• 検索結果がありません。

生活能力形成 に重点を置いた社会科学習指導事例 の特性 と評価

第2章 知的特別支援学校 における社会科学習指導事例分析

第4節 生活能力形成 に重点を置いた社会科学習指導事例 の特性 と評価

生活能力形成 に重点を置いた社会科学習指導事例は 「 公共施設」の1事 例のみである。

主 た る 単 元 ・授 業 目標

内容 社会科学習指導事例

生活能力形成

公 共 施 設 」 (事 例28)

生 活 能 力 形 成 に 重 点 を 置 い た 社 会 科 学 習 指 導 事 例 で は 、 市 役 所 、 図書 館 な ど の 公 共 施 設 、 公 衆 電 話 や 新 聞 な ど の 公 共 物 、電 車 や バ ス と いっ た 公 共 交 通 機 関 を 利 用 す る能 力 形 成 に重 点 を置 い て い る 。 本 事 例 で は 「公 共 施 設 」 の 公 共 交 通 機 関で あ る電 車 の 利 用 方 法 を 身 に つ け る た め に 、 運 賃 や 時 刻 表 の 調 べ 方 、 困 っ た とき の 対 処 方 法 を学 習 し て い る 。 本 事 例 を分 析 し 、 生 活 能 力 形 成 に 重 点 を 置 い た 社 会 科 学 習 指 導 の 特 性 とそ の 評 価 を行 な う 。

パ ワ ー ポ イ ン トを 用 いて 電 車 の利 用 方 法 を 身 に つ け る 「交 通 機 関 の 利 用 」(事 例28)の 事 例 分 析 本 事 例 は 、パ ワ ー ポ イ ン トを用 い て 、公 共 交 通 機 関 の 電 車 の利 用 法 を 身 に つ け る こ と に 重 点 を 置 い た 社 会 科 学 習 指 導 事 例 で あ る 。学 習 指 導 の 流 れ は 、まず パ ワ ー ポ イ ン トを 用 い て 電 車 の 時 刻 表 の 調 べ 方 を 理 解 す る 。次 にパ ワー ポイ ン トを 用 い て 運 賃 の 支 払 方 法 を 理 解 す る 。そ して 困 っ た 事 態 に な っ た と き の 対 処 方 法 を 、教 師 と の 話 し合 い の 中 で 確 認 す る 。最 後 に 、電 車 の 運 賃 割 引 の 種 類 と 、 生 徒 が 利 用 で き る割 引 を知 る と い う流 れ と な っ て い る 。

以 下 に分 析 対 象 の 学 習 指 導 事 例 の 詳 細 と、 そ の ① 社 会 科 学 習 指 導 事 例 の 目 標 と 内 容 、② 社 会

科学習指導事例 の指導方法、③社会科学習指導事例の特性 と評価 を述べ る。

(事例28) 高 等 部

「交 通 機 関 の 利 用 」

学習指導事 例 単 元 目標 ・授 業 目標 学習活 動 指 導 ・支 援

(事 例28) ・電 車 の 利 用 方 法 を理 ・電 車 の 時 刻 表 の 調 べ ・パ ワ ー ポ イ ン トを用 いな が ら、運行 時刻の調べ方 高等部 解 す る こ とが で き る 方 を知 る

を 理 解 さ せ る 。

「交 通 機 関 の ・運 賃 や 時 刻 表 の調 べ ・プ リ ン トの 穴 埋 め を しな が ら、調 べ方 を理解 させ

利 用 」

方 を 理 解 す る こ と が る 。

で き る ・運 賃 の 支 払 い方 法 を ・パ ワー ポ イ ン トを用 いな が ら、切 符売 り場 の様子

知 る

を 伝 え る 。

・困 った とき の対 処 方

・お 金 が 足 りな い と き 、 乗 り遅 れ た と き 、 乗 り越 し

法 を考 え る た と きな ど の場 面 に遭 遇 した とき 、 ど う対 処 した ら

い い か を考 え させ る 。

・教 師 は 生 徒 の発 言 を取 り上 げ 、補 足 しなが ら適 切 な 対 処 方 法 を伝 え る 。

・い ろ い ろな 割 引が あ

・定 期 券 、 団 体 券 、 こ ど も 、 学 生 、 お 年 寄 り 割 引 、

る こと を知 る 障 害 者 割 引な どの割 引 を説 明す る。

・療 育 手 帳 の意 味 と利 用 方 法 を簡 単 に伝 え る 。

① 社会科学習指導事例 の目標 と内容

こ の 社 会 科 学 習 指 導 事 例 で は 、 「公 共 施 設 」 の 公 共 交 通 機 関 と して 電 車 を 取 り上 げ 、 電 車 の 利 用 方 法 を 身 に つ け る こ と を 主 た る 目的 と し て 、 そ の た め に 時 刻 表 の 見 方 や 運 賃 の 支 払 い 方 法 を 、 パ ワ ー ポ イ ン トの 写 真 を 見 な が ら理 解 す る 学 習 を行 な って い る 。 ま た 、 電 車 の 利 用 の 際 に 発 生す る 可 能 性 の あ る 不 測 の 事 態 を 紹 介 し 、そ の 対 処 方 法 や 電 車 の 割 引 の 種 類 と、 生 徒 が 利 用 で き る 障 害 者 割 引 を 理 解 す る 学 習 を行 な っ て い る 。

②社会科学習指導事例の指導方法

電 車 の 時 刻 表 を 調 べ る 方 法 を 学 ぶ 学習 で は 、 駅 の 掲 示 や 時 刻 表 の 写 真 や 、 イ ン タ ー ネ ッ トの検 索 サ イ トの 画 面 を パ ワ ー ポ イ ン トで表 示 し 、 これ ら を 使 う こ と で 時 刻 表 を 調 べ る こ とが で き る こ

と を 理 解 させ て い る。

運 賃 の 支 払 い 方 法 を 学 ぶ 学 習 で は 、パ ワ ー ポ イ ン トで 表 示 し た 切 符 売 り場 や 改 札 口 の 写 真 と 、 手 順 を 書 い た 文 章 を基 に 、 ど う い う手 順 で 運 賃 を 支 払 え ば い い の か を理 解 させ て い る。

困 っ た 場 面 に お け る 対 処 法 を 身 に つ け る 学 習 で は 、 教 師 が 場 面 の 状 況 を説 明 し 、 生 徒 の 意 見 を 基 に 、 最 も 適 し た 対 処 方 法 を 説 明 し、 対 処 方 法 を身 に つ け させ て い る 。

電 車 の 割 引 の 種 類 を知 り、 そ の 使 い方 を 理 解 す る 学 習 で は 、 そ れ ぞ れ の 割 引 の 特 徴 と生 徒 の 持 っ て い る 療 育 手 帳 の 意 味 と使 い 方 を 説 明 し て い る。

③社会科学習指導事例の特性 と評価

本 事 例 で は 、 時 刻 表 の 調 べ 方 や 運 賃 の支 払 方 法 、 各 種 割 引 の 利 用 法 を 身 に つ け 、 電 車 の 利 用 方 法 を 身 に つ け る こ と をね らい と した 社 会 科 学 習 指 導 事 例 で あ る 。 実 生 活 で 必 要 と な る能 力 形 成 を 意 図 した 社 会 科 学 習 指 導 事 例 で あ り、学 習 指 導 要 領 に お け る 「社 会 生 活 に 必 要 な 能 力 」 の 育 成 を

図 っ た も の と して 評 価 で き る 。

パ ワ ー ポ イ ン ト を用 い る こ と に よ り、写 真 や イ ン タ ー ネ ッ トの検 索 サ イ トを大 き く表 示 す る こ とで 視 覚 的 に 捉 え や す く、 板 書 す る 時 間 を 省 く こ とが で き 、 授 業 の 効 率 化 に 役 に立 っ て い る 。

運 賃 の 支 払 い 方 法 を 学 ぶ 際 に は 、 支 払 い 手 順 を 切 符 売 り場 の 写 真 や 、 文 章 、 教 師 の話 を 基 に 、 イ メ ー ジ しや す く して い る 。

しか し 、 写 真 や 教 師 の 話 か ら の イ メー ジ だ け で 、 時 刻 表 の 調 べ 方 や 運 賃 の 支 払 方 法 を身 につ け る こ と は 困 難 で あ る。 実 際 に 駅 に 行 く こ とや 、 時 刻 表 の 調 べ 方 や 支 払 い の シ ュ ミ レー シ ョ ンす る こ とで 、 初 め て 理 解 で き る こ と も あ る 。視 覚 的 な 教 材 や 言 葉 だ けで な く 、体 験 的 な 活 動 を 通 して 利 用 方 法 を 身 に つ け る こ とが 必 要 で あ る。

困 っ た 場 面 に お け る 対 処 方 法 で は 、実 際 に 起 こ り う る 問題 を 取 り扱 い 、 ど う い う 対 処 を す れ ば い い の か を説 明 し て い る。 困 っ た 場 面 の 対 処 方 法 を 自 ら考 え る こ と は 、 知 的 障 害 が 重 度 に な れ ば な る ほ ど 困 難 で あ る 。そ こ で 、 生 徒 の意 見 を 取 り入 れ な が ら、 最 適 な 対 処 方 法 を 説 明 し、 そ の 対 処 方 法 を 理 解 さ せ よ う と して い る 。

各 種 割 引 の な か で 、障 害 者 に発 行 さ れ る 療 育 手 帳 の 説 明 を行 な っ て い る 。 知 的 障 害 を持 つ 生 徒

に 、 障 害 者 と療 育 手 帳 の こ と を理 解 させ る こ と は 、 自 らに 障 害 が あ る こ と を 自 覚 さ せ 、 自 身 を卑 下 す る こ と に つ な が りか ね な い 内 容 で あ る 。 そ の た め 、本 事 例 で は 、 簡 単 な 説 明 に と どめ 、 障 害 者 に 関 す る 情 報 も ほ とん ど与 え な い よ う に して い る 。 学 習 指 導 要 領 にお い て も 、 障 害 者 理 解 の 内 容 は な く 、 そ の 取 り扱 い は 難 し く、 慎 重 な 対 応 が 求 め られ る 。