産権者に通知する

(15条)。

「税関が登録された知的財産権侵害の疑いに気付いた場合」は、税関は、直ちに書面で知的財 産権者に通知する。知的財産権者が通知送達日から 3 執務日以内に、適法な申請書等を提出し、

かつ担保を提供したときは、税関は、権利侵害の疑いのある貨物を差し押さえ、書面で知的財産 権者に通知し、かつ税関差押証明書を荷受人又は荷送人に送達しなければならない。知的財産権 者が期間内に申請書等を提出せず、又は担保を提供しないときは、税関は貨物を差し押さえては ならない(16条)。「税関が登録された知的財産権侵害の疑いに気付いた場合」で、かつ知的財産 権者に通知した後、知的財産権者が税関に権利侵害の疑いのある貨物の差押を求めた場合、税関 は、差押の日から 30 執務日以内に、差し押さえた権利侵害の疑いのある貨物による知的財産権 侵害の有無を調査し、認定しなければならない(20 条前段)。このように、あらかじめ知的財産 権の登録をしておくことにより、税関から通知を受けることができ、貨物の差押の機会を逸する 可能性が小さくなるという効果が期待できる。また、知的財産権の登録をしておけば、いざ貨物 を差し押さえる段階で、税関の迅速な対応が期待できる。

税関が権利侵害の疑いのある貨物を差し押さえた場合、知的財産権者は、関連の蔵置、保管及 び処置等の費用を支払わなければならない(25条 1項前段)。権利侵害の疑いのある貨物が知的 財産権を侵害すると認定された場合、知的財産権者は、その支払った関連の蔵置、保管及び処置 等の費用を、自らが権利侵害行為を阻止するために支払った合理的支出に算入することができる

(25条2項)。

C 荷受人又は荷送人の対抗手段

荷受人又は荷送人は、その貨物が知的財産権者の知的財産権を侵害していないと認めるときは、

税関に書面による説明を提出し、かつ関連証拠を添付しなければならない(18 条)。特に「特許 権」を侵害する疑いのある貨物の荷受人又は荷送人は、その輸出入貨物が特許権を侵害していな いと認める場合、税関に貨物の価額と同額の保証金を納付した後、税関にその貨物の通関許可を 求めることができる。特許権者が合理的期間内に人民法院に訴えを提起しないときは、税関は、

上記保証金を返還しなければならない(19条)。

D 没収

差し押さえた権利侵害の疑いのある貨物が税関の調査を経て知的財産権を侵害すると認定され た場合、税関が没収するが、その後の手続は、場合により異なる。①没収された知的財産権を侵 害する貨物を社会公益事業に用いることができる場合は、税関は、関連公益機関に引き渡して社 会公益事業に用いさせる。②知的財産権者に買取りの意思がある場合は、税関は、有償で知的財 産権者に譲渡することができる。③没収された知的財産権を侵害する貨物を社会公益事業に用い ることができず、かつ知的財産権者に買取りの意思がない場合は、税関は、権利侵害の特徴を取 り除いた後、法に従い競売することができるが、商標冒用貨物の輸入については、原則として、

貨物上の商標標識を取り去るだけではそれを商業ルートに入れることは認められない。権利侵害 の特徴を取り除くことができないときは、税関は、これを廃棄する(27条)。

知的財産権税関保護条例12条及び13条によれば、特許権者は、権利侵害の疑いのある貨物が 輸出入されようとしているのを発見したときは、貨物出入地の税関に、権利侵害の疑いのある貨 物の差押を申請することができ、事前に税関総署に届出を行っていないものについても差押を申 請することができる。但し、申請と同時に、同条例 14 条に従い、申請が不適当であったことに より荷受人又は荷送人にもたらす可能性のある損害の賠償並びに貨物が税関に差し押さえられた 後の蔵置、保管、処置等の費用の支払に充てるため、貨物の価値を超えない担保を提供しなけれ ばならない。知的財産権の権利者が蔵置業者に蔵置、保管費用を直接支払う場合は、担保から控 除する。

特許権侵害物品は、商標権侵害物品とは異なり、税関職員が外から見ただけでは、それが特許 権侵害物品であるのか否か判断することは、通常は難しいであろう。しかし、意匠特許権の場合 は外から見ただけでも特許権侵害物品であると判断できるケースは少なくないと思われ、実用新 案特許や発明特許の場合であっても、具体的事情によっては、税関措置により輸出入の差止めが できないとは限らないと思われる。

なお、最終的に権利侵害を構成しないと認定された場合には、申請者は差押を受けた権利者(被 疑侵害者)から損害賠償を請求される可能性がある。