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化学発光の検出では、多くの場合、感度が重視されておりますが、

実際の実験では、定量性、経済性、便利性などが必要になる場合 も多くあります。この章では、現在使われている代表的な検出方 法の例をあげて、それぞれの検出方法の特徴について解説します。

4.1 • 検出方法の種類と特徴

4.2 • ECL Mini-Camera による検出

4.3 • Hyperfilm による化学発光検出(露光から検出まで)

4.4 • バリアブルイメージアナライザー Typhoon による検出

付録:冷却式 CCD カメラシステムによるタンパク質の定量化

4

― 34 ―

ECL

の検出は大まかに分類すると

2

つに大別されます。

①フィルムによる感光

フィルムを感光させて検出する方法です。もっともオーソドックスな方法で、高い感度での検出ができます。従来のフ ィルムの場合、暗室での現像作業が必要でしたが、

ECL Mini-Camera

の様なポラロイドフィルムを用いたインスタン トカメラタイプでの検出の場合、暗室操作も不要で、手軽に

ECL

の検出ができます。

② 検出用機器による検出

フィルム露光に変わる方法として利用されている方法には、冷却式

CCD

カメラによる検出があります。冷却式

CCD

カ メラによる検出は暗室が不要であること、またデジタルデータとして取り込まれるため、定量解析にそのまま用いるこ とができるという利点があります。最近では多目的画像解析装置の高感度化により、一部のスキャナーでは化学発光 を直接検出することができます。これらのスキャナーの場合、ケミフローレッセンス(化学蛍光)法による検出も可能 なシステムもあります。

ECL Mini-Camera Hyperfilm 冷却式CCDカメラ スキャナー

感度 ○ ◎ ○ △

暗室 不要 必要 不要 不要

手軽さ ◎ △ ○ ○

定量性 △ △ ○ ◎

他アプリケーションでの応用 △ ○ △ ◎

*蛍光検出、放射性同位元素(RI)検出など

4.1 検出方法の種類と特徴

<ミニゲルホルダーを用いた操作方法>

1

) フィルムカートリッジをカメラ本体のフィルムホルダーにセットします。黒い紙(遮 光紙)と白タブは外に出した状態にします。

2

) 白タブがカメラ本体の内部に巻き込まれていないことを確認します。

3

) フィルムホルダーのふたを閉めます。

4

) 遮光紙を引き出すと自動的に白タブが引き出されます。フィルムのセットはこれで 完了です。メンブレンホルダーのふた側を上にして安定した机の上におきます。

5

)化学発光検出試薬をメンブレンにかけて反応させた後、余分な検出試薬を除去して からブロット面を下にしてメンブレンをラップの上にのせます。ラップは

30

×

30cm

四方を目安として、机などの平面にラップを広げます。この際、できるだけラップに しわがよらないように注意します。

<推奨フィルム>

4.2 ECL Mini-Camera による検出

<対応メンブレンサイズ>

ECL Mini-Camera

とは

...

ポラロイド

CB-103

フィルムホルダーをベースにしてデザインされた化学発光検出器です。

ECL

AlkPhos Direct,

Gene Images

をはじめとした、タンパク質や核酸の化学発光検出すべてに使用することができます。

インスタントフィルムは、

8.5

×

10.5 cm

サイズ、

ISO3000

相当の感度のものを推奨いたします。

2

種類のボートとメンブレンホルダーにより、

7.7

×

5.2 cm

あるいは

9.3

×

7.4 cm

までのメンブレン をセットすることができます。

― 36 ―

6

) メンブレンにあわせて、ミニゲルホルダーを置きます。

7

) ラップとメンブレンの間に気泡が入らないように注意して、メンブレンとホルダーを まとめてラップで包みます。

8

) カメラ本体のメンブレンホルダー側のふたを開け、ラップで包んだメンブレンとミニ ゲルホルダーをカメラ本体にセットし、ふたを取り付けます。

9

) シャッターを静かに開けて露光します。露光時間はシグナル強度とフィルム感度に よりますが、通常は

1

分間程度の露光からはじめてください。露光が終了したら、シ ャッターを静かに閉めます。シャッターが完全に閉められていることを確認してくだ さい。

10

) タブを引いてフィルムを引き出します。フィルムを室温で静置して現像を待ちます。

<準備>

現像液や定着液のマニュアルを参照して溶液を調製します。試薬の温度は結果に大きく影響するので、温度が推奨条件に なるよう調整します(

20

℃が一般的です)。温度変化が激しいと容器が結露したり、現像ムラがおきやすくなります。

X

線 フィルム(

Hyperfilm

など)やフィルムカセットも温度変化により結露することがあります。暗室の温度を

20

℃前後に安 定させて、試薬や容器、フィルムも使用前にその温度になじませておくことをお奨めします。

1)(白色光下)ラップに包んだメンブレンを、ブロット面を上(ブロット面がX線フィルムと接するよう)にしてフィルムカセッ トに置きます。

2(セーフティーライト下)X線フィルムを箱から取り出し、フィルムカセットにセットします。フィルムがメンブレンの上で動 くと、画像ブレが起こりますのでご注意ください。フィルムカセットの蓋を閉め、1〜5分露光します。発光が強い場合は露光 時間を短くすることで画像の濃さを調整できますが、露光時間が1分以下の場合、セッティングの際の画像ブレの影響が出や すくなります。カセットが閉まっている間は、部屋の白色光を点灯させてもかまいません。

3(セーフティーライト下)カセットを開けてフィルムを取り出します。画像ブレが起こらないよう、速やかにフィルムとメン ブレンを離します。

4)(セーフティーライト下)フィルムを現像液に浸します。フィルム面に気泡がないようにし、全体が均一に浸るようにします。

20℃で5分を目安に現像します。現像時間を変えることでも画像の濃淡を調整できますが、現像ムラが起こりやすくなったり、

操作によるばらつきが大きくなります。温度と時間を一定にすることが、安定した画像を得るポイントです。

5(セーフティーライト下)フィルムを水道水を満たしたバットに移し、流水中に30秒ほど置き、現像液を洗い流します。

6)(セーフティーライト下)フィルムを定着液で満たしたバットに移します。フィルム面に気泡がないよう注意します。20℃で 3分以上、乳剤が溶けてフィルムが透明になるまで十分に置きます。フィルムが透明になったら白色光をつけて定着ムラがな いか確認します。定着ムラが見られた場合はさらに定着液に浸して乳剤を除去します。

7)(白色光下)流水中に10分以上置き、定着液を洗い流します。

8(白色光下)水中からフィルムを取り出し、室温で風乾します。

4.3 Hyperfilm による化学発光検出(露光〜現像まで)

― 38 ―

<Hyperfilm ECLによるタンパク質の定量化>

ECL

により発せられた光に対して、

Hyperfilm ECL

はリニアに感光することが示されています

(

文献

14)

。したがって、

フィルム上に得られたシグナルを、デンシトメトリーを用いて定量化することが可能です。また、フィルムがリニアに 感光する範囲は、プレフラッシングを行うことにより拡大され、より低レベルのタンパク質の定量化も正確に行えるよ うになります。以降に未知量タンパク質の定量化のガイドラインを示します。

1) 未知量タンパク質と既知量の同一抗原(スタンダード)サンプルの両方をウェスタンブロッティングします。少なくとも スタンダードは、5段階の異なる希釈をとることをおすすめします。各希釈段階は10倍以下に設定してください(下記の 実験例を参照)。定量すべきタンパク質量がスタンダードレンジに入るよう調製することが重要です。そのために、異な る希釈倍率で未知量サンプルを何点かとることを考慮してください。

2) フィルムは、プレフラッシングして用いた方が良い結果が得られます。照射距離の目安を示したストロボ(Sensitize RPN2051)を用いれば、この操作を比較的容易に行うことができます。

3 ECLウェスタンブロッティングのプロトコールに基づいて検出を行います。正確に定量するためには、発せられる光量が フィルムのリニアに感光する範囲内であることが重要です。そのため、露光時間を変えて何枚かフィルムを感光させ、最 も低量のスタンダードによるシグナルがフィルム上でわずかに見えれば、他のスタンダードの何点かがリニアレンジに入 ってくるはずです。

4) フィルムをデンシトメーターでスキャンして、スタンダードのタンパク質量に対してピーク値をグラフにブロットします。

未知タンパク質量は、このグラフとブロット時の希釈から導き出すことができます。

※ CCDカメラやスキャナーなどの化学発光・蛍光検出装置を使用することで、より簡単にタンパク質の定量化を行うことができます。

Peak area  計算値 実測値 (OD units)

検出用サンプル1 0.865 235 ng 240 ng 検出用サンプル2 0.476 125 ng 120 ng

ミオシン重鎖→

(200kDa)

(左から)

ミオシン600, 450, 300, 150, 60ngと検出サンプル1, 2

泳動後、Hyperfilm ECLを用いて15秒間露光しました。

60  150  300  450  600 2.5 

1.5 

0.5  0

ng myosin

Peak area (OD units )

■ 実験例 −ECLを使用−

ニワトリ砂嚢ミオシンを

10 µl

泳動バッファー中に、

600 ng

450 ng

300 ng

150 ng

60 ng

含むスタンダード サンプルと

60

600 ng

の範囲の検定用サンプルを

2

種類調製しました。

すべてのサンプルを電気泳動し、

Hybond-ECL

にブロットしました。イムノディテクションは、抗ミオシン重鎖モノク ローナル抗体(

1:20

)と

HRP

標識抗マウス抗体(

NA931

1:3,000

)で反応後、

ECL

検出試薬で検出しました。露光 時間を変えて数枚

Hyperfilm ECL

を感光させ、

60 ng

のスタンダードがわずかに見えるフィルムをデンシトメトリーで 解析しました。

UltraScan XL Laser densitometer

を用いてフィルムをスキャンし、スタンダードミオシン量に対してピーク

OD

値 をグラフにプロットしました。

検定用

2

サンプルの量を、スタンダード直線から算出しました。