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国際船舶運航

ドキュメント内 中国の海洋政策の日本 (ページ 37-44)

  中国は輸入原油の 95%を海運に頼っている(2004 年 1.1 億トン)。海上運輸による鉄鉱 石の輸入は2億トン、38%である。重要な資源は船舶にたよっている。引き続きコンテナ 輸送は増加を続ける。 

中国船舶による輸入原油 1.1 億トン中、中国海運船社は、現代的な大型化学石油運送船 舶グループの構築には至っておらず、請負価格も安く 1994 万トン 18,4%にとどまってい る。鉄鉱石の輸入は急増であって、港の荷場が鉄道輸送力不足も加わり停滞した(早期の 解決が求められている)。石炭の輸出は減少し、また電力用石炭は輸入に頼るに至ってい る。 

2-1-1  2004 年中国対外貿易海運 

  中国経済及び対外貿易は依然として急速な伸びを見せており、2004 年の中国対外貿易 運輸量は引き続き急速な拡大傾向にある。2004 年の中国大陸港湾コンテナ取扱量は既述 の通り 6160TEU に達し、前年比 26.6%の伸びを示し、依然として世界第一位である。中

国は既に世界第二位の原油消費国となり、中国は原油輸入量全体の 95%を海運に頼って いる。2004 年、海運による原油輸入量は 37%増大し、1.1 億トンとなった。海上運輸に よる鉄鉱石の輸入も 2 億トンを突破し、38%拡大した。 

2-1-2  コンテナ運輸 

  2004 年、中国対外貿易輸出入総額は 11547 億米ドルで、35.7%増大した結果、輸出入 貿易の力強さ国際コンテナの運送量の拡大を促した。中国の大陸部はアジア各地域におけ る輸出について拡大幅が最も大きな地域となった。中国市場の牽引により、2004 年の太 平洋航路における貨物運輸は引き続き活発であり、その貨物量は 1000 万 TEU を突破した。

西向けの貨物量は 480 万 TEU で、10%以上の増加となった。アジアとヨーロッパ航路の貨 物運送量も 10%以上拡大し、年間の双方間の貨物量は 1200 万 TEU に達した。 

2-1-3  原油運輸 

  2004 年、中国原油輸入は昨年と同じく増加傾向にある。税関統計によれば、2004 年中 国原油輸入量は 1.2 億トン、価格にして 322 億米ドルであった。前年比 35%の増加であ る。原油輸出量は 549 万トンで、価格にして 13.2 億米ドルとなった。それぞれ、前年比 32.5%及び 20.3%の減少である。 

  中国の輸入原油は、主として中東、西アフリカ、東南アジア及び旧ソ連からのものであ る。中東、西アフリカ、東南アジアからの輸入量は、それぞれ中国原油輸入総量の約 50%、23%及び 10%を占めている。2004 年、中国の水路による原油輸入は 1.08 億トンに 達し、膨大なエネルギー消費を支え、正常な経済活動を保障し、人民生活の需要を満たす ため、重要な役割を担っている。 

  2004 年まで、中国において原油運輸に従事する船舶企業は、中国海運、COSCO 及び招商 局グループ企業等であったが、現代的な大型化学石油運送船舶グループの構築には至って いない。中国の船舶による輸入原油の運輸請負価格は低い状況にあり、2004 年において は 1994 万トン、輸入総量の 18.4%の輸入原油を請け負ったのみであった。 

2-1-4  鉄鉱石運輸 

  中国鉄鋼生産は主に転炉煉鋼であり、その基本となる原材料が鉄鉱石である。中国鉄鉱 石の貯蔵量は比較的多いものの、採掘量は少なく、品質も劣っている。このため、中国鉄 鉱石の輸入量は経済の急速な拡大に伴って、大幅に増加している。2004 年には、鉄鉱石 輸入量は 5500 万トンもの記録的増加となり、総量は 2.02 億トンに達し、前年比 38%の 増加となった。世界鉄鉱石貿易の増加分の 90%を占めるものである。 

  輸入鉄鉱石の急増は、中国の一部の港湾において、港湾能力が逼迫した状況を生み出し た。一部港湾には鉄鉱石輸入船舶の入港が集中し、これに加え、港湾の搬送能力、とりわ け鉄道の搬送力が不足し、鉄鉱石の荷卸用港湾を圧迫する状況が出現した。2004 年 7 月、

中国主要港湾における運搬待ちの鉄鉱石量は 3400 万トンに上り、前年より 146%増加し た。交通部管理部門の調整により、このような逼迫した状況は緩やかに解消に向かってい る。 

  2004 年 6 月、大連港の 30 万トン級鉱石専用バースが建設され、中国北方の鉱石取扱能 力は大いに高まり、中国東北部の輸入鉄鉱石の運送の行き詰まりを緩和した。 

2-1-5  石炭運輸 

  2004 年 5 月、中国発展改革委員会は、半年間の対外貿易石炭輸出優遇政策を取り消し、

原炭及び焦炭の輸出について、原料価高の状況が出現し、年間対外貿易石炭運送量は 8687 万トンで、7.6%減少した。南東部沿岸地域の複数の発電所は電力需要を保証するた め、国際市場での購買に変更したため、中国石炭供給補充に対し一定の効果を挙げた。 

2-2-1  2004 年世界運航市場 

  2004 年、中国経済の勢いは衰えなかった。良好な対外貿易輸出情勢は、各主要航路の 十分な貨物量を供給した。亜・欧及び亜・米間の主要航路において、中国の大陸コンテナ 出荷量は、アジア全体の約半分を占めており、また、アジア各地区の輸出の拡大幅も最大 となった。 

  好調な中国市場の影響を受け、2004 年太平洋航路市場は依然として活発であり、東向 けの貨物量は年間 1000 万 TEU を突破し、西向け貨物量も 480 万 TEU となり、10%以上増 加した。東西双方運営に投入された運送力も 7000TEU 以上の超大型コンテナ船を中心に約 9%増加した。太平洋航路と同様に、亜・欧航路の運送量も顕著な上昇傾向にあり、その 上昇幅は 10%以上となった。東西双方のコンテナ輸送量も 1200 万 TEU に達した。運送需 要の拡大が運送力の供給を大きく上回る状況にあって、コンテナの運送価格は全体的に上 昇し、上昇幅は 15%に上った。 

  2004 年中小型船舶の借料は高騰を続け、1000〜2000TEU 級船舶の借料は 30%程度アッ プとなった。これに伴い、支線網及び近海航路経営の運航コストに対する圧力は強まった。

一方、大中型船舶に関しては、2004 年上半期の主要航路貨物供給元の状況は加熱し、コ ンテナ運輸公司は次々と高額な長期船舶貸借契約を結ぶことになった。このため、2500〜

4000TEU 級のコンテナ船につても、2003 年の急速な高騰傾向が継続し、約 30%の上昇幅

を保っている。 

2-2-2  世界バラ積貨物運送価格の変化 

  2004 年、世界原油運送市場価格は急激な変動を繰り返した。5月、大型タンカー

(VLCC)の東向運送料レベルは WS75(運賃指標)で、一日当たりの借料は4万米ドルで あったが、10 月以降、北半球が石油消費期に突入し急速に上昇した。11 月中旬の VLCC 東 向運送料は一気に WS340 まで上昇し、一日当たりの借料が 25 万米ドルとなり、ここ 30 年 来の最高値を記録した。 

  全体的に見ると、2004 年の世界海上原油輸送市場は、需要の拡大により更なる好景気 を維持している。運送力の面においても、2004 年世界のタンカーのトン数は継続して増 加している。2004 年 12 月末までに、世界の一万トン以上のタンカーは 3724 隻、3.2 億積 載重量トンに達する。2003 年末に比較し、それぞれ、5%、5.4%の増加である。トン数 の伸びが船舶数の伸びを上回っており、2004 年において、原油タンカーの大型化が加速 されたといえよう。 

  中国経済のマクロ調整と世界の鉄鉱石、石炭の主要産地であるオーストラリアの天候災 害の影響を受け、2004 年上半期、世界のドライカーゴバラ積運輸市場価格指標(Polo 海 上輸送価格の指標であるボルチック・ドライ・インデックス(BDI)は年当初の 4456 ポイ ントから急落し、ほぼ 2600 ポイントまで下落した。しかしながら、下半期になってから は BDI は7月初め及び 10 月から 11 月の二回かけて急激に上昇し、12 月 8 日にはこれま で最高の 6208 ポイントを記録した。この中で、喜望峰及びパナマ両大型船舶市場運送価 格レベルも記録を刷新、それぞれ、8911 ポイント、6110 ポイントを記録し、一日当たり の借料は 10 万米ドル及び 5 万米ドルを突破した。しかし、12 月中旬から、世界のバラ積 貨物運送価格レベルは次第に安定傾向に向かっている。 

2-2-3  運航コストの急激な上昇 

  2004 年、国際原油価格は高騰した。年末には、世界原油価格は 1 バーレル当たり 50 米 ドル以上となった。こうした影響を受け、船舶燃料価格も跳ね上がった。年当初に比較し、

上昇幅は 20%を超え、絶え間なく運送力を投じている船舶企業にコスト面での大きな圧 力を与えた。「9.11」事件以後、世界海運テロ関連法の整備は加速され、IMO は海上保安 に関わる改正 SOLAS 条約及び ISPS コードを制定した。2004 年 7 月 1 日、ISPS コードが実 施に移された。IMO の要求に従って、世界の港湾及び船舶運輸企業は、厳格な保安計画を 策定し、関係機関が発効する安全証書を取得することになり、運航に係る保安コストが増

加した。現在・運輸コストが高くなるばかりである。 

2-2-4  中国における PSC の現状 

  PSC は外国船舶の監督、すなわち航行の安全及び海洋環境の保全を促進するための重要 な措置である。ここ数年、PSC の検査範囲、技術要求、更には重点化と回数において、海 運と経済発展に伴い、新たな特色が現れている。 

  前世紀 90 年代の中期において、中国の船舶は国外の PSC で次々と航行停止命令を出さ れ、多数の国の港湾のブラックリストに記載された。10 年後の今日、中国の船舶業はプ ライドと名誉を取り戻したばかりでは無く、中国の PSC 検査も更なる大きな役割を果たし ている。統計によると、最近、我が国の煙台、汕頭、鎮江、防城などの港湾で国際条約に より、外国の船に対し連続的に航行停止命令の処分を課した。自国海域の安全を護るため、

中国の PSC は既に本格的に稼動している。 

  中国の PSC 検査は全面的に役割を果たし始めたのはここ数年のことである。前世紀の 90 年代まで、わが国船団には老朽船が多く、国外の PSC 検査による航行停止処分率はか なり高かった。特に 1994 年〜1996 年の間、中国の船がアジア・太平洋地域、ヨーロッパ 及びアメリカにおける平均処分率はそれぞれ 11.99%、17.73%、7.16%で当該地域3年 の平均率を遥かに上回っていた。更に、オーストラリアにおいて、中国の船の処分率は一 時期 20%にも達したため、わが国船団の国際運送業界における名誉が汚された。当時、

中国が PSC 検査のブラックリストに記載された海運大国でありながら、他国の寄港船舶を 厳しく検査する余裕はなかった。そこで、寄港した船を厳しく検査し、自国の海域の安全 を保護するためには、自国の船舶における安全問題を解決しなければならなかった。 

  この問題を解決するため、1997 年、我が国の交通部で船主大会が開かれ、中国の船舶 に対する一連の管理措置を強化し、技術レベル、管理レベルを高めることにより、問題を まず国内で解決しておき、国外の港湾における航行停止処分を課されることによる更なる 経済損失を避けることを要求した。 

  その後、わが国海事各界の共同協力を通じて、CCS(中国船級社)入級船舶は各 PSC 組 織の寄港国検査において、顕著な成績を獲得し、処分率が引続き下落し続けた。2001 年 までに、CCS 級の船舶の総処分率が 2000 年より 24%低下した。東京メモランダムの LACS

(国際船舶級協会)中第二位を占め、USCG(アメリカ沿岸警備隊)においては二年連続で 零の処分率を保持した。それと同時に、全アジア地域においては、2001 年に処分率が 2.73%まで落下し、ブラックリストから多くが削除された。 

ドキュメント内 中国の海洋政策の日本 (ページ 37-44)

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