第 4 章 質問紙調査によるタ・テイルの使用状況と -Ik と -mIş との対応関係
4.5. 調査の結果及び考察
4.5.1. 調査の結果
4.5.1.2. 構造的形状動詞の場合
本調査で結果の状態を焦点化することによって派生される構造的形状動詞は問題グル ープⅣにおいて使用されている。「壊れる」、「着る」、「禿げる」などのようなこの 種の動詞は主節においてテイルを、連体修飾節においてはタとテイルの両方とも取ると いう特徴を持っている。そのため、問題グループⅣではグループⅠ、ⅡとⅢと違い、答 えが一つ以上でも良いという指示が与えられ、選択肢を挙げず、動詞の辞書形を挙げて、
それを適当な形式に変えさせるという変換法が使用されている。また、語彙的形状動詞 の問題の形式と同様に、構造的形状動詞の設問も本調査の目的に沿って形成されている。
それらの構造的形状動詞におけるタとテイル43の回答数は学年別に、以下の表16-表19 のように示される44。
表16 1年生の構造的形状動詞の構造的位置に関するタとテイルの回答数(30名)
タ テイル 合計
構造的位置
連体修飾節 47 (37.1)
52
(61.9) 99
主節 26
(35.9)
70
(60.1) 96
合計 73 122 195
( )内は期待度数
構造的形状動詞が用いられた「述語のテイルを会話文に挿入し、連体形のタ/テイル を問う」という設問と、「連体形のタを文中に入れ、主節の述語のテイルを問う」とい う設問におけるタとテイルの 1年生の回答結果は表 16の通りである。χ2検定を行った 結果、構造的形状動詞におけるタとテイルの使用の割合は構造的位置によって有意に異 なっていた (χ2(1)=7.804, p<.01)。また、どちらの形式を選ぶ割合が高いのかを見るため に観測度数と期待度数を見ると、連体修飾節においてタが使用されることが多く、主節 においてはテイルが使用されることが多いことが分かった。
次に、2 年生の構造的形状動詞におけるタとテイルの回答数は以下のように挙げられ る45。
43分析にタとテイルのみの使用による回答数を示す理由は、タとテイルが本研究の対象 であるからである。以下の2・3・4年生の場合も同様である。
44 1年生の構造的形状動詞における各形式の使用状況は付属資料 2の表 19を、タとテイ ルの使用の割合は付属資料2の表20を参照されたい。
表17 2年生の構造的形状動詞の構造的位置に関するタとテイルの回答数(27名)
タ テイル 合計
構造的位置
連体修飾節 45 (37)
51
(59) 96
主節 24
(32)
59
(51) 83
合計 69 110 179
( )内は期待度数
「述語のテイルを会話文に挿入し,連体形のタ/テイルを問う」という設問と、「連 体形のタを文中に入れ、主節の述語のテイルを問う」という設問におけるタとテイルの 2 年生の回答結果は表 17 の通りである。χ2検定を行った結果、構造的形状動詞におけ るタとテイルの使用の割合は構造的位置によって 0.05の有意水準で有意に異なっていた
(χ2(1)=5.327, p<.05)。また、どちらの形式を選ぶ割合が高いのかを見るために観測度数
と期待度数を見ると、連体修飾節においてタが使用されることが多く、主節においては テイルが使用されることが多いことが分かった。
更に、3 年生の構造的形状動詞におけるタとテイルの回答数は以下のように表示でき る46。
表18 3年生の構造的形状動詞の構造的位置に関するタとテイルの回答数(31名)
タ テイル 合計
構造的位置
連体修飾節 44 (32.7)
49
(60.3) 93
主節 21
(32.3)
71
(59.7) 92
合計 65 120 185
( )内は期待度数
「述語のテイルを会話文に挿入し、連体形のタ/テイルを問う」という設問と、「連 体形のタを文中に入れ、主節の述語のテイルを問う」という設問におけるタとテイルの
45 2年生の構造的形状動詞における各形式の使用状況は付属資料 2の表 21を、タとテイ ルの使用の割合は付属資料2の表22を参照されたい。
46 3 年生の構造的形状動詞における各形式の使用状況とタとテイルの使用の割合はそれ ぞれ付属資料2の表23と24を参照されたい。
3 年生の回答結果は表 18 の通りである。χ2検定を行った結果、構造的形状動詞におけ るタとテイルの使用の割合は構造的位置によって有意に異なっていた (χ2(1)=11.116,
p<.01)。また、どちらの形式を選ぶ割合が高いのかを見るために観測度数と期待度数を
見ると、連体修飾節においてはタが使用されることが多く、主節においてはテイルが使 用されることが多いことが分かった。
最後に、4年生の構造的形状動詞におけるタとテイルの回答数は以下のようである47。
表19 4年生の構造的形状動詞の構造的位置に関するタとテイルの回答数(29名)
タ テイル 合計
構造的位置
連体修飾節 28 (27.5)
65
(65.5) 93
主節 25
(25.5)
61
(60.5) 86
合計 53 126 179
( )内は期待度数
「述語のテイルを会話文に挿入し、連体形のタ/テイルを問う」という設問と、「連 体形のタを文中に入れ、主節の述語のテイルを問う」という設問におけるタとテイルの 4 年生の回答結果は表 19 の通りである。χ2検定を行った結果、構造的形状動詞におけ るタとテイルの使用と構造的位置の間に有意な差が見られなかった (χ2(1)=0.000, n.s.)。 上記の結果からもわかるように、1年生、2年生と3年生には設問の「主節のテイルを 会話文に挿入し、連体形のタ/テイルを問う」という形式においてタを選ぶ傾向が見ら れ、「連体形のタを文中に入れ、主節の述語のテイルを問う」という形式においてはテ イルを使用する傾向が見られた。上記では、構造的形状動詞の場合の形容詞的なタとテ イルの設問の 2 つの形式における使用状況を学年別に分けて示したが、以下では「構造 的位置」の水準間(学年間)で学年の主効果を見る。1 年生から 4 年生までの学習者間 のタとテイルの回答結果は以下のようにまとめられる48。
47 4 年生の構造的形状動詞における各形式の使用状況とタとテイルの使用の割合はそれ ぞれ付属資料2の表25と26を参照されたい。
48 構造的形状動詞における形式の学年別の回答率と正答率は付属資料 2の表27を参照さ
れたい。
表 20 学年別の構造的形状動詞の構造的位置に関するタとテイルの回答結果
構造的位置 回答 学年
1年生 2年生 3年生 4年生 合計
連体修飾節
タ 47 (43.3)
45 (39.8)
44 (41.1)
28
(39.8) 164
テイル 52 (57.4)
51 (52.6)
49 (54.4)
65
(52.6) 217
主節
タ 26 (25.3)
24 (23.3)
21 (24.1)
25
(23.3) 96
テイル 70 (69)
59 (63.3)
71 (65.4)
61
(63.3) 261
合計 195 179 185 179 738
( )内は期待度数
構造的形状動詞における構造的位置による形式の交替によるタとテイルの使用に学年 の主効果があるかを検討するために行ったχ2検定の結果、形式の使用と学年の間に有意 な差が見られなかった (χ2(9)=10.097, n.s.)。つまり、1年生から4年生までの全学年にお いて、連体修飾節においても主節においてもタとテイルの回答数には有意な違いがない ことが分かった。
次に、述語の形を挙げず、構造的形状動詞の連体形のタ/テイルを問う問題における タとテイルの回答結果は学年別に以下のように示される49。
表21 学年別の構造的形状動詞のテイルの用法の定着化による回答結果50
正答 1年生 2年生 3年生 4年生 合計
テイルの用 法の定着化
タ 33 (34.6)
33 (31.2)
36 (35.7)
33
(33.5) 135 テイル 59
(57.4)
50 (51.8)
59 (59.3)
56
(55.5) 224 合計 92 83 95 89 359
( )内は期待度数
49 テイルの用法の定着化の要因の場合の各学年の構造的形状動詞における形式の使用状
況は付属資料 2 の表 28・30・32・34 を、そのタとテイルの使用の割合は表 29・31・ 33・35を参照されたい。
50 テイルの用法の定着化の要因の場合の構造的形状動詞における形式の学年別の回答率
と正答率は付属資料2の表36を参照されたい。
構造的形状動詞のテイルの用法の定着化という要因をはかる設問において、タとテイ ルの使用に学年の主効果があるかを検討するために行ったχ2検定の結果、タとテイルの 選択と学年の間に有意な差が見られなかった (χ2(3)=0.296, n.s.)。