1.75 %区
6.2 塩水浸漬がクロマツと広葉樹の幼木の各器官におけるイオン含有率に及ぼす影響
6.2.3 結果
6.2.3.2 植物体内のイオン含有率の変化
122 6.2.2.9 植物体中の無機成分の分析
前項において乾燥させた試料を,湿式灰化法により塩酸溶液とした。湿式灰化法について は参考資料の資料 2に詳細を記載する。作成した塩酸溶液を 100倍に希釈し,原子吸光光 度計(HITACHI,A-2000)により,植物体中の各器官における陽イオン(Na+,K+,Ca2+, Mg2+)濃度を測定した。各イオンの測定に用いたホロカソードランプと波長は,Na+ではPrant No. 208-2021(HITACHI)のランプで波長は330.2 nm,K+ではPrant No. 208-2016(HITACHI)
のランプで波長は404.4 nm,Ca2+,Mg2+ではPrant No. 208-2021(HITACHI)のランプで波長 はCa2+の測定時には422.7nm,Mg2+の測定時には285.2nmとなっている。分析はアセチレン
ガスを75kpaで供給し,測定時間は3秒間とし,繰り返しは3回に設定した条件で行った。
6.2.2.10 統計解析
各供試種の樹種間における葉内のK/Na比の平均値の有意差について検定するため,多重 比較検定を行った。Levene 検定により等分散性の検定を行い,等分散性が認められた群間
に対してTukey検定(p < 0.05)を,等分散性が認められなかった群間に対しては
Kruskal-Walls検定(p < 0.05)を用いた。同一の供試種の処理区間における有意差についてはt検定
(p < 0.05)を用いて検定した(IBM SPSS Statistics ver. 19)。
123
表6.2.2 植物体中の無機成分含有率
Na K Ca Mg K/Na
葉 0.10 1.50 3.00 0.20 15.00
茎 0.10 1.05 0.10 0.02 10.50
根 0.20 0.60 1.50 0.15 3.00 葉 0.83±0.29 0.73±0.56 1.50±0.50 0.18±0.06 1.06±0.96 茎 1.50±0.00 0.58±0.19 0.67±0.29 0.12±0.03 0.39±0.13 根 2.17±0.29 0.23±0.03 0.37±0.23 0.05±0.00 0.11±0.01
葉 0.15 1.80 3.00 0.20 12.00
茎 0.25 1.00 1.00 0.15 4.00 根 0.15 0.60 1.50 0.10 4.00 葉 1.00±0.50 1.37±0.15 2.50±0.50 0.22±0.03 1.60±0.72 茎 1.33±0.29 0.70±0.10 1.17±0.29 0.10±0.05 0.56±0.42 根 1.83±0.58 0.60±0.10 0.83±0.29 0.07±0.03 0.35±0.07
葉 0.05 1.50 2.50 0.20 30.00
茎 0.15 0.70 2.00 0.05 4.67 根 0.10 0.90 2.50 0.05 9.00 葉 1.17±0.76 1.23±0.15 1.83±0.29 0.12±0.03 1.37±0.76 茎 1.33±0.58 0.73±0.06 2.33±0.58 0.05±0.00 0.62±0.24 根 3.33±0.58 0.68±0.18 1.17±0.76 0.07±0.03 0.21±0.07 葉 0.25 1.50 2.50 0.15 6.00 茎 0.40 0.70 2.00 0.05 1.75 根 0.25 0.90 2.50 0.10 3.60 葉 0.25±0.00 1.90±0.17 3.00±0.50 0.25±0.00 7.60±0.69 茎 0.50±0.00 0.73±0.21 3.17±1.26 0.08±0.06 1.47±0.42 根 2.25±0.25 0.92±0.18 1.83±0.29 0.10±0.00 0.41±0.07 葉 0.10 0.90 3.00 0.10 9.00
茎 0.05 0.60 3.00 0.05 12.00
根 0.10 0.30 1.00 0.10 3.00 葉 0.67±0.29 0.61±0.48 1±0.50 0.12±0.03 0.97±0.94 茎 1.17±0.29 0.36±0.29 1.33±0.76 0.07±0.03 0.29±0.19 根 1.83±1.04 0.15±0.00 1.00±0.50 0.07±0.03 0.10±0.05 葉 0.15 0.90 3.00 0.15 6.00 茎 0.35 0.60 3.00 0.10 1.71 根 0.20 0.30 1.00 0.05 1.50 葉 1.50±0.00 0.73±0.12 3.67±0.29 0.15±0.00 0.49±0.08 茎 1.33±0.29 0.40±0.17 2.00±0.87 0.07±0.03 0.30±0.10 根 2.17±0.29 0.33±0.15 1.33±0.29 0.07±0.03 0.15±0.05 葉 0.10 0.50 0.50 0.05 5.00 茎 0.10 0.25 1.00 0.05 2.50 根 0.05 0.15 0.50 0.10 3.00 葉 1.00±0.00 0.75±0.15 0.63±0.32 0.08±0.03 0.75±0.15 茎 1.50±0.00 0.17±0.06 0.57±0.40 0.02±0.00 0.11±0.04 根 1.67±0.29 0.05±0.02 0.18±0.13 0.01±0.01 0.03±0.02 葉 0.20 0.70 0.50 0.10 3.50 茎 0.20 0.40 0.50 0.10 2.00 根 0.15 0.35 1.50 0.40 2.33 葉 1.00±0.50 0.70±0.00 1.00±0.00 0.12±0.02 0.86±0.49 茎 1.67±0.76 0.33±0.12 0.67±0.29 0.04±0.02 0.23±0.15 根 2.67±0.76 0.47±0.33 0.70±0.52 0.04±0.02 0.16±0.07
種名 陽イオン含有率(%) Na+根/葉
器官 処理時間 処理区
(日)
トベラ
3
コントロール 2.00
3.4% 3.67±0.58
7
コントロール 1.00
3.4% 9.00±0.29
シャリンバイ 3
コントロール 2.00
3.4% 3.00±1.73
7
コントロール 1.00
3.4% 2.06±2.08
マサキ
3
コントロール 1.00
3.4% 2.67±0.82
7
コントロール 1.33
3.4% 1.44±1.00
クロマツ 3
コントロール 0.50
3.4% 1.67±0.19
7
コントロール 0.75
3.4% 2.94±0.92
124
シャリンバイ:図6.2.1,図6.2.22にNa+,図6.2.3,図6.2.4にK+,図6.2.5,図6.2.6に
Ca2+,図6.2.7,図6.2.8にMg2+含有率の変化を示す。Na+含有率は3部位全てにおいて処理
期間3日ではコントロール区に比べ3.4%区の方が0.68~2.02%,7日では0.85~1.68%上昇し た。部位別にみると葉では処理期間3日で0.68%,7日で0.85%上昇した。茎では処理期間
3日で1.25%,7日で1.08%上昇した。根では処理期間3日で2.02%,7日で1.68%の上昇
を示した。両方の処理期間で根の含有率の上昇が他の部位に比べて大きくなる傾向が認め られた。
K+の含有率は処理期間 3 日では 3 部位全てでコントロール区より 3.4%区の方が 0.37~
0.77%低下した。処理期間7日では葉と茎で0.30~0.43%低下した。部位別にみると葉では
処理期間3日で1.07%,7日で0.43%低下した。茎では処理期間3日で0.42%,7日で0.30%
低下した。根では処理期間3日で0.37%低下したが,7日では変化は認められなかった。両 方の処理期間でコントロール区に比べ 3.4%区で葉,茎で含有率の低下が認められた。特に 葉では,他の2 部位に比べ大きく低下する傾向が示された。根では処理期間 3 日で緩やか な低下を示し,処理期間7日では含有率の変化は認められなかった。
Ca2+含有率は処理期間3日では葉と根でコントロール区より3.4%区の方が1.13~1.50%低 下した。処理期間7日では葉と根で0.50~0.67%低下した。部位別にみると葉では処理期間3
日で1.50%,7日で 0.50%低下した。茎では処理期間3日で0.57%,処理期間7日で0.17%
上昇した。根では処理期間3日で1.13%,7日で0.67%低下した。以上から両方の処理期間 でコントロール区に比べ 3.4%区で葉と根の含有率の低下が認められたが,茎では含有率の 上昇が認められた。
Mg2+含有率は処理期間3日では葉と根でコントロール区に比べ3.4%区の方が0.02~0.10%
低下し,茎で0.02%上昇した。7日では茎と根で0.03~00.05%低下し,葉で0.02%上昇した。
部位別にみると,葉では処理期間3日で0.02%低下し,7日で0.02%上昇した。茎では処理
期間3日で0.02%上昇し,7日では0.05%低下した。根では処理期間3日で0.10%,7日で
0.03%低下した。両方の処理期間でコントロール区に比べ3.4%区で根の含有率が低下する傾
向が示された。
125
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根 0.00
1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
図6.2.3 処理期間7日間での Na+含有率の変化
シャリンバイ シャリンバイ
図6.2.2 処理期間3日間での Na+含有率の変化
図6.2.5 処理期間7日間での K+含有率の変化
シャリンバイ シャリンバイ
図6.2.4 処理期間3日間での K+含有率の変化
図6.2.7 処理期間7日間での Ca2+含有率の変化
シャリンバイ
図6.2.6 処理期間3日間での Ca2+含有率の変化
シャリンバイ
図6.2.8 処理期間3日間での Mg2+含有率の変化
シャリンバイ
図6.2.9 処理期間7日間での Mg2+含有率の変化
シャリンバイ
126
トベラ:図6.2.9,図6.2.10にNa+,図6.2.11,図6.2.12にK+,図6.2.13,図6.2.14にCa2+,
図6.2.15,図6.2.16にMg2+含有率の変化を示す。Na+含有率は処理期間3日では3部位全て
でコントロール区より 3.4%区の方が 1.12~3.23%上昇した。処理期間 7 日では茎と根で
0.10%~2.00%上昇した。部位別にみると葉では処理期間3日で1.12%上昇したが,7日では
変化は認められなかった。茎では処理期間3日で1.18%,7日で0.10%上昇した。根では処
理期間3日で3.23%,7日で2.00%上昇した。以上から,両方の処理期間で根は他の2部位
に比べ含有率が急に上昇する傾向が認められた。
K+含有率は処理期間3日では葉と根でコントロール区に比べ3.4%区で0.22~0.27%低下し たが,茎では0.03%上昇した。処理期間7日では3部位全てで0.02~0.40上昇した。部位別 にみると葉では処理期間3日で0.27%低下し,7日では0.40%上昇した。茎では処理期間3
日,7日ともに0.03%上昇が認められた。根では処理期間3日で0.22低下し,処理期間7日
で0.02上昇した。両方の処理期間でコントロール区に比べ3.4%区で茎の含有率の上昇が示 された。
Ca2+含有率は処理期間3日では葉と根でコントロール区に比べ3.4%区の方が0.67~1.33%
低下し,茎で0.33上昇した。処理期間7日では葉と茎で0.50~1.17%上昇し,根で0.67%低 下した。部位別みると葉では処理期間3日で0.67%低下し,7日では0.50%上昇した。茎で は処理期間3 日で 0.33%上昇し,処理期間 7日で1.17%上昇した。根では処理期間 3日で
1.33%低下し,処理期間7日で0.67%低下した。両方の処理期間でコントロール区に比べ3.4%
区で根の含有率の低下が認められた。
Mg2+含有率は処理期間3日では葉と根でコントロール区に比べ3.4%区の方が0.02~0.08%
低下したが,茎では変化が認められなかった。処理期間 7日では葉と茎で 0.03~0.10%上昇 し,根では変化が認められなかった。部位別にみると葉では処理期間3日で0.02%低下し,
7日で0.10%上昇した。茎では処理期間3日で変化は認められず,7日で0.03%上昇した。
根では処理期間3日でコントロール区に比べ 3.4%区で0.02%低下し,7 日では変化は認め られなかった。
127
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
図6.2.9 処理期間3日間での Na+含有率の変化
トベラ
図6.2.10 処理期間7日間での Na+含有率の変化
トベラ
図6.2.11 処理期間3日間での K+含有率の変化
トベラ
図6.2.12 処理期間7日間での K+含有率の変化
トベラ
図6.2.13 処理期間3日間での Ca2+含有率の変化
トベラ
図6.2.14 処理期間7日間での Ca2+含有率の変化
トベラ
トベラ
図6.2.15 処理期間3日間での Mg2+含有率の変化
図6.2.16 処理期間7日間での Mg2+含有率の変化
トベラ
128
マサキ:図6.2.17,図6.2.18にNa+,図6.2.19,図6.2.20にK+,図6.2.21,図6.2.22にCa2+,
図6.2.23,図6.2.24にMg2+含有率の変化を示す。Na含有率は両方の処理期間で3部位全に
おいNaCl 添加により上昇する傾向を示した。処理期間 3日では 3 部位で0.57~1.73%上昇
し,7 日では 0.98~1.97%上昇した。部位別にみると葉では処理期間 3 日で 0.57%,7 日で
1.35%上昇した。茎では処理期間3日で1.12%,7日で0.98%上昇した。根では処理期間3日
で1.73%,7日で1.98%の上昇を示した。以上から根はNaCl添加により他の2部位に比べ
含有率が急に上昇する傾向があることが認められた。
K+含有率は処理期間 3 日では 3 部位全てでコントロール区に比べ 3.4%区の方が
0.15~0.29%低下し,7日では葉と茎で0.17~0.20%低下した。部位別にみると葉では処理期間
3日で0.29%,7日で0.17%低下した。茎では処理期間3日で0.24%,7日で0.20%低下した。
根では処理期間3日で0.15%低下,7日で0.03%上昇した。以上より,根に比べ他の2部位 では含有率が急に低下する傾向が示された。
Ca2+含有率は処理期間3日では葉と茎でコントロール区に比べ3.4%区の方が0.33~1.00%
低下し,根では一定であった。7日では茎で1.00%低下し,他の2部位では0.33~0.67%上昇 した。以上より,両期間の茎で含有率の低下する傾向が示された。葉では含有率一定であっ た。根では含有率は上昇または一定であった。
Mg2+含有率は処理期間3日では 葉と茎で0.02%上昇し,根では0.03%低下する傾向を示 した。処理期間7日では葉で一定となり,茎で0.03%低下,根で0.02%上昇する傾向を示し た。
129
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50
コントロール 3.4%
Mg2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
コントロール 3.4%
Ca2+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00
コントロール 3.4%
K+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00
コントロール 3.4%
Na+含有率(%)
処理区
葉 茎 根
図6.2.18 処理期間7日間での Na+含有率の変化
マサキ
図6.2.17 処理期間3日間での Na+含有率の変化
マサキ
図6.2.19 処理期間3日間での K+含有率の変化
マサキ
図6.2.20 処理期間7日間での K+含有率の変化
マサキ
図6.2.22 処理期間7日間での Ca2+含有率の変化
マサキ
図6.2.21 処理期間3日間での Ca2+含有率の変化
マサキ
図6.2.23 処理期間3日間での Mg2+含有率の変化
マサキ
図6.2.24 処理期間7日間での Mg2+含有率の変化