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形容詞的分詞の -mIş

ドキュメント内 学位請求論文 (ページ 41-45)

第 3 章 トルコ語の形容詞的分詞とタ・テイルの形容詞的用法

3.2. 形容詞的分詞の分類とトルコ語の形容詞的分詞

3.2.2. 形容詞的分詞の -mIş

が(kır-ık → kır-ıl-mış:-mIşについては次節で説明する)、自動詞+ -Ikを -mIş と置き換 えた場合にはそのような受身形接辞の付加が見られない (yan-ık → yan-mış) としている。

英語の分詞を分類している Embick (2004) は、語彙的分詞は「make」、「build」のよ うな創造動詞や「become」のような状態変化動詞に付加できると指摘し、それは 3.2.1 節で見られるようにトルコ語の場合も当てはまる。Embick (2004) はそれらのような動詞 は句の分詞とは共起できないと述べ、Gürer (2014) はEmbick (2004) のその指摘はトルコ 語の分詞接辞の -mIş にも当てはまると言及している。

(11) a. *Bu bahçe kapı-sı aç-ıl-mış yap-ıl-mış.

この 庭 ドア-POSS.3SG 開ける-PASS-PRT 作る-PASS-EV(発見)

英語訳:‘This garden door is made opened.’

日本語訳:‘この庭のドアは開いている形で作られている。’

b. *Bu cetvel eğ-il-miş ol-muş.

この 物差し 曲げる-PRT なる-EV(発見)

英語訳:‘This ruler became bent.’

日本語訳:‘この物差しは曲がった状態になっている。’

(Gürer 2014:175)

-Ikと同様に、-mIşも非対格動詞と共起できるが、非能格動詞とは共起できないという 制限がある (Nakipoğlu 1998-2000, Kurtoğlu 2006, Acartürk&Zeyrek 2010, Gürer et al. 2012,

Gürer 2014, Hirik 2016)(例 12)。しかし、-mIş は他動詞に付加できず、動詞が他動詞で

あれば「他動詞+受身形接辞の-Il/-n+-mIş」の構造になり、受身形接辞を取る点で -Ikと は異なる (Slobin and Aksu 1982, Acartürk&Zeyrek 2010)(例 13)。

(12) a. bat-mış gemi 沈む-PRT 船

英語訳:‘the sunk ship’

日本語訳:‘沈んだ船’

b. *koş-muş adam 走る-PRT 男の人

英語訳:‘the man who has run’

日本語訳:‘走った男の人’

(13) a. kır-ık cam ‘割れた/割れているガラス’

割る-PRT ガラス

b. *kır-mış cam ‘割ったガラス’

割る-PRT ガラス

b’. kır-ıl-mış cam ‘割れた/割れているガラス’

割る-PASS-PRT ガラス

Gürer (2014) によると、-mIş が付加できる動詞は -Ikと同じく限界的、動的、そして持

続的でなければならない。Vendler (1957) の分類では、それは達成動詞であり、-mIş は他 の動詞の種類とは両立しない。

(14) a. *koş-muş atlet(活動動詞)

走る-PRT アスリート

英語訳:‘the athlete who has run’

日本語訳:‘走ったアスリート’

b. *bil-miş öğrenci(状態動詞)

知る-PRT 学生

英語訳:‘a student who knows’

日本語訳:‘知った学生’

c. *var-mış yolcu(到達動詞)

到着する-PRT 旅客

英語訳:‘a passenger who has arrived’

日本語訳:‘到着した旅客’

d. inşa ed-il-miş ev(達成動詞)

建てる-PASS-PRT

英語訳:‘the house which is built’

日本語訳:‘建てられた家’ (Gürer 2014:180-181)8

しかし、限界性を表す表現の付加によって -mIşと共起できない活動動詞と状態動詞は -mIşと共起できるようになる。(14c) のような到達動詞は限界的であるが、非持続的/瞬 間的であるため、-mIş とは共起できないが、その瞬間的な含意が限界性のあるプロセス に移行するような表現を付加すると、-mIş と共起できるようになり、文法的になる (Slobin and Aksu 1982, Nakipoğlu 2000, Gürer 2014)。

(14’) a. maraton koş-muş atlet(活動動詞)

マラソン 走る-PRT アスリート

英語訳:‘the athlete who has run a marathon’

日本語訳:‘マラソンを走ったアスリート’

8 Gürer (2014) は例 (14a) をNakipoğlu (1998) より引用し、修正をしている。

b. cevab-ı bil-miş öğrenci(状態動詞)

答え-ACC 知る-PRT 学生

英語訳:‘the student who has known the answer’

日本語訳:‘答えがわかった学生’

c. terminal-e var-mış yolcu(到達動詞)

ターミナル-DAT 到着する-PRT 旅客

英語訳:‘the passenger who has reached the station’

日本語訳:‘ターミナルへ到着した旅客’ (Gürer 2014:181)9

非対格動詞も上記の動詞と同じ働きをする。ある非対格動詞は非限界的であれば、

-mIş と共起できないが、限界性を表す表現の付加によって -mIş と共起できるようになり、

文法的になる。

(15) a. ? büyü-müş çiçek 大きくなる-PRT 花

英語訳:‘grown flower’

日本語訳:‘大きくなった花’

b. iki hafta iç-i-nde büyü-müş çiçek 2 週間 以内-POSS.3SG-LOC 大きくなる-PRT 花 英語訳:‘flower that grew up in two weeks’

日本語訳:‘2週間で大きくなった花’ (Gürer 2014:182)

更に、形容詞的分詞の中で、形容詞派生動詞には分詞接辞の -mIş のみが付加できると いう制限がある。トルコ語には形容詞から動詞を派生する -lAş と -(A)r という派生接辞 が存在し、それらの接辞により派生した動詞は -mIş を取る (Göksel and Kerslake 2005)。

(16) a. sarı‘黄色’

黄色

b. sar-ar‘黄ばむ’

黄色-VRBL

c. sar-ar-mış yaprak-lar‘黄ばんだ/黄ばんでいる葉’

黄色-VRBL-PRT 葉-PL (Gürer 2014:182)

9例 (14’a) はNakipoğlu (2000) より引用したものである。

(17) a. güzel‘奇麗/美しい’

奇麗

b. güzel-leş‘奇麗になる/美しくなる’

奇麗-VRBL

c. güzel-leş- miş kız-lar‘奇麗になった/なっている女の子’

奇麗-VRBL-PRT 女の子-PL (Gürer 2014:182-183)

意味用法の観点から見ると、述語用法の -mIşは動詞語幹+-mIşの構造で使われ、他の TAM マーカーが付加されない場合、エヴィデンシャリティー (evidentiality) とパーフェ クティヴィティー (perfectivity) の両方を表す (Göksel & Kerslake 2005) が、名詞修飾用法 では述語形式のエヴィデンシャリティーの意味が喪失し、動作が完了した結果、対象の 表す状態(結果の状態)という意味のみを表す (Korkmaz 2014, Hirik 2016)。

ドキュメント内 学位請求論文 (ページ 41-45)