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Ⅰ 現状 と課題

災 害 は 、地 震・風 水 害 等 の 自 然 災 害 か ら 、鉄 道 事 故 等 の 人 為 的 災 害 に 至 る ま で 様 々 な 種 類 が あ り 、発 生 場 所 や 発 生 時 期 、発 生 時 間 等 に よ り 被 害 の 程 度 は 大 き く 異 な っ て き ま す 。

平 成 28 年 4 月 に 発 生 し た 熊 本 地 震 は 死 者 ・ 傷 病 者 合 わ せ て 1,800 人 を 超 え る 規 模 の 災 害 と な り 、派 遣 調 整 の 方 法 、回 復 期 の 対 応 、受 入 れ 側 の 調 整 機 能 な ど 様 々 な 課 題 が 明 ら か と な り ま し た 。

ま た 、 近 年 、 短 時 間 強 雨 の 年 間 発 生 回 数 が 増 加 傾 向 に あ り 、 平 成 29 年 7 月 の 九 州 北 部 豪 雨 で は 、 死 者 ・ 行 方 不 明 者 が 40 名 以 上 と な り 、 大 規 模 災 害 だ け で な く 局 地 災 害 に 対 応 で き る 体 制 整 備 も 必 要 と な っ て い ま す 。

1 災 害 時 医 療 体 制

( 1) 地 域 防 災 計 画 等 に お け る 災 害 時 医 療 体 制

県 地 域 防 災 計 画 の 中 で 、災 害 時 に お い て 県 、市 町 、日 本 赤 十 字 社 福 井 県 支 部 、県 医 師 会 、病 院 等 医 療 施 設 管 理 者 等 が 処 理 す べ き 業 務 を 定 め て い ま す 。

ま た 、県 で は 、各 関 係 機 関 と 下 記 の と お り 、災 害 時 の 相 互 支 援 に 関 す る 協 定 等 を 締 結 し て い ま す 。

・「 災 害 救 助 法 等 に よ る 救 助 ま た は そ の 応 援 の 実 施 に 関 す る 委 託 協 定 」 ( 日 本 赤 十 字 社 福 井 県 支 部 )

・「 災 害 時 の 医 療 救 護 活 動 に 関 す る 協 定 」( 福 井 県 医 師 会 )

・「 災 害 時 の 歯 科 医 療 救 護 活 動 に 関 す る 協 定 書 」( 福 井 県 歯 科 医 師 会 )

・「 災 害 時 の 救 護 活 動 に 関 す る 協 定 書 」( 福 井 県 看 護 協 会 )

・「 北 陸 三 県 災 害 相 互 応 援 に 関 す る 協 定 」( 富 山 県 お よ び 石 川 県 )

・「 災 害 応 援 に 関 す る 協 定 」( 中 部 圏

9

1

市 )

・「 近 畿

2

7

県 震 災 時 等 の 相 互 応 援 に 関 す る 協 定 」( 近 畿

2

7

県 )

こ れ ら の 協 定 に よ り 、 災 害 時 ( 広 域 で の 災 害 を 含 む 。) に お け る 医 療 体 制 に つ い て の 協 力 ・ 応 援 体 制 を 確 立 し て い ま す 。

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 事業 第 4 章 災害時医療)

災害医療活動体系図

連携

派遣要請 応援要請

連携

派遣調整

・指示

・派遣調整要請

応援要請

・医師等の確保

・医薬品等の確保

福井県災害対策本部 市町災害対策本部

日赤福井県 支部

被災現場救護所

(拠点:救急病院等)

福井県

医師会 DMAT

指定病 県立

病院

後方支援病院、薬局

(災害拠点病院、災害拠点薬局等)

航空医療搬送拠点臨時医療施設

(SCU)

(福井空港、若狭へリポート等)

福井県歯 科医師会 現地災害

対策本部

(現地災害 医療コーディ

ネーター)

県外搬送 精神科病 院等の関 係機関

DPAT 福井県

看護協会

DMATロジス ティックチーム

健康福祉 センター

搬送 調

公的 医療 機関 国立病院

機構・

福井大学

医療・救護部門 災害医療アドバイザー

DMAT調整本部 災害医療コーディネーター DMATロジスティックチーム

福井赤十字病

院ほか常備 救護班病院

郡市医師会 JMAT

(1)救護班の人員3~6名(医師1名、看護師2 ~3名、その他)

(2)救護班の編成 1日編成可能班数56班

区 分 班数 派 遣 機 関 班数

5 県立病院 5

国立大学病院、

国立病院機構 3

福井大学医学部附属病院

国立病院機構 敦賀医療センター 国立病院機構 あわら病院

1 1 1

公的医療機関 15

福井赤十字病院 福井県済生会病院 坂井市立三国病院 福井勝山総合病院 公立丹南病院 市立敦賀病院 公立小浜病院

レイクヒルズ美方病院

8 1 1 1 1 1 1 1

医師会 33 福井県医師会 33

合 計 56

救護班の班数(「福井県地域防災計画本編」)

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 事業 第 4 章 災害時医療)

( 2) 災 害 拠 点 病 院 、 災 害 拠 点 精 神 科 病 院 の 指 定

災 害 時 に お い て 、被 災 地 の 医 療 の 確 保 、被 災 し た 地 域 へ の 医 療 支 援 等 を 行 う こ と を 目 的 と し て 、平 成 10 年 か ら 災 害 拠 点 病 院 を 9 病 院( 基 幹 災 害 拠 点 病 院 1 病 院 、 地 域 災 害 拠 点 病 院 8 病 院 )指 定 し て い ま す 。

ま た 、災 害 時 に お け る 精 神 科 医 療 体 制 を 構 築 す る に あ た り 、災 害 時 拠 点 精 神 科 病 院 の 整 備 が 求 め ら れ て い ま す 。

医 療 機 関 名

D M A T チーム数 統 括

D M A T イ ン ス ト ラ ク タ ― ロ ジ ス テ ィ ッ ク チ ー ム 隊 員 基 幹 災 害 拠 点 病 院 福 井 県 立 病 院 3 5 0 1

福 井 ・ 坂 井 奥 越

丹 南

福 井 県 済 生 会 病 院 福 井 赤 十 字 病 院 福 井 大 学 医 学 部 附 属 病 院

福 井 総 合 病 院 福 井 勝 山 総 合 病 院

公 立 丹 南 病 院

3 3 3 1 2 1

3 2 3 0 0 0

0 0 1 0 0 0

1 0 1 0 1 0 嶺 南 市 立 敦 賀 病 院

公 立 小 浜 病 院

2 4

1 1

0 0

1 0 D M A T 指 定 病 院 国 立 病 院 機 構 敦 賀 医 療 セ ン タ ー 1 0 0 0

合 計 23 14 1 5

( 3) 災 害 派 遣 医 療 チ ー ム ( D M A T 、 D P A T 等 )1

県 内 の 災 害 拠 点 病 院 で は 、 平 成 17 年 度 以 降 、 災 害 急 性 期 ( 概 ね 発 災 後 48 時 間 以 内 ) に 災 害 現 場 へ で き る だ け 早 期 に 出 向 い て 、 ① 被 災 地 内 に お け る ト リ ア ー ジ2や 救 命 処 置 、② 患 者 を 近 隣・広 域 へ 搬 送 す る 際 に お け る 必 要 な 処 置 、③ 被 災 地 内 の 病 院 に お け る 診 療 支 援 等 を 行 う た め に 、専 門 の 訓 練 を 受 け た 災 害 派 遣 医 療 チ ー ム( D M A T )の 配 備 を 進 め て い ま す 。

県 内 で は 、平 成 30 年 1 月 末 現 在 、10 病 院 に 23 チ ー ム が 編 成 さ れ て い ま す 。ま た 、熊 本 地 震 に お い て 効 果 的 に 活 動 を 行 っ た 、D M A T 隊 員 の 指 導 や 訓 練 の 企 画 等 を 行 う「 D M A T イ ン ス ト ラ ク タ ー 」が 1 名 、 D M A T 活 動 に 必 要 な 連 絡 、調 整 、情 報 収 集 等 の 業 務 を 行 う「 D M A T ロ ジ ス テ ィ ッ ク チ ー ム 隊 員 」が 5 名 養 成 さ れ て い ま す 。県 と D M A T 派 遣 機 能 を 持 つ 病 院 と の 間 で は 、D M A T の 派 遣 基 準 お よ び 災 害 現 場 で の 活 動 基 準( 指 揮 命 令 )等 の 運 用 基 準 を 明 確 な も の と す る 協 定 が 締 結 さ れ て お り 、県 の 要 請 を 受 け て D M A T が 出 動 で き る 体 制 が 整 え ら れ て い ま す 。

1 DMATとは、1 チーム 5 名(医師、看護師等 2 名、業務調整員)程度で、DMAT養成研修を受講した上で編成されます。災害現場 で必要な機器 (衛星携帯電話、トランシーバ、救急蘇生資機材、心電図モニタ、ポータブルエコー等) を携行します。

2 トリアージとは、医療資源が制約される中で、傷病者に対して最善の治療を行うために、緊急度に応じて搬送や治療の優先順位を決 めることです。

災 害 拠 点 病 院 、 D M A T 指 定 病 院 一 覧 ( 平 成 29 年 10 月 末 現 在 )

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 事業 第 4 章 災害時医療)

ま た 、被 災 地 に お い て 精 神 保 健 医 療 活 動 支 援 を 行 う 災 害 派 遣 精 神 医 療 チ ー ム ( D P A T )3に つ い て は 、 災 害 急 性 期 ( 概 ね 48 時 間 以 内 ) に 活 動 で き る D P A T 先 遣 隊 お よ び 中 長 期 的 に 活 動 す る D P A T の 養 成 や 派 遣 体 制 の 整 備 が 進 め ら れ て い ま す 。

さ ら に 、日 本 医 師 会 が 被 災 都 道 府 県 医 師 会 か ら の 要 請 に 基 づ い て 各 都 道 府 県 医 師 会 に 依 頼 し て 結 成 、 派 遣 さ れ る 医 療 チ ー ム ( J M A T ) は 、 東 日 本 大 震 災 時 の 活 動 な ど 重 要 な 役 割 を 果 た し て い ま す 。

( 4) 航 空 搬 送 拠 点 臨 時 医 療 施 設 ( S C U )

県 内 の 医 療 機 関 で は 対 応 し き れ な い 事 態 の と き に 、必 要 に 応 じ て 、 ヘ リ コ プ タ ー 等 の 航 空 機 を 活 用 し て 患 者 等 を 県 外 へ 搬 送 す る た め に 、 福 井 空 港 お よ び 若 狭 ヘ リ ポ ー ト を 広 域 医 療 搬 送 拠 点 と し て い ま す 。 福 井 空 港 や 若 狭 ヘ リ ポ ー ト 付 近 に 、 患 者 の 症 状 の 安 定 化 を 図 り 、 搬 送 の た め の ト リ ア ー ジ を 実 施 す る 臨 時 医 療 施 設( S C U )を 設 置 し 、 設 備 と し て 、 通 信 ・ 記 録 機 器 、 テ ン ト や 簡 易 ベ ッ ド 等 の 備 品 、 医 療 資 機 材 を 整 備 し て い ま す 。

( 5) 災 害 時 の 専 門 家 の 助 言 、 受 け 入 れ 体 制 等 の 整 備

東 日 本 大 震 災 、 熊 本 地 震 を 踏 ま え 、 災 害 が 発 生 し た 際 、 迅 速 に 判 断 が で き る よ う 県 災 害 対 策 本 部 に 対 し て 、 医 学 的 見 地 か ら 的 確 な 助 言 を す る 災 害 医 療 の 専 門 家 や 、県 内 D M A T の 被 災 地 派 遣 の 調 整 や 、 他 県 D M A T や 救 護 班 の 受 入 れ を 取 り ま と め る コ ー デ ィ ネ ー タ ー 、 D M A T 活 動 に 関 わ る 連 絡 、 調 整 、 情 報 収 集 等 を 行 う ロ ジ ス テ ィ ッ ク の 機 能 を 持 つ D M A T 隊 員 の 養 成 が 必 要 で す 。

2 災 害 時 医 薬 品 等 の 供 給 体 制

災 害 時 に お け る 医 療 救 護 活 動 に 必 要 な 医 薬 品 等 の 迅 速 か つ 的 確 な 供 給 体 制 や 、救 護 所 に お け る 調 剤 、服 薬 指 導 、医 薬 品 管 理 等 の 医 療 救 護 活 動 に つ い て も 、関 係 機 関 と の 間 で 次 に 掲 げ る よ う な 協 定 を 締 結 し て い ま す 。

ま た 、 災 害 発 生 時 に 医 薬 品 の 供 給 等 の 拠 点 と な る 薬 局 が 必 要 で す 。

・「 災 害 時 に お け る 医 療 救 護 活 動 に 関 す る 協 定 」( 福 井 県 薬 剤 師 会 )

・「 災 害 時 に お け る 医 療 材 料 等 の 供 給 等 に 関 す る 協 定 」( 福 井 県 医 療 機 器 協 会 )

・「 災 害 時 に お け る 医 薬 品 の 供 給 等 に 関 す る 協 定 」( 福 井 県 医 薬 品 卸 業 協 会 )

・「 災 害 時 に お け る 医 療 用 ガ ス 等 の 供 給 等 に 関 す る 協 定 」( 日 本 産 業 ・ 医 療 ガ ス 協 会 北 陸 地 域 本 部 福 井 県 支 部 )

3 DPATとは、精神科医師、看護師、業務調整員で構成される専門的な研修・訓練を受けた災害派遣精神医療チームのことをいい、

精神科医療の提供を行います。

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 事業 第 4 章 災害時医療)

3 原 子 力 災 害 医 療4体 制

( 1) 原 子 力 災 害 医 療 体 制

県原子力防災計画に基づき、従来の原子力災害への対応に加え、大規模 自然災害と原子力災害が複合して発生する際の対応に重点を置き、被ばく のおそれのある傷病者への診療や関係機関との連携強化を推進するための 原子力災害医療体制を整備しています。

原子力災害医療おいて地域の中心となる災害拠点病院を原子力災害拠点 病院(福井県立病院、福井大学医学部附属病院、福井赤十字病院)として 県が指定、被ばく傷病者等に対する専門的医療の実施に加え、地域の関係 者の研修、原子力災害時に現地で治療にあたる原子力災害医療派遣チーム の編成し派遣するなどの役割を担っています。

その他、原子力災害医療協力機関として 15 機関を県が登録、被ばく傷病 者の初期診療に加え、避難所や救護所の設営、避難退域時検査等の協力可 能な支援を行います。

また、平成 13 年度に県立病院内に緊急時医療対策施設を整備し、重度の 被ばく患者に対する総合的な被ばく医療機能を確保しています。さらに、

放射線測定資機材や除染資機材を二州、若狭健康福祉センター等に配備し ているほか、安定ヨウ素剤を二州、若狭、丹南、福井健康福祉センターお よびUPZ圏内の 12 市町において備蓄しています。

原 子 力 災 害 発 生 時 に 、 迅 速 か つ 適 切 な 対 応 が と れ る よ う 、 原 子 力 災 害 拠 点 病 院 、 原 子 力 災 害 医 療 協 力 機 関 と の 連 携 強 化 を 図 る と と も に 、 近 県 の 原 子 力 災 害 拠 点 病 院 と の 協 力 体 制 を 整 備 す る 必 要 が あ り ま す 。

原 子 力 災 害 拠 点 病 院 の 指 定 、 原 子 力 災 害 医 療 協 力 機 関 の 登 録 状 況

原 子 力 災 害 拠 点 病 院

( 平 成 28 年 3 月 22 日 指 定 )

原 子 力 災 害 医 療 協 力 機 関

( 平 成 28 年 3 月 22 日 登 録 ) 福 井 県 立 病 院

福 井 大 学 医 学 部 附 属 病 院 福 井 赤 十 字 病 院

国 立 病 院 機 構 敦 賀 医 療 セ ン タ ー 市 立 敦 賀 病 院

杉 田 玄 白 記 念 公 立 小 浜 病 院 若 狭 高 浜 病 院

福 井 県 済 生 会 病 院 福 井 勝 山 総 合 病 院 公 立 丹 南 病 院

国 立 病 院 機 構 あ わ ら 病 院 坂 井 市 立 三 国 病 院

越 前 町 国 民 健 康 保 険 織 田 病 院 レ イ ク ヒ ル ズ 美 方 病 院

若 狭 町 国 民 健 康 保 険 上 中 診 療 所 一 般 社 団 法 人 福 井 県 医 師 会 一 般 社 団 法 人 福 井 県 薬 剤 師 会

公 益 財 団 法 人 福 井 県 診 療 放 射 線 技 師 会

4 原子力災害医療とは、五感で感じることのできない放射線による人体への影響に対応するための医療です。