ECL Plus には化学発光反応中に中間生成物として、蛍光物質を生
産する特性があります。
この特性を利用することで、ケミフローレッセンス(化学蛍光)
法での検出可能です。ケミフローレッセンス法はバリアブルイメ ージアナライザー Typhoon などの蛍光検出用画像解析装置で検出 でき、データのデジタル化(=数値化)が可能です。
この章では ECL Plus を用いたケミフローレッセンス法についてご 紹介します。
5.1 • プロトコール
5.2 • バリアブルイメージアナライザー Typhoon による検出
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1. 準備と一般的な取り扱いについて
基本操作は化学発光検出と同じですが、蛍光検出の際には下記の点にご注意ください。
・蛍光検出の成功の秘訣はバックグラウンドを低く抑えることにあります。ブロッキングや洗浄時は十分量のバッファ ーを使用します。
・使用されるメンブレンは乾かさないようご注意ください。
・洗浄時のバッファー量はメンブレン
1 cm
2あたり2.5 ml
以上使用することをおすすめします。メンブレンが十分入 る大きさの容器を準備します。使用する容器は必ず水とエタノールで洗浄し、メンブレンを取り扱う際にはパウダー フリーのグローブを使用します。2. インキュベーション
1)平面に置いた清潔なハイブリダイゼーションバッグ(またはラップフィルム)の上に、洗浄したメンブレンをサンプル面を 上にして置きます。
2)ECL Plus基質を、製品添付書に従って調製(Detection Reagent AとBを40:1で混合)します。メンブレンを1 cm2 あたり100 µlのECL Plus基質で完全に覆い、室温で5分間インキュベートします。
3)清潔なピンセットでメンブレンをつまみ、余分な試薬を軽く切り、3 mm厚の無蛍光ガラス板に載せて挟みます。メンブレ ンとガラス板の間に気泡が入らないようご注意ください。
4)画像検出までに時間をおく場合はメンブレンを遮光し、スキャンを行うまで室温にて保存してください。
表5-1.ケミフローレッセンス基質から得られる蛍光物質の最大励起、蛍光波長と 検出時に用いられる酵素
ケミフローレッセンス基質 励起波長(nm) 蛍光波長(nm) 酵素
ECL Plus*1 430 503 HRP*2
ECF 440 560 AP*3
DDAOphosphate 646 660 AP*3
*1 ケミフローレッセンスとケミルミネッセンス検出に用いることができる。
*2 Horseradish Peroxidase
*3 Alkaline Phosphatase
5.1 プロトコール
▲
1)Typhoonのステージに汚れが無いことを確認し、サンプルを設置する際に、サンプル面側のガラス板にカプトンテープを 貼ります。
2)サンプル面を下向きにしてメンブレンを挟んだガラス板を設置します。バックグラウンドを抑えるためには、メンブレンを 乾かさないようにすることが重要です。メンブレンとガラス板の間に気泡が入らないようご注意ください。TyphoonでECL Plusをケミフローレッセンス検出する場合、457または488 mm光源で励起します*。
3)「Press Sample」を選択します。Focal Planeは+3 mm、Pixel Size は100 µm、Sensitivity はNormalに設定しま す。また、PMTボルテージの推奨値は450〜800 Vです。
* 蛍光ウェスタンブロット検出のための励起、検出設定は蛍光試薬ごとに至適化が必要です。感度を最高にするための励起波長/検出フィルタ ーの組合せは、使用する蛍光色素の最大励起、蛍光波長と必ずしも一致しません(表5-1)。
表5-2.Typhoon 9400でのケミフローレッセンス用いたβ-チューブ リンの検出限界
基質 検出限界*(β-tubulin)
ECL Plus 0.5 ng
ECF 2〜4 ng
DDAO phosphate 1〜2 ng
* 検出限界値はチューブリンを目的タンパク質として検出を行った際の結果。
検出限界値とはバックグラウンド修正後のS/N比が3以上を保つ限界。
<結果>
図
5-1a
、b
にTyphoon
で検出した蛍光ウェスタンブロッティングの検出例を示します。各種の蛍光ウェスタンブロット検出を用いたβ
-
チューブリンの検出限界を表5-2
に示します。化学発光法の場合の8
分間のフィルム感光の結果と同 等であり、4
倍以上の広いリニアダイナミックレンジが得られました。Typhoon
は5
オーダーのダイナミックレンジを 持っています。図5-1.ケミフローレッセンス法と蛍光標識法によるウェスタンブロッティ ング
a)ECL Plus基質を用いたケミフローレッセンス法によるウェスタンブロッティング。
β-チューブリンは等倍希釈を行い、レーン左より16、8、4、2、1、0.5 ng添加。
b)フルオレセインを用いた蛍光標識法によるウェスタンブロッティング。β-チューブ リンは等倍希釈を行い、レーン左より32、16、8、4、2、1 ng添加。
a)
b)
5.2 バリアブルイメージアナライザー Typhoon による検出
▲
3mm厚ガラス板 Typhoonガラスステージ
カプトンテープ メンブレン
(サンプル面が下)
蒸留水
GUIDE 主に非特異的な抗体の付着によってメンブレンのバックグラウンドノイズが大きくなる可能性があります。感度を最大 限に得るために、検出条件の至適化をおすすめします。
GUIDE 対応機種:Typhoon 9410、9400、Trio(488 nmのみ)