662 11,312合 計 ② 海外協力に資する情報の収集・提供に加えて、規制改革推進の 3 ヵ年計画(再改定)へ の対応の一環として、国内林業のコスト削減に資する品種及び品種開発に関する情報の収 集と提供を積極的に行うため、 - ニュージーランド( NZ )の林木育種の第一人者の Luis Apiolaza 博士(カンタベリー大 学上席講師、 IUFRO (国際森林研究機関連合)の育種理論と検定に関する作業部会のコ ーディネーター)を招聘し、国内の育種研究に資するテーマで、全国 5 箇所で講演会を - フィンランド森林研究所( METLA )との間の覚書に基づき、双方の国内育種に関する 共同研究に関するワークプランを締結した。 - カナダ及びアメリカ西海岸にて、育種事情等を調査し、国内の育種研究に資する情報 の収集・分析を行い、ホームページで提供を行った。 b ケニアからメリア( Melia volkensii )種子 6 点、フィンランドからヨーロッパアカマツ ( Pinus sylvestris )種子 22 点、ボリビアからボリビアキナノキ( Cinchona ledgeriana )種子 1 点等 57 点を収集した。 (エ) 成果の利活用に関しては、平成 19 年度はマレーシアにおけるアカシア・ハイブリッドの品 種登録に関する分析や特性調査項目の選択を行い、平成 20 年度は識別された 19 クローンのア カシア・ハイブリッドについて、共同研究パートナーの品種登録申請を指導し、マレーシア政 府から平成 21 年 2 月に受理された。平成 21 年度に作業効率が高い普及型のアカシア属の人工 交配手法を確立させ、中国国内で初めてバビショウのマツノザイセンチュウ抵抗性候補木の二 次検定を実施し、 301 クローンの抵抗性個体が合格した。さらに、国内の育種研究に資する海 外の育種実施機関との連携を図るため、 NZ より有識者を招聘し、国内の育種研究のあり方に ついての情報発信を行った。 (5) 森林バイオ分野における連携の推進 (年度計画) 社会ニーズに対応した優良種苗の確保等に向けて、森林バイオ分野において研究部門と林 木育種部門の連携を図り、遺伝子組換えによる新たな雄性不稔スギの開発、マツノザイセン チュウ抵抗性と連鎖する DNA マーカーの開発、雄性不稔スギに共通的な組織培養のための発 根培養条件の検索、地域における広葉樹の遺伝的多様性の解析、二次林を構成する広葉樹の 生態的特性の解明を進める。 (実 績) 遺伝子組換えによる新たな雄性不稔スギの開発については、昨年度までにスギ雄花より単離 した遺伝子(スギ雄花遺伝子)の発現解析をモデル植物であるシロイヌナズナで行い、スギ雄 花遺伝子はタペート組織(注 1 )で発現することを確認した。また、昨年度構築した雄性不稔 化遺伝子の候補を遺伝子導入したシロイヌナズナでは花粉形成が阻害されることを明らかにし た。さらに、雄性不稔化遺伝子の候補をスギの不定胚形成細胞へ遺伝子導入し、形質転換スギ の幼植物体を得た。組換え体の野外栽培試験においては、隔離ほ場植栽 3 年目の組換えギンド ロの成長量や食葉性昆虫による被害調査を行い、組換えギンドロを評価するためのデータの収 集を継続した。 マツノザイセンチュウ抵抗性と連鎖する DNA マーカーの開発については、クロマツの SSR マーカー(注 2 ) 43 個を新たに開発した。また、これまでに開発した DNA マーカーも利用 し、合計 92 マーカー( 77SSR マーカー、 15SNP マーカー(注 3 ))が座上し、 14 連鎖群で 構成されるクロマツ(志摩 64 および頴娃 425 )の連鎖地図を作成した。さらに、マツノザイ センチュウ接種 4 週間目の枯損データを用いて志摩 64 ×頴娃 425 のクロマツ家系の解析を行 ったところ、志摩 64 の第 8 連鎖群に抵抗性と連鎖する領域を検出することができた。 雄性不稔スギに共通的な組織培養のための発根培養条件の検索では、基本培地として RIM 培地が優れていることを見い出し、植物ホルモンとして塩化インドール酢酸とベンジルアミノ プリンを添加した培地に植え継ぐことにより、シュートの発根が可能となった。 広葉樹については、山梨県のブナ天然林および採種林 5 集団全 177 個体について DNA を抽 出し、 SSR マーカーを用いて集団の遺伝的構造を解明した。また、二次林における前生稚樹 の更新に影響する要因をさらに抽出し更新特性のデータベースの構築に取りかかった。 注1)タペート組織:葯の中で花粉に接する組織であり、花粉形成過程で栄養供給を行う。 注2)SSRマーカー:1~5塩基の反復配列をPCRで増幅することで多型マーカーとする。他のDNAマーカーに比 べてより多型であることが多い。 注3)SNPマーカー:ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性がみられ、その変異が集団内 で1%以上の頻度でみられるとき、これを一塩基多型(SNP:Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶ。 ドキュメント内 はじめに 平成 21 年度は 第 2 期中期計画の 4 年目で計画遂行の進捗を占う重要な年でした こうした中で 林木の新品種の開発をはじめ 林木育種事業全般にわたり年度計画を達成できるとともに 森林バイオ分野における連携についても効果的な研究が推進されました 主な成果を紹介しますと 林木の新品種の開 (ページ 44-47)