3.4 事故低減効果の予測
3.4.5 死亡重傷事故低減率の算出結果
衝突速度低減量の算出結果を,死亡重傷事故の期待値分布に当てはめ,システムがあった場合の 死亡重傷事故比率および台数の合計値を求めた.図 3-18 に,システム無しにおける各相対速度別 の死亡重傷事故比率に対し,1走行目(警報の経験がない場合)で「標準」タイミングのシステム 有りについて,相対速度別の衝突速度低減量の分を減じた死亡重傷事故比率に換算した結果を示す.
各相対速度別の死亡重傷事故台数に,システム有りの死亡重傷事故比率を乗じることで,事故台数 を算出した結果を図 3-19 に示す.また,全車速域の死亡重傷事故台数の合計値について,システ ムの有無による比をとり,死亡重傷事故低減率を図 3-17 中に記した.その他の条件(作動開始タ イミング,経験の有無)についても同様の方法で推定し,その結果を表 3-4 にまとめて整理する.
以上の算出結果から,「標準」タイミングを想定したシステムの死亡重傷事故台数の低減率は,不 測のハザードで,警報の経験がない場合(1走行目)で49%,警報の経験がある場合(2走行目)
で67%と推定された.警報を経験することにより,警報が提示された際のリスクについての理解が
深まるため,反応率の向上やや反応時間が早まり,効果が向上すると推察される.また,「早め」
タイミングの場合は,それぞれ94%,96%の死亡重傷事故低減効果が推定された.
1.8s 2.2s 1.8s 2.2s 0.6s 1.4s 0.6s 1.4s
0km/h 3,367 3,367 3,367 3,367 3,367 10km/h 47,331 47,331 47,331 47,331 47,331 20km/h 33,934 11,664 33,934 24,476 33,934 30km/h 32,503 4,570 32,503 16,517 32,503 40km/h 34,239 2,139 34,239 10,664 34,239 50km/h 16,786 0 9,442 2,476 13,208 60km/h 4,873 0 1,218 159 2,955
70km/h 859 0 26 0 154
80km/h 326 0 0 0 16
90km/h 93 0 0 0 1
100km/h 59 0 0 0 0
合計 174,370 69,071 162,060 104,990 167,708 40% 93% 60% 96%
事故削減率の推定値
ブレーキ反応時間(±標準偏差)
制動遅れデータ 視線戻しなしデータ
有効データ 実験条件
制御タイミング(自動ブレーキon時間) 警報タイミング(警報開始時間)
通常制動データ
事故削減効果 の予測結果
支援によって 回避できる 事故台数の推定値 効果予測に
用いた実験結果
衝突警報に対する ドライバの対応行動
64 61
15 5
13 8
1.28±0.30 0.98±0.29 効果予測の条件
1走行目 2走行目
衝突警報の経験なし 衝突警報の経験あり
36 48
図 3-18 車速ごとの死亡重傷事故比率
図 3-19 車速ごとの死亡重傷事故台数 0.00
0.05 0.10 0.15 0.20
0 20 40 60 80 100
死亡・重傷事故比率
初期車速 (km/h)
システム無し システム有り
0 100 200 300 400
0 20 40 60 80 100
死亡・重傷事故台数(台)
初期車速 (km/h)
システム無し システム有り 低減率=4 9 %
表 3-4 死亡重傷事故低減効果の推定結果
1.8s 2.2s 1.8s 2.2s 0.6s 1.4s 0.6s 1.4s
0km/h 43 0 0 0 0
10km/h 354 0 0 0 0
20km/h 295 116 0 50 50
30km/h 297 231 0 122 122
40km/h 351 290 0 196 196
50km/h 286 168 58 136 136
60km/h 132 77 31 61 61
70km/h 29 21 8 16 16
80km/h 15 11 5 9 9
90km/h 11 4 2 4 4
100km/h 10 6 2 4 4
合計 1,823 925 107 598 598
49% 94% 67% 96%
制御タイミング(自動ブレーキon時間)
1.28±0.30 0.98±0.29 有効データ
視線戻しなしデータ 制動遅れデータ
ブレーキ反応時間(±標準偏差)
36 48
64 61
15 5
13 8
1走行目 2走行目
衝突警報の経験なし 衝突警報の経験あり 警報タイミング(警報開始時間)
実験条件 効果予測の条件
効果予測に 用いた実験結果
衝突警報に対する ドライバの対応行動
事故削減率の推定値 通常制動データ
死亡・重傷事故 低減効果の
予測結果
支援があった場合の 死亡・重傷事故台数
の推定値