Ⅰ 公 的 病 院 等 の 役 割
県 内 の 公 的 病 院 等1は 、 救 急 医 療 、 災 害 時 に お け る 医 療 、 へ き 地 医 療 、 周 産 期 医 療 お よ び 小 児 医 療 の 政 策 的 医 療 分 野 や 高 度 医 療 、 地 域 医 療 と の 連 携 、 が ん 診 療 、 精 神 医 療 お よ び 臨 床 研 修 等 に 関 し て 、 別 表 に 掲 げ る よ う な 役 割 等 を 担 っ て い ま す 。
公 的 病 院 等 は 、 二 次 医 療 圏 に お い て 、 こ れ ら の 政 策 的 医 療 等 の 提 供 や 病 病 ・ 病 診 連 携 の 中 心 的 役 割 を 担 う と と も に 、 医 療 水 準 の 維 持 ・ 向 上 に 努 め な が ら 、 良 質 な 医 療 提 供 体 制 を 持 続 し て い く こ と が 必 要 で す 。
ま た 、 地 域 の 医 療 ニ - ズ を 的 確 に 把 握 し 、 住 民 に 信 頼 さ れ る 質 の 高 い 医 療 を 提 供 す る た め に も 、 本 計 画 の 基 本 理 念 で あ る 医 療 機 能 の 役 割 分 担 と 連 携 を 積 極 的 に 推 進 す る こ と が 求 め ら れ て い ま す 。
こ う し た こ と か ら 、 公 的 医 療 機 関 等 は 地 域 医 療 構 想 の 実 現 に 向 け た 公 的 医 療 機 関 等 2025 プ ラ ン を 策 定 す る こ と と な っ て お り 、こ の プ ラ ン に つ い て 地 域 医 療 構 想 調 整 会 議 で 議 論 し 、 地 域 の 理 解 を 得 な が ら 、 そ の 果 た す べ き 役 割 の 見 直 し を 検 討 し て い き ま す 。
特 に 、 福 井 ・ 坂 井 圏 域 に お い て は 、 急 性 期 医 療 を 提 供 す る 4 つ の 大 規 模 病 院 ( 福 井 県 立 病 院 、 福 井 赤 十 字 病 院 、 福 井 県 済 生 会 病 院 、 福 井 大 学 医 学 部 附 属 病 院 ) が 近 距 離 に 集 中 立 地 し て い る こ と か ら 、 こ れ ら の 4 病 院 と 県 で 構 成 す る 協 議 会 を 設 置 し 、 役 割 分 担 等 に つ い て 協 議 ・ 実 施 し て い き ま す 。
ま た 、 公 的 病 院 等 と そ れ 以 外 の 病 院 ・ 診 療 所 と の 適 切 な 役 割 分 担 に つ い て も 十 分 協 議 し 、 双 方 の 医 療 機 関 の 適 切 な 機 能 分 担 が 図 ら れ る よ う 、 診 療 科 目 等 の 再 編 や 連 携 体 制 を 構 築 す る た め の ネ ッ ト ワ - ク 化 等 、 地 域 に お い て 適 切 な 医 療 提 供 体 制 の 確 保 の た め の 検 討 も 進 め て い き ま す 。
1 公的病院等とは、公立病院、大学医学部附属病院、国立病院機構、地域医療機能推進機構、赤十字病院、済生会病院のことです。
第 4 部 医療の役割分担と連携(第 2 章 公的病院等が担う役割)
別 表 県 内 の 公 的 病 院 等 の 主 な 役 割 ( 平 成 30 年 3 月 現 在 )
医 療 圏
病 院 名
救 急 医 療
災 害 時 医 療
へき地 医 療
周産期 医 療
小 児 医 療
が ん 医 療
精 神 医 療
児童発達
支 援 ●○ ○ ● ○
○救 命救 急セ ンタ ー
○救 急病 院2
●病 院群 輪番 制病 院・ 救急 病院
○地 域災 害拠 点病 院
●基 幹災 害拠 点病 院
被ばく医療
○へ き地 医療 拠点 病院
●へ き地 医療 支援 機構
○地 域周 産期 母子 医療 セン ター
●総 合周 産期 母子 医療 セン ター
○小 児救 急夜 間輪 番病 院
○地 域が ん診 療連 携拠 点病 院
●県 がん 診療 連携 拠点 病院
○精 神科 救急 輪番 病院
○児 童発 達支 援
●医 療型 障害 児入 所施 設
専門 研修 連携 施設 専門 研修 基幹 施設3
臨床 研修 指定 病院4
特 定 機 能 病 院5
地 域 医 療 支 援 病 院6
○原 子力 災害 医療 協力 病院
●原 子力 災害 拠点 病院
福 井
・ 坂 井
福井県立病院 ○ ● ● ● ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ○ ○ 福井県こども
療育センター ● ○
福井県すこやか
シルバー病院 ○
福井赤十字病院 ● ○ ● ○ ○ ○ ● ○ ○ ○
福井県済生会病院 ● ○ ○ ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ○
福井大学医学部
附属病院 ● ○ ● ● ○ ○ ● ○ ○ ●
坂井市立三国病院 ○ ○ ○
国立病院機構
あわら病院 ○ ● ○ ● ○
奥 越
JCHO
福井勝山総合病院 ● ○ ○ ○
丹 南
公立丹南病院 ● ○ ○ ○ ○
越前町国保
織田病院 ○ ○ ○
嶺 南
国立病院機構
敦賀医療センター ○ ○ ○ ○ ● ○ ○
市立敦賀病院 ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○
レイクヒルズ
美方病院 ○ ○
杉田玄白記念 公立小浜病院
○
(ミニ)
7
● ○ ○ ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ JCHO
若狭高浜病院 ○ ○ ○
2 救 急 病 院 と は 、 救 急 医 療 に 対 応 す る 医 師 や 設 備 な ど を 備 え た 医 療 機 関 で 、 そ の 開 設 者 か ら 協 力 の 申 し 出 が あ り 、 県 知 事 が 必 要 と 認 定 し た も の で す 。
3 県 内 の 専 門 研 修 基 幹 施 設 は 、 福 井 総 合 病 院 を 含 め た 8 病 院 。 4 県 内 の 臨 床 研 修 指 定 病 院 は 、 福 井 総 合 病 院 を 含 め た 7 病 院 。
5 特 定 機 能 病 院 と は 、 高 度 な 医 療 技 術 や 設 備 を 備 え 、 高 度 医 療 の 研 究 開 発 や 医 師 の 研 修 を 行 う 病 院 の こ と 。 6 県 内 の 地 域 医 療 支 援 病 院 は 、 福 井 循 環 器 病 院 を 含 め た 4 病 院
7 従 来 か ら あ る 救 命 救 急 セ ン タ ー は 、 20 床 以 上 の 専 用 病 床 を 有 し ま す が 、 新 型 ( ミ ニ ) 救 命 救 急 セ ン タ ー は 、 20 床 未 満 の 専 用 病 床 で あ っ て も 、 厚 生 労 働 省 が 平 成 15 年 度 か ら 新 た に 設 置 を 認 め る よ う に な っ た も の で す 。
第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 疾病 第 1 章 がん)
第 5 部 5 疾 病 ・ 5 事 業 、 在 宅 医 療 の 医 療 提 供 体 制 の 構 築
我 が 国 は 、 世 界 で 最 高 レ ベ ル の 平 均 寿 命 と 医 療 水 準 を 達 成 す る 一 方 で 、 三 大 死 因 と い わ れ る が ん 、 心 疾 患 ( 急 性 心 筋 梗 塞 ) 、 脳 卒 中 ( 県 民 の 死 因 の 60% 近 く が こ の 3疾 患 で す 。)、さ ら に 患 者 数 が 多 い 糖 尿 病 を 含 む 生 活 習 慣 病 や 、認 知 症 、う つ 病 、自 殺 者 の 増 加 傾 向 か ら 精 神 疾 患 を 加 え た 5疾 病 の 対 策 が 急 務 と な っ て い ま す 。
ま た 、 救 急 医 療 、 災 害 時 に お け る 医 療 、 へ き 地 の 医 療 、 周 産 期 医 療 、 小 児 医 療 の 5事 業 に つ い て は 、県 民 の 生 活 に 大 き な 影 響 を 与 え る こ と か ら 、重 点 的 に 取 り 組 む 必 要 が あ り ま す 。
さ ら に 、 居 宅 等 に お け る 医 療 ( 以 下 「 在 宅 医 療 」 と い う 。 ) の 重 要 度 が ま す ま す 高 ま る と 考 え ら れ ま す 。
こ の た め 、こ の 第 5部 に お い て は 、5疾 病 、5事 業 お よ び 在 宅 医 療 の そ れ ぞ れ に つ い て 、 医 療 機 能 を 明 確 に し た 上 で 、 医 療 機 関 が 役 割 を 分 担 し 、 連 携 す る こ と に よ り 、 切 れ 目 な く 医 療 を 提 供 す る 体 制 を 示 す と と も に 、 在 宅 医 療 も 含 め て 、 今 後 の 目 指 す べ き 方 向 と 目 標 を 示 し ま し た 。
(5疾病)
第 1 章 が ん
1が ん (悪 性 新 生 物 )は 、 他 の 細 胞 組 織 に 侵 入 し た り 、 転 移 し 、 身 体 の 各 所 で 増 大 す る こ と に よ り 、 生 命 を 脅 か す 腫 瘍 で す 。 基 本 的 に す べ て の 臓 器 ・ 組 織 で 発 生 し う る も の で あ り 、 痛 み や 治 療 に よ る 副 作 用 な ど の 身 体 的 苦 痛 だ け で な く 、 不 安 や 精 神 的 苦 痛 を 伴 い ま す 。
が ん 予 防 の た め に は 、 生 活 習 慣 ( 喫 煙 、 食 生 活 、 飲 酒 、 運 動 等 ) の 改 善 が 必 要 で あ り 、 ま た 、 が ん の 早 期 発 見 の た め に は 、 が ん 検 診 の 受 診 も 重 要 で す 。
Ⅰ 現 状 と 課 題 1 本 県 の 状 況
ア が ん は 、 わ が 国 に お け る 死 因 の 第 1 位 で あ り 、 年 間 37 万 人 以 上 の 人 が 亡 く な っ て い ま す2。
本 県 の が ん に よ る 死 亡 者 数 は 、 2,439 人 と 、 死 亡 者 数 全 体 9,228 人 の 26.4% に の ぼ っ て お り 2、 昭 和 55 年 以 来 、 死 因 の 第 1 位 を 占 め 、 一 層 の が ん 対 策 が 急 務 と な っ て い ま す 。
1 こ こ で は 「 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」 か ら 抽 出 し た 内 容 を 中 心 に 記 載 し て い ま す 。 2 厚 生 労 働 省 「 人 口 動 態 調 査 」( 平 成 28 年 )
第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 疾病 第 1 章 がん)
ま た 、 が ん に よ る 死 亡 者 数 は 、 増 加 す る 傾 向 に あ り ま す 。 本 県 の が ん の 、 人 口 10 万 人 当 た り の 死 亡 率 は 、 全 国 平 均 と 比 べ て 高 く 推 移 し て い ま す 。
し か し 、高 齢 化 の 影 響 を 除 い た 年 齢 調 整 死 亡 率 で 比 較 す る と 、全 体 的 に 減 少 傾 向 に あ り 、全 国 平 均 と 比 べ て も 低 く 推 移 し て い ま す3。
部 位 別 の が ん 死 亡 者 数 の 割 合 ( H26~ 28年 の 平 均 )4
肺 24.1%
胃 14.5%
大腸 11.5%
膵臓 7.9%
肝 7.6%
前立腺 5.7%
胆嚢胆管 5.0%
悪性リンパ腫 3.6%
膀胱 3.0%
白血病 2.4%
その他 14.6%
死亡割合(男性)
大腸 14.8%
肺 13.1%
胃 11.0%
膵臓 11.6%
胆嚢胆管 7.1%
乳房 7.9%
肝 7.2%
悪性リン パ腫
3.5%
子宮 3.1%
白血病 2.6%
膀胱 2.1%
その他 16.0%
死亡割合(女性)
イ が ん の 罹 患 数 お よ び 高 齢 化 の 影 響 を 取 り 除 い た 年 齢 調 整 罹 患 率 は 平 成 15 年 よ り 男 女 と も に 増 加 傾 向 に あ り ま し た が 、 男 性 は 平 成 23 年 を ピ ー ク に 徐 々 に 減 少 し て い ま す5。
3 厚 生 労 働 省「 人 口 動 態 調 査 」。 な お 、「 第 3 次 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」に は 、 年 齢 階 級 別 の 死 亡 率 、年 齢 階 級 別 死 亡 率 の 年 次 推 移 に つ い て も 、 詳 細 に 記 載 さ れ て い ま す 。
4「 人 口 動 態 調 査 」。平 成 26~ 28 年 の 平 均 。「 第 3 次 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」に は 、部 位 別 の 年 齢 調 整 死 亡 率 の 推 移 、 部 位 別 の 年 齢 階 級 別 死 亡 率 の 分 布 等 に つ い て も 、 詳 細 に 記 載 さ れ て い ま す 。
5「 福 井 県 が ん 登 録 」。「 第 3 次 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」 に は 、 年 齢 階 級 別 の 罹 患 率 、 年 齢 階 級 別 の 罹 患 率 の 年 次 推 移 に つ い て も 、 詳 細 に 記 載 さ れ て い ま す 。
が ん に よ る 死 亡 率 が ん に よ る 75 歳 未 満 年 齢 調 整 死 亡 率
本 県 の が ん の 罹 患 者 数 本 県 の が ん の 年 齢 調 整 罹 患 率
人
( 人 口 10 万 対 ) ( 人 口 10 万 対 )
出 典 : 厚 生 労 働 省 「 人 口 動 態 調 査 」
( 人 口 10 万 対 )
出 典 福 井 県 が ん 登 録
第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(5 疾病 第 1 章 がん)
部 位 別 の が ん 罹 患 者 数 の 割 合6( H21~ 25 年 の 平 均 : 福 井 県 が ん 登 録 )
胃 19.0%
大腸 17.4%
肺 15.4%
前立腺 12.0%
肝 4.9%
膵臓 3.5%
胆嚢・胆管 2.6%
その他 25.2%
罹患割合(男性)
乳房 17.6%
大腸 16.8%
胃 12.6%
肺 9.4%
子宮 8.3%
肝 4.1%
膵臓 4.1%
胆嚢・胆管 4.0%
その他 23.1%
罹患割合(女性)
ウ 全 部 位 で の 5 年 相 対 生 存 率7は 、 64.7% ( 平 成 19-21 年 罹 患 者 ) と な っ て い ま す 。本 県 の が ん 登 録 事 業 発 足 当 初( 昭 和 59-61 年 罹 患 者 ) の 同 生 存 率 38.3% と 比 較 し て 、 1.7 倍 と な っ て い ま す8。
部 位 別 の 5 年 相 対 生 存 率 の 推 移 ( 福 井 県 が ん 登 録 )
51.2 54.1 55.2 55.8 58.5 58.8 61.7 64.7
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
S61~S63 H 1~H 3 H 4~H 6 H 7~H 9 H10~H12 H13~H15 H16~H18 H19~H21
%
年次
部位ごとの相対5年生存率の推移
膵 胆嚢胆管
肝 肺 全部位 前立腺
乳房
子宮
直腸
結腸 胃
6「 福 井 県 が ん 登 録 」。平 成 21~ 25 年 の 平 均 。「 第 3 次 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」に は 、部 位 別 の 年 齢 調 整 罹 患 率 の 推 移 、 部 位 別 の 年 齢 階 級 別 罹 患 率 の 分 布 等 に つ い て も 、 詳 細 に 記 載 さ れ て い ま す 。
7「 5 年 相 対 生 存 率 」 と は 、 が ん が 発 見 さ れ て か ら 、 5 年 後 に 生 存 し て い る 割 合 で す 。
8「 福 井 県 が ん 登 録 」。「 第 3 次 福 井 県 が ん 対 策 推 進 計 画 」 に は 、 部 位 別 に 詳 細 に 記 載 さ れ て い ま す 。