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第 7 章 量子重力の物理状態 101

7.2 共形変換の生成子

2)hiT|J=1/2 = 0をみたすモードで、ゲージ条件として落している。この展

開の下で交換関係は [cJ1(M1x1), cJ

2(M2x2)] =[dJ1(M1x1), dJ

2(M2x2)] =δJ1J2δM1M2δx1x2, [eJ1(M1y1), eJ

2(M2y2)] =−δJ1J2δM1M2δy1y2

と規格化され、cJ(M x)は正計量、dJ(M x)及びeJ(M y)は負計量になる。 Hamil-ton演算子は

H =

J1

M,x

{2J cJ(M x)cJ(M x)(2J + 2)dJ(M x)dJ(M x)}

J1

M,y

(2J + 1)eJ(M y)eJ(M y) (7.1.6) で与えられる。

7.2 共形変換の生成子

ここでは一般座標変換/共形変換の生成子Qζ ={H, RM N, QM, QM}を 求める。スカラー場の場合はすでに第三章3.4節で求めたので、以下では それを参照して、その他の場の生成子を求める。

ゲージ場 ゲージ場のストレステンソルは Tµν =FµλFνλ 1

4gˆµνFλσFλσ

で与えられる。ここで、Fµν = ˆgµλFλνである。このテンソルは自明にト レースレスになる。

輻射ゲージA0 = ˆiAi = 0のもとで、定義式にストレステンソルを代 入して共形変換の生成子を求める。Hamilton演算子はすでに(7.1.1)で求 めたものになる。特殊共形変換の生成子は

QM =

J12

M1,y1,M2,y2

D

1 2M

J(M1y1),J+12(M2y2)

(2J+ 1)(2J + 2)

×(−ϵM1)qJ(M

1y1)qJ+1

2(M2y2)

となる。新たに導入されたSU(2)×SU(2)Clebsch-Gordan係数DD

1 2M

J(M1y1),J+12(M2y2) =

V3

S3

dΩ3Y1 2MYJ(Mi

1y1)YiJ+1

2(M2y2)

=

J(2J + 3)C

1 2m

J+y1m1, J+12+y2m2C

1 2m

Jy1m1, J+12y2m2

と定義される。係数Dの一般的な式は付録E.2に与えてある。S3回転の 生成子については、その具体的な式は以下の議論に於いてあまり重要で はないので省略する。

Riegert場 Riegert-Wess-Zumino作用を背景時空について変分すると、

Riegert場のストレステンソル Tµν = b1

2

{

4 ˆ2ϕ∇ˆµˆνϕ+ 2 ˆµˆ2ϕ∇ˆνϕ+ 2 ˆνˆ2ϕ∇ˆµϕ +8

3

ˆµˆλϕ∇ˆνˆλϕ−4 3

ˆµˆνˆλϕ∇ˆλϕ+ 4 ˆRµλνσˆλϕ∇ˆσϕ +4 ˆRµλˆλϕ∇ˆνϕ+ 4 ˆRνλˆλϕ∇ˆµϕ− 4

3

Rˆµνˆλϕ∇ˆλϕ− 4 3

Rˆˆµϕ∇ˆνϕ

2 3

ˆµˆνˆ2ϕ−4 ˆRµλνσˆλˆσϕ+14 3

Rˆµνˆ2ϕ+ 2 ˆR∇ˆµˆνϕ

4 ˆRµλˆλˆνϕ−4 ˆRνλˆλˆµϕ−1 3

ˆµRˆˆνϕ− 1 3

ˆνRˆˆµϕgµν

[

ˆ2ϕ∇ˆ2ϕ− 2 3

ˆλˆ2ϕ∇ˆλϕ− 2 3

ˆλˆσϕ∇ˆλˆσϕ− 8 3

Rˆλσˆλϕ∇ˆσϕ +2

3

Rˆˆλϕ∇ˆλϕ+ 2 3

ˆ4ϕ+ 4 ˆRλσˆλˆσϕ−2 ˆR∇ˆ2ϕ+1 3

ˆλRˆˆλϕ を得る。そのトレースはTλλ =(b1/4π2)×∆ˆ4ϕ = 0のようにR×S3

のRiegert場の運動方程式に比例して消える。

Hamilton演算子はすでに(7.1.4)式で与えられている。特殊共形変換の 生成子は定義式に従って求めると

QM = (

2b1−iˆp)a1

2M

+

J0

M1,M2

C

1 2M

J M1,J+12M2

{

α(J)ϵM1aJ−M1aJ+1

2M2

+β(J)ϵM1bJM1bJ+1

2M2 +γ(J)ϵM2aJ+1

2M2bJ M1}

7.2. 共形変換の生成子 109 となる。ここで、係数Cはスカラー場のときに導入した(4.3.2)式と同じ である。その他の係数は

α(J) =

2J(2J+ 2), β(J) =−(2J+ 1)(2J+ 3), γ(J) = 1(7.2.1) で与えられる。回転生成子の具体的な式は以下の議論で使わないので省 略する。

ここで、計算に役立つ式として、SU(2)×SU(2)Clebsch-Gordan係数 の間に成り立つ交差関係式(4.3.3)を使うと、QMQN の交換関係の非 対角成分が消えることが簡単に示せる。また、次の節で物理状態を求め る際にも有用である。

Riegert場の共形変換は、生成子と場の演算子との交換関係を用いて

i[Qζ, ϕ] =ζµˆϕ+1

4ˆµζµ (7.2.2) と表すことができる。特殊共形変換の場合はスカラー場のときに使用し た調和関数の積の展開式(E.3.1)を使うと容易に示すことができる。

トレースレステンソル場 最後に輻射+ゲージでのトレースレステンソ ル場の共形変換の生成子を与える。

その前に、前節で述べた輻射+ゲージ固定条件について注釈する。通 常の輻射ゲージ条件ˆihi = ˆihtrij = 0とh = 0を保つ残りのゲージ自 由度は方程式δκh = (3∂ηκ0 + ˜ψ)/2 = 0、δκ( ˆihi) = ηψ˜+23κ0 = 0、

δκ( ˆihtrij) = (23+ 2)κj+ ˆjψ/3 = 0˜ で表される。ここで、ψ˜= ˆλκλで ある。これらの式は残りのゲージ自由度が共形Killingベクトルで張られ る15個のゲージ自由度よりも広いことを表している。すなわち、二番目 の方程式は共形Killing方程式(4.2.1)の二番目の条件よりも弱く、S3の Killing方程式の解としてηκi ̸= 0を満たすものが存在して、任意の時間 の関数をf(η)とするとκµ = (0, f(η)Y1/2(M y)i )の解が許されることが分か る。このゲージ自由度を使ってhTiJ = 1/2の自由度を取り除くことが でき、ゲージ固定条件(7.1.3)を課すことができる。輻射+ゲージ固定後 の残りの一般座標変換の自由度は共形Killingベクトルと同じになり、そ れが共形変換の自由度になる。

Hamilton演算子Hはすでに(7.1.6)で与えている。特殊共形変換の生 成子は結果のみを書くと

QM =

J1

M1,x1,M2,x2

E

1 2M

J(M1x1),J+12(M2x2)

{

α(JM1cJ(M

1x1)cJ+1

2(M2x2)

+β(J)ϵM1dJ(M

1x1)dJ+1

2(M2x2)+γ(J)ϵM2cJ+1

2(M2x2)dJ(M1x1)} +

J1

M1,x1,M2,y2

H

1 2M

J(M1x1);J(M2y2)

{

A(J)ϵM1cJ(M

1x1)eJ(M2y2) +B(J)ϵM2eJ(M

2y2)dJ(M1x1)} +

J1

M1,y1,M2,y2

D

1 2M

J(M1y1),J+12(M2y2)C(JM1eJ(M

1y1)eJ+1

2(M2y2)

となる。係数α(J)、β(J)、γ(J)はRiegert場のときと同じ(7.2.1)式にな る。さらに

A(J) =

4J

(2J1)(2J + 3), B(J) =

vu

ut 2(2J + 2) (2J1)(2J + 3), C(J) =

vu

ut(2J 1)(2J+ 1)(2J+ 2)(2J + 4) 2J(2J+ 3)

の係数が現れる。また、新たなSU(2)×SU(2)Clebsch-Gordan係数 E

1 2M

J(M1x1),J+12(M2x2) =

V3

S3

dΩ3Y1 2MYJ(Mij

1x1)YijJ+1

2(M2x2)

=

(2J1)(J + 2)C

1 2m

J+x1m1,J+12+x2m2C

1 2m

Jx1m1,J+12x2m2, H

1 2M

J(M1x1);J(M2y2)=

V3

S3

dΩ3Y1 2MYJ(Mij

1x1)ˆiYjJ(M2y2)

=(2J 1)(2J+ 3)C

1 2m

J+x1m1,J+y2m2C

1 2m

Jx1m1,Jy2m2

が必要になる。これらの係数の一般的な式は(E.2.2)と(E.2.4)で与えら れる。

この生成子は、定義に従ってWeyl作用のストレステンソルから直接求 めるのではなく、六つの係数α、β、γ、A、B、Cの値をあらかじめ指定 せずに、共形代数が閉じるようにそれらの値を決定して求めた。その際、

ベクトル及びテンソル調和関数の積の展開にたいして成り立つ交差関係

7.3. BRST演算子と物理状態の条件 111