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第 6 章 量子重力と共形場理論 75

6.8 相関関数と物理的共形次元

で与えられることから、関数ω

i[QBRST, ω(x)] =cµµω(x) = −ω∂µcµ(x)

と変換する。このとき二番目の等式でcµω = 0を使った。この交換関係 を使うと、ωと共形次元∆ = 4のプライマリースカラー場の積は

i[QBRST, ωO(x)] = 1

4(∆4)ω∂µcµO(x) = 0 のようにBRST不変な局所演算子になる。

このように、BRST不変な場の演算子は共形次元が4のプライマリー スカラー場で与えられる。一方、プライマリーテンソル場やデッセンダン ト場全般は、スピン項の存在や良い変換性をもたないことのためBRST 不変にならないので、一般座標不変な物理演算子から排除される。

6.8. 相関関数と物理的共形次元 99 と表すことが出来る。ここで、

s= 4b1 α n

i=1

γi α

である。⟨· · ·⟩は自由場表示での相関関数を表す。2次元では相関関数を 計算する方法が開発されているが、4次元量子重力ではまだその方法は確 立していない。

相関関数の計算は難しいけれども、その振る舞いを規定する場On = Aneγnϕの物理的な共形次元は次のように計算することができる。ここで、

Anは偶数n個の微分を含む演算子である。その物理的共形次元を∆nと して定数Weylスケール変換d4xOn →ω4nd4xOnを考える。距離の基 準となるn= 0の宇宙項演算子のスケーリング次元をゼロとすると、Weyl スケール変換はRiegert場のゼロモードのシフトϕ0 →ϕ0+ (4/γ0) lnωと して表される。ゼロモード因子eγnϕ0 をもつ物理場On (n > 0)はこの変 換の下でd4xOn ωn0d4xOnと変換することからそのスケーリング 次元は

n = 44γn γ0

で与えられることが分かる。この物理的次元はラージNの古典極限b1

で∆n →nのように正準値である微分の数になる。

これら一般座標不変な物理状態は正と負の計量のモードが混じり合っ た状態として記述され、負計量のモードが単独で現れることはない。こ の点が1970年代に研究された高階微分量子重力との大きな違いの一つで ある。当時は、すべての重力場を摂動的に扱っていたことから、ゲージ 対称性として(6.2.2)のように場に依存しない変換だけを考慮していた。

そのため、結合定数が消える極限では正と負の計量のモードがゲージ変 換で混じることなく、ゲージ不変な漸近場として負のモードが現れてユ ニタリ性を壊していた。一方、ここでは共形因子を厳密に扱ったことに より、一般座標不変性をあらわす共形不変性が正と負のモードを結びつ けて、負のモードが単独で現れることを禁止している。

このことから、ユニタリ性にとって大事なのは重力場作用の全体の符 号の正しさであって、個々にはゲージ不変でない各モードの符号ではな い。いま考えている量子重力の作用は下にバウンドされた正しい符号を もっているので、経路積分が正しく定義される。このように、物理場の 実数性を破るような要因が存在しないことから、その2点相関関数の振 幅はユニタリ性の条件である正の数となることが期待される。特にn = 2 のスカラー曲率に相当する演算子の2点相関関数は宇宙初期のスケール 不変なスペクトルを与えると考えられる。

結合定数が大きくなるとさらに相互作用によっても正と負のモードが 混じり始める。一方、共形不変性は破れ始め、いわゆる漸近場を定義する ことのできる古典的な時空が現れる。この場合は1970年代のLeeとWick の議論が適用できて、負計量のモードは相互作用によってその伝播関数 の極が虚数となり、現実の世界には現れないことが示せる。このように 負計量のモードは量子論的なバーチャル状態として、特異点の解消やく りこみ可能性を保障するために存在するゴーストで、現実の世界に現れ ることはないと考えられる。それは、4階微分量子重力作用が(6.1.1)の ようにh¯を含まないことからも示唆される。

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