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2.石けん膜の性質 41

 石けん膜は,与えられた枠の中で,なるべく面積が最小,あるいは極小になるよ うな膜を張るという性質がある。

 この章では,微分を使ってその規則性を解析し,石けん膜の性質を調べていく。

 第1節では,3点スタイナー問題について,まず,微分を用いない方法で証明す

る。この証明法は,後で紹介する中学校選択数学の教材の展開例で取り入れている。

 次に,微分法を後いて,3点スタイナー問題の証明を与え,第3節において利用

する。

 第2節では,観察から得られた正四面体の枠に張られた膜が,どのような状態で

安定しているのかを調べていく。

 第3節では,石けん膜の一般的な張り方に着目する。

 実験や観察を繰り返すと,石けん膜は,色々な枠の中で膜を作る。そこで,膜の 張り方関する2つの事象について調べていく。

 1つめは,縁のある3曲面が,同一の曲線を共通の縁(これを接続線という)と して接続しているとき,これら3つの曲面の面積の総和が極小または最小になるの

は,それぞれの曲面が,どのような交角を作っている状態かを調べていく。

 2っめは,1点を始点として接続している(この点を接続点という)接続線4本

が,どのような交角を作っているのか調べていく。

2.1 3点スタイナー問題について

問題2。L1.平面上に,同一直線上にない3点A,B,0がある。同じ平面にある点P をとる。このとき,3点とPを結ぶ距離の総和P。4+、PB+POが最小になるとき,

Pは,どのような位置にあるときか。

補題2.1.1.P.4+PB+POを最小にする点一Pは,△ABσの周上か内部にある。

 証明 図2.4のように,点0とPが,直線A8について反対側にあるとする。ま た,0からPP におろした垂線の足をHとする。

いノ

o

B

P

P

E

︵1︶

k∠ノ

0 B

P E

P

(2)

図2.4;直線。4βと点σ,Pの関係

 このとき,図2。4の(1),(2)ともに,Pノ∬〈PEである。よって,三平方の定理

から,

        P σ2=OE2+P 解<OE2+PE2=.PO2

2.石けん膜の性質 42

だから,P 0<一POになる。よって,P。4+Pβ+POを最小にする点Pは,直線 AB上か直線ハβについて0と同じ側にある。

 同様に,直線Bσ,直線OAにっいて考えていけば,一Pは,直線βσ上か直線Bσ

について孟と同じ側にあり,直線0・4上か直線0・4についてBと同じ側にある。

 したがって,P.4+Pβ+POを最小にする点Pは,△。4β0の周上か内部にある。

      証明終

命題2.1.2.平面上に同一直線上にない3点ハ,B,0がある。△。4BOの内部または

周上にある点Pをとると,PA+PB+Pσが最小になるPは,次の各場合に分け

られる。

 (1)すべての内角が120度未満のときは,∠・4PB=∠βPO=∠OP・4=1200

となるような点Pが△。4BOの内部に存在する。

 (2)一つの内角が120度以上のとき(∠.A≧120Qとする)は,点Pは,点ハと一

致する。

証明 (1)すべての内角が120度未満のとき

.(2

0

図2・5:△ABOとその内部の点P(P≠・4)

 図2,5のように,△、4.80とその周上または内部の点一Pに対して,△。4BP,△P−B(〜

が正三角形になるようにD,Qをとる。

 このとき,△ABPと△DBQで,

・4B=Pβ, Pβ=9B, 乙4βP=∠Pβ(〜

より,ムハBP…△五)jg(〜となるから,

P/1十PB十Pσ=P(2十(〜P十PO≧PO

が成り立っ。

 だから,P.A+Pβ+POニPOになる点Pが存在すれば,この点が求めるもの

である。

 このような点は,図2.6のように正三角形。4σEをBの反対側に作り,同様の議

論を行えば,線分一〇〇とBEとの交点P*として求められる。

2.石けん膜の性質 43

E

      P*

       B       O

        図2.61P、4+PB+Pσが最小になる点P*

 次に,P*。4,P*B,P*0のなす角について調べる。図2.6から,

        ムハB五7≡ムノ1五)0より,∠ノ1βE・=∠。4五)0 したがって,4点、4,P,B,P*は同一円周上にある。よって,

      ∠P超=∠1)P*β=60。,乙4−P*一D=∠ハBO=600

になるから,∠AP*B=120Qが得られる。

 また,

       ∠BP*0=1800 一∠1)P*B

より,∠EP*0ニ1200,さらに,∠βP*0=1200が導かれる。

 ところで,P.4+PB+PO=POであればPは線分PO上にあり,P。4+PB+PO=

βEであればPは線分一βE上にある。そのどちらも満たす点はP*のみである。

 よって,上述の点P*をあらためてPとおけば,△。4β0のすべての内角が120 度未満のとき,∠・4PB=∠BPσ=∠OP・4ニ1200となるような点Pが△・4BOの

内部に存在する。

 (2)1つの内角が120度以上のとき

 例として,∠BAσ≧120Qで,△ABOの内部または周上の点P≠。4とする。

 (乞)図2,7のようにPβ>、4Bのとき

          ハ

        B       σ

      図2.7:PB>、4Bのときの・4,B,σ,Pの位置関係

このときは,P。4+PB+PO>。4B+PA+PO>、4B+AOになる。

(劾図2。8のように一PB≦ABのとき

2.石けん膜の性質 44

D

       o

       図2.8:Pβ≦。4Bのときの。4,.B,0,Pの位置関係

 図2.8における△・4BPおよび△BP(2は正三角形として,△。4BP≡△PB(2だ

から,

       P/1十PB十PO二五)(2十(2P十PO≧五)P十PO

      >五)ノ1十ノ10=ノ1B十ノ10

が成り立つ。よって,(¢),(萄の場合において,P.A+PB+一PO≧・4B+・40が言

える。

 したがって,△。4BOの1つの内角∠。4≧1200のとき,求める点Pは孟と一致し,

。4B+ノ10が最小になる。      証明終

 この証明法については,後述の指導案の中に用いる。

 また,微分法を用いて証明すれば,頂点以外の点で極小になるPがP・4+PB+Pσ を最小にする点であることが分かる。

命題2.1.3.3点・4,B,0以外のある点PでP・4+PB+POが極小になれば,その 点でP.A+PB+POは,最小となる。

 証明

 4点。4,B,0,Pを

       ハー(1)・B一(曽),・一(ll),P一(1)

とし,z軸ッ軸方向の単位ベクトルをそれぞれ       宙一(1),房一(1)

とする。このとき,

      ゑ(1),並eの炉一(1功

2.石けん膜の性質 45

と表されるから,

    ∫(鋤一1國国1訓国1副1