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水中下での適用実験

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Table 5.3 Success rate of pickup and release pollens

θ [deg] Pickup Release

20 70% (14/20) 57.1% (8/14) 30 95% (19/20) 78.9% (15/19) 40 100% (20/20) 70% (14/20)

図5.15に各角度での解放失敗の様子を示す.(a)20度,(b)30度,(c)40度での 失敗の様子である.ガラスビーズと同様にエンドエフェクタ先端に20度では乗る部分は 少なく,30度と40度では乗る部分が多いことが確認できた.20度における解放成功率が ガラスビーズのときよりも低いが,花粉の付着力がガラスビーズよりも強く働いたと考え られる.

図5.9(b)と図5.13(b)の比較によってガラスビーズと花粉の付着性が異なることがわかる.

このことからΓがガラスビーズの場合よりも大きくなる.また,花粉の表面構造は孔や溝 を伴い網目状をしているため,花粉の摩擦係数がガラスビーズよりも小さくなると考えら れる.そこで,図5.6における右上がりの曲線は解放条件の境界である式(5.6)の示してい るが,付着性と摩擦係数の影響から図5.16に示すようにこの境界が右にシフトした.その ため,図5.6に比べIIの範囲が狭くなってしまい,20度では,IIの範囲から外れ,Iの範囲 に入ったといえる.提案手法では理想的にはΓおよびµsを知っておく必要があるが,複 数のアプローチ角度で試験し,IIの範囲を大まかに推定し,アプローチ角度を決定するこ とで形状が歪な微小物体であった場合でも把持解放の成功率を高められると考える.

微小物体の配置実験に関して,本手法を用いて配置する箇所は図5.17(a)に示すようなU 字状であり,実験結果を図5.17(b)に示す.大きさの異なる数十µm程度のガラスビーズが 狙った位置に置けていることがわかる.このように,本手法を用いることで,微小物体を 把持し,特定の場所への精密な配置が可能となる.

から支えるように把持する.微小物体は半径Rの球体を想定している.ここで,図5.18 示すように,微小物体に対しエンドエフェクタ先端は角度θにて静かに近づき,接触する.

このとき,θは以下に定義することができる.

θ= tan−1 dz

dy (5.10)

dy =R−cy (5.11)

dz =cz (5.12)

このθは機械的動作によって決定し,(rx,ry,rz)は右側エンドエフェクタと微小物体との 3次元距離をそれぞれ表し,(lx,ly,lz)は左側エンドエフェクタとの3次元距離を同様に 表す.(cx,cy,cz)はエンドエフェクタ先端を微小物体下側空間から微小物体に接触させる ための値である.

次に解放の流れを図5.19に示す.まず,エンドエフェクタの付着状態を確認する図5.19(5) その後,床面に微小物体が接地するように把持した状態で左右のエンドエフェクタを床面 まで降ろす(5.19(6)).このとき,微小物体には左右のエンドエフェクタ先端からの付 着力Aeと床面からの付着力As,浮力Fbが働き,図5.19に示すような力のバランスとな る.次にマイクロマニピュレータまたはマイクロステージ移動によってエンドエフェクタ 先端を微小物体から離す動作を行う(5.19(7)-(8)).離す際に微小物体には摩擦力Fs よび粘性抵抗Fdによる合力FRが働き,FRは図5.19およびStokesの式より以下に定義 できる.

FR = Fs+Fd (5.13)

= µs(As+Aesinθ+M g−Fb) + 6πηRV (5.14) ここで,Mは微小物体の質量,gは重力定数, µsは床面との摩擦係数,ηは液体の粘度,

V は解放時の速度である.解放条件は以下となる.

Aecosθ < FR (5.15)

物性や環境などが同じ条件下で,Ae,As,Fb,V およびM gが一定であると仮定すると解 放において把持の際のアプローチ角度θが大きく影響する.このとき,マイクロマニピュ レータの動作でエンドエフェクタ先端を微小物体から離すとともに,マイクロステージの 移動などによりV を増加させ粘性抵抗を大きくさせることで,より解放条件を満たしやす くなる.最後にエンドエフェクタを上げ,解放を完了とする.

(a) Position of release pollens

(b) Histogram of release pollens

Fig. 5.13 Position and histogram of release pollens

(a) Pre-pickup a pollen at 20deg (b) pickup a pollen at 20deg

(c) Pre-pickup a pollen at 30deg (d) Pickup a pollen at 30deg

Fig. 5.14 Pickup pollens at 20deg and 30deg

(a) Not release a pollen at 20deg (b) Not release a pollen at 30deg (c) Not release a pollen at 40deg

Fig. 5.15 Not release pollens at each angle

Fig. 5.16 Region for success of pickup and release at n= 0.25,µs= 0.7, Γ = 1,1.5

(a) Release Point

(b) Result of Place

Fig. 5.17 Experiment of Forming Patterns

Fig.5.18PickupApproachinWater

Fig.5.19ReleaseMovementinWater

Table 5.4 Results of Pickup and Release Pickup Release condition1 80% (16/20) 93.8% (15/16) condition2 90% (18/20) 83.3% (15/18) 合計 85% (34/40) 88.2% (30/34)

5.3.1 把持・解放実験

マイクロマニピュレータによってθを制御し把持を行い,マイクロマニピュレータの移 動で解放を行う方法とマイクロマニピュレータの移動に加え,V の増加による粘性抵抗の 増加を狙ってマイクロステージ移動で解放を行う方法で実験し,水中での把持解放の安定 性を比較し評価した.

5.3.2 実験方法

先端5µmの針を装着した2台の3軸マイクロマニピュレータを用いた.顕微鏡には対物 レンズOL-140および画像取得のためのPointGrey社製Flea2カメラを装着したハイロッ

クス社製CX-10Cを使用した.ガラスビーズを用い,2軸マイクロステージ上にあるソー

ダ石灰ガラスのスライドグラスを置き,その上から常温の水を滴下した.マイクロマニ ピュレータのみの機械的動作を条件1とし,マイクロマニピュレータとマイクロステージ の機械的動作を条件2として実験を行った.温度は26℃,湿度は55%であり,θ40deg とした.

5.3.3 結果・考察

条件1および2での把持解放の成功率を表5.4に示す.成功時の様子を図5.21に示す.解 放時の位置決め精度を図5.20(a)に示し,図5.20(b)にどの程度ずれたかの度数分布を表す.

位置は解放前と後のガラスビーズの重心で決めている.条件1および2の成功率はほぼ同 程度であったが,条件1に比べ条件2の解放位置が一部遠くなっている.これはマイクロ マニピュレータとマイクロステージの移動量の違いが関係していると考えられる.条件1 ではエンドエフェクタ先端をxy方向にそれぞれ40µm移動し,条件2ではエンドエ フェクタ先端のxy方向30µmの移動に加え,マイクロステージをエンドエフェクタ先 端の移動方向と逆に40µm移動している.そのため,条件1では40µm以内で解放できて いるが,条件270µm程度の位置での解放になってしまった.解放位置10µm以内の解 放をみてみると,条件12は同数程度である.スケーリング則から付着力は微小物体の 大きさの1 3乗に比例した力の和であると考えられる.一方,マイクロ領域での粘性抵

抗は微小物体の大きさの1乗に比例するが,本実験では速度が高くなかったため,粘性抵 抗が付着力に比べ小さく,あまり影響を与えなかったと考えられる.しかし,実験結果か ら把持解放の再現性が低いとされるPassive手法でも,エンドエフェクタと微小物体との 力を想定し,エンドエフェクタを操る機械的動作のみによってある程度の安定性を保つこ とができるといえる.

(a) Position of Release

(b) Histogram of Release

Fig. 5.20 Position and Histogram of Release in Water

Fig.5.21PickupandReleaseinWater

(a) Before (b) After

Fig. 5.22 Not Pickup in Water

把持時の失敗に関して,図5.22に示すように把持の前後でエンドエフェクタ先端から転 がり落ちてしまっているのが見て取れる.微小物体に浮力が働き,把持のときにエンドエ フェクタ先端に比べ,微小物体の重心位置が上にきているため,水中では不安定となり,

転がり落ちるまたはエンドエフェクタ先端に乗りやすくなっていると考えられる.解放時 においても,その不安定さからエンドエフェクタ先端に微小物体が乗ってしまい,十分に 床面との付着力を確保できなかったことが成功率を下げた要因として考えられる.解放条 件を考慮しながら把持のアプローチの際のθを浅くすることで微小物体の重心位置がエン ドエフェクタ先端に比べ低くなり,安定性の向上が期待できると考える.

5.4 まとめ

本章では,把持におけるアプローチ方法が把持安定性に関わるとともに,解放安定性に もつながると考え,単なる針状のエンドエフェクタを装着したマイクロマニピュレータに よる把持の際の微小物体へのアプローチ角度に着目した.そして,把持解放の幾何的条件 と解放時に働いている力のバランス(付着力,重力,摩擦力)による力学的条件を想定し,

把持解放しやすい範囲を設定することで安定性を図る手法を提案した.その範囲内のアプ ローチ角度であるならば把持解放の成功率が高いと考え,同一の微小物体1個に対して角 度を複数パターン変えた把持解放実験を行った.まず,理論的に近い球状のガラスビーズ に対して実験を行った結果,5µm以内の位置決め精度かつ90%の把持解放の成功率とな り,適切な範囲のアプローチ角度を行うことの有用性を示した.空気中とは異なる物理特 性をもつ水中下で同様の実験を行い,空気中とほぼ同様の位置決め精度かつ成功率であっ たことから本手法が環境に対して汎用性をもつことを示した.さらに微小物体は球状のみ ではないため,応用的に歪な楕円体で形状・付着性・摩擦の異なる花粉に対し,同様の実 験を行った.ガラスビーズとの実験結果との相違から付着性の影響によって有効な範囲が 異なるが,適切な範囲を設定しアプローチ角度を行うことで有用であることを示した.

結 言

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