内反型変形性膝関節症患者における下肢長尺 X 線像の立位と臥位の違い
開大式高位脛骨骨切り術単独と半月部分切除を併用した症例の術後 1 年 MRI T2 マッピング比較
●阿部 里見 ( あべ さとみ ), 佐々木 祐介 , 松倉 圭佑 旭川医科大学 整形外科
【目的】本研究は、開大式高位脛骨骨切り術単独と半月部分切除を併用した症例をMRIを用いて比較し、メカニカルな 変化に伴う軟骨の質的評価を行い、修復されうる要因を検討することである。MRI T2マッピングによるT2値は主にコ ラーゲンの状態を反映していることが知られている。
【対象と方法】変形性関節症に対して同一手技で開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)を行った6膝を検討した。3膝は OWHTOのみを行い、3膝はOWHTOに内側半月中節の弁状損傷に対して部分切除を施行した。各々3膝の術前と術 後約1年でのMRI T2マッピングのT2値を評価した。冠状面で撮影したMRI画像の前方、中央、後方の内側と外側の 大腿骨および脛骨の12カ所のrange of interestの平均値を比較した。統計は対応あるt検定で行った。術前平均FTA は181.5度、KL分類II度、術後平均FTAは170.3度であった。
【結果】術前と比較して術後1年のT2値で有意差(P<0.05)を認めたのは、OWHTO単独3膝の内側コンパートの大腿 骨中央部分で、T2値は術前53.4±3.5、術後46.0±1.4(P=0.03)であった。その他の部分に有意差のある変化は認めな かった。一方OWHTO単独に半月中節の部分切除を併用した3膝では、いずれの部位でも有意差のある変化は認めら れず、T2値は、大腿骨内側中央術前51.1±9.6、術後43.2±4.8(P=0.08)、脛骨内側中央 49.2±7.1(P=0.29)、であっ た。
【考察】高位脛骨骨切り術後の軟骨修復は大腿骨側に多いとする報告が多いが、MRIを用いた本検討からも、
OWHTO単独では、大腿骨内側は術後有意に改善を認めたが脛骨側は有意差がなかった。一方、半月中節部分切除
を併用した群では、術後の変化に有意差を認めず、半月の力学的な影響もまた、軟骨の質的変化に影響することが推 察された。
109
内側開大式脛骨高位骨切り術を併用した内側半月板後角断裂に対する Pull out 法修復の短期成績
●小林 真(こばやし まこと)
1、安間 三四郎
1、川西 佑典
1、村瀬 熱紀
2、土屋篤志
3、 長谷川一行
3、野崎正浩
11名古屋市立大学
整形外科 2春日井市民病院 整形外科 3名鉄病院 整形外科
【目的】膝内顆骨壊死や変形性膝関節症のリスクファクターであると言われている内側半月板後角部断裂に対する内 側開大式脛骨高位骨切り術を併用したPull out法修復の手術成績につき検討すること。
【対象と方法】対象は2015年12月から2017年4月までの期間に当科にて下肢内反アライメントを呈する内側半月板後 角部断裂に対して内側開大式脛骨高位骨切り術(OWHTO)を併用したPull out修復術を行った6例、7膝(男性1例2膝
、女性5例5膝)。手術時平均年齢は53.6(39−68)歳。平均経過観察期間は15(11-18)カ月であった。手術はまず下肢 内反アライメントをOWHTOにて矯正したのちに関節鏡視下に断裂した半月板後角部に縫合糸をかけ、次いでスクリュ ーと干渉しない位置に脛骨骨孔を作成して半月板後角部をPull out固定した。術前および術後6カ月以上経過した時 点のLysholm score、% Mechanical Axis(%MA)、MRIによる内側半月板逸脱量(絶対量mmおよび相対量%)を評価 した。
【結果】Lysholm scoreは術前平均69点から術後平均90点へ改善した。%MAは術前平均37.1%から術後平均55.1% へ変化した。内側半月板逸脱量は術前平均4.7mm(44.5%)、術後平均4.5mm(45.1%)と不変であった。
【考察】臨床成績は良好な改善が示されたが、半月板後角損傷の予後不良因子と言われている半月板の逸脱自体は 術後短期であるにもかかわらずほとんど整復されていなかった。今後長期の経過観察が必要であるとともに、本術式 では半月板逸脱は整復できない可能性を考慮し何らかの改善が必要であると思われた。
110
P-10-3
内側半月板後角断裂に対する内側開大式脛骨高位骨切り術併用 Pull out 修復に半月板 Centralization 手 技を追加した9例の短期成績 — 半月板の逸脱は整復できたか? —
●小林 真(こばやし まこと)
1、安間 三四郎
1、川西 佑典
1、村瀬 熱紀
2、土屋 篤志
3、長谷川 一行
3、 野崎 正浩
11名古屋市立大学
整形外科 2春日井市民病院 整形外科 3名鉄病院 整形外科
【目的】内側半月板後角部断裂に対する内側開大式脛骨高位骨切り術(OWHTO)併用Pull out修復では半月板逸脱 は整復できていないことが判明した。そこで我々は半月板逸脱の改善を目指して半月板のCentralization手技を追加 したためその治療成績を検討する。
【対象と方法】対象は2016年9月から2017年6月までの期間に当科にて内側半月板後角部断裂に対してOWHTOを併 用したPull out修復術に半月板のCentralization手技を追加し、術後3カ月以降MRI評価しえた9例、9膝(男性1例、
女性8例)とした。手術時平均年齢は55.8(49−61)歳。手術はまず下肢内反アライメントをOWHTOにて矯正したのち 関節鏡視下に断裂した半月板後角部に縫合糸をかけ、次いでスクリューと干渉しない位置に脛骨Pull out骨孔を作成 した。その後半月板のCentralization手技を行い、最後に半月板後角部をPull out固定した。術前および術後3カ月以 上経過し、骨癒合が得られた時点のLysholm score、% Mechanical Axis(%MA)、Joint line convergence angle(JLCA)、MRIによる内側半月板逸脱量(絶対量mmおよび相対量%)を評価した。
【結果】Lysholm scoreは術前平均56点から術後平均85.2点へ改善した。%MAは術前平均46.7%から術後平均74.5% へ、JLCAは術前平均2.2°から術後平均1.0°へ変化した。内側半月板逸脱量は術前平均4.7mm(44.2%)から術後平均 3.5mm(35.1%)へと減少した。
【考察】Centralizationの追加によりごく短期ではあるが臨床成績の良好な改善が示され、目的とした半月板逸脱の整 復も認められた。アライメントが以前の手技より外反傾向にあったのはCentralizationにより内側関節裂隙が開き JLCAが変化したためではないかと推察した。今後この半月板の整復が長期に維持されるのか、またCentralization による有害事象が出ないかを注視していく必要がある。
111
内側開大式高位脛骨骨切り術と同時に施行する半月板後角 pullout 修復術における骨孔作成の工夫
●島 洋祐(しま ようすけ),小林尚史 KKR 北陸病院 整形外科
【目的】半月板温存手術が見直される中、半月板縫合・修復術と膝周囲骨切り術を併用して施行する機会が増えて来て いる.内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)と内外側半月板後角pullout修復術(RR)の同時手術において、脛骨 骨孔作成時にOWHTOのインプラントと骨孔が干渉しないように工夫する必要があるが、我々はこの骨孔をインプラン トの後方すなわち後内側に作成する工夫をしたので報告する。
【方法】まず鏡視下に半月板後角修復術の必要性を確認した上で、OWHTOを行いインプラントも設置する。次に半月 板後角付着部の視野を確保した上でArthrex社製RR用骨孔作成ガイドを用いて脛骨後内側、インプラントのすぐ後方 よりガイドピンを刺入する。ガイドピンが適正位置に刺入されている事を確認した後骨孔を作成し、関節内の骨孔開口 部はフリップカッターを用いて拡大しておく。半月板後角の処置に関しては、断端部をラスピングやシェービングで軽く 新鮮化したのち基本的にArthrex社Meniscal Viperを用いて少なくとも3本の2-0 FiberWireをcinch stitchでかけ、エ ンドボタンを用いてpullout縫合を施行した。
【結果】この方法を用いることにより脛骨骨孔とOWHTOのスクリューが全く干渉せず、諸家の報告にあるように近位後 方スクリューを短く挿入する必要性は全くなく、内固定の強度を下げる事なく手術可能であった。しかしガイドが脛骨前 内側もしくは前外側から骨孔作成する事を前提として作製されているため、ガイドピンが至適位置に向かうように操作 するには少々コツがいること、また内側半月板後角修復においては生理的な方向に縫合糸を引っ張れずkiller turnが 生じてしまうことなどの欠点もある。
【まとめ】OWHTOとRR同時手術において、脛骨骨孔を後内側に作成することによってスクリューとの干渉は全く生じな くなった。しかし正確な骨孔作製を施行するにはガイドの改良やkiller turnの影響、他の作成方法を比べて癒合率が 劣らないかどうか等のさらなる評価が必要である。
112
P-10-5
半腱様筋腱を用いた自家半月板再建術を併用した遠位大腿骨骨切り術で治療を行った 1 例
●関寿大 ( せき としひろ )
1, 椎木 栄一
2,徳重 厚典
1,関 万成
1,今釜 崇
1,小笠 博義
11山口大学医学部
整形外科,2山口県立総合医療センター 整形外科
【目的】外側半月板切除後の二次性変形性膝関節症に対して、自家半腱様筋腱を用いた半月板再建を併用した遠位大 腿骨骨切り術を行った1例を経験したので報告する。
【症例】症例は51歳男性。6年前より誘因なく左膝痛を認め紹介受診。単純X線ではKellgren-Lawrence分類 grade2 の変形性膝関節症を認め、FTAは右180°/左176°、mLDFAは90°/86°、MPTAは81°/81°であった。MRIでは外側半 月板はほぼ消失し、FT関節の外側コンパートメントの荷重分は軟骨損傷を認めていた。保存的治療で疼痛の改善を認 めておらず、肉体労働に継続が困難であったため手術的治療を希望された。消失した外側半月板に対する処置として 半腱様筋腱を使用した半月板再建を、更に外反したアライメントの矯正が必要と考え大腿骨遠位骨切り術を行った。大 腿骨外顆はICRS gadde3の軟骨損傷を認め、外側半月板の後節は消失し、前中節は辺縁のみ残存していた。軟骨損 傷に対しmicro fractureを施行し、自家半腱様筋での外側半月板再建を行った。その後FTA180°を目標に大腿骨遠位 骨切り術を行った。術後3週目より部分荷重を開始し、術後6週で全荷重開始、術後7週に杖歩行で退院となった。術後 4ヶ月で復職し、最終経過観察時、疼痛は消失し就業も可能となっていた。
【考察】半月板切除後に半月板機能が低下し、変形性膝関節症を生じることは古くから知られている。半月板切除後の 治療として自家半腱様筋腱による半月板再建の報告では関節症変化を有する症例では成績が不良と報告されている
。アライメント不良例では再建と同時にアライメント矯正が必要と考えられ、半月板再建と遠位大腿骨骨切り術の併用 は外側半月板切除後の二次性変形性膝関節症に対して、有効な手術方法の一つと考えられた。