STPポンプは様々な異常事態に対する安全機能を備えています。
ポンプおよびコントロールユニットに異常が発生した場合、安全機能が働き、『FAILURE』ラン プが点灯し、リモート出力端子よりアラーム信号を出力します。また、LCDディスプレイに異常 の内容を示すエラーメッセージを表示します。
(「表6.3 安全機能一覧表」を参照ください。)
LCDディスプレイのエラーメッセージの右端に『&』が表示されている場合は、異常が複数発生 したことを示しています。「SELECT」スイッチを押すことにより、エラーメッセージを切り換え ることができます。
(リモート操作時にも「SELECT」スイッチは使用できます。) 例)
POWER FAILURE &
「SELECT」スイッチを押す DISTURBANCE &
異常発生時の処置については「6.2 安全機能作動後の処置」、「15. トラブルシューティング」を 参照ください。
6.1 安全機能
6.1.1 停電
<Ⅰ.停電時の動作>
停電などで電源電圧が約170V(200V仕様の場合)または約85V(100V仕様の場合)以下に低 下した場合は回転中のロータの回生エネルギーを利用して磁気軸受の動作を持続します。(停電 バックアップ動作)
1) 停電発生時のポンプの回転数が25,000rpm以上の場合
① 停電時間が約2秒以上継続した場合は、STPコントロールユニットは停電を検知し、
ポンプは減速します。
この時、『POWER』ランプが消灯し、『FAILURE』ランプが点灯します。
また、LCDディスプレイに停電したことを示すメッセージ『POWER FAILURE』を 表示します。同時に「I/O TB1 ALARM OUT 端子((10)−(9),(10)−(11))」よりアラ ーム信号が出力されます。
回転数が 20,000rpm になった時に、LCD ディスプレイのバックライトが消灯し、同
時にアラーム信号の出力が解除されます。
回転数が約17,000rpmになった時に、ロータは保護ドライベアリング上に降下、停止 します。この時、『FAILURE』ランプおよびLCDディスプレイの表示は全て消灯しま す。
② 停電時間が約2秒未満の場合は、STPコントロールユニットは停電を検知せずに回転 を継続します。
2) 停電発生時のポンプの回転数が17,000rpm以上、25,000rpm未満の場合 停電時間が約0.02秒〜0.14秒の範囲で停電を検知し、ポンプは減速します。
この時、『POWER』ランプが消灯し、『FAILURE』ランプが点灯します。
また、LCDディスプレイに停電したことを示すメッセージ『POWER FAILURE』を表示 します。同時に「I/O TB1 ALARM OUT 端子((10)−(9),(10)−(11))」よりアラーム信 号が出力されます。
ただし、停電発生時のポンプの回転数が 20,000rpm 未満の場合には、アラーム信号は出 力されません。
回転数が20,000rpmになった時に、LCDディスプレイのバックライトが消灯し、同時に
アラーム信号の出力が解除されます。
回転数が約 17,000rpm になった時に、ロータは保護ドライベアリング上に降下、停止し ます。この時、『FAILURE』ランプおよびLCDディスプレイの表示は全て消灯します。
参考
◇ 停電発生時のポンプ回転数が低いほど短時間で停電を検出します。
3) ポンプの回転数が約17,000rpm未満の場合
停電を検出せずにロータはそのまま降下、停止します。
<Ⅱ.電源復帰時の動作>
1) マニュアル操作の場合
電源復帰後も減速動作を継続します。この状態で、「START」スイッチを押すと再加速で きます。
2) リモート操作の場合
● 電源復帰時にリモート入力端子にスタート信号が入力されていれば、再加速します。
● 電源復帰時にリモート入力端子にスタート信号が入力されていなければ、減速動作を 継続します。
参考
◇ 電源復帰後、直ちにSTPコントロールユニットに電源を供給するようなシーケンスを組 んでください。
表6.1に停電時のランプおよびリモート出力の状態を示します。
また、表6.2に復電時のポンプ動作を示します。
表6.1 停電時のランプ、リモート出力信号の状態
LCDディスプレイ LEDランプ リモート出力信号 (I/O TB1) ポンプの回転数
メッセージ バックライト POWE
ランプ FAILURE
ランプ パワーオン 信号
アラーム 信号
20,000rpm以上 POWER FAILURE ○ − ○ − ○
20,000rpm未満
17,000rpm以上 POWER FAILURE − − ○ − −
17,000rpm未満 − − − − − −
○:点灯またはON −:消灯またはOFF
表6.2 復電時のポンプ動作
マニュアル操作時 リモート操作時 ポンプの回転数 停電時間 復電時の
ポンプ動作
復電時「START」
リモート信号入力
復電時の ポンプ動作 有 再加速 約2秒以上 減速、停止
無 減速、停止 25,000rpm以上
約2秒未満 停電前の状態を持続
約0.02秒〜 *1 有 再加速 約0.14秒以上 減速、停止
無 減速、停止 25,000rpm未満
上記時間未満 停電前の状態を持続
*1 停電検出の時間はポンプ回転数が低いほど短くなります。
6.1.2 磁気軸受の異常
STP接続ケーブルの断線、コネクタ外れ、制御回路の異常等により磁気軸受が正常に動作しなく なった場合、ロータは保護ベアリング上に降下、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCD ディスプレイにエラーメッセージ『DISTURBANCE』を 表示します。
注 意
◇ 磁気軸受の異常が発生した場合、STPポンプおよびSTPコントロールユニットを点検 する必要があります。弊社までご連絡ください。
6.1.3 過大振動
外部からの振動・衝撃、STPポンプ内への大気突入、STPポンプ内への異物侵入、ロータのアン バランスの発生等によってロータが保護ベアリングに接触するほどの振動を起こした場合、ポン プは減速、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCD ディスプレイにエラーメッセージ『DISTURBANCE』を 表示します。
6.1.4 モータドライバーの過負荷
起動後、約10分経過しても定格回転数に達しない場合または運転中にアクセル状態になったまま 約10分経過した場合、ポンプは減速、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCD ディスプレイにエラーメッセージ『OVERLOAD』を表示 します。
6.1.5 ポンプ内過熱
ベーキング温度異常あるいは過負荷運転などによりポンプ内のモータ温度が 110℃以上になった 場合、ポンプは減速、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCDディスプレイにエラーメッセージ『PUMP OVERTEMP』
を表示します。
6.1.6 コントロールユニット内過熱
空冷ファンの故障、外部の熱源等によってコントロールユニット内部温度が70℃以上となった場 合、ポンプは減速、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCDディスプレイにエラーメッセージ『CONTROLLER OT』
を表示します。
6.1.7 オーバースピード
モータドライバーの故障によりポンプの回転数が51,400rpmを超えた場合、コントロールユニッ トのブレーカが OFF になります。ポンプは停電状態になり、停止します。
『FAILURE』ランプが点灯し、LCDディスプレイにエラーメッセージ『OVERSPEED』または
『DRIVER RA』を表示します。
6.2 安全機能作動後の処置
6.2.1 停電の場合
電源復帰後、直ちにSTPコントロールユニットに電源を供給するようなシーケンスを組んでくだ さい。
6.2.2 その他の場合
<Ⅰ.マニュアル操作の場合>
① 『BRAKE』ランプ消灯およびポンプ停止を確認し、異常の原因を除去してください。
② 「RESET」スイッチを押し、『FAILURE』ランプを消灯してください。(リセット操 作)
③ 「START」スイッチを押すと再起動できます。再起動し動作を確認してください。
<Ⅱ.リモート操作の場合>
① 『BRAKE』ランプ消灯およびポンプ停止を確認し、異常の原因を除去してください。
② 「5.6.5 安全機能動作後の再起動」に従いリセット操作を行い、『FAILURE』ランプを 消灯してください。
③ 「5.6.2 ポンプ回転操作」の方法で再起動できます。再起動し動作を確認してください。
注 意
◇ 異常原因のチェックおよび処置を行うために、ポンプやコントロールユニット、ケーブル を外す場合は、ポンプが停止したのを確認し、一次側電源を切って(ブレーカ OFF ) から外してください。
◇ リセット操作をしても、『FAILURE』ランプが消灯しない場合は、ポンプの停止を確認し、
一次側電源を切り(ブレーカ OFF )、再度一次側電源を投入(ブレーカ ON )してく ださい。
参考
◇ 異常の原因および処置方法については「15. トラブルシューティング」を参照してくださ い。
表6.3 安全機能一覧表
異常項目 安全機能の
作動条件 LED表示 LCDディスプレイ表示 リモート出力信号 ポンプ動作 異常原因
リセットスイッチ による
リセット 停電
(詳細は
「6.1.1 停電」
を参照してくだ さい)
停電時間
約2秒以上
『FAILURE』
点灯
『POWER』
消灯
『POWER
FAILURE』
アラーム出力 パワーオン出 力遮断
回生エネルギーで磁気軸受動 作継続
ポンプ減速、停止
約17,000rpmでロータが保護 ドライベアリング上に降下
停電
電源ケーブルの断線
電源ケーブルの外れ 不可
磁気軸受異常 ロータが保護ドラ イベアリング上に 降下
『FAILURE』 『DISTURBANCE』 アラーム出力 ロータを保護ドライベアリングで 支持、停止
STP接続ケーブルの断線 STP接続ケーブルの外れ 制御回路の異常
可 過大振動 ロータの振動が
100μm0-P以上
『FAILURE』 『DISTURBANCE』 アラーム出力 ポンプ減速、停止 外部からの振動、衝撃 ポンプ内への大気突入 ポンプ内への異物侵入
可 モータドライバー
過負荷
モータ電流過大 『FAILURE』 『OVERLOAD』 アラーム出力 ポンプ減速、停止 装置、配管からのリーク 吸・排気口側の圧力不良 補助ポンプの起動不良
可 ポンプ内過熱 ポンプモータ温度
110℃以上
『FAILURE』 『PUMP
OVERTEMP』
アラーム出力 ポンプ減速、停止 ベーキング温度異常 冷却不良
装置、配管からのリーク 起動、停止の連続繰り返し 環境温度異常(高温)
可
コントロールユ ニット内過熱
コントロールユニ ット内部温度70℃
以上
『FAILURE』 『CONTROLLER OT』
アラーム出力 ポンプ減速、停止 空冷ファンの故障
空冷用吸入、排出口の遮断 環境温度異常(高温)
可 オーバー
スピード
ポンプ回転数が 約51,400rpm以上
『FAILURE』 『OVERSPEED』
または
『DRIVER RA』
アラーム出力 ブレーカOFF
停電状態になりポンプ停止
モータドライバ故障
不可