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海運補助服務と物流服務

ドキュメント内 中国の海洋政策の日本 (ページ 58-64)

 

4-1    国際船舶代理服務   

①  市場開放の加速 

「国際海運条例実施細則」公布後、中国船舶代理市場の開放速度も速まっている。2004 年、中国国際船舶代理企業数は急速に増え、1060 企業を数えるまでになった。特に、中 国内外合資企業は一年間で 17 増加し、18 企業となった。 

中・米海運協定に従がって、2004 年、アメリカ総統輪船(中国)有限公司は正式に自 船代理業務の資格を得て、CEPA の枠組みで最初の国際船舶代理業務を行う香港運航企業 となり、その国際船舶代理業務の範囲は主に自己所有又は自己運航船舶に対する船舶代理 服務の提供である。 

②  国際船舶代理費用徴収項目及び価格建議 

  中国船舶代理業協会が制定し、交通部弁公庁がこれを受けて公表する「国際航路航行船 舶代理費用徴収項目及び価格建議」は、2004 年5月 26 日公布され、6月1日施行され、

国際船舶代理費用徴収の参考となった。 

  1994 年以来、中国国際船舶代理費用徴収は交通部が公布した「国際航路航行船舶代理 費用徴収項目及び基準」(以下「基準」)に従がって行われてきた。即ち、船舶代理費用徴 収は政府により価格が定められたのであった。船舶代理市場の開放に伴い、1994 年の

「基準」は、市場の状況に市場の現状に適合できなくなり、政府が定めた価格は船舶代理 企業の参考に過ぎず、各港湾で代理業務の価格差が生じてきた。1998 年から、中国の大 型船舶代理企業の一部が関係部門に船舶代理費用利率を調整するよう求め始めた。2003 年末、交通部は長期間検討を続けた結果、「基準」を廃止し、国家統一価格の採用を業界 指導価格へと改め、業界による自律を認めた。ところが「基準」廃止後、各港湾における 船舶代理費用利率は参照価格が無くなったことに伴い、一時的に市場に混乱をもたらす結 果を招いた。国際船舶代理市場の健全な発展を促すため、中国船舶代理業協会は交通部水 運課、中国発展改革委員会価格課の指導の下、審議を重ね、各方面の意見を取り入れて

「国際航路航行船舶代理費用徴収項目及び価格建議」の制定に至ったのである。 

  関係企業が費用徴収の尺度を得て、船舶代理市場の規格化が進むとともに、船舶代理企 業は市場の要求に基づき価格制定を行う際の調整幅が明らかとなり、市場メカニズム発揮、

市場秩序維持、正当な競争の展開、市場の健全な育成のための礎が築かれた。 

  政府主管部門が市場の監督管理の責めを負い、船舶公司、船舶代理企業は義務を履行し、

業界の自律作用は日増しに強化されてきた。 

③  積荷明細電子データ統計業務と国際海運ネット上の報告システム 

  「中華人民共和国海上国際運輸データ表」の内容を充実させ、報告企業の負担を軽減さ せるため、2004 年 12 月 16 日、交通部は「積荷明細電子データ受取の実施に関する通 知」を発し、2005 年 1 月 1 日をもって、上海を試行場所とする統計データ電子化業務を 行うことを決定した。中国国際船舶代理企業も電子データ提供者に含まれる。データ提供 は電子化の最重要ポイントであり、「データ表」による統計制度を円滑に実施するため補 充的で有効なルートを検証し、時間的効果及び確実性を高める必要がある。 

「行政許可法」、「国際海運条例」及び「国際海運条例実施細則」の関係規定を実施する ため、国際海運企業が「条例」及び「細則」が規定する報告義務を簡素化し、適時、確実、

完全に国際海運企業の基本情報及び報告情報を収集のうえ処理するため、2004 年 12 月 16 日、交通部は「国際海運ネット報告システムに関する通知」を発布した。そして、国際船 舶運輸、国際定期航路運輸、国際船舶代理公司及び駐中国外国通商代表部に対し、ネット 報告を実施させ、企業に報告ルートを提供し、政府交通管理部門と企業の意思疎通を強化 した。業務の電子化の促進(IT化)予算の簡単化、効率化にも寄与するこのようなこと は、中国の海運が世界レベルにおどり出ようとしているのである。その為には国際基準

(国際常識)にあわせようと努力している様子がうかがえる。そこに中国が先進国のメン バーシップとなり得るかのカギがある。 

4-2  外国船舶貨物取扱業務   

①  2004 年中国における外国船舶貨物取扱業の発展 

2004 年中国における外国船舶貨物取扱分野は急速に発展し、その形態も優れたものに なってきた。中国全土で延べ 253712 回を取り扱い、貨物量は 5.14 億トン、貨物コンテナ 数は 4685.27 万 TEU に達し、何れも前年を大幅に上回った。各公司は実情に即して、運航、

港湾、貿易企業と緊密な連携を図り、営業方法や経営方式を改善し、レベルアップを図り、

取扱レベルを向上させた。中国水運事業及び対外貿易の発展や港湾運用のため、重要な役 割を担った。 

②  中国における外国船舶貨物取扱総公司の制度改革 

  2004 年、外国船舶貨物取扱総公司及び各分公司の制度改革が推進され、年末には、中 央直属及び二重指導型の港湾外国船舶貨物取扱公司の制度改革業務は基本的に完了した上

海、寧波、シンセン等の 27 メーカーは。交通部の承認を受け制度を改正した。他港湾の 関連企業の制度改正も現在進行中である。 

③  貨物取扱市場の競争構成 

  各港湾の第二貨物取扱公司設立と貨物取扱体制改革の円滑な実施のため、2004 年3 月2日、交通部は「各港湾第二貨物取扱公司設立に係る諸問題に関する通知」を発布し、

未だに第二貨物取扱合資公司が設立されていない港湾について、中聯理貨有限公司が先行 して分公司を設立し、条件が整った後、合資公司を設立する。2004 年、本公司のネット ワーク建設業務は進展し、2005 年当初には、泉州、アモイ、シンセン、天津、上海、青 島、寧波、広州、太倉等の港湾に分公司を設立した。また、大連、連雲港、張家港、営口、

鎮江、煙台、常熟、泰州等の港湾には持ち株会社を設立した。ここに至って、中国の大部 分の港湾には第二貨物取扱公司が誕生したのである。中聯理貨有限公司及び中国三大運航 企業である COSCO、中国海運グループ、中外運グループは全面的に業務協力を推進し、協 定に署名した。 

中聯理貨有限公司のネットワーク形成が推進され、中国外国船舶貨物取扱総公司の一部 港湾の分公司の制度改正の終了とともに、中国貨物取扱市場の競争構造が形成されたとい えよう。2004 年、交通部の許可を得て、45 の貨物取扱公司が営業許可証を取得している。 

貨物取扱業の競争激化に伴って、貨物取扱企業は顧客との意思疎通を図り、その要求を 理解し、方向性を画定し、内部改革を促進し、サービスレベルを高め、業界発展の趨勢を 把握し、科学的な貨物取扱を模索し、営業品質の向上を目指している。 

4-3    水先業務   

①  2004 年中国水先船舶数の増加 

  2004 年、中国水先船舶隻数は過去最高となり、主要港湾における水先は 16 万回に上っ た。2004 年、中国最大の水先ステーション−上海水先ステーションは 45876 回の水先を 実施し、前年比 11.9%増しの結果となった。このうちコンテナ船水先が 19192 回であり、

北槽航路を入出したものが 15859 回、長江を入出したものが 15765 回、危険物運搬船に係 るものが 8169 回、豪華船に係るものが 75 回であった。 

②  水先機構資質認定の実施 

  2004 年、各地の水先機構の資質認定は引き続き実施された。各地の港湾行政管理部門 は「船舶水先管理規定」及び国務院弁公庁文書 2001 年第 91 号の精神に従がって、資質認 定に係る審査を厳格に実施し、交通部の承認を得た。2004 年末、福州港、アモイ港、泉

州港、漳州港、漳州開発区、惠州港、茂名港、莆田港、阳江港、宁德港等において水先機 構が資質認定を実施した。 

③  水先体制改革 

  2004 年においても水先体制の改革は継続され、交通部管理部門は水先関係の問題につ いて更なる検討を行った。海事、港務、港湾グループ、水先機構、船舶公司等、水先に関 係する改革について、各部門から意見を聞き、利害関係等を考慮のうえ、中国の現状に適 合した水先管理体制改革案を作成した。 

④  洋山深水港区水先技術案 

  2004 年、「洋山深水港区水先技術案」に関する検討が進められ、系統性、総合性、指向 性を兼ね備えた案が作成された。また、デジタルシミュレーターによる検証が為され、安 全性、科学性が実証された。洋山深水港は 2005 年末に運用が開始され、「水先技術案」の 提出は、洋山深水港における正常で高効率の運営を実現するため重要な意味を持つ。 

⑤  長江水域の水先能力向上 

  2004 年、長江水先センターは内外船舶に対し 24 時間の水先業務を実施した。年間の水 先回数は 22759 回(水先航程 296 万キロ、水先総トン数 16118 万トン)に達し、前年より 10.6%増加した。このうち、半数以上の船舶は夜間入航したものであったが、事故発生率 は 0.13%で過去最低となった。長江水先センターの年間水先申請受理率は 100%で、時間 遵守率も 98%に達している。2004 年、長江水先センターは入出航船舶数の大幅増大に対 応しなければならず、出入航船舶に随時対応するため、総合的な調整を実施し、各基地が 協力し、24 時間態勢でネット申請を受理し、水先情報をリアルタイムで伝達して効率向 上のため調査を実施した。更に同センターでは、2004 年4月1日、長江江蘇全域で、夜 間航行を実施し、「大型船舶不夜航」を実現した。2004 年末、長江水先センターは夜間水 先 7162 回を実施した。同センターは、科学的な安全措置を講じ、これまでの「巨大船舶 の長江口における瀬取りを行い、喫水 10.5 メートル以下にした後に、長江に入航する」

といった歴史に終止符を打ち、入航喫水 10.8 メートル以下の巨大船は水先により直接江 陰までの港に入港させることとした。これによる各船舶の長江通過コスト削減は百万元と 計算され、長江各港湾の競争力アップにつながり、長江黄金水道の効能をより一層発揮さ せる結果となった。 

⑥  各水先基地のソフト改善 

  各港湾の着岸船舶隻数増加や船舶の大型化に対応するため、各水先基地はソフト面での

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