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Type1:所望波片側に他放送波が存在する場合

第 4 章 クリティカルサンプリング

4.2 クリティカルサンプリングの具体的適用方法

4.2.2 Type1:所望波片側に他放送波が存在する場合

地上デジタル放送においては,前述の通り,複数の放送局が隣接した連続チャンネルを 使用して伝送されている.この際,クリティカルサンプリングの考え方から,不要波帯域 WNONの帯域幅を極力抑えることが可能であれば,サンプリング周波数を抑え,収録・再生 時のデータ発生量を低減させることができる.これより,所望波スペクトラムの片側にて の放送が行われておらず,一方の側のみにて他局のスペクトラムが存在するような条件の 放送チャンネルを所望波とすべきである.ここでは,例として周波数軸上で所望波上端が 空きチャンネル,一方の下端に放送波が存在する場合についてのクリティカルサンプリン グのパラメータ導出手法を以下に示す.

Low IF信号への変換並びに収録に当たって重要なパラメータは,局部発振周波数fLO・サ ンプリング周波数fSAMである.局部発振信号に関して,あるサンプリング周波数で標本化 を行った場合に,不要波成分により発生する折り返し成分並びに高調波成分と所望波スペ クトラムとが重なる部分を極小とする局部発振周波数を選定することで,信号品質を維持 した状態で収録が可能となる.具体的には,これが達成可能な局部発振周波数は(4.1)式 で表される.

⎪ ⎪

⎪⎪ ⎨

+

− +

=

TV C

NON C TV

LO

W f

or

W f W

f

2 1 2  

…(4.1)

このときの不要波成分を含めた収録すべき所望波帯域は,上で述べた不要波成分同士の重 なりを考慮すると

NON

TV W

W 2

+1 であることから,ナイキスト定理を満たした状態でLow IF信 号が収録可能であるサンプリング周波数(クリティカルサンプリング周波数)は(4.2)式 で求められる.

⎥⎦ ⎤

⎢⎣ ⎡ +

=

TV NON

SAM

W W

f 2

2 1

…(4.2)

(4.1)式に基づきLow IF信号に変換されたスペクトラムを図4.1(c),標本化を行ったもの を図4.1(d)に示す.これらの図から,本節で述べたクリティカルサンプリングによる方法を 用いず,2.4節に示した所望波成分と不要波成分を全て合わせた帯域から求まるサンプリン グ周波数で標本化した場合と比べ,スペクトラムが密に配置されており,極限までの効率 化が図られていることが分かる.また,この方法では,テレビ放送の帯域は 1 チャンネル 当たり6MHzであるので,帯域制限後の不要波帯域WNONさえ測定できれば,局部発振周波 数及びサンプリング周波数が導出できる.遮断特性が急峻ではないフィルタの使用時に有 用である.

Desired signal Lower adjacent

channel

fc

W

TV

:6MHz 6MHz 6MHz

f Higher adjacent channel

Vacant

(a):所望波近傍のRFスペクトラム

図4.1:隣接チャンネルが片側のみの場合の標本化遷移図

fc 6MHz Go

W

NON

f f

LO

Lower adjacent

channel Desired signal

(b):BPF通過後の所望波スペクトラム

0Hz 6MHz

f

Desired

f

SAM

W

TV

+(1/2)W

NON

signal

W

TV

+(1/2)W

NON

(c):所望波Low IF信号

0Hz 6MHz 6MHz f

SAM

f

Desired signal Harmonic signal

(d):標本化されたLow IF信号

図4.1:隣接チャンネルが片側のみの場合の標本化遷移図(続き)