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Ⅰ 現 状 と 課 題

医 療 や 介 護 が 必 要 な 状 態 と な っ て も 、 住 み 慣 れ た 地 域 で の 生 活 が 継 続 で き る よ う 、 医 師 等 が 居 宅 等 を 訪 問 し 医 療 的 ケ ア を 提 供 す る 在 宅 医 療 の 提 供 体 制 を 整 え る 必 要 が あ り ま す 。

1 本 県 の 状 況

( 1) 高 齢 者 の 状 況

本 県 の 高 齢 者 人 口 は 、平 成 37 年 に 平 成 27 年 比 で 7.9%の 増 と な り 、 後 期 高 齢 者 人 口 は 平 成 37 年 に 平 成 27 年 比 で 25.4% の 増 と な る と と も に 平 成 42 年 頃 ま で 増 え 続 け ま す 。

ま た 、 本 県 の 要 介 護 認 定 者 数 ( 要 支 援 認 定 者 を 含 む ) は 平 成 19 年 か ら 平 成 29 年 の 10 年 で 38.1% 増 加 し て お り 、要 介 護 3 以 上 の 認 定 者 に 限 る と 約 3,700 人 増 加 し て い ま す 。

福 井 県 と 全 国 の 高 齢 者 人 口 の 推 移 ( 単 位 : 万 人 )

出 典 : 総 務 省 「 国 勢 調 査 」

国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 「 日 本 の 将 来 推 計 人 口(平 成 29年 推 計)」

0 1000 2000 3000 4000 5000

0 5 10 15 20 25

2005 2010 2015 2020 (推計)2025

(推計)2030 (推計)2040

(推計)

福井県_高齢者人口 (左軸)

(再掲)福井県_後期高齢者人口 (左軸)

全国_高齢者人口 (右軸)

(再掲)全国_後期高齢者人口 (右軸)

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(在宅医療)

要 介 護 認 定 者 ・ 認 定 率 の 推 移 ( 福 井 県 )

出 典 : 厚 生 労 働 省 「 介 護 保 険 事 業 状 況 報 告 」(平 成 27 年 ま で は 年 報 、 平 成 28年 か ら は 月 報(8 ))

一 方 で 、 在 宅 医 療 に お い て 中 心 的 な 役 割 の 一 環 を 担 う 訪 問 看 護 に つ い て 、75 歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 の 利 用 率 が 高 い こ と 、 介 護 度 が 上 が る ほ ど 利 用 率 が 高 く な る こ と か ら 、 今 後 の 後 期 高 齢 者 の 人 口 増 お よ び 要 介 護 認 定 者 の 増 に と も な い 、 在 宅 医 療 を 必 要 と す る 県 民 が 増 加 す る と 見 込 ま れ ま す 。

年 齢 別 訪 問 看 護 利 用 率

出 典 : 福 井 県 「 訪 問 看 護 実 態 調 査 」(平 成 28年 度)

介 護 度 別 訪 問 看 護 利 用 率 ( 施 設 入 居 者 分 を 分 母 か ら 除 く )

出 典 : 厚 生 労 働 省 「 介 護 保 険 事 業 状 況 報 告 」(平 成 27 年 年 報)

( 2) 在 宅 医 療 の ニ ー ズ

県 民 の 約 35%は 、死 期 が 迫 っ て い る 際 に 、医 療 を 受 け な が ら 暮 ら し た い 場 所 と し て 、 自 宅 を 希 望 し て お り 、 直 近

2

回 の 調 査 で 最 も 多 く 選 ば れ て い る 選 択 肢 と な っ て い ま す 。

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

0 10000 20000 30000 40000 50000

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

要介護2以下 要介護3以上 要介護認定率

0%

1%

2%

3%

05 617 1839 4064 6574 75歳~

0%

5%

10%

15%

20%

25%

支援1 支援2 介護1 介護2 介護3 介護4 介護5

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(在宅医療)

ま た 、 医 療 技 術 の 進 歩 等 に と も な い 人 工 呼 吸 器 や 経 管 栄 養 な ど の 在 宅 で 受 け ら れ る 医 療 的 ケ ア の 範 囲 が 拡 が っ て い る こ と 、 高 齢 者 人 口 お よ び 要 介 護 者 が 増 加 す る こ と な ど か ら 、 在 宅 医 療 の ニ ー ズ は 増 加 す る も の と 考 え ら れ ま す 。

加 え て 、 小 児 や 若 年 層 の 在 宅 療 養 者 が 増 え て お り 、 本 県 に お け る 訪 問 看 護 を 受 け る 小 児( 0~ 19 歳 ) の 数 が 平 成 23 年 の 1 か 月 当 た り 約 60 人 か ら 平 成 27 年 の 約 120 人 に 約 2 倍 に な っ て い る こ と1、A C P ( Advance Care Planning、 将 来 の 医 療 等 の 望 み を 理 解 し 共 有 し 合 う プ ロ セ ス ) の 認 知 に と も な い 人 生 の 最 終 段 階 を ど う 生 き 最 期 を ど う 迎 え る か と い っ た Q O L ( Quality Of Life、 生 活 の 質 ) や Q O D

( Quality Of Death、 死 の 質 ) が 重 視 さ れ て い る な ど 、 在 宅 医 療 の ニ ー ズ は 多 様 化 し て い ま す 。

「 人 生 の 最 終 段 階 に お け る 医 療 を 受 け る 場 所 」 に 関 す る ニ ー ズ Q .あ な た 自 身 が 人 生 の 最 終 段 階 に お け る 医 療 を 受 け る と す れ ば 、ど

の よ う な 場 所 が 理 想 だ と 思 い ま す か ?

項 目 割 合

平 成

19

年 調 査 平 成

24

年 調 査 平 成

29

年 調 査

自 宅

33.6% 41.7% 35.9%

近 所 の 医 療 機 関

12.9% 12.3% 14.1%

高 度 医 療 を 持 つ 医 療 機 関

10.3% 4.3% 6.1%

ホ ス ピ ス な ど の 緩 和 ケ ア 施 設

34.6% 34.8% 31.6%

老 人 ホ ー ム な ど の 福 祉 施 設 ―

2.1% 2.1%

高 齢 者 向 け の ケ ア 付 き 住 宅 ―

0.9% 1.2%

そ の 他

0.7% 0.6% 1.2%

分 か ら な い

7.9% 3.3% 7.8%

出 典 : 福 井 県 「 医 療 機 関 へ の か か り 方 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 」(平 成 29 10)

2 在 宅 医 療 の 提 供 体 制 ( 1) 退 院 支 援

人 工 呼 吸 器 な ど の 医 療 的 ケ ア を 必 要 と し な が ら も 在 宅 療 養 を 選 択 す る 人 が 近 年 増 え て き て い る た め 、患 者 が 退 院 後 も 医 療 が 継 続 し て 受 け ら れ る と と も に 必 要 な 介 護 サ ー ビ ス が 受 け ら れ る こ と で ス ム ー ズ に 在 宅 療 養 に 移 行 で き る よ う 、 医 療 ・ 介 護 双 方 の 関 係 者 が 、「 福 井 県 退 院 支 援 ル ー ル 」を は じ め と し た 標 準 化 さ れ た 情 報 共 有 ル ー ル を 活 用 し な が ら 、入 院 前・入 院 初 期 の 段 階 か ら 退 院 後 の 生 活 を 見 据 え た 退 院 支 援 を 行 う こ と が 重 要 で す 。

1 厚 生 労 働 省 「 訪 問 看 護 療 養 費 実 態 調 査 」 (平 成 23,27 年 )

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(在宅医療)

退 院 支 援 の 内 容 と し て は 、退 院 支 援 担 当 者 の 配 置 や ケ ア マ ネ ジ ャ ー を は じ め と し た 地 域 の 介 護 関 係 者 と の 連 携 、院 内・地 域 の 医 療・介 護 関 係 者 に よ る 退 院 前 カ ン フ ァ レ ン ス な ど が 挙 げ ら れ 、こ れ ら の 取 組 み が 平 均 在 院 日 数 の 短 縮 や 患 者・家 族 の Q O L の 向 上 な ど に つ な が っ て い ま す 。

本 県 で は 、 上 記 の 退 院 支 援 の 取 組 み を 実 施 し て い る 病 院 は 50 か 所

( 全 病 院 の 73.5% ) あ り 、 そ の う ち 200 床 以 上 の 病 院 で は 82.4% が 実 施 し て お り 、病 床 規 模 が 大 き い 病 院 ほ ど 退 院 支 援 実 施 率 が 高 く な る と と も に 、 複 数 の 担 当 者 を 配 置 し て い る 傾 向 が み ら れ ま す2

〔 入 院 時 に ケ ア マ ネ ジ ャ ー が い る 場 合 の 連 携 フ ロ ー (「 福 井 県 退 院 支 援 ル ー ル 」 よ り )〕

2 福 井 県 「 在 宅 医 療 に 関 す る 医 療 機 能 調 査 」( 平 成 29 年 10 月 )

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(在宅医療)

◆ 円 滑 な 在 宅 療 養 移 行 に 向 け て の 退 院 支 援 が 可 能 な 体 制

○ 目 標

・ 入 院 医 療 機 関 と 在 宅 医 療 に 携 わ る 機 関 が 円 滑 に 連 携 す る こ と に よ り 、入 院 前 後・退 院 前 後 に お い て 切 れ 目 の な い 医 療 ・ 介 護 提 供 体 制 を 確 保 す る

○ 入 院 医 療 機 関 に 求 め ら れ る 事 項 〔 病 院 ・ 有 床 診 療 所 〕

・ 退 院 支 援 担 当 者 を 配 置 す る こ と

・ 退 院 支 援 担 当 者 は 、で き る 限 り 在 宅 医 療 に つ い て の 研 修 や 実 習 を 受 け る こ と

・ 入 院 前・入 院 初 期 の 段 階 か ら 退 院 後 の 生 活 を 見 据 え た 退 院 支 援 を 開 始 す る こ と

・ 入 院 時 お よ び 退 院 前 に は 、 必 要 に 応 じ て 入 院 中 の 治 療 方 針 、 退 院 後 の 医 療 的 ケ ア の 方 針 や 介 護 体 制 や 病 状 の 変 化 と そ の 対 応 な ど に つ い て 、「 福 井 県 退 院 支 援 ル ー ル 」 を は じ め と し た 標 準 化 さ れ た 連 携 ル ー ル を 活 用 し つ つ 、カ ン フ ァ レ ン ス や 文 書・電 話 等 で 在 宅 医 療 に 携 わ る 機 関 と の 情 報 共 有 を 十 分 図 る こ と

・ 退 院 支 援 の 際 に は 、患 者 の 住 み 慣 れ た 地 域 で 生 活 す る こ と を 考 慮 し た 在 宅 医 療 お よ び 介 護・障 害 福 祉 サ ー ビ ス の 調 整 を 十 分 図 る と と も に 、患 者 が 退 院 後 切 れ 目 な く サ ー ビ ス が 受 け ら れ る よ う 在 宅 医 療 に 携 わ る 機 関 に 前 も っ て 退 院 日( ま た は そ の 目 安 ) を 知 ら せ る こ と

○ 在 宅 医 療 に 携 わ る 機 関 に 求 め ら れ る 事 項 〔 病 院 ・ 診 療 所 (歯 科 含 む )・ 訪 問 看 護 事 業 所・ 薬 局 ・ 居 宅 介 護 支 援 事 業 所 ・ 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー ・ 相 談 支 援 事 業 所 等 〕

・ 患 者 の ニ ー ズ に 応 じ て 、医 療 や 介 護・障 害 福 祉 サ ー ビ ス を 包 括 的 か つ 退 院 後 切 れ 目 な く 提 供 で き る よ う 調 整 す る こ と

・ 在 宅 医 療 や 介 護・障 害 福 祉 サ ー ビ ス の 担 当 者 間 で 、患 者・家 族 の 在 宅 療 養 に 関 す る 意 向 や ケ ア の 方 針 、病 状 に 関 す る 情 報 等 を 共 有 し 、 連 携 す る こ と

・ 高 齢 者 の み で な く 、 小 児 や 若 年 層 の 患 者 に 対 す る 訪 問 診 療 、 訪 問 看 護 等 に も 対 応 で き る 体 制 を 確 保 す る こ と

・ 入 院 医 療 機 関 の 退 院( 退 所 )支 援 担 当 者 に 対 し 、地 域 の 在 宅 医 療 お よ び 介 護・障 害 福 祉 サ ー ビ ス に 関 す る 情 報 提 供 や 在 宅 療 養 に 関 す る 助 言 を 行 う こ と

第 5 部 5 疾病・5 事業、在宅医療の医療提供体制の構築(在宅医療)

( 2) 日 常 の 療 養 生 活 の 支 援 ① 訪 問 診 療 ・ 往 診

県 内 の 訪 問 診 療 を 受 け て い る 患 者 は 2,996 人( 平 成 28 年 9 月 実 績 ) で 、 平 成 24 年 9 月 の 2,451 人 と 比 較 し 、 22.2%増 加 し て い ま す3。 ま た 、 訪 問 診 療 ・ 往 診 に 対 応 し て い る 医 療 機 関 の 割 合 は 、 43.0% ( 病 院 55.9% 、 診 療 所 45.3% 、 平 成 29 年 11 月 現 在 ) と な っ て い ま す4

一 方 で 、 訪 問 診 療 ・ 往 診 を 実 施 し て い る 医 療 機 関 の う ち 、 訪 問 診 療・ 往 診 を 行 っ て い る 医 師 が 1 名 の 医 療 機 関 が 84.3% と 大 半 を 占 め て い る こ と か ら5、地 区 の 郡 市 医 師 会 等 を 中 心 と し て 、医 療 機 関 同 士 が 連 携 し て 患 者 に 対 応 す る 体 制 の 構 築 が 必 要 で す 。

ま た 、 在 宅 医 療 を 利 用 す る 前 か ら 患 者 と か か り つ け 医 が 将 来 の 医 療 方 針 を ど う す る か に つ い て 話 し 合 う A C P は 、 入 院 し て 在 宅 医 療 が 必 要 に な っ て も 退 院 後 に 切 れ 目 な く 在 宅 医 療 に 移 行 で き る こ と に つ な が る と と も に 、 人 生 の 最 終 段 階 に お い て 望 む 医 療 を 受 け ら れ る 観 点 か ら も 重 要 で す 。

② 訪 問 看 護

平 成 29 年 11 月 現 在 、 県 内 の 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン ( サ テ ラ イ ト を 除 く )は 79 か 所 あ り 、う ち 71 か 所( 89.9% )が 24 時 間 体 制 を 取 っ て い ま す6

一 方 で 、 69.6% の 訪 問 看 護 ス テ ー シ ョ ン が 、 従 業 員 が 5 人 未 満 の 小 規 模 事 業 所 で あ り 、 頻 回 の 訪 問 が 必 要 な 医 療 依 存 度 の 高 い 患 者 の 対 応 や 緊 急 時 の 訪 問 が 難 し い 現 状 が あ り ま す 。

今 後 は 、 タ ー ミ ナ ル ケ ア 、 認 知 症 、 特 定 行 為 、 医 療 的 ケ ア 児 な ど の 医 療 ニ ー ズ に 対 応 で き る よ う 、 事 業 所 の 大 規 模 化 、 事 業 所 同 士 の 連 携 、 他 職 種 と の 連 携 、 訪 問 看 護 師 の 人 材 確 保 お よ び 資 質 向 上 な ど を 通 じ て 安 定 的 な 訪 問 看 護 サ ー ビ ス の 提 供 体 制 を 整 備 す る こ と が 必 要 で す 。

③ 訪 問 歯 科 診 療

県 内 の 訪 問 歯 科 診 療 を 受 け て い る 患 者 は 665 人( 平 成 28 年 9 月 実 績 )で 、平 成 24 年 9 月 の 343 人 と 比 較 し 、93.9% 増 加 し て い ま す7。 ま た 、 訪 問 歯 科 診 療 に 対 応 し て い る 歯 科 診 療 所 の 割 合 は 、 61.5% と な っ て い ま す8

近 年 は 、 口 腔 ケ ア が 誤 嚥 性 肺 炎 の 発 症 予 防 に つ な が る な ど 、 口 腔

3 福 井 県 国 民 健 康 保 険 団 体 連 合 会 お よ び 社 会 保 険 診 療 報 酬 支 払 基 金 受 付 レ セ プ ト に よ る 4 福 井 県 広 域 災 害 ・ 救 急 医 療 情 報 シ ス テ ム に よ る

5 福 井 県 「 在 宅 医 療 に 関 す る 医 療 機 能 調 査 」 (平 成 29 年 10 月 )

6 福 井 県 長 寿 福 祉 課 調 べ 。 24 時 間 体 制 は 介 護 報 酬 の 「 緊 急 時 訪 問 看 護 加 算 」 の 届 出 を し て い る 事 業 所 7 福 井 県 国 民 健 康 保 険 団 体 連 合 会 お よ び 社 会 保 険 診 療 報 酬 支 払 基 金 受 付 レ セ プ ト に よ る

8 福 井 県 広 域 災 害 ・ 救 急 医 療 情 報 シ ス テ ム に よ る