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第 6 章 トータルレコーディング技術に基づく地上デジタルテレビジョン放送

6.6 信号処理の詳細

6.6.1 同時刻シンボルの探索

OFDM信号では,ガードインターバル部とシンボルの後半部との相関が高いことを利用し,シン ボルごとの切り出しができる.同時刻のシンボルを見つける必要があるが,この探索には両信号のシ ンボルごとの相関計算から行う.

収録した両信号に対してシンボルの切り出しを行い,高品質信号のある時間のシンボル に対する測定信号の相関値を求めた結果を図6.5に示す.相関が確実に導出できるのであれ ば,計算時間を短くできる方が有用であることから,相関導出に用いる帯域は計算時間と のトレードオフとなる.そこで,計算時間を抑えながらも確実に相関が求められる帯域幅 として各信号の中心400[kHz]を選定した.この図から約1,100シンボルずれた位置に同一 シンボルがあることが確認できる.

K f f

SAM

<<

SAM

/

図6.5:2つの信号のシンボル相関計算による 同時刻シンボル探索とその結果

6.6.2 MER 値の算出

まず,静止地点で予備測定を行い,2つの系列それぞれについて一旦OFDM復調(FFT 演算)を行う.パイロットシンボルが存在する特定の(=ある一つの)周波数スロットの 信号点の位相回転の時間的推移を見る.本解析では,4.1 節にあるように周波数領域

(∆f =72[kHz])×時間領域(∆t=18.1[ms])のグループをひとつの単位として処理する.

従って,この各々のグループ単位に対して位相回転の時間変化補正を行う.具体的には,

測定中の静止地点において,18.1[msec]内で位相回転が無視できるように伝搬環境変化への 補正を行うことで,局部発振器の周波数誤差(fLO(1), ∆fLO(2))補正ができたことになる.

以下の解析では,このようにして周波数補正を行った後の信号を取り扱う.

MER値算出の一連の手順を図 6.6に示す.先ず,それぞれの信号に対してFFT 演算を 行い,信号点配置(コンスタレーション)を求める.パイロット信号は,高いレベルにあ って信号点位置が決まっているため,基準信号と測定信号に関してそれぞれの平均位置を 決めることができる.この値から,図6.6の通り,基準信号・被測定信号の両コンスタレー ションの振幅比rと位相差φが容易に算出される.ブロック内にパイロット信号は96個存 在することから,この平均値も十分な精度で求められる.

Reference signal (TR1)

Measurement signal (TR2)

C al cul at ion of am plit ude a nd pha se

MER calculation

Constellation after

normalization Constellation

after decision

Amplitude (r) and Phase (φ)

MER Data signal

Data signal Pilot signal

Pilot signal

図6.6:MER値算出の手順

…(6.3a,b)

ここで,pref, pmeasは,ブロック内に含まれる基準信号と測定信号の個々のパイロット信 号の複素振幅,<>はその平均値を表す.6.3節で述べたように,今回の周波数・時間領域 グループ内には,96個のパイロットがあるので,上記の平均操作<>はこの回数になる.

基準信号はSNRが高く,誤りのない信号であるので,信号点を判定してコンスタレーシ ョンを作り直し,雑音の影響を完全に除去する.測定信号smeasに対しては,上記の r,⎞で補 正して,振幅と位相を基準信号に合わせる.このようにして作り出された二つのコンスタ レーションからMER値を計算する.具体的には,基準信号の信号点srefから,測定信号の 信号点のずれを求め,これから,以下の式にしたがってMER値を求める.

⎟ ⎟

⎜ ⎜

= ⎛

=

ref meas ref

meas

p p p

r p , φ arg

…(6.4)

信号点が確定しているので,ビット誤りも同時に求めることができる.また,コンスタ レーションの補正に用いる r,⎞は,電波伝搬特性そのものである.このようにして,伝搬特 性,BER,MERが,周波数および時間領域の高分解能で求めることができる.本論文では その結果の提示には,MER値のみに着目する.

6.7 実証実験