診療情報管理
因となった 1 症例
朝倉亮子(あさくらりょうこ)・楠 泰臣 渥美病院
中心静脈ポート感染/患者指導/継続看護
〈緒言〉退院先を選択する際,家族は身体的要因や社会的要因によ り,日常生活動作(以下ADL)が改善しないと在宅退院は難しい との声が多い。そこで,在宅退院を希望している患者に対して,日 常生活の動作目標を患者・家族と共有することで在宅復帰にどのよ うに影響するのか検証する。
〈症例〉A氏・90歳女性。退院時までに本人・家族ともに移乗動作 の自立を希望。動作目標は移乗動作がふらつきなくできるとし,10 日間の立位訓練を実施。目標の動作は獲得でき,転入34日目で在宅 へ退院。B氏・80歳女性。退院時までに本人は歩きたい,家族は自 分で何でもできるようにと希望。動作目標はトイレ動作を行なうこ とができるとし, 1 日 5 回のトイレ動作を 3 週間実施。目標の動作 は獲得できなかったが大変だけど協力してみるとの声がきかれ,転 入54日目で在宅へ退院。
〈考察〉患者のADL状況や家族背景,在宅での環境などを調査し,
目標を設定したことで,患者個人にあった具体的な援助方法の提供 が行なえた。事前に目標を患者や家族へ説明したことで,家族の望 む日常動作と動作目標や獲得した動作とのすり合わせができ,在宅 への退院につながった。
〈結論〉日常生活の動作目標を患者・家族と共有することで,在宅 復帰に影響することが考えられる。
〈目的〉A病院に勤務する看護師の自己教育力と個人特性との関連 を明らかにすること。
〈方法〉A病院に勤務する看護師を対象に無記名自記式質問紙によ る調査を実施した。個人特性と自己教育力について単純集計を行 なった 後,Mann-WhitneyのU検 定 およびKruskal-Wallisの 検 定を行なった。調査はA病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。
〈結果〉年代別の自己教育力は20代後半と40代前半で低下し,40代 後半になると再び上昇していた。性別や学歴,婚姻状況,子供の有 無による有意差は認められなかった。看護師としての明確な目標を 持っている者の方が自己教育力は有意に高かった。
〈考察〉先行研究において役割をもつ者の自己教育力は有意に高い と言われている。40代後半の自己教育力の上昇は,この年代の看護 師が役職や主要な委員会の運営を担っているためであると考えられ た。また,学習意欲には目標意識が重要であると言われている。A 病院看護師においても看護師としての明確な目標を持つことが自己 教育力を高めるために必要であることが示唆された。
〈結論〉A病院看護師の自己教育力を高めるためには,役割を与え 役割遂行を支援すること,個々の価値観や生活背景にあった目標設 定を行なうことが必要であると考えられた。
〈緒言〉中心静脈ポート(以下CVポート)を使用して抗癌剤治療 をうける患者数は増加傾向にある。今回,抗がん剤治療継続中に CVポート周囲の皮膚トラブルが原因で使用出来なくなった事例を 経験したので報告する。
〈症例〉70歳代男性。直腸癌にて人工肛門造設術,多発肝転移,肺 転移あり,CVポート埋め込み術を行ない化学療法を実施。FOLFOX
+P-mab:14 クール,FOLFIRI+Bev:13 クール, ロンサーフ+
Bev:継続中。CVポートから抗がん剤治療を開始後,約 2 年経過
した時にCVポート部の皮膚トラブルが出現,処置を行なった。そ の後,膿の排出がみられCVポートを抜去した。患者からは「洗っ ていなかった」と発言があり,在宅での管理指導を受けていなかっ た。関連部署の看護師においても患者のポート管理状況や指導され た内容について把握できていなかった。
〈考察・結論〉当院にはポート造設患者に対する在宅管理パンフ レットや統一された指導,運用マニュアルはない。治療時には副作 用やCVポートの皮膚の観察は行なうが,日常生活指導は不十分で あった。同一部位へ繰り返し穿刺を行なうことが創傷治癒の遅延に 繋がる他,ポート管理に対する各部署の役割認識,継続看護の不足 など,看護師側の問題がポート感染に至る要因となった可能性があ る。
〈はじめに〉周手術期の入院患者は,日常的に医療機器が使用さ れ,装着後の圧迫による皮膚障害が多発している。MDRPU対策 として現状を把握し,予防ケアの標準化を図るために実態調査を行 ない,考察した結果を報告する。
〈研究方法〉褥瘡発生届から年齢,性別,原疾患,発生部位と創の 深さ,原因となった医療関連機器の数的データを解析。
〈結果・考察〉当院は,70歳以上が58.3%を占め,高齢者の入院が 多い。医療関連機器を装着する原疾患が多く,深部静脈血栓塞栓症 予防用弾性ストッキング(ES)装着による,真皮までの創傷発生 が過半数以上であった。この結果から,サイズ・形状の不一致など の機器要因と,発見の遅延が推測され,医療安全上の視点が必要で あることがわかった。また,予防対策として発生要因の観察や適切 なフィッティング等の教育と同時に,ケア標準化を整備する必要も あり今後の課題が明らかとなった。
〈結論〉①患者の多くは高齢者で医療関連機器を長期間装着する疾 患が多いため,皮膚疾患の発生リスクが高い。②MDRPU発生で 最も多い部位は下肢と足であり,創傷発生に関与した医療関連機器 はESが最も多い。③ケア基準の標準化が必要。④医療安全委員会 と連携強化が必要。
O-077 危険予知カンファレンス実施による病棟看護師のリス
ク感性の変化
池田佳奈(いけだ かな)・小木曽千恵子・川地穂奈美・大脇真弓・
飯盛宏美東濃中部医療センター東濃厚生病院 危険予知カンファレンス/リスク感性
O-078 医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の実態調査と今
後の課題
寺本純子(てらもと じゅんこ)・山本紀代美 周東総合病院
医療関連機器圧迫創傷/医療用弾性ストッキング/医療安全
O-079 急性期病棟看護師の病棟デイケアに関する認識調査
─デイケア導入に向けて─
柴田愛子(しばた あいこ)・三浦明美・齋藤ミヨ子・佐々木美香 秋田厚生医療センター
病棟デイケア/急性期病棟
O-080 化学療法を受ける患者の情報提供へのニーズとケア
─化学療法導入前オリエンテーションをはじめて─
臼井美和(うすい みわ)1)・鈴木有希子1)・永井美由紀2)・安田貴代3)・ 村田永美子3)・阿部徳子3)
相模原協同病院外来化学療法センター1)・同 外来化学療法センター2)・ 同 看護部3)
化学療法導入/オリエンテーション/ニーズとケア
〈目的〉当病棟は,急性期から回復期といった幅広い病期の患者が 入院し,認知症患者も少なくない。複雑多様な業務の中で安全な看 護を提供するために看護師のリスク感性を高める必要がある。危険 予知カンファレンス(以後KYK)を定例化し看護師のリスク感性 にどのような変化が見られるか明らかにする。
〈方法〉期間:2019年 3 月〜10月,対象:看護師18名,内容:週 1 回,療養環境を撮影し危険予知トレーニングシート(以下KYT シート)を活用しKYKを実施した。KYK前後に危険を意識して 心掛けている事を記載し,結果を比較検討した。対象者に本研究の 主旨を文章にて説明し,研究への同意を確認した。
〈結果及び考察〉危険を意識して心掛けている危険要因は,KYK 前は49,KYK後は51の回答があった。転倒予防,患者確認,情報 管理,感染予防,コミュニケーション,安全意識の 6 項目に分類さ れた。KYK前 後 で 最 も 変 化 した 項 目 はコミュニケーションで,
KYK後「情報交換を意識的に行う」「不要な物を片付けるように声 掛けする」といった表現がみられた。療養環境を繰り返しKYKす る事で,個人では発見できない危険に目を向ける機会となった。
〈結論〉療養環境をKYTシートに取り入れ看護場面に関連付けた 事が,個々のリスク感性の向上に繋がった。
〈はじめに〉先行文献において峯(2018)・堤(2011)らはデイケ アの導入による認知症高齢者の生活の質向上に対する効果を明らか にしている。しかし急性期病棟における看護師のデイケアに関する 認識について明らかにされていない。本研究ではアンケート調査か ら認識を明らかにすることを目的とし,今後の急性期病棟看護師の 導入における体制構築への示唆が得られるのではないかと考えた。
〈研究方法〉実態調査研究,質問紙。
〈倫理的配慮〉院内の倫理審査委員会で承認されている。
〈考察〉意識調査ではデイケア導入前には業務が増え,時間や人員 不足と回答していた。デイケア導入後は非日常の患者と一緒に楽し むことができた。そして88.9%のスタッフが今後も継続して行なっ ていく必要があると答えていたため急性期病棟であってもデイケア の導入が可能であると考えられた。限られた場所で内容を考慮し継 続して実施することが今後の課題となる。
〈結論〉デイケアを通して,治療以外の時間の必要性について理解 することで,急性期病棟におけるデイケア導入に際する体制構築が でき円滑に導入することが出来た。
〈はじめに〉就労世代が行なうレジメンや分子標的薬による皮膚障 害は,脱毛や爪の障害・ざそう様皮疹などの副作用が治療開始初期 から生じるため,化学療法導入前のアピアランスケアや皮膚障害へ のケアが重要である。
〈研究目的〉化学療法導入前オリエンテーションを行なう看護師 が,治療前の情報提供のニーズをどのように捉えケアに繋げている のかを明らかにする。
〈方法〉フォーカス・グループインタビュー後,内 容 の 類 似 性 に 従ってコード化,カテゴリー分類した。
〈結果〉導入前オリエンテーションを実施することのメリット,化 学療法を受ける患者の情報提供へのニーズ,オリエンテーションを 実施する上での困難感が明らかとなった。
〈考察〉化学療法を受ける患者は,外見変化へのケアや副作用への 対処法,就労や経済的な相談等の支援へのニーズがあり,看護師も これらの支援に対して,導入前の情報提供やケア方法の指導が必要 性を認識していた。患者の具体的な不安を抽出しレジメンの特徴に 合わせた支援ができる事をメリットとして捉えている事が分かった。
〈結論〉本研究により,導入前オリエンテーションを院内のシステ ムとして確立していくことが重要である事が明らかとなった。今後 の課題として,スタッフへの教育やオリエンテーションの質の評価 が課題であることが示唆された。