• 検索結果がありません。

予測の高低と支援効果

7.3 結果および考察

7.3.2 予測の高低と支援効果

った.さらに I1の抽象的な情報の場合に比べ,I3「交差車両2台接近中」のような具体的な情報 が提供された場合に,より高い確率で交差車両が来ると可能性を評価した.よって,情報の具体性 を高めたことでハザード出現の確信が高まるように作用したといえる.一方,予測低群のドライバ は,情報がない状態での交差車両出現可能性を3割以下と低く見積もったが,I1~I3のいずれかの 情報が提供された場合にはその評価を6割程度まで高めた.ただし,情報の内容による差はなかっ たため,不適切な予測をしているドライバに具体的な情報を提供したとしてもハザードの出現を確 信するまでには至りにくいと推察される.

図 7-5 交差車両出現確率の評価値

(2)危険度

条件ごとの主観的危険度評価の平均値および標準偏差を図7-6に示す.分散分析の結果,予測の 高低による主効果がみとめられ(F(1,19)=8.28, p<.01),支援情報の有無や種類に関わらず,予測 低群は,予測高群よりも危険度を低く評価した.

情報がない場合,ハザードの出現を低く予測したドライバは,高く予測したドライバよりも危険 度を低く評価しており,その傾向は支援情報が提供されても変わらないことが示された.このこと から,予測の高低に関わらず,ドライバの主観的な危険度は交通状況によって評価され,支援情報 による影響を受けにくいと考えられる.

0 20 40 60 80 100

支援なし I1 I2 I3

交差車両出現確率の評価値(%)

支援情報の種類

予測高群 予測低群

** *

**

** *

**

SD Mean

**:p<.01

* :p<.05

図 7-6 主観的危険度

(3)自己評価スキル

交差点を安全に通過できる自信について,条件ごとの評価点の平均値および標準偏差を図7-7に 示す.分散分析の結果,予測の高低と支援情報の交互作用がみられた(F(3,57)=5.74, p<.01)ため,

各水準間の多重比較を行った.情報がない場合,予測低群は,予測高群に比べて安全に運転できる 自信を高く評価した.また,予測低群は情報がない場合に比べ,I1~I3いずれかの情報が提供され た場合に,自信を低く評価した.

ハザードの出現を高く予測したドライバは,支援情報の有無および種類に関わらず,自己評価は 一定であった.一方,ハザードの出現を高く予測したドライバは,情報がない場合には自己評価が 高いが,ハザードがないと思っている状況において情報が提供された場合には自己評価が低下した.

ただし,支援情報の具体性による影響はみられなかった.

図 7-7 安全運転の自信 1

2 3 4 5 6 7

支援なし I1 I2 I3

低←主観的危険度→高

情報の種類

予測高群 予測低群*

SD Mean

**:p<.01

* :p<.05

1 2 3 4 5 6 7

支援なし I1 I2 I3

低←安全運転の自信→高

情報の種類

予測高群 予測低群

* *

* *

SD Mean

**:p<.01

* :p<.05

(4)信頼感

情報に対する信頼感について,条件ごとの評価点の平均値および標準偏差を図7-8に示す.分散 分析の結果,予測の高低による主効果に有意傾向がみられ(F(1,19)=3.58, p<.1),情報の具体性に 関わらず,予測低群は予測高群よりも信頼感を低く評価した.

ハザードの出現を低く予測したドライバは,交通状況から交差車両は来ないだろうと認識してい たため,支援情報に対してあまり信頼できないとの印象を受けたものと推察される.

図 7-8 情報の信頼感

(5)進入速度

交差点約 20m 手前地点への進入速度について,条件ごとに平均値と標準偏差を算出した結果を 図7-9に示す.分散分析の結果,予測の高低と支援情報の交互作用がみられた(F(3,57)=8.52, p<.01)

ため,各水準間の多重比較を行った.予測低群は,情報なしおよびI1情報の場合よりも,I2およ びI3情報が提供された場合に進入速度が有意に低かった.また,情報なしおよびI1情報を提供し た場合において,予測低群は予測高群に比べて速度が有意に高かった.

ハザードの出現を高く予測したドライバは,情報がない場合でも交差車両が来るかもしれないと 思って減速して進入するため,情報の有無および種類による影響がなかったと考えられる.一方,

ハザードの出現を低く予測したドライバは,交差車両は来ないだろう思っているため,情報がない 場合は速度が高く,加えてI1「事故多発交差点」という抽象的な情報を提供したとしても,速度の 低下がみられなかった.しかし,I2およびI3の交差車両の出現を知らせる具体的な情報を提供す ると速度は有意に低下し,支援情報による速度抑制効果がみとめられた.3.2.1項のとおり,I1情 報の提供によって予測は適正化されていたが,速度抑制効果はみられないため,抽象的な情報では リスクテイキング行動をとりやすい可能性があると予想されるが,より詳細な検証が必要である.

0 20 40 60 80 100

I1 I2 I3

低←情報の信頼感→高

情報の種類

予測高群 予測低群 †

SD Mean

**:p<.01

* :p<.05

† :p<.1

図 7-9 進入速度

(6)ハザードの出現を予測の高低による影響のまとめ

ハザードの出現を低く予測したドライバは,交通状況から交差車両は来ないだろうと予測するた め,状況に対する危険度を低く評価し,安全に運転できる自信は比較的高く,速度が高い状態で交 差点へと接近していた.支援情報が提示されると,情報の具体性に関わらず,予測が改善されると ともに安全運転への自信が低下した.ただし,情報に対する信頼感は低く,危険度の評価の低さに も変化はなかった.I2およびI3の具体的な支援情報が提供された場合,交差点接近速度は抑制さ れたが,I1の抽象的な情報での速度抑制効果は小さいことから,具体的な情報を提供することが望 ましいと考えられる.