内反型変形性膝関節症患者における下肢長尺 X 線像の立位と臥位の違い
大腿骨遠位骨切り術と前十字靭帯再建術を同時に行った 2 症例
●松村 陽介(まつむら ようすけ)
1、井手 衆哉
1、青柳 孝彦
2、可徳 三博
2、馬渡 正明
11佐賀大学
整形外科、2鶴田整形外科
【はじめに】近年、膝周囲骨切り術が発達し、ACL損傷を伴った内側OA膝に対するOWHTO+ACL再建は散見される ようになったが、外側OAに伴うDFO+ACL再建の報告は少ない。今回2症例を経験したので、手術手技などを検討し 報告する。
【症例1】45歳女性。仕事中に左膝を捻って受診。さらに数年前より、左膝の不安定感あり、次第にX脚となってきたのを 自覚していた。単純X線にて立位FTA167°、%MA73%のKL grade3の外反膝であり、MRIにてACL損傷と外側関節 面のOA変化もみとめた。手術は大腿骨遠位内側を6°閉鎖し、MDF plateにて固定。plateのscrewとACL再建の大腿 骨孔が干渉しにくいようにST腱をsingle bundleのTightRopeにて固定したが、大腿骨孔がやや前方よりとなったせい か、MDF plateのdistal screwの4本中3本が干渉したため、長いscrewが使用できなかった。
【症例2】49歳女性。床が滑って右膝を捻って受傷。X線、MRIにて立位FTA165°%MA96%の外反膝とACL損傷をみ とめた。手術は大腿骨内側を8°閉鎖し、MDF plateで固定。ACL再建の大腿骨孔は、前回の反省をいかしてやや後方 よりに作製し、長いscrewが使用できるように工夫した。
【考察】我々は、ソーボーンを用いて実際の手術手技を再現し、distal screwと大腿骨骨孔の関係について検証した。
その結果、内側閉鎖型DFO+ACL再建では、distal screwと大腿骨骨孔が干渉しやすいことが示唆された。それを避 けるために、ST腱を使用し太くなりすぎないようにsingle bundleとし、out side in + TightRopeにて、15mmと短く大 腿骨孔を作製するようにした。out side inによる大腿骨孔刺入部が前方近位よりになると、screwと干渉しやすいため、
大腿骨骨孔刺入部を出来るだけ後方遠位より行い、plateの設置位置はやや近位前方に、screwの刺入方向もやや前 方に向けることで、distal screwと大腿骨骨孔は干渉しにくいのではないかと考えた。
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P-7-1
Double level derotational osteotomy を施行した習慣性膝蓋骨脱臼の1例
●小川 寛恭(おがわ ひろやす)、松本 和、市川 勝寛、秋山 治彦 岐阜大学整形外科
習慣性膝蓋骨脱臼は膝関節屈曲時に誘引なく膝蓋骨が脱臼している状態である。その原因は様々で、外側軟部組織 の拘縮、内側軟部組織の弛緩、大腿骨滑車部低形成、大腿骨外顆部低形成、大腿骨遠位内旋変形、脛骨粗面外側偏 移などが挙げられる。本疾患に対しては2次性徴期までに手術されることが多く成人例での報告は稀である。今回我々 は、学童期からの習慣性膝蓋骨脱臼を認める成人例に対してDouble level derotational osteotomyを施行し良好な 成績を得たので報告する。症例は32歳女性の旅館の中居さん。主訴は膝蓋骨脱臼と膝関節痛、可動域は伸展0度屈 曲150度(膝蓋骨脱臼位)、80度(整復位)で、階段昇降時は膝蓋骨脱臼を徒手で整復位を保持していた。画像所見で はFTA 174.2度、Insall Salvati ratio: 0.97、Trochlea groove: Intact、TT-TG distance: 19.6mm、大腿骨遠位部内 旋41度、脛骨近位部内旋40度を認めた。手術方法は、大腿骨遠位及び脛骨近位部の外旋矯正骨切り術+脛骨粗面 移行術+MPFL再建術を行った。また関節鏡視では膝蓋大腿関節外側部と大腿骨外顆遠位でICRS grade 3の軟骨 変性を認めた。術後半年で膝蓋骨の整復位は保たれapprehension sign(-)で、正座可能、疼痛なく職場復帰し経過良 好である。また、術後7ヶ月の関節鏡視では初回手術で認めた軟骨変性の良好な修復を認めた。習慣性膝蓋骨脱臼の 治療法に関しては、MPFL再建術+脛骨粗面移行術で良好な成績が報告されている。しかし、本症例のような膝関節 の高度回旋変形によって脛骨大腿関節の軟骨変性をきたしているような症例に対しては、脱臼膝蓋骨の整復のみでな く回旋変形を矯正して正常に近い関節運動を回復することのできるDouble level derotational osteotomyは有効で、
関節症性変化も改善し得ることが確認された。
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P-7-2
Opening wedge 高位脛骨骨切り術前後における膝蓋大腿関節の再鏡視所見
●奥原 淳史 ( おくはら あつし ), 月坂 和宏 , 林 聖樹,菊川 和彦,田中 正宏,
住元 康彦,仲田 恭平
マツダ株式会社マツダ病院 整形外科
【目的】Opening wedge高位脛骨骨切り術(OWHTO)は膝蓋大腿(PF)関節の圧を上昇させ、変形性変化を惹起する とされる。本研究の目的は、OWHTOを行った症例のPF関節の再鏡視所見につき検討し、報告することである。
【対象と方法】対象は2014年2月から2017年11月までにOWHTO術後の抜釘時に再鏡視を行った24例26膝(男性11 例11膝、女性13例15膝)で手術時年齢は50~80歳(平均65.0歳)、初回手術から再鏡視までの期間は10ヵ月から4年2 ヵ月(平均23.8ヵ月)であった。術前後のX線的変化として立位FTA、%MA、mPTA、Caton-Deschamps indexを調査 した。また、再鏡視での膝蓋骨側・大腿骨側の軟骨が術前と比べ、不変・増悪・軽快のいずれであったかを調査した。
【結果】術前後で立位FTA180.3°→168.2°、%MA19.8→65.0、mPTA84.4°→95.1°、Caton-Deschamps
index0.91→0.71へと推移した。再鏡視でのPF軟骨は14膝で不変、10膝で増悪、2膝で軽快していた。増悪部位は膝 蓋骨側が4膝、大腿骨側が9膝であった。
【考察】今回の検討では26膝中10膝(38%)でPF軟骨損傷が進行していた。特に軟骨損傷が進行した症例は大腿骨側 で多く、術前より軟骨損傷を認めた症例で増悪する傾向にあった。これらの結果を踏まえ、今後は術式を慎重に選択す る必要があると思われた。
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Closed-wedge と Open-wedge HTO 術前後における膝蓋大腿関節のレントゲン評価と軟骨修復の比較
●
塩田 幹夫(しおた みきお)
1竹内 良平
2石川 博之
2山口 祐一郎
2高山 文治
2大澤 克成
2桑島 海人
31東京医科歯科大学
スポーツ医学診療センター、2横須賀市立市民病院 関節外科、3九州大学 整形外科
【目的】High tibial osteotomy (以下HTO)は、Open wedge HTO(OWHTO)とClosed wedge HTO(CWHTO)に大 別される。近年OWHTOはその手技の簡便性から広く受け入れられる一方で、膝蓋大腿関節(以下PF関節)の変性進 行を危惧する報告が散見される。CWHTOは、脛骨粗面の前方近位への移動に伴いPF関節の除圧に貢献するとされ る。本研究の目的はCWHTOがPF関節に与える影響を調査し、OWHTOと比較検討することである。
【対象と方法】当院で2011年7月より2016年5月までに施行されたOWHTO 61名69膝(男性20名、女性49名、平均年 齢66±7.0歳)CWHTO 61名81膝(男性23名、女性58名、平均年齢62.3±7.0歳)を対象とした。術前、術後1年時の関節 鏡所見、レントゲン所見、術後2年時のKnee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)を比較検討した。
【結果】全症例で疼痛は改善した。Blackburne-Peel IndexはOWHTO群で有意に低下し、CWHTO群では優位に上 昇した(P<0.01)。Patella tiltは両郡で有意に低下を認めた(P<0.01)。大腿骨Grooveの鏡視所見にてOWHTO群では 軟骨変性の進行をより多く認めた(進行OWHTO:69例中30例 CWHTO:81例中5例)。一方、大腿骨Grooveにおいて の軟骨部の修復例のほとんどはCWHTO群で認めた。(改善はOWHTO:69例中1例 CWHTO:81例中30例)。大腿 骨GrooveのICRSはOWHTO群で有意に増加し(P<0.001)、CWHTO群では優位に減少した(P=0.01)。
【考察】PF関節の軟骨変性の予防、修復においてCWHTOはOWHTOより有利に作用すると考えられる。
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P-7-4
高位脛骨骨切り術が膝蓋骨高位に与える影響:内側楔状開大式と逆V字型の比較
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細川 吉暁(ほそかわ よしあき)
1,近藤英司
2,珍部正嗣
1,岩崎浩司
1,小野寺智洋
1,安田和則
3,岩崎 倫政1
1北海道大学大学院
医学研究科 整形外科分野
2北海道大学大学院
医学研究科 スポーツ先端治療開発医学分野
3医療法人知仁会
八木整形外科病院附属スポーツ医学・関節鏡センター
【目的】高位脛骨骨切り術(HTO)において、内側楔状開大式(OW)HTOでは合併症として膝蓋骨低位の発生が報告され ているが、Semi-closing、semi-openingを行うNeutral wedge osteotomy(Paley et al.)である逆V字型(Inverted-V shaped;
iV)HTOでは膝蓋骨の高位の変化が小さいとされる。HTOの膝蓋骨高位への影響について、術前後での膝蓋骨高位の 変化をOW群とiV群とで比較検討した。
【 方法 】2013年から2017年に内側型変形性膝関節症に対して行ったHTO150例156膝(男性50膝、女性106膝、平均年齢 59歳)を対象とした。iVHTOの適応は、FTA185°以上または膝蓋大腿関節症を有する症例で、OWHTO 117膝、iVHTO 39膝であった。術前・術後1年における膝蓋骨高位をInsall-Salvati(IS)法、Blackburne-Peel(BP)法、三浦-川村変法(mMK 法)を用いて評価した。
【結果】術前FTAはiV群(185.1±4.0°)がOW群(180.4±3.6°)より有意に大きかった(p<0.05)。MPTA変化量はiV (10.8°) がOW群(7.9°)よりも有意に大きかった(p=0.04)。膝蓋骨高位の変化率は、IS法では群間に差はなかった(p=0.35)が、BP 法及びmMK法ではiV群(6.9%, 3.3%) 、OW群(13.6%,10.2%)と両計測法ともiV群で有意に低かった(p=0.04, p=0.03)。
【 考察】iVHTOはOWHTOと比較し、冠状面で大きな矯正を行ったが、膝蓋骨高位の変化は小さかった。iVHTOは骨切り のヒンジポイントがCenter of rotation of angulationに近く、術前後の脛骨粗面の位置の変化が小さいため、膝蓋大腿関 節への影響がOWHTOと比べて小さいことが示唆された。
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P-8-1
open wedge HTO と hybrid closed wedge HTO 術前後における膝伸展可動域改善の比較
●片岡 悠介 ( かたおか ゆうすけ )
1,福田 航
1,近石 宣宏
2,五味 徳之
21坂出回生病院
関節外科センター附属理学療法部,2坂出回生病院 関節外科センター
【目的】HTOは、open wedge HTO(OWHTO)とclosed wedge HTO(CWHTO)が主流であるが、近年、CWHTOの 欠点を克服すべく新たな術式としてhybrid closed wedge HTO(hybrid HTO)が考案され、当院でも施行している。臨 床現場において、hybrid HTOはOWHTOに比べ術後の膝伸展可動域が術前よりも改善していることを多く経験する。
一般的に、関節可動域の測定はゴニオメーターを用いるが、正確性に欠けるのが問題である。そこで今回、OWHTO とhybrid HTO術前後における膝伸展可動域改善をデジタルカメラで測定し、比較・検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、平成29年2月から平成30年4月までにHTOを施行した86膝であり、OWHTO53膝(平均66.0歳
、OWHTO群)、hybrid HTO33膝(平均65.7歳、hybrid HTO群)である。測定項目は膝伸展可動域、測定時期は術 前・術後3週とし、大転子・大腿骨外側上顆・腓骨頭・外果にランドマークを貼り、矢状面上からデジタルカメラで撮影し、
基本軸(大転子と大腿骨外側上顆を結ぶ線)と移動軸(腓骨頭と外果を結ぶ線)のなす角を画像解析ソフトImage Jを使 用して計測した。検討項目は、1.改善した人数、2.術前から術後3週の平均改善角度とし、術式と膝伸展可動域改善と の関連性を検討した。
【結果】1.OWHTO群は40/53膝(75.5%)、hybrid HTO群は31/33膝(93.9%)が膝伸展可動域の改善を認めた。χ2検 定の結果、術式と術後の膝伸展可動域の改善には有意な関連を認めた(p=0.028)。2. 術前から術後3週の平均改善 角度はOWHTO群0.7±2.7°、hybrid HTO群3.0±4.1°であり、hybrid HTO群が有意に改善を認めた(p=0.004)。
【考察】両群とも術前より膝伸展可動域は改善したが、hybrid HTO群はOWHTO群に比べ改善率が高く、平均改善角 度も大きかった。これは、hybrid HTOは脛骨粗面が近位前方へ位置するためPF関節の接触圧が減弱すること、脚短 縮が生じるため膝周囲軟部組織の柔軟性・伸張性が得られやすくなったことが改善の要因であると考える。また、今回 の結果が術後の膝伸展可動域の目標設定を考える際の一助となれば幸いである。