第 9 章 変成器 167
9.4 理想変成器
V1= jωL1Z2
jωL2+Z2I1 (9.22)
を得る。(1)の解答よりL2=n2L1なので V1
I1
= jωL1Z2 jωn2L1+Z2
=
jωL1Z2 n2 jωL1+Z2
n2
(9.23)
これはインダクタンスL1のコイルとインピーダンスZ2
n2 の素子の並列接続時の合成 インピーダンスを表している。
(4) Z2の大きさが十分小さいときは
jωL1+Z2
n2 ;jωL1 (9.24)
と近似して、
V1
I1 ;jωL1
Z2
n2 jωL1 = Z2
n2 (9.25)
(5) 式(9.20)において、
jωL2+Z2;jωL2 (9.26)
と近似して
I2 I1
= −jωM jωL2+Z2
;−jωM jωL2
=−M L2
=−1
n (9.27)
J
9.4 理想変成器
【例題9.4】
図9.24の回路に関して以下の問に答えよ。
(1) 回路中の理想変成器(巻線比n1 :n2)における端子電圧・端子電流(V1,V2,I1,I2) の関係式を記せ。
(2) Z2,I2,V2の関係を記せ。
(3) E1,Z1,I1,V1の関係を記せ。
図9.24例題9.4
(4) 以上の式からV1,V2を消去してI1,I2を求めよ。
〔解答9.4〕
(1) 以下のとおり。
V1:V2=n1:n2 (9.28)
n1I1+n2I2= 0 (9.29)
(2)
V2=−Z2I2 (9.30)
(3)
E1=Z1I1+V1 (9.31)
(4) 式(9.28)と式(9.30)より
V1= n1
n2
V2=−n1
n2
Z2I2 (9.32)
式(9.29)より
I2=−n1 n2
I1 (9.33)
式(9.32)および式(9.33)より
V1= (n1
n2
)2
Z2I1 (9.34)
式(9.31)に代入して
E1=Z1I1+ (n1
n2 )2
Z2I1 (9.35)
9.4 理想変成器 °c大豆生田利章2009 181 これより
I1= E1
Z1+ (n1
n2
)2
Z2
= n22E1
n22Z1+n12Z2
(9.36)
式(9.33)より
I2=−n1 n2
I1=− n1n2E1 n22Z1+n12Z2
(9.37) J
問題9.21
図9.25の回路に関して以下の手順に従い、一次側から見たインピーダンスZ=E/I1を求めよ。た だし、理想変成器の巻線比はn1:n2:n3であり、n26=n3であるとする。
図9.25問題9.21
(1) 理想変成器の端子電圧V1,V2,V3の間に成り立つ関係式を示せ。
(2) 理想変成器の端子電流I1,I2,I3の間に成り立つ関係式を示せ。
(3) I2とI3の関係を用いて(2)の解答からI3を消去せよ。
(4) 理想変成器の二次側の閉路に関して、キルヒホッフの電圧則を適用した結果を記せ。
(5) (4)の解答に(1)および(3)の解答を代入して、I2,V2,V3を消去し、Zを求めよ。
問題9.22
図9.26の左の回路と右の回路が等価になるようにしたい。以下の手順にしたがって、L1, L2, M の値を定めよ。電源の角周波数はωとする。
(1) 左の回路に対して理想変成器の基礎式を用いて、V1とV2およびI2とI3の関係を記せ。
(2) 左の回路に対してキルヒホッフの電流則を用いて、I1,I3,I4の関係を記せ。
(3) 左の回路におけるV1とI4の関係をLを使って示せ。
(4) (1)から(3)の結果を用いて、左の回路におけるI1,I2,V1の関係を求めよ。
(5) (1)から(3)の結果を用いて、左の回路におけるI1,I2,V2の関係を求めよ。
(6) 右の回路において変成器の基礎式を用いて、I1,I2,V1,V2の関係式を記せ。
(7) 以上の各式を用いて、右の回路のL1,L2,Mの値を、左の回路で与えられた値を用いて表せ。
(8) 右の回路の結合係数kの大きさを求めよ。
V1 L V2
I4
L1 L2
V1 V2
図9.26問題9.22
問題9.23
図9.27のように理想変成器とインピーダンスZ0 の素子を接続した。このとき電源から見た回 路のインピーダンスZ を、以下の手順にしたがって求めよ。ただし、理想変成器の巻線比は 1 :n (n6= 1)であるものとする。
図9.27問題9.23
(1) 理想変成器の一次側の電圧V1と 二次側の電圧V2の関係式を記せ。
(2) V2をEとnを用いて表せ。
(3) 理想変成器の一次側の電流I1と 二次側の電流I2の関係式を記せ。
(4) キルヒホッフの電流則を用いて回路の電流Iと理想変成器に流れる電流I1,I2の関係を求 めよ。
(5) I2をIとnを用いて表せ。
(6) キルヒホッフの電圧則を用いてE,Z,I2,V2の関係を求めよ。
(7) 以上の解答からZを求めよ。
問題9.24F
図9.28の回路の共振周波数を求めよ。理想変成器の巻線比はn1:n2であるとする。
9.4 理想変成器 °c大豆生田利章2009 183
図9.28問題9.24
第 10 章
二端子対網
10.1 二端子対網の表現方法
【例題10.1】
図10.1の回路の アドミタンス行列Y、インピーダンス行列Z、縦続行列Fを求めよ。た だし、Y1、Y2、Y3はそれぞれの素子のアドミタンスである。
図10.1例題10.1
〔解答10.1〕
キルヒホッフの電流則より
I1=Y1V1+Y2(V1−V2) (10.1) I2=Y3V2+Y2(V2−V1) (10.2) であるので、
I1= (Y1+Y2)V1−Y2V2 (10.3) I2=−Y2V2+ (Y2+Y3)V2 (10.4) となるの。これより、アドミタンス行列Yは
Y=
[Y1+Y2 −Y2
−Y2 Y2+Y3
]
(10.5)
10.1 二端子対網の表現方法 °c大豆生田利章2009 185 インピーダンス行列はアドミタンス行列の逆行列なので
Z=Y−1= 1
Y1Y2+Y2Y3+Y3Y1
[Y2+Y3 Y2 Y2 Y1+Y2
]
(10.6) 式(10.4)より
V1= (
1 + Y3
Y2
) V2− 1
Y2
I2 (10.7)
となる。式(10.3)に式(10.7)を代入してV1を消去すると、
I1= (Y1+Y2) {(
1 + Y3
Y2
) V2− 1
Y2
}
I2−Y2V2 (10.8)
= Y1Y2+Y2Y3+Y3Y1 Y2
V2− (
1 +Y1 Y2
)
I2 (10.9)
となる。式(10.7)および式(10.9)より、I2の向きに注意すると、縦続行列Fは、
F=
1 + Y3 Y2
1 Y2
Y1Y2+Y2Y3+Y3Y1
Y2
1 +Y1
Y2
(10.10)
J
問題10.1
縦続行列Fの行列要素をインピーダンス行列Zの行列要素を用いて表せ。
問題10.2
図10.2の二端子対網のインピーダンス行列Zおよび縦続行列Fを求めよ。
図10.2問題10.2
問題10.3
図10.3の二端子対網のアドミタンス行列Yおよび縦続行列Fを求めよ。
問題10.4
図10.4の二端子対網のインピーダンス行列Z、アドミタンス行列Yおよび縦続行列Fを求めよ。
図10.3問題10.3
図10.4問題10.4
問題10.5
図10.5の二端子対網のインピーダンス行列を求めよ。
図10.5問題10.5
問題10.6F
図10.6のように、インピーダンス行列がZの二端子対網にインピーダンスZ1とZ2の素子を接続 して新たな二端子対網を作った。この二端子対網に関して以下の問に答えよ。
図10.6問題10.6
(1) V1、I1、I10、Z1の間の関係式を記せ。
10.1 二端子対網の表現方法 °c大豆生田利章2009 187 (2) V2、V20、I2、Z2の間の関係式を記せ。
(3) インピーダンス行列の行列要素を用いて、V1、V20、I10、I2の関係式を記せ。
(4) 以上の式を用いて図10.6の二端子対網のZ行列を求めよ。
問題10.7
図10.7の変成器の縦続行列Fを求めよ。
図10.7問題10.7
問題10.8
図10.8の巻線比1 :nの理想変成器の縦続行列Fを求めよ。
図10.8問題10.8
問題10.9FF
図10.9の二端子対網に関して以下の問に答えよ。ただし、理想変成器の巻線比は1 :nである。
図10.9問題10.9
(1) V1、V10、I1、Y の間の関係式を記せ。
(2) V10、V2の間の関係式を記せ。
(3) I1、I2の間の関係式を記せ。
問題10.10F
図10.10の二端子対網のインピーダンス行列を求めよ。
図10.10問題10.10