• 検索結果がありません。

形容詞的分詞の -(I)lI

ドキュメント内 学位請求論文 (ページ 45-49)

第 3 章 トルコ語の形容詞的分詞とタ・テイルの形容詞的用法

3.2. 形容詞的分詞の分類とトルコ語の形容詞的分詞

3.2.3. 形容詞的分詞の -(I)lI

(17) a. güzel‘奇麗/美しい’

奇麗

b. güzel-leş‘奇麗になる/美しくなる’

奇麗-VRBL

c. güzel-leş- miş kız-lar‘奇麗になった/なっている女の子’

奇麗-VRBL-PRT 女の子-PL (Gürer 2014:182-183)

意味用法の観点から見ると、述語用法の -mIşは動詞語幹+-mIşの構造で使われ、他の TAM マーカーが付加されない場合、エヴィデンシャリティー (evidentiality) とパーフェ クティヴィティー (perfectivity) の両方を表す (Göksel & Kerslake 2005) が、名詞修飾用法 では述語形式のエヴィデンシャリティーの意味が喪失し、動作が完了した結果、対象の 表す状態(結果の状態)という意味のみを表す (Korkmaz 2014, Hirik 2016)。

a’. özensizce yap-ılı saç 雑に する-PRT 英語訳:‘Sloppily done hair’

日本語訳:‘だらしなくセットされている髪の毛’

b. metal koruyucu-lar sıkıca kapa-lı-ydı.

金属 保護するもの-PL しっかり 閉める-PRT-PST.COP 英語訳:‘The metal savers were tightly closed.’

日本語訳:‘金具はしっかり閉めてあった。’

b’. sıkıca kapa-lı metal koruyucu-lar しっかり 閉める-PRT 金属 保護するもの-PL 英語訳:‘Tightly closed metal savers’

日本語訳:‘しっかり閉めてある金具’ (Gürer 2014:173)

3.2.2 節で述べたように、Embick (2004) は「make」、「build」のような創造動詞や

「become」のような状態変化動詞は句の分詞とは共起できないと述べ、Gürer (2014) は

Embick (2004) のその指摘は分詞接辞の -mIş と同様に -(I)lI にも当てはまると言及してい

る。

(20) a. *Bu site-ler diz-ili ol-muş.

この ビル-PL 並べる-PRT なる-EV(発見)

英語訳:‘These buildings became ordered.’

日本語訳:‘これらのビルは並んだ形になっている。’

b. *Bu kitabe-ler yaz-ılı yap-ıl-mış.

この 碑文-PL 書く-PRT する-PASS-EV(発見)

英語訳:‘These inscriptions are made written.’

日本語訳:‘これらの碑文は書かれた状態になっている。’

(Gürer 2014:175)

動詞との関係に関しては、-Ik と-mIş に対して、-(I)lI は非対格/非能格動詞のどちら にもほとんど付けることができず、ほとんどの場合に他動詞に付加される。しかし、全 ての他動詞に付加できるわけではない。

(21) a. kapa-lı kapı ‘閉まっているドア’(他動詞)

閉める-PRT ドア

b. *aç-ılı kapı ‘開いているドア’(他動詞)

開ける-PRT ドア

c. *bat-ılı gemi ‘沈んでいる船’(非対格動詞)

沈む-PRT 船

d. *çalış-ılı adam ‘働いている男の人’(非能格動詞)

働く-PRT 男の人

上記の非文法的な例 (21c) は -Ikと -mIş であれば文法的であり、例 (21b) は –Ikであれ ば文法的でり、さらに「aç-」(開ける)を「aç-ıl-」(開けられる)のように他動詞を自 動詞にすると、-mIş も接続できる。従って、-(I)lIはほとんどの場合に自動詞には付加で きず10、他動詞の場合には -Ikが付くことができない動詞であれば、その動詞に付加でき ると思われる。しかし、それも以下のような例外が見られる。(22a) は「腕が何らかの原 因で曲がって、今も曲がった状態にある」という意味を表し、(22b) は「蛇口をある目的 で曲げて、今も曲がった状態である蛇口の性質を表す」という異なった解釈を与える。

(22) a. bük-ük kol ‘(不自然に)曲がった腕’

曲げる-PRT 腕

b. bük-ülü musluk başı ‘曲がった蛇口’

曲げる-PRT 蛇口 (Gürer 2014:179)

-(I)lI で派生された形容詞の意味について考察を行う Gencan (1979) はその意味が動詞

の自他の関係によって左右されると述べている。-(I)lI はほとんどの場合に他動詞に付加 され、自動詞に接続されるのは珍しいが、以下にも表示されるように、場合によって自 動詞にも付加でき、意味の差異が見られる。

10 -(I)lIが付加できる自動詞は Gencan (1979) に挙げられた例の「az-」‘絶望する/増長

する’、「kork-」‘怖がる’と「kok-」‘臭う’しか見つからなかった。

表2 -(I)lI が付いた動詞の種類と派生した形容詞の意味 (Gencan 1979) 動詞語幹+

-(I)lI

-(I)lI が付いて派生され

た形容詞の意味 例

他動詞+ -(I)lI 受動的 (passive) 11 dik-ili(植える+ -(I)lI)

‘植えた/植えている’

自動詞+ -(I)lI 能動的 (active) 12

az-ılı(絶望する/増長する+ -(I)lI)

‘絶望した/絶望している/増長した/

増長している’

Vendler (1957) の動詞分類を使用したGürer (2014) の言語テストによると、-(I)lI は –Ik や -mIş と同様に、「持続的」、「動的」、そして「限界的」である達成動詞のみと両立 している。

(23) a. *koş-ulu çocuk(活動動詞)

走る-PRT 子供

英語訳:‘the child who has run’

日本語訳:‘走った子供’

b. *bil-ili çocuk(状態動詞)

知る-PRT 子供

英語訳:‘the child who knows’

日本語訳:‘知っている子供’

c. *var-ılı yolcu(到達動詞)

到着する-PRT 旅客

英語訳:‘the passenger who has reached’

日本語訳:‘到着している旅客’

d. kapa-lı ev(達成動詞)

閉める-PRT 英語訳:‘closed house’

日本語訳:‘閉まった/閉まっている家’ (Gürer 2014:180)

11 Gencan (1979) は他動詞+ -(I)lI の形容詞が受動的な意味を表すことの根拠として、他

動詞+ -(I)lIを -mIşと置き換えると、他動詞+受身形の接辞 -Il/-n + -mIşの構造になるこ

とを挙げている(例:dik-ili → dik-il-miş)。

12自動詞+ -(I)lI で形成された形容詞は、その動作の動作主あるいは経験者 (experiencer) としても解釈される(例:az-ılı (絶望した)= az-an(絶望した人))。

ドキュメント内 学位請求論文 (ページ 45-49)